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ズキーンとしびれることを教えてあげるからついて来な!!

2015-08-28 14:00:00 | MOVIE
15年ほど前のことです。
その日、私は友人の家に泊りがけで遊びに行っておりました。
やがて夜も更け友人の子供たちも床に就き
さあ、ここからは大人タイム。

とりあえずテレビでもつけてと、電源を入れるや
映し出された映像に私たちは度肝を抜かされました。

チャンネルはCS「東映チャンネル」
(月額視聴料1620円)。

放映中の映画が何かも判らず
慌ててチャンネルを変える友人。

そして、何事もなかったかのように
DVDデッキに前もってレンタルしておいた
彼女お薦めのDVDをセットしたと思うのですが、
残念なことに結局その夜何を見たのかは覚えていません。

ほんの数分テレビに映し出された衝撃映像が
それ以外の記憶を全て奪ってしまったのです。

ああ、あれは夢の中の出来事だったのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。

その後、ふと思い出し
Google検索をかけてみたところ
それらしき映画の予告編がいとも簡単に見つかりました。

もちろんその中にはあの衝撃のシーンも。


刺激が強すぎて「脳天までシビれる」そうです。

草原を横1列になって一斉に走り出す数台のバイク。
フューエルタンクには全裸の女性が横たわり
バイクを運転しながらセックスをし最後まで走り抜いた者が
バイク乗りとしても男としても勝者となります。
(そして、映画では全員が途中で脱落します。)

…意味わからん。

流石ライダーもので44年も
コンスタントに稼いでいる東映だけに
発想が斜め上を行っています。

予告編によりますと
「カーセックスなんて古いぜ!
これからはオートバイセックスの時代だ!」
だそうです。

とは云うものの案外「時代」というものは
発信元が期待するほど広まらないもので
大国アメリカでさえもようやく一昨年
おしゃれヒッピ・ホッパー、カニエ・ウェストの手により
オートバイセックスの時代に追いつくことができました。


アハーン、ハニー。

ということで本日の映画は
知る人ぞ知る昭和の名作映画
鈴木則文監督作品「女番長ブルース 牝蜂の挑戦」(1972)


そうそう昭和の映画館と云えば柱に貼れる縦長のポスター。

です。

本作で鈴木則文監督と共に脚本を共著した
皆川隆之第1回監督作品
「狂走セックス族」(1973)でも
作中でオートバイセックスが使われていることからも
当時でもかなりセンセーショナルなアイデアだったのでしょう。

他にも奇抜なアイデアがふんだんに登場し
昭和から平成と時代が大幅に経過した今見ても
とても斬新な映画です。

予告編では、「カーセックスなんて(以下略)」以外にも
「驚異のカーアクション スピード スリル」
と、仰々しいテロップが入っておりますが、
それさえも昨今のハリウッドのカーアクションに見慣れた目には


今やカーアクションは空中で行われます。

あまりのスピード感、スリル感のゆるゆるぶりに
ちょっと泣けてきます。

これもまた斬新に感じられるのではないでしょうか?

舞台は日本でも各地でウーマン・リブの集会が開かれ
「男女雇用機会均等法」が叫ばれた1970年初頭。

女番長(スケバンと読みます)の玲子(池玲子)は


撮影当時、18歳の池玲子。「ポルノ」と云う言葉は彼女の登場から始まりました。

男ばかりが威張っている社会についていけず
万引き真弓(杉本美樹)
おさせのサセ子(一の瀬レナ)
弁天モコ(河崎いち子)
艶歌の妙子(西来路ひろみ)
ガードの宏美(山田みどり)
といったひと癖もふた癖もある女性たちと共に
女だけのグループ、アテネ団を結成し
喧嘩(「ゴロ」と読みます)、
恐喝(「カツアゲ」と読みます)、
万引、売春に明け暮れる毎日を送っていました。


「シェアハウス」で毎日「女子会」をしているところなど現在にも通じるアテネ団。

女ばかりの集団と甘く見られ
杉岡英二(一ノ瀬謙)が率いる愚連隊に
絡まれたりすることもありますが、
北神会の巽次郎(流健二郎)との取引の元
後ろ盾になってもらっているため怖れることはありません。

男を当てにしてないとはいえ
そういった点については抜かりがないのが
女の賢さ狡さです。

そんなしっかり者の玲子に英二も次郎もぞっこんです。


補導されては金持ちの父親に尻拭いしてもらっているお坊ちゃま英二。


アテネ団を利用して組での地位を上げたい野心家次郎。

貸し借りなしにするためならば玲子は身体を開いてくれますが、
心までは奪うことができません。

と云うのもアテネ団には
「アテネ憲法」という厳しい掟があるからです。

その掟たるや
一、番長の命令には絶対服従すること。
二、団員が特定の男を持ったり従属したり支配を受けることを厳禁する。
三、団の秘密は固く守ること。口外した時は死の制裁を甘んじて受けること。
四、脱退は全員の一致の意見を必要とする。
五、団員は力と度胸を重んじ腕力の強化に努めること。
と、かなり硬派で
これを一つでも侵すと身の毛もよだつ制裁が待っているのです。

それがこれ
「モーターボートリンチ」です。


七〇年代の東映ですものこのくらいのアイデアは湯水のように湧いて出ていきます。

文字通りモーターボートで水中を引き摺り回すリンチのことです。
「マッドマックス」などのアクション映画で
バイクで同じようなことをしているのを見ることがありますが、
こちらは外傷の心配はないものの
息が続かない分ダメージは相当なものです。

こんな制裁をいちいち受けては命がいくらあっても足りません。
そんなわけでアテネ団のメンバーは
そんじょそこらのJKより身持ちが固いのです。

ある日、アテネ団に憧れて
清純そうな女学生宥子(渡辺やよい)が仲間入りします。
入団するには条件を受けなくてはなりません。
その条件がまた凄いのです。
どう凄いかは………DVDをレンタルするかネット検索で
お確かめください。私の口からはとてもとても。

入団に関しても退団に関しても規律は異様に厳しい分
仲間内の結束は固く、外に対しても義理堅いアテネ団。

宥子がアテネ団に腰を落ち着けた頃、
かつて歌手を目指していた艶歌の妙子と
同じ練習生だった篠原由紀(潤まり子)が
メジャーデビューをはたします。

アテネ団の仲間を連れて
コンサート会場にお祝いに駆け付ける妙子。

ところが、素行の悪い妙子との関係を知られたくない
由紀からけんもほろろな扱いを受けてしまいます。

One for all, All for one.

仲間が売られた喧嘩は買わないわけには行きません。
部外者のはずの次郎も思うところがあり北神会を挙げて
アテネ団に手を貸してくれることになります。

アテネ団と次郎はその筋から由紀のスキャンダルを入手し
由紀の所属事務所に強請をかけます。
しかし、由紀の不倫相手が大物政治家であったため
大物政治家に頭の上がらない組長の命令で
逆に次郎が袋叩きにあってしまいます。

組のやり方に納得がいかない次郎は仲間とともに
由紀をエレベーター輪姦します。


はい。また新しい単語が出てきました。ここでも意味は読んで字の如くです。

それをきっかけに次郎とアテネ団は
暴力団に目を付けられ
さらに玲子と普段からつるんでいる愚連隊の英二が
大手製薬会社の御曹司であったことから
組長が仕組んだ資金調達計画に
巻き込まれることになるのでした。


と云っても家族連れでごっかがえす海水浴場で
のんびりバーベキューなんてしている余裕もあり


まだTDLもなく娯楽の少ない昭和の海水浴場ってこんなんだったのよ。

暴力団相手に大ばくちを打っている割には
緊迫感がありません。

池玲子姐さん(当時未成年)にかかっては
どんな男も勝てる感じがしないので
その点では安心して見ていられます。

アテネ団メンバーや玲子に絡む男性陣は
英二にしろ二郎にしろ
今となっては「無名」に近い俳優が多いのですが、
その分、脇を固める俳優は豪華です。

小松方正、山城新伍、左とん平、由利徹、大泉滉
と云った昔懐かしい名優のなか
「殺しのライセンス」こと天地茂も出演しています。


傍らにピーターも姿もあります。役名は池畑慎一です。

ほんの十数秒だけの出演ですが、
この方の若き日の姿も見ることができます。


ケンカ最強伝説、渡瀬恒彦。実家は富山で萬金丹を作っている設定。

あんまり出番が短いのと
オープニングに名前が出てこなかったため
(理由:カメオ出演だから)
最初は単に顔が似ている人かと思いましたよ。

そんな懐かしい顔あり
オールヌードあり
(脱いでも本人がさばさばしているのでやらしくありません)
フルコーラスの挿入歌あり
女の友情あり


アテネ団は好きな男より女同士の友情を大事にします。それは生き延びる秘訣です。

そして、
最先端アクション(そうそう驚異のカーアクション!)ありと
今見ても、いえ今見るからこそ楽しい映画です。

ラストはヒロインが一人生き残ったところに
演歌調のBGMが流れ
スクリーン一杯に紙幣が舞い上がります。

大金強奪のハイライト云えば
燃え盛る車のトランクから舞い上がる紙幣。
これぞアクション映画の醍醐味です。


「完」の文字が入る渾身のカットがまた素晴らしいのです。ここでは紹介しないけど。

ビバ、東映ポルノ!

当時のポスターを見てお判りのように若い娘さんが
上半身裸…どころか時には全裸を晒していますが、
成人映画ではなく当時はレーディングもなかったため
視聴は全年齢対象。

お子様でもレジの目を気にすることなく
DVDを借りることができますのでよろしかったらぜひ。



カオルちゃん最強伝説

2015-08-27 15:32:00 | MOVIE
予告編につづき




ちなみにミニオンもフジテレビと非常に深い関係にあります。

が終わると黒地に白文字で
「ネタバレ禁止」をお願いする文章が…。

すみません。
私、この映画で始めて
「アンフェア」シリーズを見るような「アンフェア」な観客ですので
何がどこまで「ネタバレ」か判りません。

だからと行ってこれから全作品を見るとなると
ざっと20時間は越えてしまうと考え
テレビドラマ全11話
テレビスペシャル全3回
「雪平夏見、最後の事件」詐欺な映画前作2本
をいっさい見ないまま本作だけを見てきました
「アンフェア the END」。

なぜなら試写会に当選したから。


「最後の事件」で映画3本分引っ張りました。

「アンフェア」というと
一度もシリーズを見たことがない私でも知っているのが
「雪平さんって無駄に美人ですよね。」
「バカかお前は。」
というやり取りですが

美人だから10年も続いたんだよ!!!
ヒロインが山村紅葉だったら2時間で終わっとるわ!!!


と、私は力説したいわけです。
20時間と云う長さを前にドラマ視聴を断念した癖に
云う事だけはいっちょまえ。

だってねえ、こんな大作見直す気などさらさら起こりません。
映画版だけでも計4時間ですよ?
(その後フジテレビ系列で地上波放送され
無料動画「Gyao」でも配信されました。
でも、頑なに見ない。)

ここは潔く
「ドラマを見てない私でも楽しめますか?」試写会第2弾。
(第1弾は「S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」…タイトル長いよ!)

まあ、結論といたしましては


「わざわざ21時間費やさなくても
これ1本でだいたいの話は分かる。」
です。

とりあえず、TOHOシネマズのロビーには
「これまでの登場人物をおさらい
アンフェアな人物相関図
(アンフェア度を、勝手に測定)」
が載っている復習用の小冊子もあるので
(流石に何の前情報もない状態では見れませんでした。)
これに目を通しておけば大丈夫、なんとかなる
のです。

映画の方も一見だからとやたらビビる必要もなく
キャスティングの時点で
主人公の雪平夏見(篠原涼子)にとって誰が
本当の味方か敵=裏切り者か
シロかクロかグレイかなんてのも
映画が最終的な結論に達する前に
自力で仕分けできるようになっています。

肩の力を抜いて
「アンフェアなのは誰か?」を楽しみましょう!

今回の主な「アンフェアな人物」は
津島直紀(永山絢斗)
三上薫(加藤雅也)
一条道孝(佐藤浩市)
武部将臣(EXILE・AKIRA)


これで裏切らなかったら何のためのAKIRA起用なの?

となっています。

他にも2人ばかりいらっしゃいますが、
直属の上司の小久保祐二(阿部サダヲ)は
ツンデレエリートと云う理由から
元上司の山路哲夫(寺島進)は
所轄になっても何かと気にかけてくれる叩き上げ刑事
と云う理由で論外です。

「というか最後の最後に来るであろう
雪平のピンチに揃って駆けつけてくれるぜ、
この2人はよう。」
と、思っていたら
あまりにどんぴしゃで却って赤面してしまいました。

観客の期待を裏切りません。

とりあえず小冊子から得た情報によりますと

ヒロイン雪平夏見(篠原涼子)は
15年前に優秀な刑事であった父を殺され
その真相を探るために警察官となった
検挙率捜査一課ナンバーワン刑事。

ところが、
肝心な父親の事件の真相に迫るにつれて
警察内部の深い闇に呑みこまれ
信頼していた
相棒の刑事、安藤一之(瑛太)
親友の情報解析係、蓮見杏奈(濱田マリ)
恋人で出版社に勤める瀬崎一郎〈西島秀俊)
家政婦の牧村紀世子(木村多江)
上司の斉木陣(江口洋介)
恋人で上司の一条道孝(佐藤浩市)
協力者でエリート検察官の村上克明(山田孝之)
に悉く裏切られまくってしまいます。

どういうわけか彼女が深く関わると
その相手はもれなく彼女を裏切ってくるのです。

私だったら自殺しているレベルです。

そんな四面楚歌な状況で
今は亡き元夫佐藤和夫(香川照之)が
命を懸けて手に入れてくれたのが
「政界、官僚、警察、法曹界を結ぶ
資金還流システムの機密データ」が入ったUSBでした。
これに関わったため雪平の父親は殺されたのです。


ということで、本作は
夫(と父親)の形見を云うべきUSBを
どう活用するかという雪平の葛藤から始まります。

どうせなら一番効果的なやり方で
データを発表したい!!

そこに現れるのは、
村上殺しの冤罪で逮捕された
システム・エンジニアの新キャラ津島直紀です。


瑛太の実弟がキャスティングされた時点でラストが判ってしまいますよね?

彼と行動を共にすることでヒントを与えられ
USBの預け先を絞る雪平。

「あそこにいけば安全に世界中に情報を暴露できる」
そうその場所とは。


映画「HERO」(2015)の予告編から。

その「絶対侵してはいけない大使館の領域」で
とんでもないことをしでかすのが、
佐藤浩市演じる一条道孝です。


「大使館はダメだぞぉ!」

映画館で腐るほど予告編を見せられた方なら
お判りのように佐藤浩市は
「HERO」にもゲスト出演しております。
しかも同じ「大使館」絡みで。

なんで今更、「HERO」なのか
なんで今更、「アンフェア」なのか
なんで、どちらにもゲスト出演が佐藤浩市なのか
知りたくばこの夏両方劇場でお金を出してでも観ろ!

…と云いたいんですね、フジテレビさん。

ところで佐藤浩市が生きていたってことが
この映画における「ネタバレ」なんでしょうか?
予告編にも出ていたからOKですよね?

そもそも予告編で佐藤浩市が
「何度人に裏切られても、お前は人を信じていた。
悲しいくらい優しいな」
なんて滑舌よく云うものだから
ラストのどんでん返しまで薄々見当がついちゃったんですけど
フジテレビ的には大丈夫なんでしょうか?


こんな気障なことを云う時点で彼の役回りは「きみのためなら死ねる」ですよね。

なんて一見さんに優しい映画なんでしょう!


ちなみに予告編の最後に出てくるお決まりのこれ↓ですが


この言葉を真に受ける人がいったい日本にどれだけいることか…。

「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」
という前例を作ることで
既に「死ぬ死ぬ詐欺」に騙された視聴者には
「さよならだけどさよならじゃない」
と判る親切仕様。


あ、これこれ。


あ、これもか。(THE LAST MESSAGE 海猿)

この映画、
「アンフェア」シリーズの集大成というよりは
もはやフジテレビ系列ドラマ映画化の集大成と云っても
過言ではなくなってきました。


最近ではこんなのも…。

同じような黒髪サラサラストレートな
一匹狼な女刑事が主人公の
映画「ストロベリーナイト」は
「姫川玲子最後の事件」
「外交官 黒田康作」の
映画版「アンダルシア ~女神の報復」も
「黒田康作最後のミッション」
でしたしね。

同じ柳の下に何匹泥鰌がいると思って?
これだけでも今のフジテレビの視聴率が低迷するのも
無理ないように思えてきます。


なにしろその傾向はここから↓すでに始まっていたのですから。


バカかお前は。黒髪ロングの女刑事が最後の事件?私なんて20年も前からやってるわよ!


時の過ぎゆくままに この身をまかせ

2015-08-20 16:29:00 | MOVIE
本日の映画は

「ザ・タイガース 世界はボクらを待っている」



です。

劇場公開されたのは1968年(昭和43年)。
GS(グループ・サウンズ)全盛期です。

GSとは何かをもの凄く簡単に説明すると
「エレキ・ギターを中心とする小編成のロック・バンド」
ということになりますが、
おそらくそんな説明では到底収まりがつかないのがGS。

ここでくどくどと説明していると長くなりますので
GSという言葉をご存知ない方は、
お手数ですが、ご自分でお調べください。

まあ、百聞は一見にしかず。

当時どれだけGSがブームであったかは
この映画の冒頭を見ていただくだけで一目瞭然です。

日劇(日本劇場)の前には
GSにとって象徴的な行事である
日劇ウエスタンカーニバル」の会場に入りきれない人々が
溢れかえっているのです。


見ろ!人がゴミのようだ!!ハッハッハッハッ!! 最高のショーだと思わんかね?

中でも1967年に「僕のマリー」でデビューしたザ・タイガースは
ザ・テンプターズ、オックスとともに「GS御三家」と呼ばれ
コンサート会場で転倒事故が怒ったり
ファンによるコンサート入場券偽造事件が発生するほど
人気があったそうです。

1968年当時
ボーカル&タンバリン:沢田研二(ジュリー)
ベース&コーラス:岸部おさみ(サリー)
リードギター&コーラス:&ボーカル:加橋かつみ(トッポ)
リズムギター&コーラス森本太郎(タロー)
ドラムス:瞳みのる(ピー)
の5名がバンドメンバーでした。

ボーカルの沢田研二はその後ソロデビューし
現在も歌手活動を続けておりますので
ある年代から上の方にとっては
彼が何者かはいわずもがなと思います。

全盛期は年間のテレビ出演が700本以上、
ラジオ300本、取材300本、地方公演100日
と云うのですから、どれだけ人気だったか窺い知れましょう。


デビューから1年。初々しい20歳のジュリー。

しかし、時は流れ平成の現在では
その沢田研二以上に世間に顔を知られているのが
バンドリーダーのサリーこと岸部おさみ、
「ようこそケンミン王国へ」のCMでもおなじみの


このCM、地元では放送されていないのですが「なんやねんこれ」。

岸部一徳さんです。

最初に画面に出てきたときは
若干今より前歯が前のめりだったため
認識するまでに時間がかかりましたが、
よ~く見れば面影が十分に残っています。


きゃあああ!サリー!!!

当時21歳。
演技もスターとしてのオーラもいまいちですが、
コーラスの時はちゃんと声を聞き分けることができます。

ということで
そんなザ・タイガース人気に肖って作られた映画の内容は…

地球を目指して運行中の宇宙船。
搭乗しているのはアンドロメダ星の王女シルビイ(久美かおり)と
侍女のベス(浦島千歌子)と
運転手のヘラクレス(天本英世)の3名。
輿入れを控えたシルビイのたっての願いで
独身最後のおしのび宇宙旅行に来たのですが、
地球から発信された妨害音波(=ザ・タイガースの演奏)のため
宇宙船は操縦不能となり日本の砂浜に不時着してしまいます。


1960年代の宇宙船の内部。昔のコントでも良く見ました。

気を失ったベスとヘラクレスが目を覚ました時には
既にシルビイ王女の姿は宇宙船にはありませんでした。

アンドロメダ星に帰れば
婚約者であるナルシス王子(五代目三遊亭圓楽)
との婚礼が待っているシルビイは
それが嫌で逃げ出したのです。


「星の王子さま」こと(実際そういう愛称で呼ばれていました)故圓楽師匠。

右も左も言葉も判らぬシルビイが辿り着いたのは
ザ・タイガースの楽屋前でした。

楽屋前はメンバーを出待ちするファンの女の子でいっぱい。


アイドルの出待ちは今も昔も変わりません。

シルビイは押し寄せるファンにもみくちゃにされた
メンバーの巻き添えを食って
階段から突き落とされ気絶してしまいます。

そのことがきっかけでザ・タイガースに
急速にお近づきになるシルビイ王女。

一方、ベスとヘラクレスだけに任せてはおけないと
ナルシス王子配下の秘密警察のパトロール隊が
シルビイ王女捜索に加わります。


王女奪還に失敗したベスとヘラクレスは
「SW帝国の逆襲」より12年も早くカーボンフリーズされてしまいます。


そのころ、どこに住んでもファンがすぐに嗅ぎ付けるため
なかなか一つの所に落ち着けないザ・タイガースの面々は
今年4回目の引越し準備の真っ最中。


他のメンバーが引っ越し作業に勤しむ中一人呑気に新聞を読むジュリー。

仕事にファン対策にと何かと忙しいザ・タイガースですが、
そんな彼らに追っ手の追跡から
シルビイ王女を護れるのでしょうか?


と云ったもの。

いや、まさかまさか
いきなり冒頭で「空飛ぶ円盤」が出てくるとは思いませんでした。
「ええっ?!SFぅぅ?!」
と、我が目を疑ってしまいましたよ。
平成のアイドル映画では思いもつかないSF設定です。

しかし、ここでのストーりーは
あくまでザ・タイガースで映画を撮影するための添え物。

本作が最優先しているのは
ザ・タイガースのヒット曲をいかに劇中に組み込むかです。
その数、全12曲。

君だけに愛を
銀河のロマンス
モナリザの微笑み
花の首飾り
僕のマリー
落葉の物語
真っ赤なジャケット
イエロー・キャッツ
星のプリンス
こっちを向いて
シーサイドバウンド
銀河のロマンス

これら全ての楽曲に
セットが組まれ、メンバーお揃いの衣装が用意され
スタジオ撮影(一部はロケ)が行われるのです。

まあ、なんて贅沢な。


「モナリザの微笑み」では巨大なチェスセットが…。なかなかオシャレです。


歌い終わって楽屋に戻るとテーブルにチェスセットが…。なかなか凝ってます。

Wikipediaの記事によりますと
公開時「映画館に集まったファンは
銀幕に映るメンバーに歓声を送ったらしい」
と、書かれてありますが、
そりゃなるわ。
声援も送るわ。
なんなら一緒に12曲まるまる合唱するわ。

それでなくとも映画の終盤では
ジュリーが、
「映画館でご覧のみなさんも一緒にお願いします!」
と語りかけくるのです。



そりゃなるわ。
「シーサイド・バウンド」って振られたら
「ゴー・バウンド!!」ってなるわ。
いやいや、云われる前から「ゴー・バウンド!」と
合いの手入れてるわ、他の観客と一緒に。
かつて、「寺内貫太郎一家」で
樹木希林(当時31歳)扮するきん(悠木千帆)婆さんが
壁に貼られたポスターを見て
身悶えしながら「ジュ~リ~!」と叫ぶシーンを
醒めた瞳で見ていた私でも「ジュ~リ~!」ってなるわ。

なにこれ、超楽しい!

ちょ…なんでこの時代に生まれていなかったの、私?
いや、生まれてはいました。
生まれて1年経ってましたけども。

DVD画面からでも伝わるコンサート会場の熱気。
映画だからこそ伝わる臨場感(見ているのはDVDですが)。

とにかく劇場にわざわざ足を運んでくれる
全国のザ・タイガースファンを楽しませるためなら
なんだってやっちゃおうと云う製作側の姿勢が素敵です。

大出血サービス満載。


女装シーンまで用意されています。サリーがサリー姿というご愛嬌も。

まだ家庭用ビデオが普及してしない時代
日劇まで追っかけができるファンも
テレビ画面でしか見ることができないファンも
GSと云う言葉の意味も解らず
今の「沢田研二」や今の「岸部一徳」しか知らない若い人も
楽しめるのではないでしょうか?

ああ、
あのテディベア(よく見たら犬だったわ)になりたい女の子が
当時どれほどいたことか…。


後に「危険でセクシー」を売りにした沢田研二が
ぬいぐるみを抱え熱唱する姿はお宝もの。


メンバー一人一人にイメージカラーがあるのも
今のアイドルと同じ。
ザ・タイガースの5人が同居しているマンションの
各自の部屋もイメージカラーでちゃんと色分けされていて
ももクロに負けず劣らずキュートです。


なにこれ可愛い。




あの人は悪魔 私をとりこにする

2015-08-10 16:13:00 | MOVIE
本日の映画は
「悪魔の存在を証明した男」



と云う映画です。

「降霊術、催眠術、黒魔術…あらゆる手段を尽くして、
悪魔の存在を証明する新感覚エビデンス・スリラー」
(エビデンス evidence=「証拠、根拠、証言」)
と云う触れ込みですが、
勿論ドキュメンタリーではなく
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999年)以降
無尽蔵に作られたモキュメンタリーホラー映画の一つです。

それにしても
「エビデンス・スリラー」という単語を見て
「ああ、証拠のことね」なんてピンとくる人は
どれだけ日本にいるのでしょうか?
これが「サバイバル・アクション・スリラー」とか
「サスペンス・スリラー」とかならまだしも。

他にも
「ホーム・インベージョン・ホラー」と云われていますが、
インベーションって何なのよもう!(答え:侵入)

とまあ、想像以上に細かいジャンル分けが増幅中(らしい)
ホラー界ですが、
「フォースカインド」の
スコット・ニーマイヤー製作総指揮というのが
この映画の最大の売り
監督のデヴィット・イァングにとっては
これが初めての監督作品であり
主演のシェーン・ジョンソンにとっても
始めての主演作品と思われます。

とりあえず、日本では
インパクトのある邦題で勝負をかけています。
(原題は「マイケル・キング(主人公の名前)の証明」)

というわけで思惑通り
タイトルに惹かれて借りてきたのですが、
ホラー映画を殆ど見ない私にとっても
格別に目新しいものはなく、かといって
心底震え上がるほど怖いわけでもなく
「ああ、監督頑張っているなあ。
主演も頑張っているなあ。」
と、親戚のおばちゃんのような目で視聴させていただきました。
すまんのう、許してたもれ 。

ストーリーはと云いますと

最愛の妻を交通事故で亡くし、
失意のどん底に放り込まれた
マイケル・キング(シェーン・ジョンソン)。
妻の死の原因が
生前占い師から間違ったアドバイスをされたせいと思い込んだ
マイケルは次第にオカルティックなものを否定するようになり
遂には「悪魔の証明」に行き着きます。

ここで云う「悪魔の証明(=不存在の証明)」とは、
積極的事実の証明に対する消極的事実の証明の難解さを
説いた比喩表現のことです。

例えば「悪魔の存在を証明」することは
難しいことではありません。
何故かと云いますと、
悪魔を実際に連れてくる、
または悪魔実在の物的証拠を提示すればよいのです。

ところが、「悪魔が実在しないことの証明」となると
そう簡単にはいきません。
「ないもの」を「ないよ」と主張しても
「見つかっていないだけかもよ?」
と、直ちに反論されてしまうからです。


判りやすく説明した映像がこれです。真に受けると頭がこんがらがります。

「不存在」を証明するためには、
全ての場所を網羅して「不存在」を確認しなければなりません。

この「場所」が無限となると
証明はほとんど不可能となります。

しかし、平常心をすっかり欠いていたマイケルは
ありとあらゆる降霊術を片っ端から試することで
悪魔など実在しない証明ができると思い込みます。

この世にある全ての降霊術が紛い物となれば、
必然的に「=悪魔不在=俺勝利」となると考えたのです。

そのためには誰が見てが見ても判る証拠品が必要です。
友人と一緒に怪しげな人物を訪ねてはその様子を
ビデオカメラに収めるマイケル。

ところが、降臨実験や取材を進めるうちに、
耳障りなノイズに悩まされるようになっていきます。

皮肉なことにマイケルの身体は
悪魔に憑りつかれていたのです。


…まあ、映画のストーリー上そうなりますわな。
この手のホラーにありがちの「ミイラ取りがミイラになる」です。

ということで
出先で妻と一人娘をホームビデオで撮りながら
「しあわせだなあ。僕は君といる時が一番しあわせなんだ。
僕は死ぬまで君をはなさないぞ。いいだろう。」
と、常日頃から周囲にのたまっていた主人公が
突然妻を喪ったことから
仕事も手につかずただひたすらふさぎ込んだ末
育児までも放棄し、娘の世話はあっさり義理の妹に任せると、
一銭のお金にもならないのに
カメラマン役を引き受けてくれた友人ジョーダンとともに
悪魔関連の取材のためあちらこちらと飛び回ったあげく
まんまと悪魔に身体を乗っ取られ
大事な娘を自分の手で殺しそうになるという
お話です。

2度も「あらすじ」めいたことを書くこともなかったのですが、
つい反復してしまいました。

そのくらい感想の切り口が見えていません。

映画序盤、マイケルは妻サマンサの死因が
「タロットカード占いの館」の女占い師ビバリーの元に
客を装って乗り込みます。

理由はビバリーがサマンサに対して
かねてより計画していた家族旅行に行かなければ
女優になれると進言したためです。


ええっ?そんなこと云われても…。

どうやらまだ手が離せない幼い娘(と大型犬)を抱えながら
自分の夢を優先しそのために(夫も娘も楽しみにしていた)旅行を
あっさり反古してしまったようです、サマンサ。

冒頭で出てくるホームビデオで
マイケルがしつこいまでに「俺は家族さえいれば幸せ」
と、アピールしていたのはこのためだったのかもしれません。

おそらくそんなサマンサの我が儘が
腹に据えかねていたのではないでしょうか?

ということでこの時点でちょっと
「なんだ、そりゃ?」
と気持ちになりますが、先に進みます。

とりあえず当たり散らす相手が必要だったマイケルは
云いたいことを云いたいだけ
ぶちまけて鬱憤を晴らそうとします。

しかし、サマンサは女優とは関係なく
家族との公園でのレジャー中に事故死したので
ビバリーにしてみればとんだ云いがかりです。


いや、旅行先でも同じ理由で亡くなっていたかもよ?

こんなクレーマーをまともに相手にしていたら
商売あがったりです。

しかもマイケルが本当に恨んでいるのは、
ビバリーと云うより彼女に啓示を与えた
「大いなる存在」でしたので、
云い争ったところで双方これ以上はどうしようもできません。

以降、「大いなる存在」=悪魔が実在するのか
その証明に家族はもとより
友人まで巻き込んで躍起になるマイケル。


日本なら真っ先にデーモン閣下を取材していたことでしょう。

足手まといな子供の面倒は義理の妹に押し付け
危険な目に遭ってもなんのその我が道を貫きます。


怪しげな儀式への参加、死体の歯を腹部に縫合もなんのそのでレッツトライ。

苦労の甲斐あって悪魔憑きに成功。

まあ、憑りつかないことには
この映画、世に蔓延る様々な「降霊術」を紹介しただけで
終わってしまいますからね。

悪魔の方もその辺の事情を察し気を利かして
マイケルに憑かないわけにもいかないのでしょう。

ところが、その悪魔が
「不協和音を伴い、蟻を操り、子供を奪い、
憑依した相手が発狂するまで延々嫌がらせをする」悪魔
だったからさあ大変。

憑りつくや「お前を破滅させる」だの
「娘を殺す」だと云いだしました。


憑りついたのはビデオで自撮りすることが大好きな悪魔だったのです。

悪魔の不在を証明したかっただけで
そんなつもりじゃなかったのに…
と、泣きを入れても時すでに遅し。

慌ててこれまで取材した相手に助けを求めますが、
「え?あんな降霊術嘘に決まってるじゃないですか。」
と、全く相手にされません。

仕方なく自分で文献を参考に除霊しようとしますが、
悪魔からも全く相手にされません。


頭を抱えてどうしようもできません。これを自己責任と云います。

自殺しようと睡眠薬をオーバードースしても
悪魔が勝手に吐きだしてしまい朝目が覚めると
身体に変な傷跡(なんてレベルじゃない!)が…。


なんとなく「恐怖新聞」を思い出してしまいました。

大変えぐいことになっていますが
もはや「痛み」を感じないマイケルは
余裕でその辺の糸と針で縫っちゃいます。


せめてものご愛嬌。

こんな感じで後半は
悪魔に蝕まれていくマイケルの姿がひたすら
こぎれいな映像で描かれていきます。

ラストに流れるホームビデオで
妻の死因が明かされますが、


本当に「占い」関係ない!!

う~ん。

 
 





蒼井空 是 世界的

2015-08-09 23:40:00 | MOVIE
本日の映画は

TSUTAYAさんが
「この金土日は準新作・旧作96円レンタル」
なんて仰るものだから借りてきた
準新作DVD「アイスマン 超空の戦士」。



です。

準新作とは云え最寄りのTSUTAYAでは
棚4棹分のDVDがあるというのに
何故よりによってこれをチョイスしてしまったのか…。

真っ当なドニー・イェンファンなら
「スペシャルID 特殊身分」を借りているだろうに
何故これを…。

しかし、この映画、世界に国は数あれど
おそらく香港で(いや、「に」か)しか
撮ることがない映画だったのです。



ある夜、香港3号線道路を通過中のトラックが
横転事故を起こします。

運転手が無造作に投げ捨てたコンビニ袋が
運転中のタイヤの連結部分に絡まり
その際砕けた袋の破片が車内に吸い込まれ
ブレーキが故障。
その様子をこれ以上ないほど克明に
CGを使って見せちゃうところが
香港クオリティと云えましょう。


CGを使いたいお気持ちは判りますが、力の入れるところが間違っているような…。

荷台に積まれていたのは、3つのカプセルで
中には400年前の明朝末期の雪原から
発掘された男たちが別個に冷凍保存されていました。

ところが、事故の衝撃でカプセルが開き、
中の1人が目覚めてしまいます。

同じ境遇でも寝ていたのが70年の
キャプテンアメリカと比べ
400年もの眠りから目覚めたと云うのに
すぐに動き出せるのは
彼が香港カンフー映画界の至宝ドニー・イェンだからです。
そう思えば科学的根拠がなくても納得できます。

で、目覚めて何をするかと思えば

まずはかる~くトワーキング(尻振りダンス)。


静止画では判りにくいですが、カメラに尻を向けて振っています。

続いてダイナミック立ち小便。
飛距離にして5m。


消防ポンプで放水しているわけではありません。

男の名前は賀英(ホー・イン)と云います。
残念ながら云うまでもなくこの映画の主人公です。


カメラ目線で決めっきめですが、数秒前までは立小便してました。

と、冷静に語ってみたものの内心はドッキドキです。
「…あ、あれ?この映画、大丈夫?」
と、一瞬不安が頭を過ります。

今から400年前、
錦衣衛(明朝の秘密警察・軍事組織)だったホー・インは
朝廷からの勅旨を受け、
義兄弟と云う名目の幼馴染たちと共に天竺へと赴き
天竺の高僧から秘宝「時空の金球」を受け取りました。

しかし、「時空の金球」の輸送中、
なぜかホー・イン一人だけが
「倭寇との結託と刑部尚書一族郎党76名殺害」
いう汚名を着せられ捕縛されます。


そう簡単に処刑できるホー。インではありませんけどね。

彼ならばたった一人で76名殺しても
不思議ではないと思われたのでしょう。

身に覚えのないホー・インは処刑直前に逃亡。
しかし、追ってきた義兄弟2人ととも
雪崩に巻き込まれ氷漬け状態のまま眠り続け
400年経った現代に蘇ったのでした。

目覚めたホー・インは独自の方法でバスを乗り継ぎ乗り継ぎ


路面バスの屋根に仁王立ちして移動中。バスとバスの間を飛んで乗り継ぎます。

ハロウィーンパーティで盛り上がる尖沙咀に到着します。

そこでたまたま知り合い
お酒の勢いで意気投合したメイ(ホアン・シェンイー)
と云う女性の部屋に転がり込むことになります。

最初はホー・インが持つ明代の金子が目当てで
「格安の値段」で部屋を貸し出したメイでしたが、
認知症で娘のことも判らなくなっている母親を
ホーが推拿整体で治療したことから
少しずつ心を赦していきます。


病気が治り娘が安心したところでがいきなり死亡させるあたりも香港映画ならでは。

一方、残りのカプセルからも
ニッ・フーとサッ・ゴウという2人の男が目を覚まし
尖沙咀のインド人組織で顔を効かすようになります。


蘇るや取るものも取りあえずエロ本と煙草を入手するニッ・フー。順応早っ!

2人はホー・インと幼い頃から
辛苦を共に分かち合って育ってきた義兄弟でしたが、
ホー・インが国を裏切ったため今では敵対視しています。

特にサッ・ゴウの方はホー・インを随分慕っていたようで
その分裏切られた反動が大きく、
ホー・インを処刑することに執着しています。

一方、ニッ・フーの方は
ホー・インを無実の罪に陥れた謀略に一枚咬んでいるようです。

とりあえず蘇った2人は400年と云う年月を元ともせず
再びホー・インの行方を追い始めます。

さらにホー・インの行方を追っていたのは
彼ら2人だけではありませんでした。

香港警察副署長のチョンの指揮の元
警察も省力を上げて3人の行方を追っていたのです。

最新式顔認証追尾システムを使用し
ホー・インを追い詰める香港警察でしたが、
人並み外れた拳の使い手であるホー・インにはかなわず
後一歩のところで捉えることができません。

部下の失態に苦虫を噛み潰すチョン副署長。

何故チョン副署長は
400年前の地層から発掘された
正体不明の「ミイラ」???にやけに拘るのか?
配下の警官も不審の眼差しを向けはじめます。


そんな警察内の不満もひと睨みで一蹴するチョン副署長。

実は、チョン副署長の目的は
「時空の金球」を発動させる際に使う
球に挿入するリンガと
ホー・インだけが天竺の高僧から教えられている
呪文の入手でした。


「リンガ」とは男性の性器を意味します。……え?

そして、現代人であるチョン副署長が
「時空の金球」や呪文のことを知っている理由、
それは後々明らかとなります。(だいたい予想はつきますが)

そんなこんなで時間はばたばたと過ぎ
いよいよクライマックス。

ホー・インは彼の居所を突き止めた
ニッ・フーとサッ・ゴウ相手に
青馬大橋上での死闘を繰り広げることとなります。


とんでもなくはた迷惑な(義)兄弟喧嘩。

明朝もとっくの昔に滅び、
かつての法律も通じない現代において
もはや3人が争う必要はありません。
それでも男たちはそれぞれの理由から全力で戦います。

おかげで橋の上は大型玉突き事故が多発してんやわんやです。

(青馬大橋でのロケが許可されなかったため)
啓徳空港の跡地にわざわざセットを作り
100台の車両と数百人のエキストラを使い
半年かけて撮影しただけあってこのバトルシーンは圧巻。

前半では移動手段としてしか使われていなかった
ドニー・イェンのワイヤーアクションもたっぷり堪能できます。

しかし、上映時間は残りわずか。
こんなペース配分で収拾がつくの?
と、ドキドキしながら
メディアプレイヤーのプログレスバーを睨んでいると
(本DVDはパソコンで再生して見ました)
なんと、こんな切羽詰まった状況で
ホー・イン、車に轢かれそうになったニッ・フーを庇い
橋の上から投げ出されてしまいます。


ラスト直前でなんと主人公強制退場。

川に落ちたホー・インの後を思わず追うサッ・ゴウ。

一人取り残されたニッ・フーは駆け付けた警察の手によって
逮捕監禁されてしまいます。
拘束されたニッ・フーの前に現れるチョン副署長。
その顔を見たニッ・フーは、自分たち以外にももう一人
400年前から蘇った義兄弟がいたことと知るのでした。

ちゃららららーん。

ここでかつての義兄弟たちの映像が流れます。


義兄弟の証、ダイナミック立小便。

実はチョン副署長を頭にホー・イン、ニッ・フー、サッ・ゴウは
4人(義)兄弟だったのです。

一緒に育った幼い頃からホー・インが冤罪で捕縛されるまで
回想シーンが怒涛の如く流れます。


末っ子、サッ・ゴウ。


次男ホー・イン、三男ニッ・フー。


長男チョン。

しかし、もう時間がありません。

何故、仲良かった4兄弟が敵対することになったのか、
チョン副署長がどのようにして蘇生し
今の地位に就いたか全く説明がなく
主人公不在のまま映画はエンドロールへ。

エンドロールにはちょっと予告編みたいな映像も
挿入されていて………




…どうやらこの映画、2部作のうちの前篇だったようです。

それならそうと、タイトルに
「前篇」とか「エピソード1」とか
それっぽいヒントを入れておいてほしいものです。

聞くところによりますと、本作は
1989年ユン・ピョウ主演
「タイム・ソルジャーズ~愛は時空(とき)を超えて~」
のリメイクだそうなので
そちらを見えば謎はいくばくか解けるのでしょうか?

「メニュー画面」に自動的に切り替わった
メディアプレイヤーの画面を
あっけにとられ眺めるだけの私を置き去りにし
結局映画は中途半端に終了。

そんななか私の心に残ったのは
最初にホー・インと出会い
それ以後、さまざまな現場でホー・インと出くわしては
散々な目に遭う平刑事(陳浩民…たぶん)でした。


この人!この人です!

とにかくこの刑事さん碌な目に遭っていません。

まずは冒頭。
香港3号線道路でトラックが事故ったため
急いで現場に駆けつけてみれば、
謎の男から集中放水を浴びせかけられます。


勿論浴びたのはただの水ではありません。

覆面車の窓をきっちり締めていたから良かったものの
車のボディはおしっこ塗れ。

それを皮切りにホー・インから
尾籠攻撃を受け続けることになる刑事さん。

後日、トラック事故の目撃者の元に
突如ホー・インが現れたと云う知らせを受け
早速、駆け付けた警官隊。

ここで彼はホー・インと再会します。

チョン副署長からの命令もあり彼を捕えようとする警官隊。
すると、ホー・インはトイレに立てこもり
おもむろにズボンを脱ぐと便器に腰を下ろします。


ん?何をする気だ?

警官隊がトイレに踏み込もうとしたその瞬間
爆破する便器。
飛び散ったのは陶器の破片だけではありませんでした。


用を済ませてから爆破させるとは…。

もう最悪です。
最悪です、ホー・イン。

それだけでなくホー・インが湾仔警察本部に乗込んだ際にも
たまたま同じエレベーターに乗りあわせてしまう刑事さん。

降り際に盛大に放屁したホー・インに
その罪をなすりつけられてしまいます。


とんだとばっちりです。

日本のWikipediaの本作の記事には
役名どころか陳浩民の名前すら載っていませんが、
続編でこの刑事さんが名誉挽回となるか
はたまたさらに不運な目に遭うか
それがいちばん気になるところです。

ということで、早く続編を撮影して
DVDスルーでも良いですから、日本でリリースしてください。
たぶん、ドニー・イェンのファンしか(それもよほどの)
見ないと思いますが、よろしくお願いいたします、配給会社さん!!