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東京パリ日記

パリ日記第2章、終了。東京生活、再開。

写真に見る現実

2009-07-08 10:08:28 | シネマ・アート
わ。見に行こうと思ってたのに終わっちゃった。
プレス・カメラマン・ストーリー@写美
まだまだやってると油断してると終わっちゃうんだよな。

こちらは開催を待って行った世界報道写真展2009
ここ数年は、日本にいれば毎回見に行ってると思う。
そして毎回、複雑な気持ちになって帰る、みたいな。

報道写真だから、世界のいろんな出来事(良いのも悪いのも)の真っただ中で、それを目の前にしてカメラマンたちはシャッターを切ってる。
ものによっては、遠くでテレビ越しに見てた私たちにはぐさっとささる。
動画では見えなかった瞬間を切り取ってたり、
テレビのニュースではとても放送できなかったような場面を切り取ってる。

普段はきれいなもの、楽しいもの、作りものばかりに見慣れてて、
現実に起きてる戦争や紛争や大きな自然災害による被害には免疫がない。
報道写真は、目を背けるな、ってメッセージなのかも。

それにしても、地震や洪水といった自然災害は避けられないことだとしても、
毎年毎年、人間同士の戦いの写真が後を絶たないってのは、
なんていうんだろう、無力感というか、空しさというか…。

映画いろいろ

2009-06-18 23:38:54 | シネマ・アート
先週はみなとみらいまでフレンチショートフィルムを見に行ったのだ。
これが予想外に、と言ったらなんだけども、期待以上によかった。
フランスのショートフィルムを6本上映したんだけど、
4本くらい見たところで、このプログラム構成のバランスの良さにうなったね。
いろんな“フランスらしさ”が集まってて、どれもいい味わいがある。
(最後の1本はちょっと微妙だったけど)

実は久しぶりに見たフランス映画で、なんだかフランス気分が盛り上がって、
他にも見に行きたいなと思ったんだけど、今さほど公開されてないよね…。
お薦めあったら誰か教えてください。

で、なんと今年のEUフィルムデーズをすっかり忘れてたよ!
ショック。。。あと残りわずか。見たいと思ってたの見逃した。

もっとまめにチェックしなきゃだめねー。時の流れは速いのだ…。

写真展「聖地巡礼」

2009-05-18 23:58:08 | シネマ・アート
もう終わっちゃった展覧会なんだけど、
写美でやっていた、野町和嘉写真展「聖地巡礼」がすごく印象深くて、
写真から感じられるエネルギーがものすごくて、
見に行ってから時間が経っても、余韻が濃いのだ。
ガンジス、イラン、サハラ砂漠、メッカなど、気候などの自然条件が厳しいがゆえに、
それでも一切の迷いなくそこに集ったり暮らしたりする人たちのパワーに圧倒されるというか。

人にとって宗教ってなんだろう、しあわせってなんだろう、
っていう疑問を掻き立てられるのだ。
彼らのしあわせと、自分たちのしあわせ、何が違うんだろう、みたいな。
あの純粋で圧倒的なエネルギーに匹敵するものを、わたしたちは持ってるだろうか、とか。
あるべくしてあるんだな「聖地」が。

なんていうと宗教の勧誘とかされそうだけどすべてお断りします。笑

同じ写真展を見たお友達ともかなり語り合っちゃったよ。
宗教とは。日本人にとってのしあわせとは。みたいなのを。
ほんと、すごいエネルギーを持った写真展だったと思う。

モロッコ旅行のときのサハラ砂漠とそこに暮らす人たちを思い出してまた行きたくなったし、
イランにも行ってみたい。とりあえず写真集買おうかしら。

聖地巡礼
野町和嘉
クレヴィス

世界のブックデザイン

2009-01-08 00:39:01 | シネマ・アート
『世界のブックデザイン2007-08』展
2008年11月22日(土)~2009年1月18日(日) @印刷博物館

「世界で最も美しい本コンクール」というのが毎年ライプツィヒで行われてることも、印刷博物館の存在も知らなかったんだけど、
この展示会ではコンクール入選常連国の日本、ドイツ、オランダ、スイスに、フランス、チェコ、韓国を加えた7カ国の美しい本が大集合。
ちらりと見に行くつもりが、結構時間をかけてじっくり鑑賞してしまった。

コンクールの本場ドイツの本はどれも力作ぞろい。
ドイツ語がわからないので中身は推察するしかない本も多々あるんだけど、それもまた楽しめる。
紙の質感や厚さ、紙の色も多種多様で、眺める楽しみがあるんだよね。
CDつきのジャズの本があったんだけど、本の形も大きさも色も、中身の紙も色も文字も絵も、
とても個性的なんだけど安心感もあって、ドイツ語が読めなくても欲しいかんじ。
全体的にドイツのはしっかりした本作りをしてる感じがした。デザインだけでも、中身だけでもなく。

一般的には多くの本は内容が一番大事なんだけど、
手に取ったときの表紙の肌触りとか、ページをめくるときの質感とか、
そういうことまでトータルに深く考えられた美しい本というのがって、
それを熱心に作ってる人がいて、美しいなあと買う人がいる。

本に限らず大事なことですねこれ。
その場しのぎでもなく使い捨てでもなく、いいものを作ったり所有する楽しみ。

EUフィルムデーズ2008

2008-06-06 19:18:00 | シネマ・アート
昨日で終わっちゃったんだけど、もっと活用したかったEUフィールムデーズ2008

ちょうど旅行に行ったりとかで、結局1本だけしか見に行けなかったんだけど、
ヨーロッパの小さい作品を見る機会は日本ではなかなかないので、
こういう企画はいいなあと思う。しかも1本500円。
上映時間帯にはもうちょっと配慮があってもいい気がするけど。

私は「タパス」というスペイン映画を観たんだけど、
すごく気に入った。いい映画だった。
スペインのある街のごくありふれた人たちの暮らしを描きながら、
日本とも共通する要素がたくさんある。離婚、孤独、ネット恋愛、etc.

これも見たかった、あれも見たかった、と活用しきれなかったことに悔いありだけど、
500円でスペインの生活を垣間見れた。

いいよね映画って。

建築の記憶

2008-03-25 02:07:16 | シネマ・アート
春うらら。すっかり日差しが春の明るさである。

週末、庭園美術館でも桜咲く。2年ぶりの桜なのだ。
明るい青い空の下、高い大きい枝に咲く桜。うーん、雅。

庭園美術館で3月31日までやってる「建築の記憶 -写真と建築の近現代-」

建築の"記憶"だけに古いところから始まる。被写体になってる建築物もさまざま。
明治時代に撮られた熊本城や東京の風景から、建設過程から記録した現代モノまで。

そもそも写真の歴史自体が短いので、近現代というとほぼ収まるんだな。
記録から、建築の美しさを引き出すことを目的にした現代の写真へ。
絵画のように持ち運べる芸術品とちがい、本物を見るには現地に赴くしかない建築。
でも時には、漠然と実物を目の前にするより、
写真家や建築家によって計算し尽された建築写真によっての方がその美しさが引き立つこともある。
建築あっての建築写真だけど、建築写真は建築写真なのだ。と思う。

展示会全体としては満足度はいまいちだったけど、
桂離宮の美しさにはかなり萌え。日本伝統の建築美、すばらしい!
過剰な装飾が一切ない中での造形美。これはむしろ非常にモダンでもある。

ル・コルビュジエのサヴォア邸に行ったとき、そのシンプルな造形とかわいい色使いにかなりやられたけど、
意識としては通じるものがあるんじゃないかって気もする。
日本から例えばフランスに旅行に行ってルーヴルやヴェルサイユを見るとそのゴージャスっぷりにめまい、みたいな感じだけどその対極よね。
時代はほぼ同じなのに。

しかし桂離宮の魅力を存分に引き立てるその写真も素晴らしかった。

行きたいなあ、桂離宮。
え、事前申し込み制なの??桂離宮

映画『パリ』

2008-03-19 01:07:08 | シネマ・アート
先日セドリック・クラピッシュ監督の映画『パリ』(PARIS)を観てきたのだ。
フランスでも2月20日に公開されたばかり。
パリで見れなかったのが残念だった作品がこんなに早く東京で見られるとは!
ということで見に行ってきたのだ。

フランス映画祭2008

パリで見たいと思ってたときから、矛盾してるようだけどさほど期待してなくて、
というのもタイトルからして「パリ」だし、俳優も有名どころが何人もいて、
作品そのものより「パリ」「デュリス」「ビノシュ」らの文字面が目立ちすぎるというか。

結果、予感は当たってたのかも。
嫌いじゃないし、そこかしこで笑えるし、パリの日常がある。
けど、パリの日常を再確認する以上の何かがなかったような。
さらさらと流れて、どこかに立ち止まることも深まることもない。
おもしろいけど残るものがない。
と観た直後は思ったけどそういう映画があってもいいのかなと、後になって思った。
立ち止まらず深まることもなく雑多な人たちが淡白に通り過ぎてくのもパリ、だと。

まあ、登場人物たちも個々人を見れば決して淡白に暮らしてるわけじゃないんだけどね。

でもまあやっぱり、全体としてはちょっとベタだったかな。
良くも悪くも予想は裏切られず。

ルシーニ、芸達者。笑

久々に日本でシネマ

2008-02-20 22:11:00 | シネマ・アート
まだ帰国して数日でいろいろ忙しいのだけど、そんなときこそシネマで気分転換。
パリで見逃した映画がちょうど日本で公開中だったのでこれを見に。

『潜水服は蝶の夢を見る』(原題:Le Scaphandre et le papillon

これから見る予定のお友達もいるので内容には触れないけど、
心に響くいい映画だった。
やもすればお涙頂戴的な映画になっちゃいそうなテーマなのに、
軽妙な心を忘れてない。オトコであり、人間であり、いかにもフランス人だ。

フランス映画なんだけど、字幕があるとつい字幕に眼が行っちゃう。
字幕なしでは理解度は下がるけど、映画の世界には100%集中できる気がする。
なしで見たかったなあ。
(逆にパリでは字幕ありでもう一度観たいと思う映画もあった。ないものねだり。)

ところで久しぶりの東京での映画鑑賞。
日本の方がパリよりずっと映画館内が静か。
静か過ぎて居心地悪いほどに静かだったけど、もちろんうるさいよりずっといい。
本編が終わってもほとんど誰も席を立たないので、列の真ん中にいた私ももちろんみんなが席を立つまで待った。
エンドロールの最後まで、明るくなるまで真剣に見てる。(パリではあまりない)

そして映画の宣伝にお金がかかってる。(だから映画料金が高い?)
映画ごとに立派なHPやきれいな紙のチラシを作り、
宣伝映像にも「○○映画祭○○賞受賞」みたいな文字列が並ぶ。

誰かにどこかで評価されたことがとても大事な日本。
もっとまっさらな状態で映画を選んだり、見たりしたいなあ。

新年初美術館へ

2007-01-05 01:06:48 | シネマ・アート
新年初美術館。パリ友とブリヂストン美術館へ。
展示作品数も多く、見ごたえある展示会。
じっと見る 印象派から現代まで

先日の『翻訳家の仕事』とも関連するのだけど、
美術品の作品名の翻訳も、かなり奥深いものがあると思う。
だからこそ言いたい、作品には是非とも、是が非でも原題も表示してほしい

いろんな展示会を見に行って毎度気になるのだけど、
画家や彫刻家がその作品になんと名づけたか、
原題の意図は、その響きはどんなだったかと、
ぜひとも知りたい。それが作者の生の声だと思うから。

例えば、ロダンの「考える人」は原題"Le Panseur"(ル・パンスール)だけど、
英語のタイトルは"The thinker"(ザ・シンカー)。

「シンカーになっちゃうんだ・・・。」

英語表記が不要だって言いたいのではなく(外国人客のための英語表記なのはわかってる)、
原題+英語表記して欲しいっていう気持ち。
だって、音的な印象が全然ちがうんですもの。
ピサロの「ブージヴァルのセーヌ河」は英語で"The Seine at Bougival"、

「ザ・セーヌって!」

もちろん誤訳ではないんだけど、
「ラ・セーヌ」(仏)と「ザ・セーヌ」じゃ印象違いすぎ。まるでベツモノのよう。

え、ちがわない?

ちがわないかな・・・。(だんだん自信なくなってきた)

確かに作品にフランスのものが多いから余計にそう思ったかもしれない。
私もパリ友も多少なりともフランス語やフランスを知っているからというのはもちろんある。

でも、元が何語であっても、やっぱり知りたいな、作者自らがつけたタイトルを。
原題と日本語を比較することで外国語を知ることもできるじゃんね。
一律英語表記じゃあ、なんだか味気ない。

作品タイトルも、作者が創造した作品の一部だと考えたら、
原題を表記しないのはやっぱりなんだか腑に落ちなくない?

(展示作品のタイトル翻訳してみたい)

光と影の芸術

2006-12-28 19:37:39 | シネマ・アート
おそらく今年最後の展覧会鑑賞。
これまでになくいろいろ見に行った1年だった、今年は。
写美は今年、3回目かしら。

光と影-はじめに、ひかりが、あった(東京都写真美術館)

写真とはまさに光による芸術。光と影からなるもの。
その原点に返って、まさに光と影によってなされているのだと伝わってくる作品や、
技術が進んだ現代ものまでを展示。

日本の写真家の作品が多かったのだけどその中の1人で(名前が曖昧)、
自身の作品説明の言葉の中で、以前に比べて、
「コンピュータがはじき出した建物の造るシルエットは、なぜかカメラを持つ手に弾みをつけてくれない」
と書いていて、その言葉がなんとも説得力があるというか、
写真家の意図する意味とは違うかもしれないけど、例えば自分に置き換えてみて、
パリでと東京では撮りたいと思う場所やタイミングや頻度が全然ちがって、
それは確かに外国人として見るパリなのか、見慣れた東京なのかという違いはあるのだが、
でも気持ちが惹かれる惹かれないっていうその境界線の1つとして、
「コンピュータがはじき出した建物の造るシルエット」か否かというのは、
ああ、そうなのかもしれない、と思ったのであった。

いいな、素敵だなと思う作品も多々あり、いろんな作風も見れてよかった。

それにしても、今、私たちが手にしているカメラって、
本当に高性能で高機能よねえ。

機械の助けが最小限であった昔の作品には、
なんともいえない味わいがありました。