おとうさん わたしを みつけて…
くちのきけない馬が好きな少女とその父親の壮絶な愛…第2幕
パリ郊外で馬の肉を売っていた男。彼は自分の口のきけない娘が強姦されたと勘違いして労働者を刺し殺し、投獄される。 出所後、彼はバーのウェイターの仕事につき店のマダムの愛人となる。男の子供を妊娠したマダムは人生をやり直そうともちかけ、それを受け入れた男は施設に入れられた娘に別れを告げて北の町リールへ旅立つ。 しかし女に嫌気がさした男は、妊娠中の愛人の腹をなぐり、その場を逃げ出した。
月日は流れ、今、再び男は娘の待つパリへ向かっている。目指すは娘の母親が彼女を身籠った“未来ホテル”…。
※物語の核心に触れる箇所がございます。 未見の方はご注意を!
”ATTENTION!” の強烈な文字とともに、あの親子が帰ってきた! 1991年、フランス全土、いや世界中を衝撃の渦に巻き込んだ、フレンチ・ビザール映画、『カルネ』の続編です。
馬に恋した物言わぬ娘を守ろうと肉屋(馬肉専門)の男が過ちを犯す物語としての『カルネ』を超えて、本作では、その男が『カルネ』が終わった後に、もしかしたら過ごしたかもしれない人生が描かれています。
やはりこの映画は凄いです。冒頭から画面いっぱいに ”MORAL” の文字が出てくるのですが、”モラル” とは・・・こんなに深く考えたことはありませんでした。
劇場用パンフにも書いてありましたが、「人間は誰もが一人で生き、一人で生まれ、一人で死ぬ・・。 常に一人だ。キスをしている時ですら一人だ。一人だけの肉体と人生を持ち、分割することのできないトンネルのようである。 そして歳を取ればとるほど一人きりになり、人生のいくつかの想いでがだんだんと壊れていくことに直面する。 人生はトンネルのようだ・・・」。 まさにこれなのですね。この父親の孤独な闘い・・・、それが原題 ”Seul Contre Tous” の持つ意味なのでしょう。
ラスト15分。”ATTENTION” 「このあと30秒後にあなたの感性を害するかもしれない危険な映像があります。劇場を出るなら今のうちに!」 との警告の後、信じられない光景を私たちは目の当たりにします…。
この作品は ”愛”を描いたものなのですが、その愛はとても暴力的…。そして哀しみに満ち溢れています。
”ATTENTION”の後のショッキングな光景が、例えあの父親の妄想だとしても、この衝撃の映像はほんとうに身体に悪いです…。 何度観ても、生命が縮まる思いです(苦笑)。
そして最後のあの抱擁…。とても素晴らしい瞬間です。 この瞬間のために、いままでのストーリーがある、とでもいうような素晴らしい光景です。 こんなに過激な 「愛」 の表現がかつてあったでしょうか・・。 そんな思いにさせてくれた作品です。
追記 タイトルの『カノン』は日本タイトルで、キリスト教の聖典、行為の条規、規範、基準、追復曲、銃身などの意味で、原題は『SEUL CONTRE TOUS(皆は私の敵)』。 これは、父親の妄想が世間を敵にまわしているところからとったということです。
前作同様、この作品も感受性を傷つける危険な部分があるため、鑑賞には充分お気をつけください。
--「カノン」関連映像--
seul contre tous
*************************************
【カノン (SEUL CONTRE TOUS)】
監督 / ギャスパ-・ノエ
出演 / フィリップ・ナオン ブランディール・ルノワール
1998年フランス作品
アニエス・b“ラブ・ストーリーム・プロダクション”第1回製作作品
98年カンヌ国際映画祭批評家週間大賞受賞
--関連作品LINK--
くちのきけない馬が好きな少女とその父親の壮絶な愛…第2幕
パリ郊外で馬の肉を売っていた男。彼は自分の口のきけない娘が強姦されたと勘違いして労働者を刺し殺し、投獄される。 出所後、彼はバーのウェイターの仕事につき店のマダムの愛人となる。男の子供を妊娠したマダムは人生をやり直そうともちかけ、それを受け入れた男は施設に入れられた娘に別れを告げて北の町リールへ旅立つ。 しかし女に嫌気がさした男は、妊娠中の愛人の腹をなぐり、その場を逃げ出した。
月日は流れ、今、再び男は娘の待つパリへ向かっている。目指すは娘の母親が彼女を身籠った“未来ホテル”…。
※物語の核心に触れる箇所がございます。 未見の方はご注意を!
”ATTENTION!” の強烈な文字とともに、あの親子が帰ってきた! 1991年、フランス全土、いや世界中を衝撃の渦に巻き込んだ、フレンチ・ビザール映画、『カルネ』の続編です。
馬に恋した物言わぬ娘を守ろうと肉屋(馬肉専門)の男が過ちを犯す物語としての『カルネ』を超えて、本作では、その男が『カルネ』が終わった後に、もしかしたら過ごしたかもしれない人生が描かれています。
やはりこの映画は凄いです。冒頭から画面いっぱいに ”MORAL” の文字が出てくるのですが、”モラル” とは・・・こんなに深く考えたことはありませんでした。
劇場用パンフにも書いてありましたが、「人間は誰もが一人で生き、一人で生まれ、一人で死ぬ・・。 常に一人だ。キスをしている時ですら一人だ。一人だけの肉体と人生を持ち、分割することのできないトンネルのようである。 そして歳を取ればとるほど一人きりになり、人生のいくつかの想いでがだんだんと壊れていくことに直面する。 人生はトンネルのようだ・・・」。 まさにこれなのですね。この父親の孤独な闘い・・・、それが原題 ”Seul Contre Tous” の持つ意味なのでしょう。
ラスト15分。”ATTENTION” 「このあと30秒後にあなたの感性を害するかもしれない危険な映像があります。劇場を出るなら今のうちに!」 との警告の後、信じられない光景を私たちは目の当たりにします…。
この作品は ”愛”を描いたものなのですが、その愛はとても暴力的…。そして哀しみに満ち溢れています。
”ATTENTION”の後のショッキングな光景が、例えあの父親の妄想だとしても、この衝撃の映像はほんとうに身体に悪いです…。 何度観ても、生命が縮まる思いです(苦笑)。
そして最後のあの抱擁…。とても素晴らしい瞬間です。 この瞬間のために、いままでのストーリーがある、とでもいうような素晴らしい光景です。 こんなに過激な 「愛」 の表現がかつてあったでしょうか・・。 そんな思いにさせてくれた作品です。
追記 タイトルの『カノン』は日本タイトルで、キリスト教の聖典、行為の条規、規範、基準、追復曲、銃身などの意味で、原題は『SEUL CONTRE TOUS(皆は私の敵)』。 これは、父親の妄想が世間を敵にまわしているところからとったということです。
前作同様、この作品も感受性を傷つける危険な部分があるため、鑑賞には充分お気をつけください。
--「カノン」関連映像--
seul contre tous
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【カノン (SEUL CONTRE TOUS)】
監督 / ギャスパ-・ノエ
出演 / フィリップ・ナオン ブランディール・ルノワール
1998年フランス作品
アニエス・b“ラブ・ストーリーム・プロダクション”第1回製作作品
98年カンヌ国際映画祭批評家週間大賞受賞
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私もこの映画は観終わった後、
呆然とした感じでフラフラになりながら
帰宅しましたよ。
正直かなり疲れ果てましたね。
でも、観て損はなかった映画でした。
何が究極の愛なんだろう。
そう考えてしまった映画だったです。
ただ、ただ呆然とスクリーンに釘付けでしたよ。
でも見終わったあとは、しばらく何もしたくなかったですね。