その電話は、フィリピンのマニラからだった。
「OSです・・・」電話の声は、電波の乱れで、少ししゃがれていた。熊五郎・・・!!!
その野太いバスの声で、高校時代がいっぺんによみがえった。
長い国際電話の後、メモしたアドレスに何度か失敗しながらメールした。@hopmailじゃなくて@hotmailだ。 「着いたらメールしてください」。
間もなく返信が来た。
「着信しました。 ことしは西高で出会ってから丁度50年目の年ですね。 何歳になっても美しい詩に接したら涙をながせるようでいたい と言ってたのを時々思い出していました。では また」
木造の古い校舎の教室。教壇に向かって右にある石炭ストーブの3列目が、我々の席だった。3時間目が終わると熊五郎の弁当を二人で食べて、昼休みには私のを食べた。
私の弁当のおかずによく入っていたギンダラが、熊五郎は気に入っていた。
「蜂屋」のラーメンに「二幸」のかつ丼。
政治の話、文学の話、音楽の話。
慣れない酒を飲みながら語り合うと、いつの間にか夜は明けていた。
そろそろ寝なくては・・・(学校に行かなきゃ)・・・
写真はノスリ。大きな落葉松のてっぺん。気温マイナス10℃!