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音楽、映画、その他表現物に対する日々の覚え書き

Eivind Aarset / Connected

2005-08-29 02:55:41 | 音楽

コネクテッドConnected (Amazon.co.jp:日本盤,輸入盤)

ノルウェーのレーベルJazzlandはジャズからのクラブミュージックの接近、ってお題目で登場したんだけど、初期の頃の音はクラブミュージック側から見るとちょっとナイーブ過ぎだろ、って印象で結構叩かれてた。その一方で、同レーベルの中心アーティストNils Petter Molvaer がECMから出したアルバム『Solid Ether』なんかは、クラブミュージックに熟知していないが故にアイデアこそ凡庸なのだけど音作りが全く異様なことになってて、最も愛聴してる一枚だったりします。

その『Solid Ether』をはじめ、Nils Petter Molvaer と長いこと組んでいたのがこのEivind Aarset というギタリストで、こちらは彼の2004年に発売された3rd アルバム。驚くことに最近のエレクトロニカの流れをすっかり消化しきってますね。2曲目のElectro Magnetic in E 辺り、リズム隊がウィーン・シーンのRadian すら彷彿させる音作り。ギターの音像への溶け込ませ方も繊細を極めています。にもかかわらず、本流のエレクトロニカが控えがちな分かりやすいメロ、ここでは「フィルム・ノワール調」が渋く融合されていたり、8曲目 Transmission の80年代的なノイズの使いようといい、雑多な魅力は失なわれてはいません。ライナーによれば Aarset はかなりのデヴィッド・リンチ、アンジェロ・バダラメンティフリークらしく、本当にリンチの次回作あたりでお声がかかって、バダラメンティとコラボしてたら、さぞかしおもしろいことになるだろうなぁ。というか、あのリンチ映画の陰影を思い浮かべながらアルバムを聞いてるだけもはまり過ぎ、と呟いてしまうほど。