小説「離しません!」&スピンオフ「オミとカイ-少女の霊と俺達と-」

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小説「オミとカイ」2.カイにとっての俺は何?

2024-07-04 22:03:00 | 小説
 すると フクちゃんは 言い出しにくそうに、

「こんな時に何だけど、カイ君がお金の管理してたんでしょ。会社の通帳とかはオミ君に渡して行ったの? 」

「いや…最近は入出金はパソコンばかりで、通帳なんて忘れてた 」

「じゃあカイ君には悪いけど、ちょっと探させてもらって、オミ君が通帳持ってた方がいいんじゃないの? 空き巣とか怖いし 」

 役員が金を持って高飛びとか、トラブルに巻き込まれるとかいうのはよく聞くことで、それをフクちゃんがさりげなく指摘してくれたのがありがたかった。

 カイがそんなことをするわけはないのは、みんなが知っていることだが。

 前に教えてもらったのは、使わなくなったギターケースの中だがそこには何もなかった。


 俺が 呆然としていると、フクちゃんとダイキが探し始めた。
 するとあっさりキャッシュカードも作業机の引き出しから出てきた。
 印鑑も、いつものティーポットのところにあった。

 カイの個人のものの方は聞いたこともなかったし暗証番号も知らない。

 でも、カイのいつものバッグはなかったから、そういった個人のもの…財布やら携帯 やらはいつものバッグに入れて持って出たんじゃないだろうか。

 まあ 本人の意思で出て行ったなら、ここで倒れているよりはマシなのか…

 でもなぜ何の言葉もなく いなくなってしまったのか…


そして俺は…書き置きの〈みんな〉の中の1人にしかすぎないのか…


2人で築いた〈礼霊ず〉はどうでもいいのか?

 思いは乱れるばかりだった。



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