私達夫婦の両親は既に亡くなり
ましたが、全員が晩年は寝たき
りになって、最期は自宅介護の
日々でした。最後に看取ったの
は妻の母親で、在宅介護の期間
は一番長く、妻が一身で介護を
背負いました。お互い仕事をし
ていたので、訪問介護とか訪問
看護のお世話になり施設へ入所
する事はしませんでした。寝た
きりになる前から病気がちで
しょっちゅう入退院を繰り返し
ていたのですが、トイレで転倒
した事が原因で寝たきり状態と
なりました。その頃には認知症
も進行していました。認知症と
言っても原因は色々で、母親の
場合は脳血管性認知症であった
と思います。糖尿病があり肥満体
でしたから、食欲が衰える事は息
を引き取る直前までありませんで
した。
認知症で共通して見られる症状で
ある物忘れがあり、食事をした事
を直ぐ忘れてしまいした。
見当識も全くありませんでした。
妻や私の事はある程度は認識して
いたのですが、私達の実際の年齢
や境遇などの理解はありませんで
した。本人に当然病識はありませ
んから、例えば妻が仕事に行くと
言っても学校へ勉強に行くと思っ
ていました。
子供の頃は乳母日傘の生活だった
ので認知症になると従来の性格が
研ぎ澄まされ、我が儘が酷くなっ
て妻がよく叱っていました。
一所懸命に母親の面倒を看た妻で
すが、今でも時々もっと優しくし
てあげれば良かった、施設に入れ
てあげた方が良い介護を受けられ
たかなとか後悔しています。
自宅で介護しようと言った言い出
しっぺは私ですが、今思えば施設
へ入れた方が下世話な話しですが、
経済的負担は少なかったと思います。
ただ言えるのは妻の自宅介護で母親
は長生き出来たと思っています。
私達の両親が全員、大なり小なりは
認知症になっているので、私達も
長生きすればそうなると覚悟して
います。
子供のいない私達がそうなると、
一体誰が面倒見るのとなりますが、
全く考えていません。甥や姪が唯一
今後頼れそうな存在ですが、殆ど
音信不通なので、これも現実的で
はなく思考停止状態です。
妻は子供さえいればと始終言ってい
ますが、そんな無理な話しを今更言
っても仕方ありません。
今出来る事と言えば認知症にならな
いよう努力するしかありません。
認知症になりやすい人とそうでない
人の違いを研究した結果もあるよう
ですが、若い頃から表現力豊かな文章
を書いていた人は認知症になりにくい
ことがわかっているそうです。
私が拙いブログを毎日書いているの
も認知症予防の為なのですが、自分
の考えや感じ方を表現する行動が
大切で、それが脳を活性化するのだ
そうです。よく人との交流が認知症
予防になると云われますが、ブログ
にしろ、人に伝えようとする作業が
脳のいろいろなところを繋げて使う
ので脳細胞の器質的な変化の進行を
遅らせ、症状の発現を減らせるそう
です。
思えば父親は若い頃から文章を書く
のが好きで自費出版などをしていた
り、妻の父親も学生新聞に投稿など
していたせいか2人とも認知症も軽く
て済みました。私の母親はプライド
が高く厳しい人でしたが、社交的で
人間関係は父親以上でした。晩年は
癌になり術後も治療を続けていまし
たが、認知症になって人格が優しく
なり、闘病中も悲壮感が全くなく穏
やかになり、却って良かったくらい
でした。
そういう意味では妻の母親が一番手
のかかった認知症でした。それでも
妻は愛情を込めて日々介護をして
1日でも長く生きて貰いたいと必死
でしたから、母と娘の強い絆に圧倒
されました。10年間近く夫婦生活は
介護が全ての中心でした。