ATARI MUSIC STUDIO

ピアノを中心に様々な曲を編曲・演奏します。ブログでは音楽関係のつぶやきを中心に書き込みします。
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グランドピアノの鍵盤はスライドする?

2021年02月27日 | 日記

グランドピアノでは、踏むと鍵盤がスライドするペダルがあることをご存じでしょうか?

グランドピアノには3本のペダルがあります。さて、どのペダルが鍵盤をスライドさせるペダルでしょうか?正解はのちほど!


一番右のペダルは「ダンパーペダル(Damper pedal)」です。とてもよく使われます。右足で踏むペダルです。


真ん中のペダルは「ソステヌートペダル(Sostenuto pedal)」です。同じく右足で踏むペダルです。
ダンパーペダルと同時に組み合わせて使う場合は、左足で踏むこともあります。

一番左のペダルは「ソフトペダル(Soft pedal)」です。このペダルは、踏むと鍵盤とアクションが全体的に2mmほど右にスライドするので、「シフトペダル」と呼ぶ人もいます。このペダルは左足で踏みます。

「一番左のペダル」が正解です!当たった方はいらっしゃいましたか?

メーカーによる機能差はないので、どのメーカーのグランドピアノでも、同様の効果が得られます。
アップライトピアノや電子ピアノの鍵盤はスライドしないので、グランドピアノ特有の動作ですね!

ここから、各ペダルの説明を少々させていただきます。
「ダンパーペダル」は、弦に触れているダンパーを上下させるペダルなので、そう呼ばれています。
ダンパーペダルを踏むと、弦をおさえていたすべてのダンパーが上昇し、弦から離れて、全弦フリーの状態になります。
一番右のペダルを踏んだ状態でピアノの鍵盤を叩くと、指を離しても弦の振動が収まるまで、音が鳴り響き続けることになります。
ペダルを離すと、全てのダンパーがおりて弦に接触し、弦の振動が抑えられて発音が止まります。

話が少し脱線しますが、ステージピアノやシンセサイザーのサスティーンペダルも、これと同様の効果を得る目的で使用されます。(私はサスティーンペダルも『ダンパーペダル』と呼んでしまいますが)

ちなみに、電子楽器に使うフットペダル(ダンパーペダルもどき)は、踏んだときに電気極性がONになるものとOFFになるものが存在し、ペダルの挙動が逆転してしまうものがあります。
電子楽器本体側で極性変更が可能な場合は、ON・OFF極性を切り替えてペダルを使います。(ペダル側に極性変更スイッチが備わっている場合もあります)

またハーフペダル(ちょっとだけペダルを踏んだ時の微妙な挙動)を再現できるペダルもあります。対応機種は、ある程度限られてしまいますが・・・

YAMAHA FC3A フットペダル(ハーフペダル対応)

 

話を元に戻します。真ん中のペダルは「ソステヌートペダル」です。滅多に使われません。
ダンパーを動かすペダルではあるのですが、押している鍵盤にのみ反応するので、「ダンパーペダル」とは、少し挙動が異なります。
「ソステヌートペダル」を踏んだ状態でピアノを弾いても、踏む前と後で何の変化も起きません。
一見何に使うかわからないペダルですが、例えば「ドミソ~」と鳴っている状態で「ソステヌートペダル」を踏むと、「ドミソ~」は手を離しても鳴り続けます。
「ドミソ~」が手を離しても鳴り響いている状態で他の鍵盤を叩いても、鍵盤から指を離すとすぐに音が消えてしまいます。
この不思議なダンパー操作を必要とするピアノ曲があまりないため、滅多に使われません。
このペダルがなくても、演奏上特に困ることはありませんが、残響や音の余韻をほどよくコントロールしたい場合などに、スッと一瞬踏むことがあります。
が、よほど使い慣れている人にしか、出番はほどんどないことでしょう。
ちなみに、アップライトピアノにも3本ペダルがありますが、真ん中のペダルは弱音器で、ソステヌートペダルではありません。

一番左のペダル「ソフトペダル」は、グランドピアノの場合、鍵盤アクションが全体的に右にスライドします。
グランドピアノの演奏に慣れていないと、ソフトペダルの扱いに若干面食らうことになります。

 

なぜ、鍵盤がスライドすると音が「ソフト」になるのか?

 

この説明はとても難しいのですが、少しだけ大雑把に説明をします。

ピアノは、鍵盤を押すと、ハンマーが弦に当たって音が出る楽器です。
弦に当たっているハンマーの先端はフエルト素材でできていて、いつも弦に当たる部分が潰れて固くなります。


ハンマーが弦に当たる部分をよく見ると、弦に当たる部分が少し食い込んで、凹んでいるのがわかりますね。
「ソフトペダル」を踏むと、鍵盤とハンマーアクションが一緒に、右に2mmほどズレます。
すると、いつも弦に当たっていない部分のフエルト(つまり柔らかい部分)が弦に当たります。これで柔らかいフエルトが弦に当たってソフトな音が出る、というわけです。

1つの鍵盤に、弦が3本張ってあり、ハンマーがいつも3本の弦に対して当たっている場合は、スライドすることで2本の弦に当たるようになり、音量も若干下がります。

かなり大がかりな仕組みなのですが、この説明で伝わりましたでしょうか?(笑)コメントにご指摘や感想などをいただけますと、嬉しいです。

楽譜上に「una corda」または「u.c.」と書かれている場合は、書かれた場所から先、ソフトペダルを踏んで演奏します。「tre corde」または「t.c.」と書かれている場所でソフトペダルを離し、演奏します。