「いやいや、ダイキ君、それ聞いちゃう?」
カイさんは複雑な笑みを浮かべたが、うつむくと少しずつ話し始めた。
…オミとバンドを組んだのは高校1年の夏休みだった。
オミはベースだったけど、ボーカルもできた。俺はギターで。
メンバーは全員もうすでに中学の時にバンド経験があったからよかったんだけど…
「一番ルックスがいいのがオミだから、オミをボーカルにしようと、何となくみんなで思ったんだ 」
それで、オミにみんなで言ったんだけど、オミは固く辞退した。
みんなで何回も頼んだけど、無理だって断る。
やっぱり説得は俺だろうと思って、行きなれたオミの家に行って長々と説得したけど駄目だった。
「オミは何ていうか、オーラもあったから絶対どこでも通用したと思う。オミだって、プロを目指していたんだし、俺もそうだし。だから、最後は、俺をプ口にするためにも引き受けてくれって言ったんだけど…アイツは首を縦には振ってくれなかった 」