【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

めくるめく知のフロンティア・学究達 =143= / 栃本武良(19/24)

2021-03-02 06:09:20 | 浪漫紀行・漫遊之譜

生態がほとんどわかっていなかったオオサンショウウオ

驚くべきは国の特別天然記念物でありながら、その生態は謎だらけ

勤務する水族館でよく聞かれた素朴な疑問に答えようと研究をはじめた

子供たちに答えようと、ついには「日本ハンザキ研究所」を作ってしまった栃本武良

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=的野弘路、堀信行 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

番外編2 これがチュウゴクオオサンショウウオだ =1/3= ◆◇

  中国貴州省の銅仁市は、市直轄の2つの区、4つの県、4つの自治県からなる地方都市だ。日本の「市」と「県」の階層とは逆で、県の方が小さな行政区画をさしている。だから、銅仁市といってもかなり広い。調べてみたら1万8000平方キロメートルほどで、日本の四国と同規模だった。

 今回、ハンザキ研究所・研究員の田口勇輝さんが呼ばれた背景には、銅仁市内にある広大な梵浄山自然保護区に、チュウゴクオオサンショウウオの保護区を作ろうという動きがあるからだ。

 銅仁の空港では、赤いテンプルの黒縁眼鏡をかけた、パワフルな雰囲気の女性が待っていた。

 ベッキーと名乗った彼女は、雲南省昆明市を本拠にしつつ、CGS(チュウゴクオオサンショウウオ)の保護のために奔走している。生まれも育ちも中国。大学はシンガポール。インターンとしてロンドンで働いていた時に、ロンドン動物園がCGSの保護計画を立ち上げることを知り、中国国内の調整役ができる現地スタッフとして抜擢された。動物園が国内外の自然保護・種の保全に積極的にかかわるのは、北米や欧州の動物園ではよくあることだ。ベッキーは、一筋縄ではいかない利害関係者と話しあったり、教育普及をはかったり、様々な現地調査を行ったり、といった仕事をこれまでこなしてきた。

「はーい、ユーキ」と田口さんに親しげに話しかけたのは、実は前年、ベッキーは兵庫県にあるハンザキ研究所をロンドン動物園のスタッフとともに訪ねていたからである。ハンザキ研は、日本を訪れる両生類関係者にとって必ず訪れたいところの1つだし、ましてや、オオサンショウウオ関係者にとっては、訪れなければならない所になっている。

 さて、そのベッキーの説明によると──

「CGSは、淡水大熊猫(水の中のジャイアントパンダ)みたいなものなのだから、自然保護の対象として注目されるべき。1987年からワシントン条約の絶滅危惧の指定を受けているのに、国内では国家2級保護動物。今ひとつ認知が足りなくて、私たちの調査では、中国の人のほとんどが、魚だと思っている。姿を見たことがない人も多い」

 ベッキーは、シンガポール・アクセントを思わせる英語でマシンガントークする。小さな体にはち切れんばかりの精力を漲らせている。

 彼女が見せてくれたのは、彼女の地元の昆明と、貴州省最大の都市・貴陽で行ったアンケート調査だった。「娃娃魚」と表記すると「魚」なので、見たことがない人は素直に魚類だと思うのだろう。考えてみれば、日本でも「オオサンショウウオ」だから、ウオ(魚)だと思っている人は少なからずいる。

 街中に移動して紹介されたのが、貴陽の大学の魏剛教授。大学院生を引き連れての参加だ。今回のチームは、元締めであるロンドン動物園組のベッキー、地元アカデミアの魏教授グループ、そして、ハンザキ研の田口さんとくっついてきたぼくの日本組、という混成状態で活動することになった。

「野生のCGSを見に行こう!」というのは、田口さんの強い希望だった。

 梵浄山自然保護区は、明代に多くの寺院が作られた地域でもあり、阿弥陀如来が修行した場所という伝説もあるとか。実際の所、梵浄山という「山」は、お寺である。独特の形の岩山があって、仏教の聖地だというのも分かる。

 しかし、ぼくたちの関心事は、水辺だ。石灰岩が多い地形の中にダム湖があって、まずはボートで偵察した。

・・・・・・明日に続く・・・

■□参考資料: オオサンショウウオへの環境保全対策 (1/3) □■

オオサンショウウオ(サンショウウオ目オオサンショウウオ科)                            

【別名】  ハンザキ(地域によっては、ハンザケ、アンコウ、ハザコとも呼ばれています。)

【特徴】  ・日本固有かつ世界最大の両生類で最大1.5mまで成長  ・形態が約3千万年前からほとんど変化していないことから“生きた化石”とも呼ばれています。  ・国の特別天然記念物に指定

 伊賀地域は、三重県内でもオオサンショウウオの生息記録が多く、概ね安定した個体群が維持され、良好な生息環境が広い範囲に存在しています。

環境保全対策の取り組み

  • ダム堤体ができる場所やダムにより水が貯まる場所 (以下「ダム貯水池」という。) に生息するオオサンショウウオの生息環境は減少しますが、前深瀬川上流域及び伊賀地域にあるオオサンショウウオの生息環境は引き続き残存します。
    (2)川上ダムの建設によりオオサンショウウオの生息環境が一部減少してしまうことから、川上ダムでは環境保全対策を実施することとします。
    (3)全ての保全対策については学識者等の指導・助言を得ながら実施することとしています。

.-.-.- オオサンショウウオの夫婦、尺アマゴを狙う -.-.-.

動画のURL: https://youtu.be/FMvF8aEYGhY

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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