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東京パリ日記

パリ日記第2章、終了。東京生活、再開。

『黒いスーツを着た男』

2013-09-20 23:54:26 | シネマ・アート
『黒いスーツを着た男』(カトリーヌ・コルシニ監督《Trois mondes》2012年フランス・モルドバ)

フランス映画祭のとき観に行けなかったので。
もちろん映画祭オープニングでは生ラファエルを食い入るように見てきたけど(笑)

原題は《Trois mondes》、どんな3つの世界が展開されるんだろうと思いながら観始める。
最初、男同士馬鹿騒ぎするのも3人だったけどね。

それにしても救われない気持ちになる。
悪者になれないアランの葛藤。
どうすればよかったんだろう、どうすべきなんだろう、
この先どう生きて行けばいいんだろう。

思いがけずひき逃げ犯となったアラン、
ひき逃げの目撃者となったジュリエット、
被害者の妻ヴェラ。
3者3様の苦しさ。

ヴェラと夫がモルドバからの移民で不法就労だという設定だったので、
モルドバについてぐぐってみたり。

フランスには(フランスだけじゃないけど)ほんとに多種多様な人がいて、
日本の本や雑誌やテレビで見る華やかなパリやフランスのイメージとは違うダークな現実があって、
普段知ることができないその現状を、フランス映画は垣間見せてくれるものが多いよね。

それもフランスですよ。
それも含めた上で、ですよね。


写真展「暗なきところで逢えれば」

2013-09-15 12:11:24 | シネマ・アート
米田知子 暗なきところで逢えれば@写美
2013年7月20日 ( 土 ) ~ 9月23日 ( 月・祝 )

これもまた会期終了間近。
ポスターになってたサハリンの写真に惹かれ、
見たいと思ってたのだ。

いくつかあるシリーズの中でも好きだったのが「Scene」と「サハリン島」。
「Scene」では、タイトルを見なければどこにでもありそうな日常風景。
きれいな写真、なんだけど、実はそこが特攻隊の出撃基地跡であったり、
伊藤博文暗殺現場、であったりする。
それを知ってあらためて写真を見ると、
なんというか、じわじわくるものがある。
当時ときっと大して変わらないであろう景色。

「サハリン島」はさながら廃墟の島の雰囲気。行ってみたいわーー。
帝政ロシア時代の流刑地。
監獄があった場所や、囚人が掘ったトンネルがある場所。
座礁したまま朽ちて残っている日本の軍艦。
時間が止まっているわけではなく、流れているはずなのに、止まってる感。
きっと実際にサハリンに旅行で行ったとしたら、
生きている、時の流れているサハリンなんだと思うけど、
米田さんの写真は、昔の時間を写してる感じがするんだよね。

さっそくサハリン旅行で検索してみちゃったりして。

チラシが2パターンあったから両方もらってきちゃった。
いい写真展だった。


米田知子 暗なきところで逢えれば

『タイピスト!』

2013-09-13 13:08:38 | シネマ・アート
『タイピスト!』(レジス・ロワンサル監督 2012年フランス)

デボラ・フランソワとロマン・デュリス。
田舎を飛び出したちょっと抜けてる、タイプライターを打つのだけは早いローズと、
ローズを秘書に雇った社長ルイ。
難しいことを考えずに、笑って、楽しんで、明日もがんばろって思うような映画。

ひげのないロマン・デュリス珍しい…とか余計なこと考えた(笑)
垢ぬけないし、決して有能じゃないのにどこか憎めないローズ。
しかしどうしてそんなにのめり込んだルイ!

それはそうと、タイプライター早打ち世界大会なんてほんとにあったとは。
大会の場面、おもしろい。タイプするだけなのにすんごい白熱。
決勝がアメリカvsフランスなのもまた盛り上がる。
そしてフランスという国のキャラが、自他共に、くっきり描かれてる。
やっぱりビジネスよりラブの国ですよね~。(あえて英語で書きますが)

デボラの女優っぷりに、
日本の若い女優さんたちとは同じ女優と呼ばれるにしても別の職業なんじゃないかと感じるくらい、
思うところがあった。
まあそれは世の中が求める女優像であったり、作品が求める役であったり、
女優個人個人の違いというよりは文化・背景の違いかもしれないけど。
描きたい絵の違いでもあるかもしれない。

私はやっぱり、人間としてのいきざまをさらけ出すフランス映画の女優たちに、
年代問わず、かっこよさを感じるな。

ま、日本はカワイイ文化だからね。

PAPER ‐紙と私の新しいかたち‐展

2013-09-07 11:45:16 | シネマ・アート
今週末で終わっちゃうー!

PAPER ‐紙と私の新しいかたち‐展 @目黒区美術館
2013年7月20日(土)~2013年9月8日(日)

展示室3つの小規模展示だけど、おもしろかった。特に最初の部屋。
天井からたくさんつるされた紙でできた繊細な空気の器。
ゆらーっと揺れて、眺めてると癒される。

そしてなんといっても展示室の壁をぐるりとつかった1/100建築模型用添景セット。
これがおもしろい。
たしかに建築模型にいるよね、人とか車とか犬とか。
完成イメージを膨らませやすいように。
それのひな型というか、切り取ってすぐに使えるキットになっていて、
それを活用していろんな場面を作ってるんだが、これがすごい。
何パターンあっただろう。50以上、100近く?
「プロポーズ」とか「ビンタ」とかね、笑っちゃう。

サイトがあった。テラダモケイ

写真美術館で観た「ネコライオン」もそうだったけど、
作品というモノだけでなく、そこに付加されてる言葉によって面白味が増す。

で、さらに面白いのが、展示室だけじゃなくて美術館のあちこちに模型人間や動物がいるのですよ。
湿度計の上、階段の手すり、棚の上、などなど。


ぐびぐび。


あぶなーい!


あらかわいい。


こんなところにも!

すっかり楽しくなって、ぐるぐるしちゃった。
ショップでグッズも買えます。



紙でつくる1/100の世界 テラダモケイの楽しみ方

プーシキン美術館展

2013-09-02 21:33:56 | シネマ・アート
プーシキン美術館展 フランス絵画300年@横浜美術館
2013年7月6日~9月16日

サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館でそのあまりのお宝っぷりにやられましたが、
モスクワのプーシキン美術館から来てるフランス絵画たち、観てきた。

17世紀古典主義から20世紀のマティスやピカソまで、66点。
これくらいの規模の方が1点1点じっくり見られるというのはあるな。
エルミタージュとかあまりの多さにありがたみも薄れたしね。(笑)

時代と共に動く絵画界の発展と変革がわかりやすい。
神話とか、宗教とか、架空の世界や理想の姿を描いてた画家がリアルを描くようになる。
身近にある現実を対象にしようっていう「発見」ってどんなだったんだろうとか想像したり、
当時の画家同士、パトロンと画家がどんな話をしてたんだろうとか、
時間的にだけじゃなく遠くから段々私たちの方に近づいて来る感じがする。

展覧会ポスターにも使われてる「ジャンヌ・サマリーの肖像」(ルノワール)。
コメディーフランセーズの大人気女優だったジャンヌ(当時二十歳)のなんとも言えない表情。
若くて美しい女優。それを描いた画家。最良の時。
ジャンヌがその後33歳で亡くなったことを知ってあらためて見ると、切ない。

もうひとつ切なかったのが、「医師レーの肖像」(ゴッホ)。
病んでたゴッホを治療した医師に感謝の気持ちを込めて描いたのに、
本人には気に入ってもらえず、邪険に扱われていたという絵を見ると、
こっちの場合は、思いを受け取ってもらえなかった描き手ゴッホのことを想って切ない。

それにしても、目利きのコレクターがいたんだねえ。
そしてロシア革命で全部没収と。。

横浜での会期終了まで残り少ないので混んでそうだけど、
行きたいと思ってたらぜひ行っとくべし。と思った。



プーシキン美術館展公式ガイドブック (AERA Mook)

岩合光昭写真展「ネコライオン」

2013-08-29 20:28:29 | シネマ・アート
岩合光昭写真展 ネコライオン@東京都写真美術館


よかった!にゃおーんとがおーんの競演!
暮らしてる環境は全然違うネコとライオンだけど、
立ち姿が似ていたり、しぐさが似ていたり、おんなじような顔してたりおもしろい。

港に戻った漁師さんからお魚をゲットしようと待ち構えるネコの後ろ姿。
遠くの獲物の群れをじっと見つめるライオンの後ろ姿。

子ネコをくわえて運ぶにゃんこ。
子ライオンをくわえて運ぶがおーん。

1枚1枚の写真が切り取ったネコやライオンの佇まいが素晴らしくて、
さらにネコとライオンが並んでるものだから、
ニヤニヤ度も2倍。

たまたまいたフランス人旅行者らしき2人の反応もおもしろかったよ。
見て!おもしろい!すごい!と大盛り上がり。

少し残念だったのが、写真それぞれに一言コメントがついてるんだけどそれが日本語だけだったので、
(「オスの孤独です」とか「まだ遊び足りないようです」とかそういうの)
その一言があるから余計おもしろいという面もあると思うから、
英語訳はつけてもよかったかもね。

にゃんこの写真は日本で撮影されたのが多くて、
ネコと日本の風景ってなじむよなあ~なんて思った。
にゃんこと暮らしたくなっちゃったなあ。

オゾン監督トークショーPodcast

2013-08-16 16:41:40 | シネマ・アート
そういえば!やっと公開されてた!
6月のフランス映画祭の時のトークショーのPodcast。
Meet the Filmmaker フランソワ・オゾン監督
その時の日記

たしかに「いつになるかはわかりませんが、」ってアップルストアの人言ってたけどね…。
けっこう経ってるよね…。
私が気づくのが遅かっただけかもしれないけど。(でもそれなりにチェックしてた)

30分ちょっとに編集されてて通訳さんの声は入ってないので、
オゾン監督の発言はフランス語のみ。

聴き流すだけで癒される気分。

オゾン監督トークショー

2013-06-20 22:30:35 | シネマ・アート
いよいよ明日からフランス映画祭。
今年のオープニング作品『Dans la Maison』の監督フランソワ・オゾン@アップルストア
Meet the Filmmaker : フランソワ・オゾン 「フランス映画の魅力を語ろう」

ということで行ってきた!
これ、昨年はメルヴィル・プポーでしたね。

オゾン作品、好きなのを上げるとしたら、
「まぼろし」「8人の女たち」「ぼくを葬る」「しあわせの雨傘」(古い順)
ベタですね。その中でも、「まぼろし」「ぼくを葬る」のような、
くらーい、ふかーい、ぐっとくる、みたいなの好き。

今日のトークショーでの話を聞いて、また「まぼろし」見たいなと思った。
監督にとっても主演女優ランプリングにとっても、
周囲からは成功しないだろうと言われながらも興行的にも大成功を収めた思い入れのある作品で、
この映画を通してふたりは「同志」になったんだなーと思った。
お二人はこの映画以来、友人だそうです。

大女優が集まった「8人の女たち」は夢のようなキャスティングでもあり、
撮影は悪夢でもあっただとか、
海やプールを登場させるのは俳優たちを脱がせるのが好きだからとか、
そんな話をするオゾン監督を見てると、
彼の元に俳優たちが集まるのも脱いじゃうのも監督が魅力的だからだよね!
って気がする。

明日の『Dans la Maison』も楽しみだなー

追記:トークショーの模様は近日Podcastで配信されるって言ってた。
ダウンロード必須!



まぼろし[DVD]フランソワ・オゾン監督

世界報道写真展2013

2013-06-12 12:45:31 | シネマ・アート
世界報道写真展2013
@東京都写真美術館 6月8日~8月4日

毎年恒例の世界報道写真展。
この写真展、見るたびに強く思うんだけど、人間ってなんて愚かなんでしょ。
暴力、争い、傷ついた人々。こういう写真がなくなる日は来ないのか。

悲惨さ、悲しみの表情を、写真は見事に切り取るんだよね…。映像では伝わらない写真の力。
悲しみを叫んでたり、諦めに沈んでたり、直視するのが辛くなる瞳。
彼らの表情から、痛みを感じない人がいるんだろうか。
いや、いるからこういうことが起きているわけなんだが。
でも、究極の状況におかれたら、人は変わってしまうのかもしれない。

パレスチナ、シリア、スーダンなど大きな争いの渦中の人々もいれば、
バルセロナとかニューヨーク州のはずれとか、
そういうところでも同じような表情で悲しむ人がいたり、命を奪われる人がいる。

はあー。

「現代社会の問題」の部の写真では、ニュースにはならないような問題を知れたり、
「自然」の部では見たこともない動物の姿を見られたり。

毎度ほんとに刺激的で、ちっちゃい悩みや迷いなんか大したことじゃねーな!と思わせてくれる。
素晴らしい!美しい!っていうポジディブな写真もあるので、ぜひ。
そして何かにつながる小さなことが、自分にもできるといいのだけど。

JR展 世界はアートで変わっていく

2013-06-06 00:22:23 | シネマ・アート
『JR展 世界はアートで変わっていく』 @ワタリウム美術館

ずっと「ジーエール」だと思ってたけど「ジェイアール」だったJR展、
ってそんなことはいいのだけども。
フランス人アーティストだけども英語読み、というのはそれはそれでさもありなんではある。

JRがパリの路上に大きくプリントした写真をあちこちに貼り、
カラースプレーで縁どったりプロジェクト名のExpo 2 rue(路上の展覧会の意)と書いたり、
その様子を映像で見ると、犯罪ぎりぎり…というかほぼ犯罪!みたいな感じで、
自分のアパルトマンのドアに赤いスプレーとか書かれちゃったらちょっとなー、写真貼られるのはいいけどなー、
なんて思っちゃった。
(ここで見られる→ EXPO 2 RUE

JRを知ったのは彼の東北でのプロジェクトで、
ポスターサイズに大きくプリントした自分のポートレートを自分が好きなところに好きなように貼る。
JRのインタビュー記事か何かで彼が、(内容うろおぼえですが)

食べ物や薬が必要な状況においてアートなんか必要ないという人がいるけどそんなことはない。
それは自尊心の問題なんだ。

というようなことを言っていて、
そうだ自尊心の問題だ、と思った。

震災後、多くのアーティストが自分に何ができるか、アートが役に立つのか、
と考えたんじゃないかと思う。(アーティストだけじゃないと思うけど)
JRのプロジェクト「インサイドアウト」が東北では新たなやり方で、
そこにいる本人が自分の写真を撮って貼る、その行為を通して、
いろんなことを考えたり、思い出したり、決意を新たにしたりしたんじゃないかなあと、
東北のみなさんのたくさんの写真を見て、思ったな。
あれはいいプロジェクトだな。

とそれがワタリウム美術館でも参加できるんだよ!

会期も6/30まで延長されたし、まだまだチャンスあり。