偏平足

里山の石神・石仏探訪

里山の石神端書199 屋根の鬼面(長野県青木村)

2023年06月27日 | 里山石神端書

青木村田沢・子檀嶺神社の屋根の鬼面


 温泉のある小さな村・青木村。田沢温泉近くに子檀嶺神社の里社が建ち、社殿の屋根の棟両側に鬼の面がついていました。


 瓦屋根なら魔除けの鬼瓦になるところですが、板葺き屋根ですから鬼面(きめん)としました。別の名称があるのかも知れません。その鬼面は阿吽の形になっています。役目は鬼瓦と同じ魔除けなのでしょう。
 同じような鬼面を石祠でも見ています。群馬・長野・山梨の江戸時代初期の道祖神や庚申塔石祠の屋根の両側についているものです。ただこの時代の農家の屋根は茅葺、町では板葺きが普通で、寺院だけは古くから瓦屋根だったので鬼瓦が普及していました。したがって、江戸時代初期の神仏を祀る石祠の屋根は、寺院に倣って鬼面をつけたのでしょう。
 瓦について丹生谷章氏の『日本の民屋』(注)に「瓦はKapalaと云う、サンスクリット語から来た名であり、我国では仏教と共に輸入されたらしい(略)神社には仲々用いられなかった」とあり、「近世になって、度々大火に見舞われた江戸を火災から守る為に、幕府は、防火用として、盛んに瓦を奨励した結果が少し現れて、瓦葺はやっと都市に普及する様になった」とあります。
 石祠の鬼面をいくつか紹介しておきます。
<群馬・桐生市黒保根>

<群馬・高崎市榛名>

<山梨・北杜市高根>

(注)丹生谷章著『日本の民屋-屋根型の地理-』昭和36年、地球社


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