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東京パリ日記

パリ日記第2章、終了。東京生活、再開。

汽車はふたたび故郷へ

2012-03-28 23:41:50 | シネマ・アート
オタール・イオセリアーニ監督の『汽車はふたたび故郷へ』
昨年のフランス映画祭の上映作品にもなっていた本作。いやあ、淡々としてた!

グルジアという国のこともほとんど知らないし、旧ソ連の一共和国だった当時、
自分の映画を撮ろうとすることがどれだけ大変だったことか。想像もできない。
ではパリだったら自由に好きなように自分の映画が創れたか。
これまたノンだったりするわけなんだよね。

様々な干渉や制限がある中でも自分自身でいることの難しさ。
でも、そもそも"自分自身"とはなんだ?
どうありたいのか、自分は誰に何を訴えたいのか。

全く別の話なんだけど、やはり旧ソ連出身でその後亡命した人の話の中で、
「本当に恐ろしい思いをして、たくさんの人のおかげで今の自分の自由がある」というのを聞いて、
こうやって気ままに暮らせる"自由"というのは、誰にでも当たり前にあるものではないんだと、
その言葉に考えさせられたことがあった。

イオセリアーニ監督の自伝的この映画は、淡々と、当時の様子を描いてく。
特別なメッセージを台詞で伝えることはない。
パリに移住したら生活が楽になるかと思いきやそんなことはない。

今の自分に、今のこの環境で、できること、したいことはなんだろう。
それをするための努力は、もっとできるんじゃないか。
ひとつひとつはちょっとでも。誰にでも。

というわけで、さっそく仏語の勉強に取り組みます!


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紀伊國屋書店


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サルトルとボーヴォワール 哲学と愛

2012-03-27 20:10:50 | シネマ・アート
いまさらですが、やっと観た。

『サルトルとボーヴォワール 哲学と愛』

サルトルのイメージ、ちがったわー。と言っても元々そんなに知ってるわけじゃないけど。
女性のボーヴォワール側に立ってこの物語を観るともやもやしたものが残る。
強くあろうと、"自由"であろうと自分と戦い続けたボーヴォワール。
どう生きるか、女はいつも葛藤しているのだ…。

1929年に出会ったサルトルとボーヴォワールの"自由恋愛"に"契約結婚"。
今のジャポンで実践したらどんだけ物議を醸すだろう!
現代フランスではPACSもあるし、同姓婚も含めてありだし、
パリの街ではゲイカップルがしあわせそうにデートしてるし、
外国人を含め多くの人にとってより寛容な街だと思う。
そういった空気は、サルトルやボーヴォワールたちの存在、行動が創ってきたのかもしれない。

しかしあの二人、ずっとVOUSで話してたのよね。
ボーヴォワールはサルトルのこと「ジャンポール!」じゃなくて「サルトル!」って呼んでたしね。
関係、距離感、自らを律する感じ、そういうのが表れてるなと。
(今でも貴族な方々は夫婦でもVOUSで話すって聞いたことあるけど会ったことはない)

あ、あと、ソルボンヌの近くが登場して、あーあそこだ!毎日通ってた!なんて懐かしくなったり。
実際あそこに住んでたのかなボーヴォワール。
何かの撮影してるのに遭遇したこともあったけど、"名所"だったのかも?

実際のサルトルやボーヴォワールの人物像を知りたくなったなー。
サルトルってほんとにモテたのかしらん。
著書も…うん、いつか手に取ってみよう。いつか。

ところでこの映画2006年のなのね。
日本公開は2011年。時差すげえ。


世紀の恋人―ボーヴォワールとサルトル
藤原書店




世界最古の洞窟壁画3D 忘れられた夢の記憶

2012-03-15 01:06:02 | シネマ・アート
『世界最古の洞窟壁画3D 忘れられた夢の記憶』は、ドイツが誇る世界の巨匠ヴェルナー・ヘルツォーク監督による稀有な映画である。1994年南仏で発見されたショーヴェ洞窟、その奥には3万2千年前の洞窟壁画が広がっていた。フランス政府は貴重な遺跡を守るため、研究者や学者のみに入場を許諾してきた。ここに初めてヘルツォーク監督率いるスタッフが入り、3Dカメラによる撮影を敢行した。(中略)3万年前の絵画の驚くべき美しさと現代技術が共鳴し実現した、時空を超える夢とロマンのワンダーランドがついに日本公開となる。(公式HPより)

『世界最古の洞窟壁画3D 忘れられた夢の記憶』
ヴェルナー・ヘルツォーク監督

実は初3D映画鑑賞だったんですが。3Dにしてよかったのかなこれ…。

ドキュメンタリー映画なんで、専門家に話を聞くような場面も多々あって、
ふつーでいいよふつーで、って何度も思ったわ。
でも確かに洞窟内部の広さや奥行き、絵が描かれてる壁のでこぼこ感というのは、
監督がぜひ3D映像で伝えたかったところなんだろうな。

なんたって、専門家の調査でさえ、1年に1度決まった時期に厳選されたメンバーしか許されない。
カメラが入ることは二度とないかもしれない。だったら3Dで撮っておこうぜ!
ってなるな、いまどきなら。

3万年以上昔に暮らした人類が、きっとその中の絵の上手な人が描いた絵が、今もあんなにはっきりくっきり残っているなんて。
映画を見てるときは3Dの見づらさが気になってあまり深く考えなかったけど、じわじわフシギ感が増してきた。

ところでショーヴェ洞窟から30kmほどのところにフランス最大の原発があり、
原発で温められた水によって熱帯化したエリア(施設)に何百頭っていうワニが飼育されているのだ!!
なんということ。なんという変化。

(実はワニが一番衝撃映像だったりして)

生誕100年記念写真展 ロベール・ドアノー

2012-03-13 19:23:53 | シネマ・アート
これは見に行かねば。

生誕100年記念写真展 ロベール・ドアノー
2012年3月24日 ( 土 ) ~ 5月13日 ( 日 )
@東京都写真美術館

パリ市庁舎でドアノー展あったよね、あれ何年前だろう。(日記書いてた→これ
すごい人気で行列したなあ。

何気ない普段のパリの人々を切り取ったドアノーの写真はいつ見ても、
パリっていいなあって思わせてくれる。

また行きたくなっちゃうねパリ。


Robert Doisneau
Taschen America Llc

ジャン=ミシェル・オトニエル 「マイ ウェイ」

2012-03-09 02:00:47 | シネマ・アート
展覧会終了間際!ぎりぎりのところで行くことができた原美術館

ジャン=ミシェル・オトニエル 「マイ ウェイ」
2012年01月07日 ~ 2012年03月11日

最近の週末はかなり混雑していたようなので、平日に行けるときに行こうと思ってたら本当にぎりぎりに。
早めの時間帯に行ったので大混雑ではなかったけど、
ちびっこが「うっぎゃーーーん!!!(泣)」としていたり、薄曇りの寒空だったり、
ちょっと急いでいたせいで心にゆとりが少なめだったもので、
やっぱりもっと余裕のある時に行くべきだったと反省。
晴れた日ならきっと日差しが入ってもっと作品が輝いてたんじゃないかな。

いろんなアートがありますが、私は単純に、まずは美しいものに惹かれる。
オトニエルのムラーノガラスを使った作品などは輝いたり反射したりで、
近寄ったり遠ざかったり角度を変えたり、見たり写真を撮ったり楽しい。(写真撮影可!)

撮影可というのは、作品の見方を変える。
その作品のある空間をどう写真に切り取るか、という目線になる。
あまりにそっち寄りになってもどうなんだろうなという気もしたけど、
(作品そのものよりも写真の出来に注意が向く)
そんなに堅いこと言わなくてもいっか、という結論に至った(笑)

作品数はそれほど多くはないけど、原美術館という空間自体もすてきなので、
興味ある方はぜひ。

といっても残り3日…。

アーティストとヒューゴ

2012-02-28 00:11:56 | シネマ・アート
普段はアカデミー賞がどうとかあまり興味ないんだけど(だってカンヌとかと違って外国映画にあまり開かれてない)
今年、5部門ずつ受賞した『アーティスト』と『ヒューゴの不思議な発明』はおもしろい関係だなと。

『アーティスト』はフランス映画で、舞台は1927年のハリウッド。
『ヒューゴの…』はアメリカ映画で、舞台は1930年代のパリ。

舞台がパリならヒューゴじゃなくてユーゴだろ、とか思っちゃうけどね。
フランスらしさパリらしさを強調しつつ(観てないからわかんないけど)、
登場人物がバリバリ英語でしゃべるっていうのがどうにも居心地が悪いからこういうの苦手なんだよなー。
英語圏の観客には違和感ないんだろうけど。

言葉の響き、しゃべり方、しゃべる時のしぐさも含めて、その街や国の空気を醸し出す。
たどたどしい不自然な日本語で全編演技されても日本人は感動できそうにないのと同じで。

その点『アーティスト』は無声映画。言葉の壁がない。
それぞれが自分の中で、自分の言葉で想像したり解釈したりすればいい。

それはきっと言葉のない舞台芸術も一緒。
そういう作品は、軽々と国境を超えるのだ。

ページ・ワン:ニューヨーク・タイムズの内側

2012-02-17 23:42:59 | シネマ・アート
長らく休眠してたけど、再開してみようかな…と思ったのはこのドキュメンタリー映画を見たからかも。

メディアの変容――アンドリュー・ロッシ《ページ・ワン:ニューヨーク・タイムズの内側》

アメリカの大新聞であり伝統と信頼を誇るニューヨークタイムズ。
そんなニューヨークタイムズであってさえも、経営難。
新たなメディアが登場し、ネットでなんでも済んでしまう。
紙に印刷した新聞なんて時代遅れさ…と。

「みんななんでもタダで手に入ると思ってる。タダのものなんてないのに」

とニューヨークタイムズの記者。
ほんとにそうだなあ、と思った。
誰でもネットで簡単に発信できるけど、
お手軽に入手できてお手軽に発信できる情報"だけ"になっちゃったらやだなあ。
深く考えたり時間をかけて追ったり。
そういうことも大事にされてほしい。

恵比寿映像祭
2月26日までやってます。

創造と破壊

2010-01-31 00:11:08 | シネマ・アート
気付けば1月が終わろうとしてて、それってつまり、
始まったばかりだと思ってた2010年も12分の1終了…。
おそるべし。

ずっと気になってたこれに行ってきた。
No Man’s Land 【ノーマンズ ランド】創造と破壊@フランス大使館

大使館はもう新庁舎に移ったし、取り壊すばかりの旧庁舎は好きに使ってね、
とアーティストに託されたイベント。
さすがアートの国、フランス。(ってことでいいでしょうか?)
開催期間中、アーティストの活動も進行してるそうで、
間をあけて見に行くと展示内容が変わったりしてるそうだ。
実際、私が行ったときも壁を塗ってる人がいたよ、携帯片手に。(そんな感じでいいんだ。笑)

たくさんのアーティストが参加してるから、
いいなと思うものも、全く惹かれないものも当然いろいろあるんだけど、
私が気になってたのはむしろ壊される建物の方だったから、
面白い作りだなーとか、何に使ってた部屋なんだろーとか、なぜゆえ窓に格子が、
とか思いながら散策。けっこう広い。
古い建物だから周りの木々も立派。春にはきっと窓からの桜がきれいなんだろうなあ。
建物壊しちゃったら庭や木々はどうなってしまうんだろう。
跡地にはレジデンスができるらしいけど。

レトロな建物大好きなので、いい感じに朽ちてる雰囲気やいかにも古い設備に、
アート作品以上に萌えっとして帰ってきた。
大使館としての仕事や機能を考えたら新庁舎はきっと快適なんだろうけど、
古いからこそのあの雰囲気は、そう簡単には手に入らない。

好評につき2月18日まで延長されたそうです。
入場無料なので、お散歩にぜひ。

フランス大使館がアート会場

2009-12-16 10:26:58 | シネマ・アート
なんだか気になるものメモみたいになってるけど、こんなのも気になっている。
取り壊し前のフランス大使館旧庁舎を使ったアートな試み、
No Man's Land公式HP(2010年1月31日まで)

フランス大使館と言えばビザの申請のためにプレハブ小屋みたいなところに何度か行ったくらいで、
もちろん通常は本体には入れない。
けど、新庁舎が完成して、旧庁舎はもう壊すばかり、
そこをアーティストに自由に使ってもらって、それを一般の人にも無料で見てもらおう、ということらしい。

ちなみに旧庁舎を取り壊した跡地には超高級マンションを建てるんだって。
びっくり。
フランス大使館の敷地内に住めるってこと??
ってことはそこフランス?治外法権?(まさかそんな)

ってどうせ庶民には無縁だけど。ちょと気になった。

華やぎのジュエリー

2009-07-10 10:30:41 | シネマ・アート
ルネ・ラリック展@国立新美術館

早々に前売り券を買って楽しみにしてたラリック展。
ほんと見に行ってよかった。素敵だった。うっとり。
華やかなデザイン、何とも言えない微妙な色合い、繊細な細工、
デザイン画の時点ですでに作品と言えそうなくらいすてきだし。

これまでいろんなところでラリックは見てきたから、
今回もかぶってるのが多かったりして、なんてちらりと考えたことを反省。
リスボンの美術館や個人のコレクションからたくさん来てて、とっても見ごたえあり。
ラリックはほんと作品が豊富。作品数も、作品の幅も。
だからいろんな美術館やエクスポジションを繰り返しても見飽きることがない。
ま、好きだからってのがでかいけど。

ああ、よかったなあ。リピートしたいくらい。