あとりえちえ

コンサートの響きに「魂」を感じました♪

今日もコンサートの話題です。

5年程前に「第九を歌う会」で合唱に出会ってから、クラシック音楽への窓口が開き、自粛中の音楽鑑賞生活でコンサートに足を運ぶことを覚えました。

とは言っても、学生時代から通算20年近くマンドリンアンサンブルで合奏を楽しんだのに、音楽初心者感覚なのは何故かなと振り返ったところ、人と繋がることの下手なわたしは、アンサンブルで人と感覚的に繋がることができたので、やっていたんだなとわかりました。

しかし、歌うことはそれとは比べようもなかった。歌うことに劣等感があった私はずっと歌を避けていたのですが、なんのなんの、歌うことは自分と人と共に繋がれる感覚と喜びに目覚めさせてくれました。それとともに音楽鑑賞する興味と能力が少しずつ拓かれてきたようです。

その繋がるとは「魂」レベルでのこと。

「魂」ーそれはマグマだ。地球の表面は、海や氷に覆われていたり、山や森林や砂漠があったりしても、その中心はいつも想像できないほどの高温で煮えたぎっている。それは表面にいる私達には見えない。が、たまに爆発するとそのエネルギーの凄まじさに圧倒される。

 

17日、サントリーホールでの「三枝成彰80歳コンサート」行ってきました。

演目が合唱曲であること、歌の会で指揮された大友直人先生、自粛中にファンになった辻井伸行さん出演と3拍子揃っているので興味を持ち、また、作曲家の三枝氏は子供の頃からテレビで目にしているので、世事に疎い私も馴染みがあった。

 

○「最後の手紙~The Last Message~」 混声合唱版初演

私は、行く前、最後まできちんと聴くことができるだろうかと少々不安があった。この曲は、第二次世界大戦のなか、死にゆく兵士たちが最後に愛する人に宛てた手紙である詩に、曲と朗読をつけたもの。全篇1時間半以上ある大作ということだけでなく、注視できないほどの凄まじい悲惨さ、切なさが表現されていて、受け止めるには心が重たくなってしまうのではないかと思ったのだ。You Tubeに、2018年男声合唱版での公演がアップされていて、私は予習のため何回か視聴していたのである。

しかし、1時間45分、長くはなかった。疲れてモゾモゾすることなど一度もなく、気が動転したり高ぶることもなかった。1篇、1篇をただ静かに受け止めることができた。あつく美しい「魂」を感じながら・・!自然と背筋が伸びていた。

指揮、オーケストラ、合唱、ナレーション、出演者のただならぬ気迫と熱演が、舞台と客席もあわせた空間にひとつの「魂」を存在させた。その魂の色は赤ではない。それは青だ。赤より青のほうが高温なのである。

 

○「ピアノ協奏曲~辻井伸行委嘱作品」世界初演

この曲はピアニスト辻井氏の委嘱で作曲家三枝氏が作曲したもの。

正直、最初から最後まで圧倒された。

何がというのは、素人の私には上手く表現できそうもない。彼のピアノの響きが綺麗なのだ!そのなかを打楽器が容赦なく鳴り響くのだ!ものすごく速い!彼の指が目視できないほどの速さで鍵盤のうえを行きかう!ふと、嵐のような旋律の中に魂からの響きが埋もれでしまうのではないか・・という思いがよぎった。

それは違った。どんな大きな渦の旋律の中にも、どんなに打楽器が打ち鳴らそうとも、そこに彼の響きはある。ゆるぎなく美しく「ある」のだ。かつ調和している。

私は、「魂」を感じた。ピアニスト辻井伸行の穏やかな風貌や立ち振る舞いの奥の「マグマ」を。作曲家三枝成彰氏の音楽人生の「マグマ」を。そして、そこにある表現者すべての「マグマ」を。

この曲のラストは、辻井さんがグランドピアノから小さなトイピアノに向きなおり、彼の音楽人生のはじまりの調べを奏でた。透き通った響きだった。

会場ースタンディングオベーション!

 

家に帰って心が曇り空。それは、よくなかったのではけしてなく、かなり「心に効いている」証拠だった!素晴らしかったのだ。

わたしはずっと不安だった。本当にやりたいことは今も見つかっていない。 

不安だから、いろいろやってみた。心からやりたいこともなかった。だから、目の前のことを一生懸命やってみた。不安だから、人づきあいが苦手でひとりで生きてきた。ある人は、マイペースで自律しているねと言った。ある人は、悩みを言わないなんて強いんだねと言った。私は、ただ微笑んだ。わたしのことは誰も知らないと思った。孤独だった。そして瞬く間に時が流れていった。

ふと思う。「魂」は自分の中心にある。だから、正直。表はどんな自分を演じていても、変わることのないマグマがそこにあり続けている。・・たぶん、私は不安ながらも、自分の魂の望む方向に歩いてきたのかもしれない。自分は魂の想いに正直だったのかもしれない。

ただつながりたかっただけのことかも・・ほんとうのわたしと人と。

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