
神奈川県の認知症対応として、このほど「よりそいノート」が開発されました。
平成24年度に作成し、この4月より広く県内全域に対し、広報、配布が始まりました。
神奈川県は「かながわ高齢者保健福祉計画」(平成24年度~平成26年度)をもとに「神奈川県認知症対策推進協議会」を設置し、認知症対策の具体的な方法論を検討しています。
「よりそいノート」はその成果物となっています。
「よりそいノート」は、医療機関に限らず、多方面から網の目上に住民へ配布し、認知症と診断される手前から利用できることを目指しています。
網羅している内容は多く、本人の紹介(趣味、社会的立場、呼んで欲しい呼び名など)、家族の要望、医療情報、関わった方々が記載する掲示板、利用している介護事業所の情報、薬の情報、変化を確認する簡単なチェックシートなどなど情報量は非常に多く校正されています。
この1冊を見れば、その人のことは何でも分かるようになっています。
またジッパー付きの袋もセットになっており、お薬手帳や診察券など医療、福祉、介護に関わる情報を一緒に保管携帯することも出来るようになっています。
協議会のメンバーとして私も関わりを持たせてもらったことも有り、昨日当社の事業所であるふらっとを会場に小田原地区の介護事業所の方々に対し、配布および、内容を理解していただくため勉強会を開催しました。
「よりそいノート」の作成にいたる経緯、目的、完成までの経緯、普及するための課題などもあわせ、話をさせていただきました。
参加された方は、ケアマネ、グループホームの施設長、介護付き有料老人ホームの所長、訪問介護員、福祉用具販売貸与の事業所、デイサービスと多岐に亘りました。
このノートを普及させるため、神奈川県は力を入れていますが、郡市医師会の協力が必須となります。
医師会の協力が無ければ、中々機能していきません。しかし、今回の勉強会の参加者からは、普及するのを待っているのではなく、実際に我々介護事業者が理解をして、利用者に使ってみることも重要であるとの意見をいただきました。
昨年度小田原地区にて認知症への対応についてアンケート調査が行われました。
その内容には医師の意見として、
認知症を診断する明確な判断基準が知りたい
薬の量の設定について判断が難しい
専門施設の受診を進めても受診しない
など驚く内容もありました。
つまり、認知症かな?と思って近隣の診療所に受診しても認知症を明確に診断できる医師が少ないようです。
認知症については、早期発見、早期対応、適切な対応により、改善を期待でき、進行しないように対応できるといいます。
まずは「よりそいノート」を普及させ、小さな変化にも気付きを得て、適切な対応が出来るようにしていき、人生の時間軸にそった情報蓄積と本人を取り巻く、全ての人、機関、施設間での情報共有のツールとして役立てていただきたいと思います。