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カサンドラ生活と仕事と子供とお金と犬とマイホームと。

10年。

2021-03-12 00:10:13 | 日記
あの日、14:46。
いつものように仕事をしていたら
ゆらゆらと揺れはじめ、

そのうちおさまるだろうと
特に何もせず
接客を続けてた。

揺れがおさまるどころか
ゆっさゆっさと大きめの横揺れが、だんだん強まり

店内の小物が少しずつ落下しはじめ、

あっという間に店内が大惨事。

それでも私は、なぜか余裕をかましていて

お客様から
危ないから外いこ?

と手を引かれ
お客様にエスコートされて
外に出た。

階段を降りるときも
物凄い揺れで
普通には降りられず

やっとの思いで外に出ると
屋根瓦が降ってきて
頭にヒット。

いてててててとか
言ってらんないくらい
電柱も車も暴れるように揺さぶられてて

立って居られず
お客様と抱き合って
しゃがみこんだ。

瓦ヒットの頭を
お客様がなでなでしてくれて

すごく安心した。

すごく長い地震だった。

揺れがおさまると
お客様のベンツのボンネットが
瓦のせいでボコボコになってて

でもそんなの気にもせず
お客様は帰っていった。

私も、急いで店舗に戻り、
カバンを持って車に乗り込んだ。

頭の中は、息子のことでいっぱい。
当時、息子が通っていた中学校に電話をかけても
ぜんぜん繋がらない。
何度も何度も掛けたけど、繋がらない。
とりあえず、迎えに行かねば、と車を走らせるけど

混乱した道路。
信号が止まり、大きい交差点が大渋滞。

ノロノロとしか進めない。

進んでいる間も、余震がくる。
狭い道だと、道路横のブロック塀が波打つように揺れて
今にも倒れそうで

電柱もゆっさゆっさ揺れて

あぁ、もしかしたら、
どこかで下敷きになって
息子を迎えに行けないかもしれない、怖い、
言葉にならない恐怖。

実家の母にも電話をかけた。
出ない。
木材が大量に積み上げられている巨大な工場で仕事中の父にも電話。出た!

父は無事。
母は大丈夫か尋ねると
大丈夫とのことで一安心。

とにかく息子が心配。

いつもの倍以上の時間をかけて
やっとの思いで学校に着くと

先生が迎えてくれた。

体育館が壊滅したけど
生徒全員、怪我もなく
校庭に避難しているとのこと。

先生が息子を呼んで来てくれた。

先生に連れられてきた息子は
驚くほど元気で
ニヤニヤしてた。

あぁ、無事でいてくれて良かった。

今思えば、先生方だって家族がいて、すぐさま帰りたいだろうに
生徒たちを守ってくれて
本当にありがたい。

息子を連れて実家に行ってみた。

実家は地震に強い家なので
建物の大きな被害はなかったけど、外のウッドデッキがめちゃくちゃになっていた。

母は家にひとりでいて
必死にダイニングテーブルに入り、身を守っていたそう。

そんな話をしている間も
余震が来る度、怖くて怖くて。

怖くねーし!とか言って
おちょける息子に支えられた。

しばらく実家にいて、
みんなで田舎の祖母の家に安否確認に向かった。

車で20分くらいの場所の
山奥にある祖母の家。

なぜだか、全く被害がなかったらしい。
よほどの強力地盤なのか、
物ひとつ落ちることなく
平然としていた。

うどんをご馳走になって
すっかり夜になり
息子とふたり
自宅のアパートに帰った。

電気がつかないので
スマホの灯りを頼りに
家の中へ。
物が多すぎる我が家だったせいで、足の踏み場もない。

おまけに食器棚が見事に転倒していて
コップも皿も飛び出して
床中に散らばった破片。

とにかく危険だし、暗くてよく見えないので
車で寝ることに。


息子は余裕で寝てたけど
私は、車載テレビで
津波のニュースを朝まで見ていた。
眠れるはずもない。


いつも冷静な安藤キャスターが、とても取り乱している感じで、余震が続く中、
津波で未曾有の被害が出ていること、死者数も未知数であること、とにかく
とんでもないことになっているのは想像できた。


朝になっても恐ろしいニュースはとどまることを知らず
日に日に死者が増え
目を覆いたくなるような津波の映像が流され

本当に地獄のような時間だった。

余震が怖くて
家の中で寝られず
何日か車中泊していた。

息子が居てくれて
本当に救われた。

息子とは普段
別の部屋で寝てたけど

この時ばかりは
ひとりが不安で
お願いして一緒に寝てもらい、

息子に抱きついて眠りについていた。

きっと思春期の息子にとっては、母親に抱きつかれて困った事態だったに違いないのに

優しい息子は
文句ひとつ言わず
一緒に寝てくれた。



10年前の出来事だけど
今でも鮮明に思い出せる。

恐ろしい経験だったけど
津波の映像を目にしたら
私の経験なんて、なんてことない。

目の前で大切な家族が津波に飲み込まれてしまった人がいる、
家どころか街も人も全部飲み込まれて
途方に暮れている人がいる、
小さな子供も、たくさん亡くなり
希望なんて見えるわけもない
地獄の中にいる人が
たくさんたくさんいる。

私は、家族も家も無事で
被災者と言っていいのか、
あれだけ辛い思いをしている人がいるんだから
自分なんて、なんてことないじゃないか。

命があればなんでもできるじゃないか。



10年。あっという間だったけど。
こうして元気に生きていられる今が有難いです。

さっき、音楽番組で
ファンモンの復活ライブがやってて
8年振り1度きりの復活らしいけど。

なんだか胸に突き刺さる、強くて優しい唄声に感動したなぁ。
このまま復活してほしいなぁ。


あーいつの間にか
日付が変わってしまった。

東日本大震災で亡くなられた方のご冥福を心からお祈りしています。






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