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上代語「はも」(5)

2024-04-09 14:36:32 | 日本語文法

>https://sanukiya.exblog.jp/29616767/
>3513 夕さればみ山を去らぬ布雲(にのぐも)のあぜか絶えむと言ひし児(こ)ろはも

> ※「夕されば」夕方になると。
> ※「あぜか絶えむ」絶えてしまうことはない。〈か〉反語。
> ※「布雲」布を敷いたようにたなびいている雲。〈にのくも〉は東国方言。
> ※「児ろ」女性を親しんで呼ぶ語。〈ろ〉接尾語。

>夕べになると布敷くような 雲が山から離れない
>私も離れて行かないからと あの娘(こ)は言ったてくれたのに

>https://art-tags.net/manyo/fourteen/m3513.html
>意味: 「夕方になると山から離れずにたなびいている布雲(にのぐも)のように、
>どうして絶えることがありましょうか」と言ったあの娘は。。。

>意味: 「布雲(にのぐも)」は布のように広がって続いている雲のことで、
>「(二人の間が)切れない・絶えることが無い」ことのたとえに詠み込まれています。

>https://manyoshu-japan.com/10065/
>夕方になるとみ山にかかった布雲のように、なぜか去らず耐えられない、
>とあの子は言ったよな。

>https://miebaba.hatenablog.com/entry/20170326
>夕方になると山にたなびいて離れない布雲のように、
>何であなたとの仲が絶えることがありましょうか
>と言ったあの子は、あぁ (どうしていることであろう)。

いろんな解釈がありますね。
「はも」に「あり、共にあり」を代入すると

「言ひし子ろはも」
=言ひし子ろ+はも
=言ひし子ろ+あり、共にあり
=言ひし子ろあり、共にあり

全体としては
「夕さればみ山を去らぬ布雲(にのぐも)のあぜか絶えむと言ひし子ろはも」
=夕さればみ山を去らぬ布雲(にのぐも)のあぜか絶えむと言ひし子ろあり、共にあり

前方部分疑問文、この場合は反語だけど。
「あぜか絶えむ」=絶えることがありましょうか=絶えることがない
=あぜ+か+絶え+む
・あぜ=なぜ、名詞
・か=共にあり?動詞
・絶ゆ=絶える、下二段、未然形
・む=…だろう、推量助動詞、未然形接続、連体形

あぜ+か+絶えむ=あぜ(なぜ)と「絶ゆむ(絶えるでしょう)」が共にあり?…疑問文
あぜ+絶ゆむ+か=あぜ(なぜ)と「絶ゆむ(絶えるでしょう)」は共にあり…平叙文

この歌の私の解釈は
「夕方になると み山にかかる布雲が なぜ絶えるでしょうか?と言った子が 共にいます」

つまり
「み山?にかかる雲のように、あなたから離れませんと言った子が共にいます」
という風になるのかな。

作者不詳だから「み山」がどこかわからない。
私が誰であなたが誰かもわからない。

万葉集に採用されるくらいの和歌というか
そういう地位と立場の人の歌だから、わからないはずがない。
わざと消したのでしょうね、たぶん。


上代語「はも」(4)

2024-04-09 14:22:42 | 日本語文法
文中の「はも」の二首の一つは…
「夜はも夜のことごと昼はも日のことごと」で、このフレーズは↓からのもの。

>https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/detailLink?cls=db_manyo&pkey=155
>やすみししわご大君の恐きや御陵仕ふる山科の鏡の山に
>夜はも夜のことごと昼はも日のことごと
>哭のみを泣きつつありてやももしきの大宮人は行き別れなむ

「夜はも夜のことごと昼はも日のことごと」の「はも」に
機械的に「あり、共にあり」を代入すると

「夜はも夜のことごと昼はも日のことごと」
=夜+はも+夜のことごと、昼+はも+日のことごと
=夜+あり、共にあり+夜のことごと、昼+あり、共にあり+日のことごと
=夜あり、共にあり、夜のことごと、昼あり、共にあり、日のことごと

これはこれで、なかなかの現代語訳だと思う。

「夜は夜の事々(雑事?雑用?あれこれ?)と共にあり
 昼は日の事々(あれこれ?)と共にあり」

こういう意味だと思う。
しかしながら、原文は「夜+はも+夜のことごと」とある。

「も」の出自は「co- ko- 共- こ-」の接頭辞であるので
「co-動詞/名詞」の意味で話者が書いたであろう。
この場合は「こ」が「も」に音韻変化して「co-名詞=も+夜のことごと」であろう。

すなわち
「夜はも夜のことごと昼はも日のことごと」
=夜+はも+夜のことごと、昼+はも+日のことごと
=夜+あり、共に+夜のことごと、昼+あり、共に+日のことごと
=夜あり、夜のことごと(と)共に、昼あり、日のことごと(と)共に

こういう風に訳してやるのが良いのではないか。

次の歌も同様で、文中に「はも」がある。

>https://ameblo.jp/kk28028hrk/entry-12478341494.html
>0761 早川の瀬に居る鳥のよしをなみ思ひてありし我が子はもあはれ

> 「早川の瀬」は「急流の瀬」のこと。
> 「よしをなみ」は「~ので」のみ。

> 「急流の川で暮らす鳥には止まるところ(よりどころ)がないように、
> 心細げな我が娘が心配」という歌である。

「はも」に機械的に「あり、共にあり」を代入すると
「我が子はもあはれ」
=我が子+はも+あはれ
=我が子+あり、共にあり+あはれ
=我が子あり、共にありあはれ

全体としては
「早川の瀬に居る鳥のよしをなみ思ひてありし我が子はもあはれ」
=早川の瀬に居る鳥のよしをなみ思ひてありし我が子あり、共にあり、あはれ

これでも良い気がする。
しかし「我が子はもあはれ」とあるので接頭辞として扱って
「我が子あり、共に+あはれ」と訳すべきだろう。
「co-名詞」=共に+あわれ

=早川の瀬に居る鳥のよしをなみ思ひてありし我が子あり共にあはれ

「どうしようもない思いであった我が子あり、あわれと共に」
なんか状況が良くわからない。