CANNIBAL ROCK (amazon.co.jp)
僕はあまり店頭で試聴して「いい!」と思ってもすぐさまレジに走ることのない人間で、なんかそういう即効性のある楽曲ってすぐに飽きちゃうんじゃないか、という不安があって、あともうちょっと情報を揃えてから手を出したいなぁ、という「石橋を叩いて渡る」体質が顕著なのだけど、たまにはもうどうしようも我慢できんっっっ!ってぐらい胸を鷲掴みにされることもあるのです。Jazztronikの『七色』というアルバムのタイトル曲がまさにそうで、普段この辺の音楽はそれほど聞かないくせに購入。Jazztronikこと野崎良太氏がキャッチーなボーカル曲を作ると、他の日本のクラブジャズの方々なら趣味の良さを優先して抑制しがちなラインを突き抜けて、どポップ、ほとんどJ-pop的になるんで、「俺的にいいのか?いいのか?」と煩悶しながらなんだけど。で、結局のところ飽きは早かったのか、っていうと全然そんなことはなくて、iPodの再生回数を稼ぎに稼ぎました。やっぱり、この下世話なところがたまらないんですね。しかしながら、他のインスト曲はあんまり好きになれず、それは音作りがちょっとチープな印象が拭えなかったからなのでした。んで、実際、野崎氏自身がこちらのラジオで「一音一音の説得力が大事なんだと最近感じてきた」みたいなことを語っていて、あぁ彼もそこをネックに感じてるのかなぁ、と思いながらも、まぁ、彼の場合そんなチープな電子音によるラテンテイストを個性にしてるんだろうなぁ、とも思ってて今後劇的に変化するとは予想してなかった。
彼のニューアルバムの今作、ネットでちょっとだけ試聴できる「searching for love」、なんと今井美樹をゲストヴォーカルに向かえてるんだけど、これまた僕のハートを鷲掴み。この40秒間だけを聞きまくるほどのお気に入りで購入を即決。もう、すごい名曲ですよ。そして音作りがネット音源では、はっきりとは分からないけど向上してるような気がしました。さて、実際に購入して聞いてみると、すごい!野崎さん完全に自分の課題を克服してるじゃん!『七色』とは全然次元が違う、ものすごい本格的なラテンファンクの応酬。どの曲も腰が動いてどうにも止まらない。ちっとは休ませろってなもんです。お目当ての「searching for love」も、そんな強烈なトラックの上で今井美樹のヴォーカルが躍る躍る。絶対ライブに行こう。うん。