東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編 (Amazon.co.jp)
おもしろい。ウルトラ明晰・明解。軽い語り口でJazzの歴史と理論を一挙に理解させてくれます・・・ということは僕にとって「警戒しろ」ってことだけど。
「音楽を記号的に処理する」という欲望を「十二音平均律」「バークリー・メソッド」「MIDIの出現」という三つの特徴的な発露形態にまとめて、そうした記号化によるプレイヤー間のインタラクションの自由度の拡張、そしてそこからの創造性の促進と、その一方で起る記号化につきものの作品の等質化との相克として、特にバークリー・メソッド以降のJazzの変遷を描いていきます。これは僕の浅い音楽知識を振り返っても非常に納得できるし、それ以上にこの記号化に伴なう相克は音楽以外の領域でも至る所で起っている、とも言えて、めちゃくちゃ汎用性のある理論じゃないかと思うな。だからJazzにそれほど興味が無くても楽しめると思うし、いっそ音楽にすら興味なくても読め・・・いや、これはちょっと言い過ぎか。
それにしても、ここまで明晰だと「一般的なJazz史」を知らない僕は、この本に書かれたことこそ「一般的なJazz史」以外の何物でもなく、逆にこれ以外にどんな語り方があるのか、っていう風に思い込まされてしまう。例えば、マイルス・デイヴィスによる「モード」の発展によって、機能和声の抑圧から解放されアドリブの自由度が格段に上った、なんて説明を読むと自然「あぁ、クラブ・ミュージックの無調感はこの辺りから来てるのか」と自然に思ったりするんだけど、その内James Brown の “Sex Machine”についてのこんな発言にぶち当たってぎょっとなる。
これです。まず、コードが進行していません。このサウンドのことをモード・ジャズに絡めて分析しているのは多分僕たちが初めてだと思いますが、違ってたら教えてください。(p.192)
えぇ~っ、そこに絡めない他の「一般的な歴史」って何なのよ?僕はどっかで思いっきり騙されちゃってるの???っと、ものすごく不安になってしまうわけです。
一応、これ教材として買っちゃいました。すごく勉強熱心?
Kind of Blue (Amzon.co.jp)
っていうか、これくらいとっくに聞いとけよって話ですが。Jazz を聞くにあたって、マイルスを押さえる、っていうのは何か、Jazz というジャンルを真剣に聞きます!って宣言するみたいで、いやじゃないですか。もうちょっと離れたところから適当に戯れていたかったので、敬遠してたんです。
んで、菊地氏の DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN も買う。
MUSICAL FROM CHAOS2 (Amazon.co.jp)
あ、普通にかっこいいわ。