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アイススケート、アート鑑賞、食べ歩き等の雑記。

廣瀬智央「地球はレモンのように青い」(アーツ前橋)

2020-06-06 14:36:15 | アート鑑賞
アーツ前橋で開催されている廣瀬智央さんの個展「地球はレモンのように青い」を観てきました。
もともと4月10日から6月14日までの予定だったのですが、新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れたため、7月26日まで会期が延長されたようです。
入館するときに、健康チェックシートを記入したり検温したりといろいろありますが、美術館に行けるようになったのは嬉しい限り。
ソーシャルディスタンスに気をつけつつ堪能してきました。
アート補給は重要です。





入り口からの階段を降りてすぐに目に入ってくるのは・・・


《無題(豆の神話学)》
透明なアクリル樹脂の中にぽつぽつと見えているのは豆。


「神話的思考では、豆は男性性と女性性の中間に立ち、両義的で、生と死を媒介するもの。」なのだそうです。
この作品を観たときに私の中に浮かんできた言葉は「多様性」。
そういえば豆っていろいろな形、いろいろな色があるなぁ・・・と。
味や食感もいろいろだし。
いろいろな種類があるのが当たり前。
この展覧会のテーマが凝縮された作品が、最初にどーんときたなという印象。




《ビーンズコスモス》

こちらも豆が入っている作品。
でもこの作品には豆の他に、金、ビーズ、ガラスビーズ、ナッツ、キンカンの果実などが入っています。
私たちは物に値段をつけて、その値段のものさしで見てしまいがちですが、この中は高価な物も安価な物もごちゃまぜ。
こうしてただ形や色の美しさだけを見ていると、「何に価値があって・・・」という基準も変わってきそうです。
物の値段の価値が曖昧になっていく感覚。


《種団子》
この作品は、会場の至る所にあります。
土と種によって作られていて、やがて芽を出すのだとか。


《フォレストボール》
何だか「自然の癒やし空間が目の前に現れた!」という感じですが、こちらは全て人工植物なのだそうです。

自然の物と人工物。
これも考えれば考えるほど難しいテーマだと思います。
例えば「スギとヒノキばかりが植えられた森は自然と言えるのか。」とか。
どこまでが自然で、どこからが人工かってもう分からなくなってるんじゃないかな。
ここの境界も非常に曖昧。
そして、今目の前にある木が本物か偽物かあまり気にしなくなっている気もします。


《ある夜の旅》

この作品は昼と夜の境界が曖昧になっていく感覚が味わえました。
私は夜の輪郭が曖昧になった世界が好きなのですが、その輪郭の曖昧さが写真となって表れた感じがしました。


《レモンプロジェクト03》

今回の展覧会の目玉となっている作品。
床に敷き詰められたレモン。
レモンは生ものなので、様々な状態のレモンがあります。
部屋いっぱいに広がるレモンの香り。
香りによる印象がすごい。
でもこのレモンの香り、実は床に敷き詰められたレモンの香りの他にレモンの精油の香りも混じっているそう。
ここでも本物のレモンの香りと、精油によって強調されたレモンの香りを融合させることで、境界を曖昧にさせています。
この展覧会全体を通して、「何でも多様な側面をもっていて、角度を変えて見ると全く違ったものが見えてくる。」というメッセージが伝わっていました。
心地よく思考が揺さぶられるすばらしい展覧会。







会期中にまた行きたいです。









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