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SOFTVINYL TOYS 

チェビラーシカの独白

2005-06-26 00:19:44 | Weblog
祖父は俺が生まれた初夏にふらっと帰ってきたらしい。
10人も子供をつくっておきながら
突然消えて、帰ってきたのは20年後だ。

俺は祖父のやさしい笑顔しか知らない。
父や祖母にとってはどうしようもない人間だったのかもしれないが
俺はああいった笑顔をする人間は後にも先にも祖父しか知らない。

消えていた20年間の事も祖父は語ろうとはしなかった。
祖父はいつも静かに微笑んでいるだけだ。

20XX年 少子高齢化が進んだ日本は農業の自由化を推進。
その手始めとして北海道を農業特区に指定。
これにより農業の法人化とその底辺を支える国内のリタイヤした
高齢者による小規模農家が登場。
そしてさらにその底辺を支える海外労働者の移民自由化が急速に進行。
地理的な背景もあり主にロシアからの移民が増加し、独自の文化が発達した。

祖父はその移民第一世代だ。
見知らぬ土地は祖父にはどう映っていたのだろう。

虚実入り交じって
市民からの情報が錯綜している。
ブロッパスとマデーリの行方は依然、掴めていない。
「この目で確かめた物事しか信用しない。」
たぶんこれが俺の長所であり最大の欠点だろう。