北の窓から(芦田っち)

PC関連と私的雑感のブログ。
2015年7月10日、カッコ内に名前を加えました。昔の友だちに気付いてほしくて・・・

求めよさらば与えられん・・・本の話です

2009-09-21 07:59:43 | 書評・映画評など
[この記事は Doblog に 2005-12-17 15:14:37 付で載せていたものです]

自分に想像力が不足してきたと感じていました.
ミニスカートから出ている脚には想像をたくましくするオヤヂですが,
この頃は,世間を騒がせている話題(マスコミによる潤色もある話題)に反応が乏しくなったと感じています.

感受性という言葉はオヤヂには不似合いなので想像力と言っておきますが,
想像力が枯渇してきたように感じていました.

で,そんな折に読んだのが
香山リカさんの「いまどきの『常識』」(岩波新書 969).
ちょっと長くなりますが,抜粋します.

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 「かわいそうなのは,私」.こうした感性がいま広がりつつあるのではないだろうか.この場合の「私」は「私たち日本人」と置き換えられることもある.私の苦しみについてなら,いくらでも語れる.それなのに,「自分の苦しみを深く理解すること」がいっこうに「ほかの人たちの苦しみもまた理解すること」への通路を開かない.
・・・中略・・・
 かつて,「自分も傷ついたことのある人は,他者の痛みにもやさしくなれる」と言われたことがあった.これが今ではまったく通じない.自分が苦しみを経験したことで他者の苦しみをも理解できるようになる,というのは,まだいくらかは心に余裕があったからなのだろうか.
・・・中略・・・
社会にいくらかでも余裕が戻ってくれば,私たちはまた他者の苦しみや痛みにも思いを寄せられるようになるのだろうか.とくに余裕のない生活を強いられているわけでもないのに,自分の苦しみにしか関心を持てなくなっている・・・----------------------------------------------------------------

なんとも耳の痛い文章ではありませんか.
「いまどきの『常識』」には憲法問題,自衛隊問題などについての記述もあります.
異論・反論の多い話題なので,この新書をお読みになる人の中にはムカッとくる方もおられるでしょうが,
他者への共感・同情などという感情が薄れてきたと感じている私にはうなづくところが多い一冊でした.
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