あとりえちえ

得意は伝わる(^^♪不得意は伝わらない(;_;

もう夏休みは終わったようで、家の前の小学校からは、♪キンコンカンコーン♪と子供たちの元気な声が聞こえてきました。

さて、夏休みアートクラスは2日間開催したので、2日目のレポートをします。

前回同様、作品はひとつではなく3作品です。やることや画材を変えながら、だんだんとイメージを深めていくプログラム構成になっています。

まず最初は、子供と一緒に会場近くのちょっとした雑木林に入り、「草」を2~3抜いてきて、それをモチーフにしてスケッチしました。

その課題なんですが、後でちょっと失敗したなあと反省した点があります。

それは私の指示の仕方です。

わたしはたくさんしゃべってしまいました。。(;_;

まず、選んだ草を触ったり、日に透かしたりて観察し、それを見ながら描くのですが、「草の気持ちになってみよう」と言ってみたり、また色鉛筆の使い方をレクチャーしたり、いっぺんにいろんなことを詰め込んでしまいました。

小学生の女の子はじっくり聞いているようでしたが、できた作品をみると観察画ではなくて、漫画のようになっていました。

もちろん、その「草の形から連想」してかつてどこかでみたことのあるイメージをもってきても、何も悪いことはありません。それもOK!

しかし、わたしが思っていた「ねらい」とは違っていたのです。わたしはその草そのものの形や香りや手触りを表現してほしかったのです。

その結果、その草そっくりになってもいいし抽象画のようになってもいいしと。

今、こうして文章でまとめると自分でも相手にもわかりやすくなっていますね。わたしは、どうも書き言葉は得意なのですが、話し言葉で伝えるがいまだ苦手のようです。

私は、予め準備しないで言葉にしようとするとき、脳内のいろんな情報のお部屋のスイッチが入り、窓口が次々と開いてしまって、物事の優先順位や相手の立場になって簡潔に・・が落ちてしまうところあります。

 

美術の先生になりたての頃、私は生徒に上手に説明するのが下手で、生徒に「わかりませ~ん」とよく言われてました。

自分自身でも何を言っているのかわからなくなってしまったので、「うん、自分でもわからないんだから、わからないよねー」と納得、あまりそのことを気にせず、生徒の席を回りながらひとりひとり課題説明をしていました。

また、中学生の課題で「空想の花」というテーマで版画をやったときのことを思い出します。そのイメージスケッチで、ただ「自分なりの空想の花を描いてみよう」と言ったところ、想像だにしなかった珍スケッチが続出したのです!

「目に葉っぱが付いた花」や「パーの手に葉っぱがついた花」や「おもちゃに葉っぱがついた花」など。。

どうしようか悩みましたね。これでは自分の花を咲かせるという意味とはまったく違うし、版画にもならない。しかし、わたしのアプローチが適切でなく、そのスケッチが悪いわけではないので「それではいけない」とはけして言えないし、どうしたものかと。

それで、次の週に学校へ向かいながら、電車のなかで必死に考えて結論がでないまま教卓についたとき、ふと天から降りてきたように言葉が口からでていました。

「今週ももう少しスケッチしよう。今度は、お花が・・」

「咲いているように♪!!」

この「咲いているように」の一言で、見違えるように生徒たちは、すてきなお花を描きだしたのです。大成功でした。

 

その後、私は30代になると劣等感を強く感じるようになり、自分の苦手にフォーカスしてそれを克服すべく、たくさんの講座やワークショップに参加し自分に訓練を課しました。

40代には、言葉を操れるようになり、多弁にもなっていきました。私は、あれこれ説明が多くなっていきました。プログラムもいろいろ考えました。

しかし、生徒との心の距離がだんだん離れていっているのに私は気がついていませんでした。

それは、自分から離れていっているということを意味していたのです。

 

今から振り返ると、あの言葉を操れない若い私は、それでよかったのです。あれが自分だったのですから。

そして、私は、自分がもっているスキルのなかで最高のものを上手に使えていました。

それは「的確なイメージを与えること」です。

その後、練習により言葉を使えるようになったと自信がついていきましたが、それは錯覚でした。自分にもともとないもので、伝えようとしても相手のこころには届きません。

そのことに気がつくまでずいぶん遠回りをしてきたもんです。

でもね、無駄なものはひとつもないです。表現の幅が広がったんですから。あとはそれを使う場面を自分なりに工夫していけばいいんですよね。

 

そうそう、アートクラスレポートでした。

草のスケッチの後、そのスケッチをもとにガラス絵を描きました。

ガラス絵は、書き直せませんからね、女の子は、ものすごい集中力で楽しそうに描いていて、生き生きとしたとても素晴らしい作品になりました。

そのあとは、正方形の大きな紙に、自分の花を咲かせてもらいました。

伝えたのは「絵の具たっぷり!!」だけ。元気でのびのびとした作品になり、こちらも大成功でした。

 

私は言葉が苦手だし、自分自身言葉を多く浴びせられると自分を縛るものに感じやすいので、自分ができないことやイヤなことで伝えようとするのは、よくよく考えてみると無理がありました。

自分の得意なものが、自分がリラックスするので、相手もリラックスしてもらえるようです。

総じてまとめますと、相手の魂に届きやすいのは「簡潔なイメージ」のようです。

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