カイさんを見送ってからも、オミさんは何だか所在なげだった。
「オミさん、そろそろ出発ですか? 」
「うん…それが、タクシー頼んだら到着まで30分て言われて…」
そこで俺は思いついた。
「オミさん、良かったら今、写真を撮らせてもらえませんか?
俺室内とかフラッシュ使っての撮影苦手で。自分のスマホなんですけど 」
するとオミさんは目を丸くして、
「えーそうなの? 」
とは言ったが、叱られはしなかった。
「でも…いやあ…何だか…いいよ…こんなスーツ…俺らしくないし…」
と、もじもじしているので、
「じゃあ、新人のカメラ指導と思って…カッコ良く撮りますから、麻里華さんも喜びますよ」
「やだ! 絶対見せない! 」
なんでだよ…
でも、オミ社長はなんかいい人だ。今のところまでは。
…それにしても、華島さんの情報、うっかりでももらしてくれないかな。