紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

認知症なんてこわくない?

2007-09-29 19:56:37 | 読書
 大学教授を経て、1万件の認知症の相談事例に関わった先生が本を書かれた。年齢は75歳。しかも驚くなかれ、PCで描かれたカラーマンガ! これを快挙と呼ばずしてなんといおうか。
 タイトルは『絵でみる認知症』(大國美智子/著 ワールドプランニング)

 ふつう「老人介護」とか「認知症」というと、不安感をあおられ、どうぞ自分にも身内にも、そのような不幸は訪れませんように!と、信じてもいない神様に祈ったりするものである。

 ところが、この先生の認知症理解は、すこぶるやさしい。ふわふわ、ほわほわで、まだ初期症状ながら、わがままをいうおじいちゃんが、ちびまるこちゃんの友蔵じいさんのように愛らしいのだ。なんかこう、度量が広い、というか、器がでかい、というか。そうそうスペシャリストは、こうでなくてはね。 認知症、どこからでもかかってらっしゃい的な、ほんわりとしたキュートでユーモラスな味があるのだ。

 まさかこの齢になってマンガをしたためることになるとは・・・と大國先生は思われたであろうが、このお齢で、しかも素人さんの絵が(素人さんだからこそ?)、こんなにあたたかくも楽しさにみちているなんて、誰が想像したであろうか?

 しかし認知症のお年寄りをこのようなおおらかな視点でみられるようになるには、どれほどの経験と年月が必要かとも思う。頭ではわかっていても、感情のブレーキがきかなかったり、相手も自分をも情けなく思ったりすることだろう。

 でも「介護」はやはり「家族の人間関係」でもあるので、常日頃からその辺を気にしていれば、多少はかたくなな心の筋肉はほぐれ、いくぶん広い視点で物事をみることも可能になってくる気もする。

 そういえば子育ても、似ているかもしれない。子育ては「ままならない」部分を子ども自身の意志で、いかにスムーズにもっていくかに知恵を絞る。自分の心のフォーカスも、場面場面でその都度、意識的に変化させる。
 子育てで狽チたノウハウは、案外介護にあてはめることが出来るかもしれない。ベクトルの方向が逆なので、だんだんコミュニケーションをとることが難しくなっていくのが辛そうだけれど、応用はありえるかもしれない。
 
 不思議なほんわりムードを醸すハウツー本だったので、思わず図書館より借りて紹介してしまいました。

 蛇足ながら、私がこの本を読んでいるのを見た娘は、
「おかーさん、認知症の本読んでるし、てっきりおかーさんが認知症になったのかとびっくりしたやん!」

 おばあちゃんより先に、なんでおかーさん?とも思うが、日頃の行動を観察した結果でしょう。とほほ。

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