ATARI MUSIC STUDIO

ピアノを中心に様々な曲を編曲・演奏します。ブログでは音楽関係のつぶやきを中心に書き込みします。
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【ピアノ初心者におすすめ】ブルグミュラー25の練習曲

2021年10月26日 | 日記

大人の方でも、これから自分の趣味を広げるためにピアノを習ってみたい、またはピアノが弾けるようになりたい、と思っている方は多いのではないでしょうか?
しかしながら、いまさら音楽教室に通う勇気もないし、習い事にお金がかかるのはどうもなぁ、と迷っていらっしゃる方もおられることでしょう。
であるならば是非!ご一読いただけたらなと思います。
これからピアノを弾いてみようかな?という大人の方にもぴったり!の「ブルグミュラー25の練習曲」をご紹介させていただこうと思います。


ブルクミュラー25の練習曲 全音ピアノライブラリー | 北村智恵, ヨハン・フリードリヒ・フランツ・ブルクミ |本 | 通販 | Amazon

楽器店の楽譜コーナーにも必ずといっていいほど置いてありそうな、超メジャーなピアノ練習曲集でピアノを習う子どもたちなら、バイエルの次に必ず手に取る楽譜です。
では、なぜ大人におすすめする初心者用練習曲集がブルグミュラーなのかを、少し私なりに語ってみたいと思います。

まずは、ブルグミュラーという人物について少し触れておきましょう。
ヨハン・フリードリヒ・フランツ・ブルクミュラーは1806年生まれのドイツの作曲家兼ピアニストです。ピアノ教師としてもかなり優秀で、ピアノを学ぶフランスの生徒さん向けにたくさんの練習曲を作曲しています。「世界的に有名な作曲家なのか?」と問われれば、そこは確かに微妙なところではありますが、日本では音楽教室の影響もあって、かなりの方が認知しているように思います。

100年以上前の作曲家ですから、著作権などは発生しません。有料チケットの音楽会で演奏しようがYoutubeで演奏動画をアップしようが何ら問題はありません。もしあなたが「弾いてみた動画」をYoutubeアップして誰かから訴えられる!なんて心配もありません。クラシック音楽のいいところのひとつですね。

「ブルグミュラー25の練習曲」はその名の通り、25曲が一冊の本にまとまっているのですが、1曲目がとても簡単に演奏でき、2曲目、3曲目に進むとだんだん難しくなるような曲順となっています。例外的に順番には弾けないものもいくつか存在しますが、全ての楽曲が1ページ、または2ページ見開きで弾ける楽曲で、演奏途中の譜めくりもなくとても練習しやすいのが特徴です。
手の小さい人や初心者でも弾けるように配慮されているにもかかわらず、とても音楽表現が豊かで聴きごたえのある楽曲ばかり。これは大変魅力的です。せっせと練習して弾けるようになっても、その先に「演奏表現」の世界が垣間見えるこの曲集は、音楽性を培うという点において大変優れていると思います。
演奏者の技量によって、また弾き手の感性によっても全然弾き方や表現方法が異なり、同じ曲であってもまるで別の曲を聴いているかのような錯覚に陥ることさえあります。

そしてこれは単純な理由ですが、Youtubeにかなり多くの「ブルグミュラー25の練習曲」の演奏動画が様々なユーザーからアップされており、楽譜に書かれている中身と動画演奏を見比べながら独学するにはもってこいの教材になりうるということ。

先日行われた第18回ショパン国際ピアノコンクールで2位を受賞した反田恭平さんも、この「ブルグミュラー25の練習曲」の全曲演奏をインターネット上に公開しています。いったいどんな演奏になるのか、是非こちらの演奏にも耳を傾けていただければと思います。「指使いの簡単な曲集」とか「子ども向けの練習曲」などという言い方で簡単には片付けられない、音楽の奥深さを感じさせられるはずです。


ピアニスト・反田恭平がブルクミュラー「25の練習曲」全曲音源&解説を公開! 聴きどころを紹介 by 飯田有抄 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス (eplus.jp)

「25の練習曲」というタイトルは、実は楽譜出版社の都合により省略された名前です。元々の原題は「25 Etudes faciles et progressives, composées et doigtées expressément pour l’étendue des petites mains」で、日本語に訳すと「小さな手でも弾けるように構成と運指を考えた、段階的に取り組める易しい25の練習曲」となります。

ブルクミュラーはドイツ人ですが、フランスに移り住んでから作曲・出版されたもともとフランス人向けの曲集なので、フランス語表題が原題になっています。
「ブルグミュラー25の練習曲」を是非、手に取ってみてください。きっと音楽への扉が開かれることと思います。


FAZIOLI(ファツィオリ)のピアノ

2021年10月22日 | 日記

先日行われた第18回ショパン国際ピアノコンクール(5年に1度開催)で、日本人の反田恭平(そりたきょうへい)さんと小林愛実(こばやしあいみ)さんが見事にファイナルへの出場を果たし、クラシック業界では久々に賑わいを見せています。
反田さんは、日本人としては最高位の2位を獲得しました。すごいです!小林さんも4位と大健闘しました!お二人とも入賞おめでとうございます!
今年のショパン国際ピアノコンクールで私が特に印象深かったのは、カワイピアノを選択するコンテスタント(コンクール出場者)が意外と多かったこと、またヤマハCFXを選択するファイナル出場者が一人もいなかったこと、第一位に輝いたコンテスタントがFAZIOLIピアノを演奏していたことです。

ショパン国際ピアノコンクールは、予選の段階から自分が弾きたいピアノを自由に選択することができるのが特徴です。
ショパン国際ピアノコンクールの公式ピアノは、日本のピアノメーカーであるヤマハ、カワイ、そしてイタリアのピアノメーカーファツィオリ、アメリカに本社があるスタインウェイ&サンズ(ピアノ本体はハンブルク工場製)の4メーカーです。ファツィオリは2010年第16回から公式ピアノになっていますが、ファツィオリ社は1981年に設立された会社で、ピアノメーカーとしてもかなり「新参者」です。


FAZIOLI F278 画像転載元はこちら→ http://fazioli.co.jp/products/standard/f278.html

前回の第17回ショパン国際ピアノコンクールでは、コンテスタントからまったく見向きもされなかったファツィオリでしたが、今回のコンクールでははなんと!カナダのピアニスト、ブルース・シャオユー・リウがFAZIOLI F278でピアノコンチェルトを演奏し見事1位を獲得しています。

カワイEXでファイナル本選に挑んだコンテスタントもいて、いよいよスタインウェイの牙城が徐々に崩れつつあるのかもしれません。(とはいえ、まだまだスタインウェイを選択するコンテスタントの数が圧倒的ではありますが)

第18回ショパン国際ピアノコンクール ファイナル入賞者...........(演奏したピアノ)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
第1位(カナダ)ブルース・シャオユー・リウ...........FAZIOLI F278
第2位(日本)反田恭平...........Steinway & Sons D-274
第2位(イタリア/スロベニア)アレクサンダー・ガジェヴ...........Shigeru Kawai-EX
第3位(スペイン)マルティン・ガルシア・ガルシア...........FAZIOLI F278
第4位(日本)小林愛実...........Steinway & Sons D-274
第4位(ポーランド)ヤクブ・クーシュリック...........Steinway & Sons D-274
第5位(イタリア)レオノーラ・アルメッリーニ...........FAZIOLI F278
第6位(カナダ)ジェイ・ジェイ・ジュン・リー・ブイ...........Shigeru Kawai-EX

第18回ショパン国際ピアノコンクール特別賞受賞者...........(演奏したピアノ)
―――――――――――――――――――――――――
★コンチェルト賞(国立フィルハーモニー賞)
(スペイン)マルティン・ガルシア・ガルシア...........FAZIOLI F278

★ソナタ賞(クリスチャン・ツィメルマン賞)
(イタリア/スロベニア)アレクサンダー・ガジェヴ...........Shigeru Kawai-EX

★マズルカ賞(ポーランドラジオ放送局賞)
(ポーランド)ヤクブ・クーシュリック...........Steinway & Sons D-274

ファツィオリのホームページはこちらです。興味のあるかたは是非ご覧ください。↓
http://fazioli.co.jp/


楽譜の読み方 (反復記号編②)

2021年10月18日 | 日記

 今回は、楽譜上に表記される『反復記号』についての続きになります。
くり返しを表現する記号には、||: や :|| の他にD.C.(ダ・カーポ)とD.S.(ダル・セーニョ)があります。
D.C.(ダ・カーポ)は、「曲の頭に戻って演奏してね」という意味の記号です。
D.S.(ダル・セーニョ)は、「セーニョ記号の位置まで戻って演奏してね」という意味の記号なので、D.S.はセーニョ記号(Sと÷が合体したような記号)とセットで出現します。

また、反復記号ではないですが、コーダ記号も併せて覚えておくとよいでしょう。
「0」と「+」が合体したような形のコーダ記号は、必ず2個セットで出現します。コーダ記号は次元をまたぐワープジャンプのような存在です。コーダが出現したら次のコーダ記号の位置まで瞬間移動します。コーダ記号が2個セットで使われるのは、ワープの入り口と出口を表現しているからですね。
気をつけなければならないのは、コーダ記号は、「初回演奏時(くり返して演奏する前)は無視される」という点です。
コーダ記号は、2回目のくり返しの時にワープする特性をもっているので、「反復記号あるところにコーダあり」というわけです。
そのためコーダ記号は、D.C.やD.S.などのくり返し記号と組み合わせて使われます。
コーダは曲の終わりを強調するために使われることが多いと思います。コーダの中で反復記号が使われることはありません。
コーダの元々の意味は「最終部」とか「末尾」です。
以下の図は、それぞれの小節に①から⑧までの小節番号を付けて、8小節の中に反復記号(リピート記号)やコーダ記号を付けた場合、どういった演奏順序になるかを示しています。

(A)ダ・カーポでくり返す場合
D.C.は、楽譜の最後に書かれる場合が多いです。D.C.は「曲の頭に戻ってね」という意味なので、曲の頭からもう一度演奏します。そのままだと最後にまたD.C.が出現して、無限ループに陥ってしまいます。
無限ループを防ぐために、D.C.記号が出てきて曲頭に戻ったあとは、「Fine(フィーネ)」と書かれた位置で演奏を終わらせます。D.C.とFineは必ずセットで使われます。
Fineは「終わり」の意味ですが、初回演奏時は無視されます。そうしないと、Fine以降の部分が一度も演奏されずに終わってしまうからですね。

(B)ダ・カーポと反復記号の組み合わせの場合
③④を2回演奏する以外は(A)と同じですが、注意すべきなのは、⑧までいって①に戻った場合、③④はくり返して演奏されない、という点です。
『D.C.で曲頭に戻ったあとは、全ての反復記号 ||:   :|| が無効になる』と覚えておきましょう。

(C)ダル・セーニョでくり返す場合
D.S.もD.C.と同様に、楽譜の最後に書かれる場合が多いです。D.S.は「セーニョまで戻ってね」という意味なので、セーニョ記号の位置まで戻ります。
くり返し位置のセーニョから、またD.S.まで演奏してしまうと無限ループに陥るため、こちらも「Fine(フィーネ)」と書かれた位置で演奏を終わらせます。
D.S.とFineはセットで使われます。D.C.の場合と同様、Fineは初回演奏時は無視されます。

(D)ダル・セーニョと反復記号の組み合わせの場合
④⑤を2回演奏する以外は、(C)と同じですが、D.S.でくり返したあと、④⑤はくり返さずに、Fineで演奏を終わらせます。
D.C.やD.S.で曲頭に戻ったあとは、全ての反復記号 ||:   :|| が無視されるところが大事なポイントです。

(E)ダ・カーポとコーダの組み合わせの場合
⑥まで演奏したら、曲の頭に戻ります。④と⑤の間にコーダ記号がありますが、くり返す前の1回目の演奏時は無視します。
①に戻って演奏したら④⇒⑦にジャンプします。「コーダ記号は、くり返した後に発動する」という性質を覚えておくと良いでしょう。

(F)ダル・セーニョとコーダの組み合わせの場合
⑥まで演奏したら③に戻ります。④と⑤の間にコーダ記号がありますが、くり返す前の1回目の演奏時は無視します。
くり返して③④と演奏したら、ワープして⑦⑧を演奏します。

反復記号(リピート記号)についての解説はこれで終わりです。
クラシック音楽に限らず、バンド演奏や吹奏楽、POPSや歌謡曲の楽譜でも、これらの記号はしばしば使われるので覚えておくとよいでしょう。


楽譜の読み方 (反復記号編①)

2021年10月17日 | 日記

今回は、楽譜上に表記される『反復記号』について解説させていただきたいと思います。
楽譜は「小節線」に区切られたいくつもの箱が連続して書かれているものであり、横軸に時間経過を表現しているわけですが、「ここからここまでは2回演奏してね」などを表現する反復記号(リピート記号)が存在します。
反復記号(リピート記号)があることで、同じことを2度楽譜に書く手間が省けるというだけでなく、演奏者にとっても「同じフレーズを2回くり返している」という明確な認識のもとに演奏することができます。
反復記号(リピート記号)の種類にはいくつかありますが、それぞれの役割や意味を理解すると、演奏順序がわかって楽譜が読めるようになる、というわけです。

以下の図は、それぞれの小節に①から⑧までの小節番号を付けて、8小節の中に反復記号(リピート記号)を付けた場合、どういった演奏順序になるかを示しています。A~Fのパターンはすべて①から始まり、⑧で演奏終了となります。



(A)2回くり返して演奏するパターン
これは「④まで演奏したら①にもどってもう一回演奏してね」という意味になります。
①の前に『||: ①|』が必要なのでは?・・・」と思った方もきっといらっしゃると思いますが、曲の頭に戻る場合は、くり返し位置の記号を省略できる、というのが暗黙のルールです。

(B)くり返し位置に指定があるパターン
これは「④まで演奏したら③に戻って演奏してね」という意味になります。
戻ってほしい場所が曲の頭ではないため、くり返し位置が明確になるよう記号『 ||: 』が表記されます。

(C)くり返し記号が複数存在するパターン
③④のくり返しと⑤⑥⑦⑧のくり返しで、リピートが複数存在している場合のパターンになります。こういった場合のリピート記号は必ずペアで組まれます。

(D)数字が書かれたカッコ付きのリピートパターン
少し複雑なパターンになります。④までいったら、いったん①に戻りますが、くり返した①②の次は⑤へ飛ぶところがミソです。

(E)カッコ付きのレアなパターン①
Dのパターンに似ていますが、これはくり返しが3回ある場合のレアケースです。
歌や合唱曲の楽譜で歌詞が3番まであるときに使われるパターンです。

(F)カッコ付きのレアなパターン②
これも歌や合唱曲など、歌詞がある楽譜によく出てくるパターンです。
③までいったら、①に戻りますが、2回目は③をとばして④にいきます。
④から①に戻ったら、今度は③と④を演奏せずに⑤に飛びます。

次回は、ダ・カーポ、ダル・セーニョ、コーダについて解説していこうと思います。