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自分の趣味や、日常での感じたことを思いのままに留めてゆきたい。
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天使と悪魔 第8章

2008-12-28 22:08:07 | ユウ
 真理「ソラー、起きなさーい。」
お母さんの声が聞こえた。
私は目覚まし時計を見る。
アラームがなるにはまだ6分早い7時4分。
私は今思い出した。
今日は月曜日、学校だった。
私は着替えを済ませ、食卓に向かった。
 ソラ「おはよう、お母さん、アポロンはどう?」
 アポロン「我ならここに居るぞ。」
 ソラ「アポロン!もう起きてても平気なの?」
 アポロン「ああ、もう心配いらない。」
 ソラ「よかった。」
私はようやく安心することができた。
昨日は早く寝床に入ったもののなかなか寝つけなかったんだ。
 真理「さあ、早く食べないと遅刻するわよ。」
 ソラ「あ、いただきまーす。」
私はトーストを片手にフォークでベーコンを1枚食べる。
食べながら何か他のことをするのは行儀が悪いというのがお母さんの持論だからテレビは点けない。
昨日、寝る前にお母さんから色々なことを聞いた。
悪魔のこと、天使の仕事のこと、お母さんによると悪魔は羽と瞳の色以外は天使とほとんど変わらない存在らしい。
当然、天使と悪魔は互いに争ったりもしないという。
次に仕事のことだけど・・・やっぱり力の使い方は本人が徐々に身に着けていくしかないって言っていた。
 ソラ(徐々に・・・て言われても、どうすればいいかわかんないよ・・・昨日も知らないうちに力を使ったんだもん・・・・)
 アポロン「マリー、この食べ物はなんというのだ?」
 真理「目玉焼きよ。」
 アポロン「ほう・・・・うむ、悪くないな。」
 ソラ「こないだみたいにのどに詰まらせないようにしなよ。」
 アポロン「ソラ、我はそなたと違って学習力があるから平気だ。」
 ソラ「!・・・・よけいなお世話ですー。」
 真理「ほら、早くしないとまた遅刻するわよ。」
 アポロン「また・・・って、おぬしいつも遅刻しておるのか?」
 ソラ「い・・いつもじゃないもん、たまにだから!」
実際は2割方遅刻してるんだけど、今日は余裕がありそう。
私は朝食を食べ、身だしなみを簡単に整えてから、スクールバックを持って家を出た。
 ソラ「いってきまーす。」
 真理「いってらっしゃーい、・・ってお弁当!」
 ソラ「あっ、忘れてた。」
私はお弁当をうけとって2度目の「いってきます」を言った
今月は10月、そろそろブレザーの下にセーターを着てもいいくらい涼しくなってきた。
家から学校までは徒歩で20分くらいかかる。
自転車が使えればいいんだけど私の学校は禁止されてる。
だから30分くらい寝坊すると必ずと言っていいほど遅刻する。
けど今日はそんなに急がなくても大丈夫だ。
それにしても眠い。
あまり寝られなかったわりに早く起きたもんだから超眠い。
ああ、夢まで見えてきた・・・と思ったら現実だ、紗江がこっちに気づいて手を振っていた。
 紗江「おはよーソラ、眠そうだねえ。」
 ソラ「うん、すっごく眠い、1時間目なんだっけ?」
 紗江「数学だよ。」
 ソラ「うわっ・・・授業中寝ていい?」
 紗江「佐々木先生に怒られるよ?」
 ソラ「だってあの人何言ってんのかわかんないんだもん、眠さ倍増する。」
 紗江「佐々木先生が何を言ってるのかわかんないじゃなくて数学がわからないんでしょ?」
ごもっとも、私は数学が苦手だ。
5教科全部苦手だけど数学だけはズバ抜けて悪い。
1ヶ月前にもらった通信簿の成績は数学だけ2だった。
 ソラ「だって、ホントわけわかんないし!あんなの将来絶対使わないよ!」
 紗江「よくある言い訳だね。」
 ソラ「一次関数なんてだいっ嫌いだ~!」
私と紗江はこんなような話をしながら学校に着いた。
まだまだ10分も余裕がある8時20分。
8時30分からホームルームが始まる。
しかし担任の賀川先生はいつも5分遅れてくるので、あと15分余裕がある。
私はバックから教科書などを机の中に押し込んだ。
 紗江「ルミはまだ来てないみたいだね。」
 ソラ「ルミはいっつもギリギリでしょ?きっと今日もそうだよ。」
でもルミは私とは違い、ホームルームには遅れない。
もっとも実際は2、3分遅刻しているのだが、賀川先生が来る前には席に着いているので遅刻扱いにはならない。
ようするに賀川先生の時間にルーズな性格が彼女を救っているわけだ。
予想通り8時34分にルミが来た。
 ルミ「あっぶなかったー!」
走ってきたのか、少し息が上がっている。
 ソラ「おはよー、今日もギリギリセーフだね。」
 ルミ「あ、ソラ、はいこれ、今月もどっきどきだよ!」
ルミが渡してきたのはこないだ一緒に買った[あいどる]だった。
 ソラ「ありがとー、でも学校に持ってきちゃマズイんじゃ・・・・」
 ルミ「大丈夫だよ、図書室にもまんが置いてあるじゃん。」
 紗江「校則では学校生活に関係のないものは持ってこないように、とありますが?」
 ルミ「必要不可欠!問題なし!!」
ルミが声を張り上げてそう言った直後、担任の賀川先生が来た。
皆自分の席に急いで戻る。
 「起立、礼、おはようございます。」
朝のお決まりのあいさつだ。
 賀川「はい、おはようございます、出席とるぞー、赤井―。」
めんどくさそうにいつもの出席をとる賀川先生。
 賀川「江口―、神木―、黒陽―、黒陽―?居ないのかー?」
前のドアがガラガラという音をたてて開く。
 ツバサ「すいませーん、遅れましたー。」
 賀川「黒陽!お前もうすこし申し訳なさそうに入ってこんか!」
 ツバサ「だからすいませんって言ったじゃないですか。」
 賀川「あやまればいいってもんじゃないだろう・・・・遅刻今月6回目だぞ、もっと早く来い。」
 ツバサ「6回か、あと5回で竹田の記録破れるな・・・。」
 賀川「あほ、そんなもんで張り合うな、早く席に着け!」
賀川先生、あなたも正しい時間には来てませんよ?それも毎日。
ホームルームも無事に過ぎ、一時間目の数学が始まる。
 佐々木「え~この問題は次のテストの基本になるところなので覚えておくように、では次の問題に・・・」
やばい、始まって10分もしないうちに眠気が急上昇してきた。
寝ちゃう?寝ちゃおうか?寝ちゃいましょう、You寝ちゃいなよ!
私はあっという間に眠りに落ちてしまった。
夢を見た。
お母さんが羽を生やしてピアノを弾いている。
キリさんがちょっと早いクリスマスを祝うかのようにそりを滑らせている。
女神様が紗江と一緒にお茶を楽しんでいる。
ルミがSPECIAL・CLOTHESの店長さんにメロメロになっている。
不思議な猫が傷だらけになって戦っている。
なんだか現実と夢がごちゃごちゃになっているような・・・・・・・
違う、両方とも現実なんだ。
いつもどおりの日常も、非現実的なできごとも全部。
本当にあったことだ。
私が実際に体験したことなんだ。
夢の世界と現実の世界、最初はそんなふうに考えていた。
でも全部一緒なんだ。
違う世界が二つあったわけじゃないんだ。
同じひとつの世界でたくさんのことが起こっていた、それだけなんだ。
夢の最後にあの悪魔が出てきた。
夢の中でもイジワルをしてくるのだろうか。
しかし悪魔は優しそうな顔をしていた。
それどころかどこか悲しそうな気さえした。
ルビーのようなきれいな紅い瞳。
その目を見ていると自分まで悲しい気持ちになってきた。
なにがそんなに悲しいの、そう聞きたいが声が出なかった。
それでも私は心の中で聞き続けた。
なにがそんなに悲しいの?なにがそんなに苦しいの?
悪魔は答えようとはしなかった。
 「べしっ」
 ソラ「いたっ、!?」
 ツバサ「バーカ、授業とっくに終わってんぞ。」
黒陽に教科書で叩かれ、目が覚めた。
寝ぼけ眼で見た黒陽は、なぜかあの悪魔と重なって見えた気がした。

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