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ヒーローになる覚悟はあるか

2015-10-07 11:34:00 | MOVIE
本日の映画は
MCU、フェーズ2の最後を締めくくる


ポール・ラッドってちょっとベン・アフレックに似てません?

「アントマン」です。

公式サイトで紹介されているストーリーは
以下の通り

やる気も能力もあるのに、なぜか空回りばかりのスコットは、仕事も家庭も失い絶体絶命…。彼にオファーされた最後にして唯一の“仕事”は、身長わずか1.5cmになれる驚異の“スーツ”を着用し、想像を絶する特殊能力を持つ“アントマン”となることだった。最愛の娘のために猛特訓を開始した彼は、本当のヒーローとなり、人生のセカンド・チャンスをつかむことができるのか? そして、アントマンに託された決死のミッションとは…?

お見事です、公式サイト。

核心となる部分を巧妙に伏せた上で
ここまで簡潔明瞭な文章にまとめるとは。

まず、公式サイトでは
何故主人公のスコット・ラング(ポール・ラング)が
「仕事も家庭も失」ったのか
何故そんなスコットに
「アントマン」の依頼がどこから来たのか
それらについてはいっさい触れられておりません。

ですので、何も知らずに本編を見た時には
「え?そうだったの?」
と素直に驚かされました。
そりゃ、絶対絶命にもなりますわ。うんうん。

公式サイトだけにネタバレに対して
細心の注意を払っていることをひしひしと感じます。

しかし、これだけ随所に箝口令が敷かれた跡を見せておきながら
「キャラクター」の末尾にこの人↓が載っているのは
いかがなものでしょう。


この人の出演こそ内緒にして欲しかったです。

ということで、「アントマン」の感想ですが、
さて、困りました。

と云うのも、私には今回の悪役
ダレン・クロス(コリー・ストール)が
思ったほど憎らしく見えなかったからです。


単なる「ちっちゃいもの大好きおじさん」です。何でも小さくしてしまいます。

元S.H.I.E.L.D.エージェントであり
原子間距離を捜査する亜原子粒子ピム粒子を発見し
初代アントマンとして活躍した昆虫学者兼物理学者
と、肩書ばかりが異様に長い
ピム・テクノロジーズ社社長のハンク・ピム博士に
若くして才能を見い出された(らしい)クロス氏。

…と、ここから先の文章は
ピム博士の発言とクロス氏の記憶から
私が勝手に推測したことですので
かなり勘違い(と云う名の妄想)しているところ
もあるでしょうが、
おそらくこういうことだったのではないでしょうか。

ピム博士はクロス氏を実の息子のように可愛がり
ゆくゆくは跡継ぎに…と目論んでいたようです。

ところが、人間とは勝手なもので
クロス氏の研究が進むに連れてピム博士は
自分に似てきたクロス氏を疎むようになります。

同族嫌悪ほど厄介なものはありません。
そして、そういう悪感情はすぐに相手に伝わるものです。

ピム博士のことを師匠と崇め
実の父親のように慕っていたクロス氏からすると
これは心外です。

ピム博士に認められたいがため
一心不乱にそれこそ頭髪を犠牲にしてまでも
研究に取り組んできたと云うのに
なんたる仕打ちでしょう。

さらにクロス氏に追い打ちをかけたのは
研究対象の亜原子粒子はすでにピム博士によって
1989年には「ピム粒子」と云う名前で実用化されており
博士自身がその原理を応用したパワードスーツで
ヒーロー「アントマン」として
世界の危機と戦っていたという事実でした。

それを知った時のクロス氏のショックを思うと
こちらももらい泣きです。

「俺が今やってる事なんて無意味じゃん!」
と思ったに違いありません。

しかし、彼は諦めませんでした。

不鮮明な写真しかないアントマンの戦闘記録と
研究データだけを頼りに独力でピム粒子の再現することを
決意するクロス氏。

自分に構ってくれないピム博士なんて
株主総会にかけて社外放出です。

経営に興味のないピム博士が野心家のクロス氏より
社内での実権を握っているわけがないので
あっさり退陣させられてしまいます。

しかし、だからと云ってクロス氏の傷心が晴れることもなく
以後クロス氏はピム博士をうじうじ憎み続けることに…。

ちょうどその頃、クロス氏は
薄情なピム博士が自分だけでなく実の娘にあたる
ホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)
までないがしろにしている事を知ります。

愛弟子である自分に対してピム粒子を隠匿したように
実の娘に対しても何か重大な秘密を隠しているようなのです。

孤独感に苛むクロス氏がホープ嬢に親近感を抱き
実の妹のように思っても仕方ありません。

そう、クロス氏はホープ嬢を妹のように感じているはず。
そうでなければ、ディナーだけで済むわけがありません。

おそらくクロス氏は天涯孤独。
それだけに家族に対する憧れが強いのです。
(だから後々敵となる男の娘も殺せない)

そんなこんなでピム博士を放逐した後
クロス氏はホープ嬢とともに事業を拡大していきます。

ところが、ここに来てなんとホープ嬢の心までが
クロス氏から離れていきます。

理由はクロス氏が再現したピム粒子改めクロス粒子を
ゆくゆくは軍事利用しようと企んでいることが
発覚したためです。

しかし、軍事大国であり経済大国であるアメリカに
生まれたクロス氏が「利益追求」「軍事利用」に走るのは
あながち間違いではありません。
高く売りつけるなら「兵器」として商品化するのが一番です。

かつて、ピム博士と志を共にしていたはずの
S.H.I.E.L.D.のメンバー
ハワード・スターク(ジョン・スラッテリー)や
ミッチャル・カーソン(マーティン・ドノヴァン)も
博士の研究成果を軍事利用にと目論んでいたくらい
自然な流れです。

社長たる者、まずは社員一人一人の生活のため
利益を上げ続け、会社を成長させなくてはなりません。
それも永続的に。

しかし、そんなクロス氏の考えに見切りをつけたホープ嬢は
あれほど嫌っていたピム博士の元にこっそり戻ると
今度は彼の密偵となってしまいます。

まさか彼女が心変わりしているとは露知らず
クロス粒子の完成まであと一歩と云うところで
クロス氏は先に出来上がった
伸縮自在のパワードスーツ「イエロー・ジャケット」を
企業向けのレセプションで大々的に披露します。


こんなPVまで作って……。

口では「平和活動のためのスーツ」と云っていますが、
PV映像では「兵器」としか見えないため
フランク(ジョー・クレスト)と云う良識ある社員が
それとなく社長に意見します。

折角プレゼンも成功し気を良くしているところに
思わぬ茶々を入れられたクロス氏。

「積極的平和主義だよ、積極的平和主義!
軍備拡大こそが最強の安全保障なんだよ!
そこんとこちゃんと汲み取れよ!!」
と、苦虫を噛み潰したような顔になります。

レセプションに招待したピム博士に
一泡吹かせたつもりだったので
高揚した気分が台無しです。

そこでクロス氏は、
防犯カメラの入っていない自社のトイレで
フランクと2人っきりになるや
クロス粒子の実験失敗から生まれた自作の銃で
フランクを撃ち、ピンク色のペーストにしてしまいます。

実はこの時点で完成途中のクロス粒子はまだ安定しておらず
無機物は縮小できても
有機体が浴びるとなぜか縮小せず
直径5cmほどのペーストに変化してしまう
と云う欠点を持っていました。

とは云え失敗から生まれたヒット商品など
この世にごまんとあります。
これを使わない手はありません。

この失敗クロス粒子を発射する銃ならば
死体の処理もトイレットペーパーでさっと拭って
便器にポイするだけ。

これは「冷たい熱帯魚」での名文句
「ボディを透明にする」のさらに上を行っています。

その後フランクの消息については
誰の口からも語られませんし
警察が介入してくることもありません。
何と云う完全犯罪!
むしろ「イエロージャケット」より使える兵器に思えます。

ただし、クロス氏がこの非人道的な銃を使うのはこれ1回きりです。

判っているのです、
こんな銃何度も使っちゃいけないことは。

クロス粒子による有機体縮小実験に
愛らしい子ヤギを使うところなど
悪役らしく人非人な面も見せてきますが、
だったら
ホープ女史の云うように「実験用マウス」を使用すれば
心は痛まないのでしょうか?

1.5cmのネズミよりも
1.5cmの可愛い子ヤギが見たかったんですよ、きっと。

実験成功後、ミニサイズになった子ヤギちゃんから
眼が離せず愛でるように眺めまくるクロス氏。


ほら、こんなに喜んでおられます。


あのまま自宅に持ち帰って大事に飼っていそうです。

人を外見で判断してはいけません。

そう思うと
「クロス粒子」や「イエロー・ジャケット」と云った
ネーミングセンスの無さまでも可愛らしく見えてきます。

一方、クロス粒子の完成を危惧したピム博士は
「イエロージャケット」を盗み出し(これは犯罪です)
クロス氏の計画を阻止しようと考えます。

そのためには1.5cmに縮小し
どこにでも潜入できる「アントマン」になる
人材が必要となってきます。

そこで選ばれたのが実娘のホープ嬢ではなく
件のスコット・ラングです。

ホープ嬢の気持ちを知ってか知らずか
ピム博士は、どこの馬の骨とも判らぬスコット
(彼は窃盗犯です)に娘以上に目を掛けます。


全ての元凶はこの博士です。スコットに自分の尻拭いを全て任せます。

かつてクロス氏もこのように博士から
可愛がられていたのでしょう。

新たなる「博士にとって実の息子のような存在」を知った時の
クロス氏のショックを思うと、こちらもさらにもらい泣きです。

しかし、ここまで博士にコケにされてなお
ついでにホープ嬢の裏切りも明白となっても
クロス氏は
スコットを交えピム親子と対峙した際
彼らを殺すことができませんでした。

あのペースト銃を使えばこんな3人など
いともたやすく始末できると云うのに…。

スコットの娘キャシーを襲った時も
殺そうと思えばいくらでも機会があったのに
「お前の大事なものを全て壊してやる」
と、云いながら嬉々としてレーザー攻撃しているのは
キャシー本人ではなく
ラングの元妻のマギー(ジュディ・グリア)が
再婚した相手パクストン(ボビー・カナヴェイ)が
キャシーのために用意した子供部屋と玩具なのです。


人質そっちのけで子供部屋を破壊するのに夢中なクロス氏。

妻と子供を奪った男の家がどれだけ破壊されようと
元夫で部外者のスコットにとっては痛くも痒くもありません。

クロス氏の的外れな攻撃はそればかりではありません。
クロス粒子のサンプルをくすねた
ミッチェル・カーソン(マーティン・ドノヴァン)を除いた
残りの悪党どもを殺しまくっているのも
ヒーローのアントマンではなくクロス氏です。

悪役でありながら、ヒーロー側の人間を傷つけることなく
代わりに廻りに蔓延る悪党を一人で殺しているのです。

おかげで世界の平和が保たれました。

その頃真のヒーローアントマンはピム・テック社屋を
まるっと消失させていました。
元社長(=ピム博士)の依頼とは云えやりすぎです。
社外に逃げ遅れた社員その他の人はどうなったのでしょう?
ピム・テックの社員は明日からどうやって食べていくのでしょう?

アントマンの悪行と比べるとクロス氏などまだまだ。
これでは本作のヴィランとしてあまりに不憫すぎます。

ないしろスコットなんて2時間の上映時間内で
機密漏洩、住居侵入、金庫破り、窃盗、殺人といった
犯罪を次々やらかしているのです。


主人公でありヒーローが実はバリバリの(軽)犯罪者。人生はやり直せるのです。

しかも3年も刑務所に服役していたため再就職もできなかった
スコットが仕方なくシェアハウスしている仲間
3バカトリオの
ルイス(マイケル・ペーニャ)、
デイヴ(ティップ・ハリス)、
カート(デヴィッド・ダストマルチャン)
はいずれも窃盗団がお仕事です。


悪そうな奴は大体友達。 悪そうな奴と大体同じ。

たしかに「アントマン」に付き従うアリたちを
番号で呼んでいた元アントマン=ピム博士と比べ
1匹とは云え「アントニー」と云う名前を付けた
スコットの方が人情味があると云えます。


他の使い捨て要員要蟻には名前がありません。

でも、ピム博士が正式にクロス氏に後を継がせていれば
きっと全員全蟻に
名前をつけ可愛がっていたに違いありません。

そう、彼のように。


この映画にも秘密兵器「縮小ビーム銃」が出ていましたね。










と、ぐちぐちと書いてきましたが、
非常に楽しい映画です。
ええ、ええ、最後に
キャプテン・アメリカとウィンターソルジャーさえ出てこなければ…。
(来るべき「シビルウォー」を予感、いえ悪寒し
一気にテンションが下がったもので…)


ハリウッドよ、これが映画だ。

2015-09-27 11:26:00 | MOVIE
本日の映画は



「虎影」です。

監督は、
「みんな映画はハリウッドがいいんだね!じゃあハリウッド映画だけ観ればいいよ! 予算と技術はある方がいいもんね!特に予算!金で顔叩かれた映画を観ればいいと思います!ハリウッド日本比較の人はそれが気持ちいいんでしょう?」
と云う至極真っ当な正論
且つ若干大人げないツイートをしたため
ネット上ですっかり有名人となった
「進撃の巨人」特殊造型プロデューサー西村喜廣。

そんな西村喜廣監督がメガホンを取った映画ですからね。
これがハリウッド映画ならば
日本に渡った際にはDVDスルー、もしくは、
日本未公開になりかねないような映画ができあがりました。

そういう意味では本作は
(今のところ)日本でしか見ることができない
という映画です。
ね、日本に生まれて良かったでしょ?

まずは、この予告編をご覧ください。


「桜姫」と同じ匂いがぷんぷんしていますが、気にしないでください。

概ねカッコ良い予告編です。
なにしろ主演は「今一番セクシーな俳優」斎藤工ですから
カッコよく撮ってもらわなければ女性ファンが怒り狂います。

さらにその斎藤工がインタビューで


…ん?かぶりもの?

と答えているのですから
最寄りのシネコンで公開されているのに
見逃すわけにはいきません。

たしかに予告編から滲み出ているB級臭に
一抹の不安はあります。
が、ここは敢えてそれを気づかなかったことにして
行ってきました、県内独占2週間限定上映に。

東京での公開(6月20日)に遅れること3か月。
地元での上映を今か今か待っていた人は
私だけではなかったようで
客席もそれなり混み合っておりました。

ただし上映後は皆さん言葉を失っていたような…?


上映前、上映後の客席は当にこんな感じでした。

出入り口でパンフレットを手売りする劇場スタッフと
目をあわせないようにして足早に岐路に付く人々。

私も例外ではありません。

う~ん、何と申しましょうか…


予告編は比較的シリアスな場面(これでもシリアスな方)
を掻い摘んで1分半に凝縮していたことを
改めて思い知らされました。

中身は相当……です。

監督のお言葉をお借りすると
レイモンド・チャンドラーの
傑作ハードボイルド小説「長いお別れ」の中に
マディソン大統領札(5000ドル)という紙幣が出てきますが、
ハリウッド映画がそういう高額紙幣で顔を叩いてくるのなら
この映画は岩倉具視札(500円)で叩いてくる感じ?


平成6年まで市場に出回っていました、500円札。

でも、今となれば
500円札も手に入ればそれはそれで嬉しいはず。

この映画を見終えてしみじみ思うのは
「海外映画に出て来るおかしな日本描写」などは
もう古い。
今のトレンドは
「日本人監督が撮る日本映画に出て来るおかしな日本描写」
という拭いようのない事実でしょうか?

予告編をご覧になれば嫌でもお判りになると思いますが、
この映画は「忍者アクション映画」です。

「忍者」と云うと他の方がどう受け取られるか判りませんが、
私にとっては「ファンタジー」です。
これが出てくるだけで
時代劇映画だったものがチャンバラ映画へと
変貌してしまう魔法のアイテムなのです。

そう、どれだけ正統派な時代劇でも
どれだけシリアスな展開になろうとも
「忍者」がそれも黒装束姿の「忍者」が出てきただけで
画面は一変し、一気に安っぽく見えてしまうのです。

昨年公開された「超高速!参勤交代」にも登場し
終盤、江戸の街中で派手な
忍者チャンバラアクションが披露してくれるのですが、
「もうちょっとかんべんしてよ~。」
と、それだけで辟易したものです。


古今東西みんな大好きですよね、ニンジャ。

ハリウッド映画「ラストサムライ」においても
「漫画的な忍者軍団」が登場します。

wikipediaの記事によりますと
「日本人スタッフが難色を示したものの、
監督はじめアメリカ人スタッフの
『間違っているのは解っているが、どうしてもニンジャを撮りたい』
という要望でそのまま残っている。」
そうです。


「ラストサムライ」でも忍者が出てきた瞬間に一気に興醒めしました。

そこまでしても日本を舞台にした映画にはぜひとも登場させたい
「みんな大好きニンジャ!!」

そのお気持ち、察することはできるのですが、
映画の中で黒装束姿のべったべたの忍者を見るだけで
富山県でのコンサートや舞台でアーティストに
「そうそう、富山と云えば
『ブラックラーメン』食べました!」
と、ドヤ顔で宣言された時のような顔になってしまいます。

リップサービスで仰っているのは判っています。
有難いとは思います。
でも、富山県民それほどブラックラーメン押しじゃないんですよ。
もっと美味しいものは他にもあるんですよ。
…8番らーめんとか?

とまあ、そんな感じなんです、映画における「忍者」の存在も。

何故かようにも「忍者」が国内外で愛されるのか?
それはおそらく使い勝手が良いからではないでしょうか。

「忍者」の前には
「時代考証」などと云った小賢しいものは必要ありません。
比較的好きなように物語を作ることができます。
どんなおバカな必殺技も兵器も
「これは忍術です」と云いきってしまえばOKです。


このようなパワードスーツがお目見えしても大丈夫です、ニンジャ映画だから。

例え「人外」のキャラクターが現れても
観客からクレームが出ることはありません。


なんならここまではじけちゃってもOKです。

作り手やりたい放題!!
ビバ!ニンジャ!

公式サイトのストーリーをそのまま拝借して
紹介いたしますと、本作は

「『忍びの世界で最強』の名を欲しいままにしていた虎影は6年前にその道を捨て、里の片隅で家族と共に静かに暮らしていた。しかし、妻と息子を人質に取られてしまい、隠された財宝が記された二つの“巻物”を巡る、命懸けの争奪バトルに巻き込まれていく。愛する者を救う為、再び刀を抜くことを決意した虎影の前に立ちはだかる、凄腕の刺客達―
はたして財宝は誰の手に?そして、虎影を待ち受ける運命は?」


ととっても簡潔なストーリーとなっております。

「カムイ外伝」をベースにして撮っていたら
お子様向けの「仮面の忍者 赤影」になっていた
と云った感じの映画です。

監督本人にとっては
「これ面白い!絶対受ける!」を
次から次へと集めて映画に投入した結果
こんな面白い映画が完成しました
と行きたいところでしょうが、
何をどう面白いと思うかは人によって異なって当たり前。

逆に監督と同じ感覚の持ち主ならば
間違いなく大好きになれる映画です。

と、このような奥歯に物が挟まったような物言いとなり
申し訳ございません。

「自分が面白いと思わなければ他人にも面白さは伝わらない」。
それもまた真理とは思います。

私もその考えでブログの記事を書いているのですが、
これがなかなか難しい…のです。

私も中盤での虎影が大草原を突っ走りながら
「お父さん、どうしよう!」
と、叫ぶところなんて大好きです。

敵味方問わず
いきすぎちゃっているキャラクター造詣も大好きです。

でも、ひっくるめて好きかと云うとそうではありません。

これを以てして
「新時代の活劇アクション」等と大見得を切られると、
時代活劇の未来に憂えてしまうのです。

「時代劇」「活劇」の態を取っただけで
忍者映画でもチャンバラ映画でもないんだもの、この映画。
ニンジャで1本撮りたいだけの映画なんだもん!

小学生の男の子が「忍者」に初めて触れて興奮のあまり
「俺も!俺もニンジャ描く!」
と、ノートに殴り書きした自作マンガのような作品じゃないですか。
(Hな展開になりそうなところをHな展開と云うのが
どういうものか判らず回避してしまうあたりが
中学生ではなく小学生。)

そんな映画がこれからの日本の時代劇の一端を担うかと思うと
つい暗澹とした気分になってしまうのです。

ただし、そういうくそまじめな気分を払拭すれば
本作は気持ち良いまでの「男の子映画」です。

だって、見どころが
竹製のパワードスーツ
人間手裏剣
イノシシのかぶり物
なんですよ、この映画。

そんなの男子狂喜乱舞です。

思いっきり楽しめないのは、私がかつて(と云っても数十年前…)
「男子」ではなく「女子」だったせいもあるのでしょう。

ところで、公式Facebookで
上映後の「トークショー」の案内をしているのですが、
その際に使われている画像がこれ↓って
いい加減すぎませんか?


マッツ・ミルケセンは出演しておりません。写真はイメージです。

本当にこの映画を愛しているなら
こういう細かいところにちゃんと気を配りましょうよ。
と、云う気持ちになります。

まあ、こういう間の抜けたところも含めて
ほんと、嫌いにはなれないです、こういう映画。



今のオレ達「博打打ち」未来のオレ達「ジャンプ1」

2015-09-24 00:12:00 | MOVIE
え~っと本日の映画は
試写会で他人様より少しばかりお先に見てきた

「バクマン。」



です。

ご存知の方も多いと思いますが、
この映画もまた今やシネコンで上映される
邦画のほぼ半数を占める(と思われる)
「マンガを実写化した作品」となります。

しかも原作は天下の「週刊少年ジャンプ」に
2008年から2012年まで連載され
単行本累計発行部数は
なんと「1500万部」だってばよ!!?


人気漫画→映画化のご時世一体どこを「売り文句」にすれば良いか迷うところです。

と、とりあえず驚いてはみたものの
この記録が凄いんだかどうなんだか判りません。
(ちなみに「DEATH NOTE」は3000万部突破
…え?半分?!)

連載がすでに終了している分、
他の「マンガの実写映画」とは一線を画し
伏線が回収されないままエンドロールに突入したり
エンドロールが終わったかと思うと続編を匂わせるような映像が
おまけでつくような心配もなく
1本の映画として安心して見ることができると踏んで
何の迷いもなく試写会に応募し、そして、当選いたしました。

ありがとうございますKNB北日本放送。

と、云っても私、
原作が雑誌連載されていた頃には完全に
「少年ジャンプ」は卒業しておりまして
殆ど読んでおりません。

だからと云って全く本作についての知識がないかと云うと
そう云う訳でもないのが
「少年ジャンプ」が
日本で最も売れているマンガ雑誌と称される所以でして


主人公の真城最高(サイコー)は
幼い頃「少年ジャンプ」に連載を持つ漫画家
叔父の川口たろうの影響を受け
自身も漫画家を目指していたものの
叔父の過労死をきっかけにその夢を捨ててしまいます。

やがて時は流れ、高校生になった最高は
ある日クラスメイトの高木秋人(シュージン)に
「俺と組んで漫画家にならないか」と誘われます。

ジャンプ特有のアンケート至上主義に則り
連載を打ち切られ失意の中亡くなった叔父を思い出し
一旦は「漫画家なんて俺には無理!無理!」
と、誘いを突っぱねる最高でしたが、
片思いの相手亜豆美保が声優を目指していることを知り、
会話の流れから
「自分も漫画家になり、もし作品がアニメ化されたら
ヒロインの声をやってほしい」
と、お願いするついでにちゃっかりプロポーズ。

ダメ元のつもりが、亜豆が
「ずっと待ってる」
と云うなんというかかなり期待を持たせる返事をしてきたため
今更に引くに引けなくなった最高は秋人と共に
まんが道に足を踏み入れることに。

まだ漫画らしい漫画は1本も描いていないけど
持ち込むのなら絶対「少年ジャンプ」!!
これだけは譲れません!!
と、意気込む最高。

その日から、
川口たろうが使っていた仕事場で原稿を描き始める2人。

持つべきは何であれ遺産を残してくれる親戚ですね。

ペンすらまともに持ったことがなかった最高でしたが、
秋人の絵コンテを元に一銭のお金も使うことなく
叔父が残した原稿用紙、筆記具、インク、スケール
ロッドリング、絵の具、スクリーントーンを
ここぞとばかり使いまくり処女作を完成。

原稿を手に秋人とともに集英社に乗り込んだら
意外にも編集者の感触は上々。

こうなったら絶対に獲るぞ「手塚賞」!!
目指すは週刊連載!!

ところが、そんな2人の前に同じ高校生で
一足先にデビューした
自他とも認める天才漫画家新妻エイジが
立ちはだかるのでした。

はたして最高と秋人のコンビ「亜城木夢叶」は
最強ライバル新妻エイジに勝つことができるのでしょうか?!

…ってあれ?
これもジャンプお得意のバトル漫画なの?



と、この程度なら私でも常識として知っているのです。

かように原作を読んでもいないのに
ストーリーはおろか登場人物の名前もあらかた判るあたりが
「少年ジャンプ」のなせる技と云えましょう。


その人気漫画を
舞台となる集英社、「週刊少年ジャンプ」編集部の
全面協力の元
(ですので社名や実在の漫画家の名前、作品も使い放題!!)
革新的な映像表現に定評のある
大根仁監督(代表作「モテキ」)がメガホンを撮り
主演に若手実力俳優、佐藤健、神木隆之介を迎え
その周りに
染谷将太、小松菜奈、


ヒロイン亜豆役の小松菜奈さん。いつ「バケモノ」になるかひやひや。

桐谷健太、新井浩文、山田孝之、
リリー・フランキといった
今やドラマ、映画と引く手数多の人気俳優を配しているのですから
面白くないはずがないじゃないですか!!



…ねえ。


面白いはずなんですよ。


…と、突然歯切れが悪くなってしまいましたが、
確かに、映画を見ている間はなんだかんだ楽しめてはいたのです。

真城最高役の佐藤健さんの
好きな女の子(=亜豆美保)を前にした時の
こなれていないドギマギ演技はとても愛らしかったですし、
執筆シーンの映画内プロジェクションマッピングや
アンケート順位を巡っての新妻エイジとの
バトルシーンでのCGには
それはそれは気持ちよく酔いしれさせていただきました。
さらにエンドロールのスタッフ紹介は


この映画で漫画好きが一番鼻息高くなるのがエンドロールって…。

DVDが発売されたら改めて何度も繰り返し見たい程
楽しくて楽しくて…………


……でも、多分DVDを借りてきても
全編通しては見直さないと思うのです。

プロジェクションマッピングやエンドロールは
それこそ飽きるまで繰り返して見たいけど
本編丸丸119分見直すかと云うとそれはちょっと…。

何がそう思わせるのか、実ははっきりとした答えは出ていません。
つまらないわけでもないですし
おそらくこれ以上の実写映画化は難しいと思います。
ただ心の底から「面白い!!」とはならないのです。

これはこれまで見た大根監督の作品全般に云えることで、
本筋とあまり関係ないOPやED、アバンタイトル
状況説明シーン、ダンスシーンなどは非常に面白く
「おおっ!」となるのに
全体的に見ると
「……あれぇ?」となってしまうのです。


「リバースエッジ 大川端探偵社」もOPとED見たさに見ていた所が無きにしも非ず。

映画の中に本来あってしかるべきはずのものが
ないからかもしれません。

例えば、

主人公を含めンメインは高校生(要は未成年)の話なのに
彼らの親の姿が全く出てこないこと

とか

最高も秋人も
ヒロインである亜豆以外の生徒との交流が全くないこと

2人が描く漫画作品に
制服を含め彼らの高校が舞台して使用されているのに
それに対する在校生の反応が全く描かれていないこと
(原作と違ってペンネームではなく
本名で漫画を描いているのですから気づくよね、普通。)

2人にとって揃ってお互い以外の友人が皆無なこと

亜豆も新妻エイジも高校を辞め
声優なりマンガ家なり1本に絞っているのに対して
最高も秋人もそこまでの覚悟がなく
寝に行ってるだけで
だらだら学校に通い続けた末に身体を壊し
それまで周りの大人が何のケアもしていなかったこと
(本来ここが新妻エイジの作品との違いを生み出すはずが
その割には2人とも「高校生活」をしてない。
そういうところを描いてない。)

実際に「少年ジャンプ」に掲載されている漫画のビジュアルが
あれだけ所狭しと使われているのに
読者アンケートのランキングに
「ONE PIECE」などの既存の作品名が出てこないこと



発売された「少年ジャンプ」を貪り読む読者と云う描写の中に
女性の姿が極端に少ないこと

亜豆とのラブストーリーが中途半端なこと

など、そういったところに
どうも違和感(と云うよりもの足りなさ)を感じてしまいます。

特に30年以上も前から
「少年ジャンプ」にとって女性読者は主要購買層とも云えるのに
それは無視ですか、大根監督。

主人公の名前に関しても
登場してからずっと「真城君」と周りに呼ばれていたのに
中盤過ぎたところで秋人がいきなり何の前触れもなく
「サイコー」と呼び出して
「え?『サイコー』って何だったっけ?
……あ、そうそう真城最高って名前だったわ。」
と、一瞬誰のことか判りませんでしたよ。

原作やアニメを見ていて
キャラクターの名前をしっかり把握している人ならいざ知らず
一見さんにとっては耳だけで
「サイコー=真城君」と瞬時に理解するのは
ちょっと難しいのでは…。

まあ、全20巻176話もある原作を
2時間弱の映画にまとめるのですから
削れるところはどんどん削られても仕方ありません。

でも、本来に原作にある物語や設定から
映画には不必要なものを削ぎ落とし
大幅な軽量化を図っているのに
その反面、目に入る情報量が膨大であるため
この映画で初めて「バクマン。」
という作品に触れる人(つまり私)には
ストーリーを追っかけるだけでいっぱいいっぱい。

そんなところが、
「う~ん、(映像は)面白かったとは思うんだけど…。」
という心許ない感想になってしまうようです。

後、他に思い当るところと云えば
やはり「バトルシーン」かと。

長年「友情・努力・勝利」を3本柱とする
「少年ジャンプ」の作品には
「バトルシーン」が必要不可欠となっています。

例え最初は「ギャグ」であったり
「ミステリー」であったり
はたまた「ホラー」「ファンタジー」「ラブコメ」
と云った「バトル」に縁のないジャンルで始まろうと、
連載が長引くうちに「バトルもの」と化しているのが
「少年ジャンプ」の人気漫画のお約束です。

勿論、このマンガも例に洩れず。
最初は高校生2人が手に手を取り合って
「藤子不二雄」の如くまんが道を歩んでいく
漫画家サクセスストーリー話だったはずが、
いつの間にかアンケート順位を巡ってのバトル展開に…。


週刊少年ジャンプにおいては読者によるアンケート結果が全てなのです。

「バトル」と云ってもこの場合
「どちらの漫画が読者の支持票をより多く獲得するか」
で勝負することになります。

ところが、ここで問題が…。
じっくり時間をかけ、主人公以外のサブストーリーや
劇中内マンガ作品の紹介にも手を出せる
テレビドラマやアニメとは違い
上映時間が2時間弱しかない映画ですと、
この「バトル」の肝心の部分が観客に伝わってこないのです。

というのも「バトル」に使用されるのは
スポーツやトレーディングカードや武術や己の拳などではなく
作品としての「マンガ」なのです。

対戦するのは
最高と秋人の合作「この世は金と知恵」
VS
新妻エイジの人気連載「CROW(クロウ)」。


読者にとって面白い漫画の方が勝ちです。

主人公側の作品は
流石にその製作過程から描かれるため
だいたいどのようなストーリーか
かいつまんで説明されますが、
対する新妻エイジの作品」は
「ジャンプ漫画の王道ともいえる典型的なバトル漫画」
としか説明されないためどのようなストーリーなのかは
映画を見ているだけでは判りません。

そのためバトルの審査対象となる作品の面白さが
全く観客に伝わってきません。


バトルは判りやすくこのような映像で描写されます。これはこれで楽しいのですが…

大根監督ご自慢のCGアクションで
凄まじい戦いの様子を見ることができても
映画の観客は
戦いのルールや戦術、スペックと云った情報を
何一ついただいていないので
どちらか(まあ、この場合は主人公側)を応援しようにも
どこを見て何を応援して良いのか判らず
ぼーっと勝負を見守るしかありません。

どちらが「マンガとして上か」なんて
監督の匙加減ひとつじゃん!


観客、置いてけぼりです。

で、結局のところ、勝因はなんだったの?


ほら、叔父さんも云ってるじゃないですか。
「マンガは読者に読んでもらって、初めてマンガなんだよ」って。


昔のテレビ番組で申し訳ありませんが
「料理の鉄人」を例にとって説明すると
番組が始まり
「鉄人」と呼ばれるシェフと「挑戦者」が紹介された後
その日のテーマ食材が提示され
鹿賀丈史が「アレ・キュイジーヌ!」と試合開始を宣言した
次の瞬間に
何故か調理過程がまるまるすっ飛ばされて
いきなりできたての料理が紹介されただけで
試食した審査員の感想もすっ飛ばして
いきなり勝敗だけが決まって番組は終了、
視聴者ポカンという感じ。

映像的にはこの「バトルシーン」好きですよ?

でも、映画の中盤からラストに向かって
「この世は金と知恵」が初登場こそ
アンケート上位にランキングされたものの
その後は伸び悩み、徐々に順位を下げる中
最高が血尿が出て倒れるまで努力
さらには同じ新人漫画家仲間との友情パワーで
ようやく「CROW」に勝利
見事アンケート順位第1位を獲得したものの
その後力尽きて順位急降下し遂に打ち切り
と云う展開となるのですが、
肝心の「この世は金と知恵」の内容が断片的にしか判らず
「CROW」に関しては画風以外判っていないので
「この世は金と知恵」が「CROW」に勝っても
「そうだよね。今回『この世は金と知恵』の方が断然面白いもん!」
などと共感することができないのです。

その週のランキングを決めるのは
漫画家の裏事情等全く知らない読者が送ってくる
アンケート葉書とこの映画では
口が酸っぱくなる程云っているのに
これでは
新人漫画家たちの友情努力で勝利したように
しか見えません。

そんなこと読者が知るか!!

と、思っちゃうのです。

判るのは、最高と秋人が
最初にジャンプ編集部に持ち込んだ原稿
(これもかなり絵が上手い!でも動きがない)
と比べて格段に上手くなっているなあ~うんうん
ってことぐらい。


夏休み明け直後に編集部に持ち込んだ割には服装が夏じゃないような…

それでは主人公と一緒になって
「勝った!負けた!」と、喜んだり苦しんだりできません。
そうなるには圧倒的に描写と時間が足りません(私には)。

結局のところ何が云いたいかと云うと
このクオリティでこの配役で
映画ではなく複数回あるテレビドラマで
じっくりと見たかったに尽きますね。

キャストに関しては非の打ちどころがありません。
映画としてはキレイにまとまっているとは思いますが
こんな2時間弱だけじゃ勿体ないよ!!もの足りないよ!!


なかでも平丸一也(新井浩文)のスピンオフ希望!


あ、だからと行って続編映画を
希望しているわけではありませんからね!


いっぱい食べる君が好き

2015-09-23 23:44:00 | MOVIE
本日の映画は
うっかり夜に見たためとんだ「夜食テロ」となった
「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」



です。

メインフードのキューバサンドにも
行列の最後日に並びたいくらい魅力ですが、
それ以上にスカーレット・ヨハンソンが
頬張っていたあのパスタの美味しそうなこと!!


夜見る方が胃にくるよね。



ロサンゼルスのフランス料理店「ガロワーズ」で
総料理長を務めるカール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)にとって
その日は一世一代の大勝負の日でした。



ブログで1千万ドルを稼ぎ出したフード評論家の
ラムジー・ミッシェル(オリヴァー・プラット)が
この日の夜に来店する予定だからです。

とっておきの新作メニューで迎えようと
買い出しにも力が入るカールでしたが、
保守的な店のオーナー、リーバ(ダスティン・ホフマン)が
メニューを変えたいと云うキャスパーの要望に対し
頑として首を縦に振らなかったため



渋々5年以上も変えていない定番メニューを出すことに…。

結果、ミッシェルに
「古臭く客に媚びた料理」
と散々扱き下ろされてしまいます。


それだけでなくあっという間に「拡散」されてしまいます。

なにしろ5年も使いまわしているレシピです。
グルメブロガーとして
常に新しい味との出会いを期待している
ミッシェルの云う事も間違っていません。

だからと云ってカールも黙ってはいられません。
カールだって今自分が作れる一番美味しい料理を
食べてそれを評価してもらいたいのです。

そこで、息子の力を借り、なれないパソコンを使い
twitterを通して再戦を申し込むものの


ツイートにカールがいちいち反撃するものだから「大炎上」します。

仕込み直前にまたもやリーバの邪魔が入ってしまいます。

もはや二進も三進もいかなくなったカールは、
後のことは助手のトニー(ボビー・カナヴェイル)に押し付けると
来店したラムジーに対し悪態をつくだけついて
すっぱり店を辞めてしまいます。


ラムジーに対するカールの正論は同じブロガーとして耳が痛いです。

そんな裏事情を知らないラムジーは
さっそくネットでカールを扱き下ろします。

自分の腕ならばすぐにでも再就職先が見つかるだろうと
高をくくっていたカールでしたが、
予想以上にネット上の反響が酷く
これまで数多あった引き抜きの話さえぱったりと止んでしまい
あっという間に失業状態になってしまいます。

別れた妻イネズ(ソフィア・ベルガラ)に頼まれ
息子パーシー(エムジェイ・アンソニー)の子守がてら
イネズの故郷マイアミに3人で旅行中、
地元の名産キューバサンドイッチを食べたことから
カールはフードトラック営業を始めることを決意します。



カールがフードトラックで大陸縦断するのは
予告編等で知らされてはいましたが、
映画を実際見て驚いたのは
フードトラックをやると云う案は主人公のものではなく
元妻であるイネズのアイデアだったということです。


本来ですと、この愚痴が後々本編に効いてくるという仕掛けになっているのですが、
日本の場合は邦題で先にネタバレしています。


それも映画の冒頭の段階で提示されていることでした。

大都市の老舗フランス料理店で
5年も料理長を務めている(元)夫に
「今の職場を辞めて屋台やれば?」
という(元)妻って…どうなの?
と、普通思いますよね。

実はこの話、ちょっとした擦れ違いで離婚した妻が
その後、策を弄して元夫を
自分の理想通りの夫に作り変えるというお話だったのです。


手回しがほぼ完璧で非の打ちどころのない元嫁。

イネズの凄いところは、(元)夫には
オーナーに頭を押さえつけられる雇われシェフではなく
小さな屋台でも良いから独り立ちして
腕を振るう方が合っていることを
早いうちから見抜いており
夫に決心させるまで細かく手回しをしているところです。

引き取った子供を離婚した相手に逢わせたがらない親も多い中
離婚後も率先して息子を預けることで
家族の絆をがっちりキープ。

息子の学校が夏休みに入ったのを見計らって
屋敷中にいた使用人全てに暇をやり
「息子の子守」を理由に元夫をマイアミに拉致し


マイアミに着いた途端昔のように仲良く踊る両親に大喜びの息子。

そこでしか食べられない本物の地元料理を
たっぷり与えたところで
移動屋台というアイデアに心動き始めた夫に
建築機材レンタル業を営んでいる
元々夫のマーヴィン(ロバート・ダウニー・Jr)を引き合わせ
フードトラックを購入させると


監督主演がジョン・ファヴローなのでヨハンソンだけでなくRDJも出演してます。

笑顔で息子と元夫を屋台販売の旅に出させ、
最終的には復縁。

凄いよ、奥さん!!


元夫からは「ズルい女」と云う最高の褒め言葉をいただいます。

息子の小さな我侭を全て受け入れることで
子供にとっては理解のあるところを見せ
元夫に息子の世話を押し付けながらも
ちゃんと2人の仲を取り持ち
外堀から埋めることでちゃっかり元のさやに収め
最終的に自分も美味しい思いをするなかなかのやり手です。

元夫が把握できないほど使用人を雇える
バリバリのキャリアウーマンなのに
カールの屋台で嬉々として
売り子をやってしまうこの奥様に比べると、


この笑顔!!まさに「計画通り」!

あのスカーレット・ヨハンソンすら
「青臭い小娘」にしか見えません。


この映画と一緒に「チャーリー・モルデガイ」を見ると面白いかも。

カールの前に別れたマーヴィンとも交流が続いていることや
カールが困っている時にまず人を紹介するところからも
人間関係を大切にしている女性なんでしょうね。

最後はやっぱり人が大事。うんうん。

お店の良し悪しは今や口コミではなく
SNSや食べログに大きく依存しているのは
知っていましたが、
こうまざまざと見せつけられると、
同じくブログをやる身としては気持ちを引き締められます。


気のいいジョン・レグイザモが見られるというだけでもこの映画大好きになります。

最後に久しぶりにオリバー・プラットの元気な姿が
拝めたのも嬉しかったです。





男たるもの紳士たれ

2015-09-23 20:31:00 | MOVIE
本日の映画は
「キングスマン」



です。

もう、もうさあ、予告編の段階で
こんな↓心動かされるスパイガジェットを見せられたら
そりゃ劇場に行くしかないでしょ。


マシュー・ヴォーン監督の小道具へのこだわりがスクリーンからにじみ出ています。

しかもキャストが
コリン・ファース
マーク・ストロング
マイケル・ケイン
サミュエル・L・ジャクソン
ですよ。

舞台はイギリスですよ。ロンドンですよ。

さらにはこんなカッコいい義足も出ているんですよ!


ドクター中松が特許申請していそうな義足。

行くに決まっているじゃないですか!


それなのに実際にシネコンを訪れたのは
公開から10日後でした。

義足の殺し屋は映画ではこんな美女が演じています。

理由は、この辺↓にあります。


「ワイルド・スピードスカイミッション」のメインビジュアルのパクリではありません。

どういうわけか
若い方のキャストに食指が動かなかったのです。
特にゲイリー・“エグジー”・アンウィン役の
タロン・エガートン。
彼はいったい何なんでしょう。
(…ええ、判ってます。主演ですね。)


顔の輪郭がコリン・ファースに似ていることからの起用かしら?

予告編を見た時からそこはかとなく思ってはいたのですが、
ぶっちゃけそのジャケットはイケているのでしょうか?
また、そのキャップも似合っているのですか?
さらにはヘアースタイルもどうなんでしょ?

全部まとめるとどうしても
このファッションセンスは世間的にはOKなの?
と、思ってしまうのです。


ごめん。「もっさい」という方言しか思い浮かびません。

ちなみに上の画像で着ている黄色いジャケットは
ジェレミー・スコットと云う
アディダスの公式ショップのもので
ネットで買うと350ドルくらいします。
ポロシャツはフレッドペリーと云うブランドのもので
85ドル。

決して「しまむら」や「ユニクロ」、「GU」のような
ファストファッションなしろものではないのです。
それなりにお金もかかっているのです。
でも、私のセンスが古いのか、そうは見えません。

そんなもっさいヤングマン、エグジーも
様々な試練を潜り抜け
「キングスマン」の世界へと一歩ずつ足を踏みいれていきます。
先導するのは生粋のジェントルマン
コードネーム「ガラハット」こと
ハリー・ハート(コリン・ファース)です。

イギリスでも底辺にあたる労働者階級出身の
エグジーに紳士としてのマナーを施し
ついでにサヴィル・ロウの高級テーラーで
三つ揃えまで(おそらくは自腹で)仕立ててくれます。

ところが、
「マイ・フェア・レディ」完了後のエグジー君、
今度は「洋服の青山」や「AOKI」などの
紳士服チェーンのチラシの外人モデルのようになってしまい
これもまた…どうなんでしょ?


「2着目は1000円」感が半端ありません。

オリジナルとなる
生粋のイギリス紳士ハリーと比べると違いは一目瞭然です。


完璧な着こなしです。スーツを身につけるため生まれたようにしか見えません。

と、散々愚痴を溢してしまいましたが、
タロン・エガートンを始め候補生役を演じた
ソフィ・クックソン、
エドワード・ホルクロフト、
ニコラス・バンクス
といった若いキャストはここから
演技や顔つきなどどんどん変わっていくのでしょうね。

ここから大きく羽ばたいてほしい
と云うのが正直な気持ちです。

さて、この映画にはいろいろなレビューで
既に書き尽くされていると思いますので
今回の記事では普段載せている
「粗筋」を大幅にカットして
思うところだけをざっと述べていきます。

本作は大きく分けると
「主人公がスパイ組織『キングスマン』の選考試験を受ける」

「『キングスマン』が悪の野望を阻止する」
という2つのストーリーで構成されています。

それだけでこの映画では割と何に対してもおおまかに
AとBの2つの要素が用意されているような感じがしました。

例えば
A「敵サイドとしてのアメリカ」

B「主人公サイドとしてのブリティッシュ」


悪役のヴァレンタインは
「アフリカ系アメリカン」、
「ハリウッド映画監督」で「IT長者」、
「エコロジーが大好き」で
頭には「ニューエラ・キャップ」を常備した
「自分の手を汚すのは吐くほど嫌い」な
「今ハリウッドで一番忙しいサミュエル・L・ジャクソン」
という最先端の「アメリカ」をそのまま体現している人物です。


A「上流階級の紳士であるキングスマン」

B「労働者階級のエグジー」

A「亡くなった父親に代わって教育するハリー」

B「母の再婚相手で暴力しか振るわないディーン」

A「紳士としての生き方を教えるガラハット」

B「スパイとしての生き方を教えるマーリン」


この2人が並んでいると「裏切りのサーカス」を思い出してしまう…。

A「セレブを気取る男子候補生」

B「偏見を持たない女子候補生」

A「チップを埋め込まれる富裕層」

B「無料SIMカードに群がる庶民」

A「新人エージェントエグジー」

B「古参エージェントハリー」

と云った感じ。

この対比構造がはっきりしているため
それぞれの立場が見ていて判りやすく
129分という上映時間はまったく退屈しません。
随所にたっぷりとした見どころが用意されているので
サクサクと見れてしまいます。


このシーンでもダラダラ流すだけでなく視点が変わるので単調になりません。

一見「おバカ映画」のようですが、
細部まで考えて作られていると思います。

まあ、悪役のヴァレンタインが立てる
犯罪計画と目的があまりに荒唐無稽すぎるので
「おバカ映画」に見えても仕方ありません。

ヴァレンタインが仕込んだ
SIMカード(一体何枚用意したの?)と
VIPの頭に埋め込まれるチップの効力には
映像的な効果もばっちりで
常識的な人なら眉をしかめること請け合い。

グロテスクにしようと思えばいくらでもできるところを
極力描写が抑えられているのでR15指定で済んでいますが、
ダメな人はこのあたりの映像もお話も受け付けないかも…。

普段「人を殺してはいけない」と口では云っても
実際は、
「死んだほうが良い人」と「そうではない人」を
持っているのが人間です。

例えば、殺人行為を否定しながらも
「凶悪な事件を起こした容疑者は皆死刑にしてしまえ」
と思っておられる方も多いはず。

この映画の場合、監督が「死に値する」と考える
「差別主義者」や「富裕層」が面白いように殺されていきます。

それに対して罪悪感などまるで感じない人もおれば
監督の意図に反して
強い不快感を覚える方がいらっしゃっても
不思議ではありません。

ここをどうとらえるかで
この映画に対する評価は大きく分かれそうですね。

それにしても搾取すべき労働者階級を一掃して
富裕層だけ生き残ってどうするの?
さらに計画成功後、必然的に出る大量の死体は
どう処理するつもりだったのでしょう。

もっとも私も含めて本当にお金のない人間は
未だガラケーなんですど。
SIMカードなんて手にしたことはおろか
見たこともないんですけど。

イギリスってそんなにスマホ率高いのでしょうか?

こんな計画、デメリット面から
小学生だって思いつかないことでしょう。
そういう意味では凄いです、マシュー・ボーン監督。

また、ガラハットが抵抗なくあっさり殺されてしまったり
それと時同じくしてJBの存在が消えてしまうので
後半は作り込みが足りていないように思えるかもしれません。

が、むしろこれは
「はは~ん、これは続編に繋ぎたいんですね、監督。」
と、すんなり飲みこめました。

実際、日本公開直後に続編決定報道が…。
(しかも今度は日本が舞台だよ!
でも、絶対ニンジャは出さないでよね!)


ガラハット以上にJBの途中退場に面食らったわ。

コリン・ファース再登場の可能性も高いと云うことで
ガラハットの退場はやはり続編の布石でしたね。

この続編や3部作流行りの中
ここまで愛情込めて作っておいて
続編に繋げない手はありませんものね。

だいたい
コードネーム「ランスロット」選考試験開始以降、
エグジーをはじめとする10人の候補生と観客は
「キングスマン」幹部に騙されっぱなしなのです。


ざっと見ただけで誰が最後まで残るか予想できます。

最初の試験で水死したはずの女性候補生は生きており、
スカイダイビングでの試験における
「一人だけパラシュートが開かない」
という前提も全くのでたらめであり、
拉致され縛り付けられた線路には床に仕掛けがあり、
最後の試験でのパートナー犬を射殺する銃に
実弾が込められたいなかったことからも
(要するに試験では犬も含め誰も命を落とさないようにできている)

ガラハットがあのまま死んだとは
到底思えませんよね。


もう騙されませんよ。
というか、あそこまでマーリンに種明かしをしてもらった上で
またやも騙されるエグジーって…。

ハリーが殺されるまでの映像を
既に試験に落ちているエグジーに見せたのも
たまたま呼び出したからではなく
実は「追試」とかじゃないでしょうね?
(もちろん、続編に出演するハリーが
「実は生きていたガラハット」とは断定できませんが、
現在「キングスマン」では
「アーサー」の座席がまるっと空いているのです!)

ラストまでの流れからすると
本作は
「エグジー青年のスパイへの道 前篇 ~デビューまで~」
みたいなものですから
早いところ、後編を公開してもらって
できれば2本続けて劇場のスクリーンで見たいものです。

そして、今度こそ
コリン・ファースとマーク・ストロングのコンビでの
大人の諜報活動を見させてください。

いや、本当正直なところ映画自体がどうでも良くて
私、このしれっとしたマーリンが好きなんですよね。

ここ数年の中ではベスト・オブ・ストロング
じゃないですか。

なのでできればハリーが「アーサー」に昇進して
マーリンが彼をサポートするところが見たいんです。
 

こんな若僧とではなく。


と云う事でよろしくお願いいたします。