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なぜ「い=強調」なのか?原因はぎなた読みの可能性(2)

2024-05-19 22:33:08 | 日本語文法

>上代の接頭語「い」 白井清子

>要旨
>上代の、動詞に冠する接頭語イには、主に次の二つの用法がある。
>第一は、 「い行き至る」 「い漕ぎ渡る」 「い行きもとほる」などのように、
>空間的に遠ぐへ移動する動作、空間的な長さに及ぶ動作のさまを形容、強調する。

>第二は、 「い継ぐ」「い副(そ)ひ居り」「い積もる」「い立ち嘆かふ」などのように、
>時間的に継続する動作、時間的な長さを含む動作のさまを形容、強調する。
>動詞に冠するということも合わせ考えると、イは現代語の副詞ズットに類する語で
>はないかと考える。第一の用法が第二の用法にまで拡大したものであろう。

>一、はじめに
>上代を中心に、次のような接頭語(注1)イがあったことが知られている。

>頁1

>海原の 畏き道を 島伝ひ い漕ぎ渡りて〔伊己藝和多利昼〕 あり廻り〈万葉集四四〇八〉

>天地の 初めの時ゆ天の河 い向ひ居りて〔射向居而〕〈万葉集二〇八九〉

>これらのイについては接頭語とだけ記す注釈書も多く、
>例はあがっていてもその用法を説明じたものはほとんどない。

>比較的詳しいものでも次のようなものがある程度である。
>動詞に付き、語勢を強め、或は語調を整へる。〈佐佐木信綱著選〉
>古くは明らかな意味があったのであろうが、奈良時代では不明。
>〈高木市之助・五味智英・大野晋校注文学大系「萬葉集」四三五番頭注〉

>「い」は奈良時代あるいはそれ以前に多く見られる接頭語。動詞について、その意味をつよめる。
>〈小西甚一校注、日本古典文学大系、『古代歌謡集』琴歌譜二番頭注〉

>動詞の前に付けて強調や語調を整えるのに用いる。詳細な意味は未詳。〈『日本語文法大辞典』山口明穂執筆〉
>各種辞典類も同程度で、結局、上代の文献ではよくわからない、ということである。

>しかし、このイは上代に一〇〇以上もの用例があるわけで、
>丁寧に見ていけば、何かもう少し探れるのではないかと思って調べてみた。
>その結果をここに記したい。

接頭語と言われる「い」の意味は良くわからない。
「動詞の前に付けて強調や語調を整えるのに用いる。詳細な意味は未詳。」
詳細な意味は不明だが、動詞の前につけて強調や語調を整えるって、なぜわかるんだろうか。
強調か語調なのか、普通はわからないはずだよ。

例えば、ここに例示されている文の

>海原の 畏き道を 島伝ひ/い漕ぎ渡りて〔伊己藝和多利昼〕 あり廻り〈万葉集四四〇八〉
>…海原の恐ろしい道を島伝いに漕ぎ渡ってめぐりめぐって…訳、万葉集四古典文学大系

これはギナタ読みだと思うから、

>海原の 畏き道を 島伝ひい/漕ぎ渡りて〔伊己藝和多利昼〕 あり廻り〈万葉集四四〇八〉

「い=i=~者~物~場所~状態~事~時」だから

 島伝ひい
=島伝ひ+状態で、島伝ひ+時に

であろう。

>天地の 初めの時ゆ天の河/い向ひ居りて〔射向居而〕〈万葉集二〇八九〉
>…天地の初めの時からずっと天の川に向かっていて、…訳、万葉集三古典文学大系

これもギナタ読みだと思うから、

>天地の 初めの時ゆ天の河い/向ひ居りて〔射向居而〕〈万葉集二〇八九〉

 初めの時ゆ天の河い
=初めの時から天の河+の場所、初めの時から天の河+の場所に

つまり訳としては

…天地の初めの時からずっと天の河「の場所に」向かっていて

「い」は世界的単語で「者、物、立場、状況、状態に時」の意味だ。
日本語がこれと無関係だろうか?

白井清子が100以上あるという動詞の強意強調語調の「い」は、
ギナタ読みという例を挙げていっても良いけど、
100以上だと飽きちゃうし、面白いケースを見つけたら書くという事にしたい。



國學院神名データベースの今回の取り扱い

2024-05-13 14:54:18 | 日本語文法
今回の神名データの取り扱いは

(1)「~のかみ(の神)、~のみこと(の尊、の命)」部分は計算対象としない。
 例えば

 ・「阿加流比売神/あかるひめのかみ/Akaruhime-no-kami」
  「~のかみ」は「あかるひめ」に付けた「~の神様」の意味で
  尊称・美称・説明であろうから、計算対象としない。

  んじゃ「ひめ」はどうなんだ?となると悩ましい。
  今回は一律に対象にしました。

  さらに「~のかみ(-no-kami)」の語尾「i」を対象としてると
  神名語尾は「i」ばかりになってしまって、調査の意味がなくなる。

 ・「天津久米命/あまつくめのみこと/Ama-tsu-kume-no-mikoto」
  「~のみこと」は「あまつくめ」に付けた神や人を敬って付けた
  美称であろうから計算対象としない。

  「~のみこと(-no-mikoto)」の「o」を対象にすると
  「o」が無意味に増える。

(2)「天照大御神 (天照大神)/あまてらすおほみかみ/あまてらすおおみかみ
  /Ama-terasuohoMikami」は有名な神様で「おほみかみ(ohoMikam)」は
  美称・尊称の気がする。
  しかし「あまてらすおほみかみ」はひとまとまりと見て対象とした。

  「おほみかみ(ohoMikami)」を対象にすると「i」が一つ増える。
  対象にしないと「u」が一つ増える。






日本の神名語尾は「い」が多い…國學院神名データベース

2024-05-10 16:25:02 | 日本語文法
>https://kojiki.kokugakuin.ac.jp/shinmei/
>國學院神名データべース
>事業概要
>本事業は、國學院大學で継続されてきた神道と日本文化の国学的研究の根幹にある
>『古事記』を、学際的・国際的観点から再検討し、その成果を国内外へ発信することを
>目的としている。

>その目的の下に、日本の歴史と伝統文化および自国と異文化との
>多様性を体現する拠点を形成し、グローバル社会に寄与しうる人材を育成する。
>このように、学内はもとより広く社会に研究成果を還元することで、
>國學院大學の建学の精神の具現化を目指す。

國學院大學は、素晴らしいデータベースを公開してくれている。

このデータベースには神名が網羅されているので、
神名の最後の音が何で終わっているか調べた。
すなわち神名の語尾の音を「あ(a)、い(i)、う(u)、え(e)、お(o)」別にカウントした。
結果を先に書くと

神名語尾音-----a(あ)---i(い)---u(う)---e(え)---o(お)---計
該当神名数-----41------149-----19------87------53------349
割合----------(0.12)--(0.43)--(0.05)--(0.25)--(0.15)

神名の別名も別にカウントした。
ザックリの数字と思ってもらいたい。
しかし、傾向は変わらないと思う。

神名語尾「い(i)」が非常に多い。
語尾が「え(e)」も元々は「い(i)」だったと思う。

その理由は「い」は口角を横に広げて「い」と発音する。
この時に口角を横に広げないで「い」と発音すると、
「え(e)」に聞こえる。

そう言うわけで「い」の横訛りが「え」と言える。
つまり神名語尾が「え」は、もともと「い」だった可能性が高い。

「い(i)=0.43」と「え(e)=0.25」は同じグループだから
合計すると 0.68 となり、圧倒的多数だ。

だから「え(e)」の解釈は全部が全部でないが、
「い(i)=者、物、立場、状況、時…」として良い場合が多いはずだ。

神名語尾は「い、え」が多く、「お、あ、う」の順番で少なくなる。
「う」が一番少ないのは、動詞の終止形が「う」で終わる場合が多いからか。

繰り返しだけど神名語尾に「い」が多いのは「い(i)=者、物、立場、状況、時…」だからだ。
そして動詞の連用形が「い」終わりで名詞なのは、
「い(i)=者、物、立場、状況、時…」だからだ。

神名の細かい取り扱いは、別投稿で書くつもりです。


岩波古語辞典の助詞の『い』の項目説明/p81

2024-04-30 16:58:33 | 日本語文法
岩波古語辞典の助詞の『い』の項目p81には

>【い 助】もともとはコト・モノを意味する体言であったらしい。それは、
>「此を持(たも)つ━は称(ほまれ)を致し、捨つる━は謗(そしり)を招きつ」〈続紀宣命45〉
>のような用例から推測される。これが接尾語として使われた例として、

「【い 助】もともとはコト・モノを意味する体言であったらしい。」

とあって、岩波書店にしてはずいぶん弱気な表現だがチャンとあるね。
でもなんで「らしい」表現なのか?辞書編集者個人の推論という意味か。
もっと自信を持って良いと思う。私はそれをとっくに公理(5)にしたけどね。

というわけで公理(5)「い=i=~者~物~場所~状態~事」だったけど…

>「-i い 動詞形容詞について時・所・者・物・事などの意を表す」
>地名アイヌ語小辞典 知里真志保著

>I イ コト following verbs I(イ) has the force of a participle.
>  as:Oman-i, "a going"; An-i, "a being" アイヌ・英・和辞典 ジョンバチラー

岩波古語辞典にも「らしい」表現ではあるが、「い=コト、モノ」とある。
自分なりに推論して公理(5)にしたけど、あっていたね。




なぜ「い=強調」なのか?原因はぎなた読みの可能性

2024-04-19 23:58:22 | 日本語文法
この「い」のついた動詞は強調と解釈している。
しかしこれは「ぎなた読み」だと思う。

例えば、い懸かる、い隠る、い通ふ、い刈る…の
接頭辞「い」は「~者~物~場所~状況~状態~事」かもしれない。

具体的には「い」に「者」を入れた場合
い懸かる=者懸かる、い隠る=者隠る、い通ふ=者通ふ、い刈る=者刈る

「い」に「物」を入れた場合
い懸かる=物懸かる、い隠る=物隠る、い通ふ=物通ふ、い刈る=物刈る

「い」に「事」を入れた場合
い懸かる=事懸かる、い隠る=事隠る、い通ふ=事通ふ、い刈る=事刈る

どういうことかというと「~者~物~場所~状況~状態~事」=「い」は
「い懸かる=い、懸かる」、「い隠る=い、隠る」、「い通ふ=い、通ふ」、
「い刈る=い、刈る」という事で、
いわゆる接頭辞接頭語「いー」は、接頭辞接頭語ではない可能性が高い。

つまり文の切り方が「弁慶がな、ぎなたを持ってや…」のギナタ読みの可能性がある。
>「『いー』は記紀と万葉集でも102ある…白井清子」