なるようになろう!

中小企業診断士修行中の生活。学習日記や素朴なギモンなど。

【事例演習】難しい設問への対応 H17事例1 その3

2008-05-30 | 【診断士】過去問分析
前回の答案内容と文章構成をみて、とまどった方がいるかもしれません。
ちょっと、カッコ悪いカンジですよね。

さて、今日はまとめです。

まずは、趣旨説明を読んで確認してみましょう。


■趣旨説明を読む

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第5問

(設問1)
本問は、ベンチャー企業であるA社が、その成長ステージに応じて経営管理制度を導入していく上で、どういった点に留意し、どういった具体的施策を講じていくべきかについて、その理解を問う問題である。

(設問2)
本問は、A社が展開するWebビジネスを継続的に展開していく上で、直面する可能性のある社内外の制約条件について、認識することができるかを問う問題である。

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(設問1)は、「ベンチャー企業であるA社が、その成長ステージに応じて」「どういった具体的施策を講じていくべきか」といった表現が、設問にないポイントですね。経営者よりも、ベンチャー企業の成長ステージにフォーカスが当たっていたようです。制約Aと制約Bをひとくくりに考えるわけですね。
さらに、具体的施策までいるんでしたか。なるほど。これは与件から拾うのかなあ。

(設問2)は、「直面する可能性のある社内外の制約条件」がポイントですね。「社内外」なので、外向きだけではなく、経営資源や強み弱みといった環境分析っぽい内容が必要のようですね。なるほど。これも与件と他の設問との関係から炙り出せるかなあ。結果的には、よくいわれている様に3Cの切り口が有効だったようですね。

→注4


■自己評価する

趣旨説明と照らし合わせてみると、微妙にズレがありますね。
やはり、設問文にない内容まで盛り込めないのが、設問だけを読んで答案構成を考える方法の限界でしょうか。
このあたりは、与件を読んで、他の設問との一貫性を考慮しつつ、埋めていくしかないですね。

今回の方法は、あくまでも設問の意味がよくわからない状況において、徹底的に設問を読み込んで、一語一語にこだわって、なんとか対応しようとするとこうなりますという例です。

完成度は二の次です。
難しい設問で高得点は狙わないほうが無難ですしね。


■過程が見える方法であること

受験校の模範答案には、なるほどと感心するものもあります。
しかし、どんなに優れた答案であっても、その答案に辿り着くためのプロセスを理解して、自分自身でトレースできなくては、受験対策としては価値がありません。

高くて美しい山があっても、そこに至るルートがわからないなら、いつまでたっても観てるだけです。

このメソッドをやってみる価値があると思うのは、目の前にある設問だけを使って、確実に答案内容に近付くことができる方法だからです。

設問重視で答案を構成することで、見た目は不恰好でたいして高くない山ですが確実に登れます。
つまり、一番怖い空欄や大ハズシは避けられるのではないかと思います。

もちろん、高くて美しい山を目指す人もいるでしょう。ひとそれぞれです。


■重要なのは設問に答えること

実際に難しい設問に対処する場合、開始直後の設問を読むプロセスではよくわからないまま放置しておいて、与件を読んだ後で、答案内容を検討しつつ、もう一度設問の意味をじっくり考えることになるケースが多いかもしれません。
また、比較的わかりやすい他の設問の答案を足掛かりに、答案内容を方向付ける方法もあります。

こういう作業によって、最初イメージした文章構成が変化することもあるでしょうし、そのあたりは柔軟に対応すべきでしょう。与件を読み込むことで、答案内容に肉付けができ、趣旨説明にあるような答案まで近付くことができるかもしれません。

けれど、設問の解釈によって導かれた答案方針はあまり変えないほうが無難です。

この設問で言うと、『(設問1)は内向き、(設問2)は外向き、いずれも「これから」についてのことでまとめること。』です。
これを変えてしまうと、答案内容が問われている事から離れて、暴走してしまう危険があります。

方向性はキープのまま、内容を豊かに、わかりやすく、読みやすく、していくならアリ・・・です。


■難しい設問が難しい理由

難しい設問を難しいと感じる理由は、設問の意味(問われている事)がわからないからであって、答案内容が難しいからではないと考えています。

みなさんも、受験機関の模範解答を見て「なあんだ、こんなことでいいのか」と思った事があるはずです。


■試して納得することです

この方法に興味をもたれた方は、別の設問で試してみてください。
設問をしっかり読んで、一語一語の意味や意図を感じ取ろうとすることです。

試してみて納得できなければ、この方法はきっぱり忘れてしまってください。


どのようなアプローチを選択するにしても、自分のワザとして身に付けられる方法がベストです。
そのためには、違和感なく納得できることが、かなり重要だと思います。

大丈夫、まだ間に合いますよ。
去年の私も、コレで行こうと決めたのは春でしたが、プロセスが自分で見え始めたのは夏以降です。
また、その時点でもハッキリ見えていた訳ではありません。

最後に・・・
これは個人的な答案プロセスを説明したものであり、ひとつの例に過ぎません。
また、この答案で合格できるという保証もありません。
受験校の模範解答を批判する意図はまったくありません。むしろリスペクトしています。

以上、ご了承くださいませ。

→注4
趣旨説明は、設問と照らし合わせながら注意深く読んでみてください。ぼんやり読むと設問と同じに見えますが、微妙な言い回しの違いやコトバの追加など、答案の方向性などを示唆しているケースが多いです。
正解答案を特定させないために、わざとぼかして書いているんでしょうが、それにしても、悩ましいですよねえ。

【事例演習】難しい設問への対応 H17事例1 その2

2008-05-27 | 【診断士】過去問分析
前回の続きです。

今回は設問1と設問2を解釈していきます。

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(設問1)
ベンチャー企業の経営者として、次なる成長を実現していく上で、経営管理制度の導入に当たって、どういった点に留意すべきか。留意すべき点を100字以内で述べよ。

(設問2)
Webビジネスを継続的に展開していく上で留意すべき制約条件には、どういったことが考えられるか。制約条件として考えられる事項を3点、それぞれ30字以内で述べよ。

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(設問1)には「経営管理制度の導入に当たって、」とズバリ明記してありますから、(1)の項目、つまり組織や人事に関する内向き施策について何かが問われている。これは鉄板でしょう。

対して、(設問2)には、「継続的に展開していく上で」とあります。これを≒事業拡大策と判断できるかどうか。

(設問1)が、リードと同じ単語を配置する鉄板度であることから推察すると、(設問2)は、残りのひとつ(2)の項目、事業拡大策をとるという外部に対する働きかけについて曖昧さを残しながら指し示していると考えたいところです。あくまで、考えたいレベルですが。

こう考えると、設問リードで提示した、ふたつの必要なことのひとつずつに設問がそれぞれ対応しているという解釈になります。

■第5問の答案方針
★A社の「これから」について
(設問1)→経営管理制度の導入の留意点→(内向き)→組織・人事中心
(設問2)→事業拡大策の制約条件→(外向き)→SWOT・戦略中心
 ただし、今後、(a’)市場環境が悪化する可能性や、
 (b’)成長期へとステージが変化すること、
 などのA社の状況に関する説明を踏まえた内容であること。


さて、答案内容の大枠はできあがりました。
これをベースに、さらに細かく読み込んで、文章構成まで考えます。

■(設問1)の文章構成
答えるべきことは、「どういった」が掛かっている箇所ですから、「経営管理制度の導入に当たって、留意すべき点」になります。

この設問の重要なポイントは、「ベンチャー企業の経営者として、次なる成長を実現していく上で、」の文節をどう解釈するかです。

私はこれを、留意点を挙げる上での制約条件と解釈します。

ベンチャー企業の経営者として、・・・制約A
次なる成長を実現していく上で、・・・制約B

なので、これらの制約を満たすことをしっかり意識した文章構成をイメージしつつ、ふたつのまとめ的な結論をできれば書きたいところです。→注2

最も愚直な出来上がりイメージは、こうなります。

『留意点は、~~~である。具体的には、①ベンチャー企業の経営者として、~~~すること。②成長を実現するために、~~~すること。である。』

それぞれ30文字で構成すれば100文字に近くなります。


また、結論が作れなくて、単純な並列型にしてしまうかもしれません。
その場合は以下のようなイメージです。

『留意点は、①ベンチャー企業の経営者として、~~~すること。②成長を実現するために、~~~すること。である。』

このあたりは、まだゆるい状況です。

内容は与件を読んでからです。
入れ込む必要がある情報が多ければ、「ベンチャー企業の経営者として、」「成長を実現するために、」の部分を最終的には省略してしまうかもしれません。
制約条件を満たせる答案内容が明確にわかれば、それを上手く整理して文章構成を作っても良いでしょう。
組織に関する定番の切り口のどれかがフィットする可能性が高いかもしれません。


■(設問2)の文章構成
答えるべきことは、「どういった」が掛かっている箇所ですから、「Webビジネスを継続的に展開していく上で留意すべき制約条件」になります。

設問には「Webビジネスを継続的に展開していく上で」以外の制約はないのですが、答案方針で外向きの内容を書くと決めているので、これも内容を探すときの制約条件になります。

「Webビジネスを継続的に展開していく上で、留意すべき制約条件(ただし、A社の成長戦略・競争戦略に関わること)」を3つ答えることになります。

3つとあるので、与件に3つあるんでしょう。
場合によっては、3つ以上あるものを、漏れなくダブりなく、3つにまとめなければならないかもしれません。→注3


30文字以内なので、それぞれ1文でコンパクトに。
なおかつ、構文は統一したいところです。
「留意すべき制約条件は」というベタな書き出しは、30文字中10文字と長い上に、3回も書くとくどいですから、避けたほうが無難です。内容が薄くなりすぎる危険もありますし。

愚直な文章構成だとこうなります。

『~~~について、~~~に留意すべきである。』 ×3


前半で制約条件の大枠(いわゆる切り口ですね)を提示しておいて、後半で具体的な内容を書く構成です。
『~~~面で、~~~に留意すべき。』といった文字数調整の小技もありますね。

『留意すべき』が3つも繰り返されてくどいので取ってしまい、制約条件を3つ書く案も考えられます。
この場合は、文末の統一感以外は文章構成を特に意識する必要はないですね。

内容は与件を読んでからです。
成長戦略・競争戦略にかかわる制約条件を書くという方針さえ見失わなければ、1次知識と与件情報の組合せでなんとか埋められそうですね。



さて、とりあえず出来上がりました。
ちょっと意外な内容になりましたか?

いろいろ突っ込みたいところありますよね(笑)

そのあたりとまとめは次回に。

→注2
はじめに具体策等を決め込んだ後、設問間の関連性を俯瞰しながら、ふさわしいキーワードなどを盛り込んだ結論を考えます。ロジックツリーでいうと、下をまとめて上に持ち上げるカンジです(イメージ先行の説明ですいません。わかるかなあ)。まったく逆の、最初に結論がバシッと見えて、それに合う具体策などを探すケースもあります。もちろん、どちらの場合も解答欄に書くときは結論先出しです。


→注3
3つ書け、4つ挙げろ、と問われた時に、脊髄反射的に数字が一致する切り口を当てはめて考えようとするのは危険です。あくまで、設問と与件の情報が最重要です。

【事例演習】難しい設問への対応 H17事例1 その1

2008-05-23 | 【診断士】過去問分析
今回はあえて難しめの設問を読んで理解することにチャレンジしてみます。

最初に読んで、「なにこれ。何を書けばいい?」とイヤーな汗をかくタイプの設問です。



正解が発表されない試験ですから、ホントの所は分かりません。

今からの解釈も、とても個人的なものです。
また、正解を求めるというよりも、現場でしのぐための方法です。


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平成17年事例Ⅰ

第5問
市場環境変化の追い風に乗って、創業期を順調に成長してきたA社が、今後継続的に事業を拡大していくためには、経営管理制度の導入や事業拡大策をとることが求められる。

(設問1)
ベンチャー企業の経営者として、次なる成長を実現していく上で、経営管理制度の導入に当たって、どういった点に留意すべきか。留意すべき点を100字以内で述べよ。

(設問2)
Webビジネスを継続的に展開していく上で留意すべき制約条件には、どういったことが考えられるか。制約条件として考えられる事項を3点、それぞれ30字以内で述べよ。

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さらーっと読むと、何を書けばいいのか途方にくれてしまう設問です。

最後の設問なので、「これまで」を踏まえたうえでの「これから」についての設問なんだなってことは想像がつきます。→(注1)へ

でも、だからといって、具体的に何を書けばいいのかは。。。
何でもかけそうな気がするんですよね。



この設問では、第5問全体のリードの解釈がしっかりできれば、2つの設問の意味もわかりやすくなります。

まずは、わかりやすくするために改行を入れて骨子を整理してみます。
構造図を作るとわかりやすいんですが、手抜きします。すいません。

市場環境変化の追い風に乗って、・・・(a)
創業期を順調に成長してきた・・・・・(b)

A社が、今後継続的に事業を拡大するためには、

経営管理制度の導入・・・(1)



事業拡大策をとること・・・(2)

が求められる。

つまり、A社が(1)と(2)の、ふたつのことをする必要があると述べられています。(1)内向きと(2)外向きという切り分けなのかもしれません。



さらに、この「A社」についての説明が前半の(a)(b)です。


「これまで」は、環境変化が有利に働いたこと(a)、創業期は順調だったこと(b)、の2点について、わざわざ言及しています。

そうすると、このふたつの要素が、「これから」を考える時にどうなるのかというところが考えどころです。

これまで → これから
追い風  → 逆風の可能性?
創業期  → 成長期への変化?

ここまで整理すると、上記のようなことは比較的簡単に想定できます。


ここで設問リードをひらたく考えると、以下のようなカンジになります。

今後、(a’)市場環境が悪化する可能性や、(b’)成長期へとステージが変化すること、などを踏まえて、A社が、これから継続的に成長していくためには、(1)経営管理制度の導入(内向き施策)と(2)事業拡大策(外向き施策)のふたつが必要です。


さて、ここで設問(1)と設問(2)を読みます。

長くなるので、続きは次回に。


→(注1)
答案内容を検討するにあたって、設問の内容を「これまで」と「これから」の2種類に分けることはかなり重要です。SWOT分析や現在行っていることの説明等は確実に「これまで」です。方策や留意点、アドバイスなどは「これから」にあてはまる場合が多い傾向にあります。
「これまで」と「これから」が密接に関係している答案構成にすることが、私が考える「答案の一貫性」です。

【近況報告】人が集まる映画

2008-05-14 | 【雑談】近況報告
映画「相棒」を観てきました。
土曜日でしたが、毎回満員の盛況。
こんなに賑やかな映画館は久しぶりでした。
ニュースでみるとGW公開映画の興行成績1位のようで、「少林少女」の2倍とか。

私個人も「少林少女」のほうを楽しみにしていたのに、気がつけば「相棒」を観にいってしまってました。
今回は水谷豊の気合の入ったプロモーション活動が効いたのでしょうかね。


映画の内容はさておき。
商売柄、すぐに来場者をウォッチングしてしまいます。

明らかに50代以上と思われるカップルが半分以上を占めていました。
なんだか久しぶりに映画館に足を運んだという風情。

最近の映画館って、座席指定や入館順等、館ごとにシステムが違うので、明らかに戸惑っている模様。
私もですけど(笑)。



『やっぱ団塊世代を動員できる作品がヒットの秘訣なのかね。』

と、家族と話しながら帰途につきました。

【過去問分析】設問を読む まとめ

2008-05-08 | 【診断士】過去問分析
どうも、とっちらかった話でもうしわけありませんでした。
テキストエディタでリニアに書いてみると、話が前後したり尻切れになったり、上手くまとめるのは難しいなあというのが、正直な感想です。

長々と書きましたが、内容的には当たり前すぎるくらい、誰もが知っていることです。

私の受験勉強中、最初は「確実に合格できる魔法のメソッド」的なものを探していましたが、最終的に気がついたのは「当たり前のことを、確実に、迅速に、こなすだけでよい」ということでした。

なんだか「青い鳥」みたいな話ですが、まあでも、そういうことです。


試験における大きな失点の多くは、設問を理解していないことに起因するように思います。

ぜひ、じっくりと、設問と与件を介して出題者と対話するような気持ちで取り組んでみてください。過去問のどの事例も、それだけの作業に耐えうる高い完成度だと思います。

大事なのは「自分はこう思う」という自己流の解釈をするのではなく、「出題者はこう考えていたはず」と出題者の意図を汲み取ろうとすることです。

これを間違えると、いくらやってもたいして効果が上がりません。

解答欄に受験生の個人的な意見や見識を書くスペースはありません。
中小企業診断士として、書くべきと出題者が考えていることを書くだけです。

そしてその大部分は、設問と与件にあります。



★「知る」「わかる」「できる」

「自分はわかっているのに答案が上手くかけない」と悩んでいる方は、構文を決めて迷わず書くことを意識的に練習すればよいかと思います。身体に染み込ませることです。

しかし、その前に「自分は本当にわかっているのか」について、自問自答したり、受験生仲間と対話したりすることをしてみても良いかと思います。


その方法としても、今回紹介してきたように、設問を丁寧かつ徹底的に理解するプロセスが有効ではないかと思います。もちろん、「設問の意味がぜんぜんわからない」と途方にくれている方も同様です。

私のつたない経験からいうと、「わかっているけどできない」と感じる場合、「実はちゃんとわかっていなかったのでできなかった」ケースが多かったように思います。

わかってさえいれば、答案を作ることはそんなに難しくないと思います。
完成度の高いアウトプットを求められているわけではないですから、あまり力まずに書くことです。


「わかる」と「できる」の差は大きいと常々思っていましたが、この試験においては「わかればできる」のではないかと感じています。


★知っていても役に立たない

過去問を使った勉強法において、「知る」と「わかる」は、かなり違います。

多くの受験生は、受験校の模範解答や過去の自分の答案を少なからず記憶しているので、うっかりすると「わかっているつもり」になってしまいますが、実際には「暗記しているだけ」ということが多々あります。

私も、自分で考えた内容、どこかで見た内容、誰かが話した内容、等で混沌としていたことがありました。

「なぜそういう答案になるの?」と問い詰められて、返事に窮する時は要注意です。特に、いろんな解答例のいいトコ取りをしてつなぎ合わせようとした場合に顕著です。

★内容ではなく手順を身に付ける

同じ問題は二度と出ません。なので、答案を暗記していても、新しい問題には対応できません。

しかし一方で、中小企業診断士に求めるスキルも、試験委員の構成も、年毎に大きく変化することはありません。
乱暴にいえば、同じ試験委員が、同じ価値観をベースに、違う問題を作っていると考えられます。

その問題に対応するための手順は、各年を通じて共通するものが見つけられるのではないかと思います。

世間にはさまざまな受験テクニックがあるでしょうが、惑わされずに、おごらず誠実に問題と向き合うことが、最も汎用性が高い方法だと思います。


すでに紹介したとおり、「当たり前のことを、確実に、迅速に、こなすだけでよい」のですが、これに「無意識に」というコトバが加われば、かなり強力です。
練習しましょうというのは、この「無意識に」を手に入れるためでもあります。


★さいごに近況など

今でも、ペースは上がりませんが、事例を読んで勉強会に参加しています。
そして、なるほどなあと感心することもまだまだあります。

設問や与件のように、仕事で読む資料も細かくチェックしてしまって、時々めんどくさいことになることもあります。
なんとなく付け足したり、よくわからないけど書いとけ!みたいな勢いだったりする資料ってけっこうあるので、一言一句真剣に考えても、意味ないんですよね(笑)。

2月に実務補習に1社だけ行かせてもらいましたが、リアル事例問題といった風情で、既視感さえ覚えました。ここで一番難しかったのは、必要な情報を聞き出すことでした。
そう考えると、事例問題は必要な情報だけが満載で、すでに診断レポートとして完成の一歩手前のラフ原稿状態であるように感じました。
答案作成は、これをまとめるだけの作業のようにも感じます。


とりとめのない話に終始してしまいました。

最後に、受験生のみなさん、過去問を楽しんでください。

【過去問分析】設問を理解してからすること

2008-05-01 | 【診断士】過去問分析
設問だけで、ずいぶん引っ張ります。
というか、blogで与件まで読んでいくと、長編小説のようなことになって到底書ききれませんので、この設問だけに集中して説明して、いったん終わる予定です。


さて、前回で答えるべき内容まで辿り着きました。
レベル2あたりまで、初見ですんなり無意識に理解できる人は素晴らしいスキルだと思います。過去問研究の末にこのスキルを身に付けた方もまた、素晴らしいと思います。

と、褒めておいてなんですが、実はこの設問についてだけでいえば、多くの受験生が上記のような内容を感じ取れていたのではないかと思います。
私の単なる想像で、裏付けはありませんが。

事実、その年度に落ちた私も、試験当日そのあたりのことは考えて答案を書いています(笑)

なんだよってカンジですが、バカていねいに分析するご利益はきっとあります。

半分くらいの人が読み間違ってしまう難しい設問に出くわした時に、正しく理解できる方の半分になれる可能性が高くなります。
ほとんどの人が理解できない設問に出くわした時に、それなりの答案っぽい内容を作ることができます。

訓練で上げられる能力です。
練習しましょう。



★答案構文を考える

ちょっと横道にそれてしまいました。
さて、今日の本題です。

前回の最後に「まだできることがある」といいましたが、それはズバリ、答案の構文を考えることです。

答えるべきことを理解したうえで、さらに「どう答えるか」までイメージしておくことができれば、与件文を読むときにどういう情報を探すべきなのか見当が付けやすくなります。


では、実際にこの設問について考えてみましょう。

★文字数のチェック
まずは答案文字数のチェックです。
この時点では、具体的な答案内容は与件を読んでいないのでわかりません。
なので、「100文字以内」という制約のみに焦点を当て、答えるべきことをどう構成するかを考えます。


与件を読むまえに、想像できる範囲での答案の文章構成は・・・



★a案 結論&具体例
「子会社であることの強みと考えられる点は、~~~である。具体的には、①~~~。②~~~。」
ちょっと長めに主語を取ってマスを埋めつつ、結論+具体例で攻める。具体例は、2つか3つかな。

「子会社であることの強み」とあえて入れることで、自分にも、採点者にも、制約条件を外していないことをしっかり認識させたい。


★b案 具体例並列
「強みは、①親会社の~~~によって、~~~できる点である。②親会社の~~~によって、~~~できる点である。」
シンプルな主語で始めて、親会社の情報とA社の情報を因果でしっかり関連付けて一文に書きつつ、列挙する。これも、2つか3つだな。

制約条件をしっかり理解していることをアピールするために、親会社にまつわる与件の情報を「因」にして、A社の強みか弱みを「果」にする。「できる」「ある」「持つ」などは、臨機応変に。


こんなカンジで、2つくらいはすぐに思いつくべき。
というか、100文字ならこの2つくらいで必要十分です。

どちらの文章構成案にも共通して重要なのは・・・

1)主語をしっかり決めておくこと
2)因果で書くなら、因と果を書く順番をしっかり決めておくこと


こうやって答案構成をイメージしたうえで、穴埋め問題のように与件文から内容を拾い集めるように処理していくことが理想です。

この設問の場合だと、普通に強み弱みを問われたケースと違い、何らかの親会社に関する情報とA社との関係性などについて、強みと弱みの要因になるような記述が、きっと与件文にあるはずです。



★答案構文を考える事の意義

採点者は、答案しか読みません。
受験生が設問を理解しているかどうかを類推することはしません。たぶん。
答案だけから、設問の理解とそれに答えようとしている態度を読み取ります。

受験生がアピールできるのは、解答用紙の升目の中だけです。
最低限、態度だけでもなんとか設問に添っていれば、内容が少々ずれていても他の設問で挽回するチャンスもあります。

最初にこう書くと決めていれば、少々現場対応で崩れても、なんとか体裁は保てますし、なにより、自分の中でのイメージがしっかりあるので、ブレ難いはずです。

最悪なのは、ああも書ける、こうも書けると、書き方で迷うことです。
私もけっこうハマりましたが、こういうとこで迷うのはホントに時間の無駄です。

構文を想定することは、訓練すれば一瞬でできますから、これを考えることが時間的な無駄になることはまずありません。

「消しゴムを使わないで答案を書く」という指導法もありますが、これも内容と構文をしっかり決めてから書くことを習慣付けるためではないかと思います。

実際のところ、消しゴムは使っちゃいますけど。

次回はまとめを書きます。