紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

ダニーさん、登場。

2009-04-09 21:13:00 | 訪問者
 市内に某宗教団体の集会所があるためか、ときたま関係者の訪問を受ける。大体が子連れの若いお母様か、中年のご婦人だ。お天気のいいお昼前に自由に動くことのできる人たちに限られるだろう。

 そして「明日(もしくはあさって)○○ホールで、とってもいいお話が聞けますよ。こんな暗い時代だからこそ、明るく乗り切っていこう!と元気がでる、本当にいいお話なんです」とアツく、けれどあくまで上品ににこやかに語られ、よき隣人として振る舞われ、ほどなく去って行かれる。薄い冊子やパンフなどを残して。

 ところが昨日見えた方は、かなり異色な方だった。その風貌がアメリカの俳優ダニー・デヴィート(映画『ツインズ』でアーノルド・シュワルツネッガーと全然似ていない双子役で共演した俳優)そっくりだったといえば、うなずいていただけるかと思う。

 耳の周り以外は地肌の見えるアタマ。小柄で丸い体型。黒ブチメガネ。スーツに、白っぽくてあまり無難じゃないように思うネクタイ。憎めないビジュアルではある。でも、お昼前にこういう方に訪問されると、不思議なミスマッチに言葉を失うほど唖然としてしまうのだ。

 彼、ことダニー氏は大変慇懃で、上品な口調で、よどみなく語る人であった。

 まず「お忙しい中わざわざお出ましくださり、ありがとうございます。たいへん恐縮いたします」と深々と一礼。

「わたくし、キリスト教のボランティアをしているものですが、けっして勧誘などではございません。実は明日この近くの○○ホールで、非常にためになる講演会がございますので、ご案内をさしあげにまわっているのでございます。」

 でも、明日は仕事なので行けません、とお断りしようと「で」まで出かかったが、一音も言うこと無く、先を越されてしまった。

 「はいはい、みなさまなにかとご事情がありますのは、よーく承知しております。せめてこのパンフレットをご覧になっていただけないでしょうか?」

 とダニー氏はキリストっぽい人(ではない、神の子)が描かれたカラーのパンフを丁寧にさしだされる。こんなに丁重にされて、お断りできるわけがない。

 ダニー氏は「貴重なお時間をいただき、どうもありがとうございました」と礼を述べ、なぜか後ずさりしながら扉を閉めて退散された。

 居間にいたKちゃんに、「キリスト教のボランティアのおじさん、お母さんにひとこともしゃべらせてくれはらへんかったわ」と言うと
「それはきっと厳しい世間の奥様方に鍛えられたんやわ」と、あっさりコメントを述べた。

 なんだかコメディ映画から抜け出した人物と邂逅したような、そんな不思議な気分を味わったひとときであった。ある意味、もしかすると「インチキおじさん」より、もっとインチキおじさんなのかもしれない。 

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