そらのはじまり

昔オノヨーコが書いてた。「そらはどこから始まると思う?」「わたしたちの足元からよ。アリにとってはここがもうそらなのよ。」

高島と藤田(その1)

2010年11月27日 | 日記
昨日は高島小学校のアユモドキを巡る総合学習の最後の授業と、夜は藤田合同フィールドワークの打ち上げがあった。
今年力を入れてきた活動のシメがふたつ重なった。

高島小学校の方から。
最終回は岡大のK先生がゲストティーチャー。当のアユモドキをテーマにしたESD教材をつくってくださった先生。
自分が直接授業をやるとは思わなかったと苦笑いしながら前夜、学年団の先生方と入念な打ち合わせをし、高島小の総合学習担当のK先生との掛け合いで授業を進めることになった。(この高島K先生がまた熱血!)

今日のテーマは「高島の未来」
天然記念物のアユモドキは10年後、20年後も元気に泳いでいるだろうか?という問いから授業は始まる。
アユモドキが実は「用水路」「藻刈り」「休耕田」といったキーワードで農業と深い関係があることに気づかせ、農業の持続可能性がアユモドキの生存に関わることに気づかせる。
その後、農業の現状を先週のHさんのお話も含めておさらいし、航空写真で高島地区の今昔も確認。それを見ると、昭和32年はほとんどが田んぼだが今は半分が宅地になっていることが一目瞭然。(市役所に貴重な写真が保管されている。)
農産物価格の日米比較や農業従事者数の変化のグラフなどからも厳しい現状と未来が予測される。

では自分たちは何ができるだろう?と、おとなになった自分ができそうなことを考えてみる。
ごみを捨てない、合成洗剤を流さない、藻刈りを手伝う、アユモドキ保護活動に参加する、HPで知らせる、樋門の管理をする、農業をする・・
楽観的なタイプと控えめなタイプで○のつけかたが豪快にちがうのが面白かったが、おおむね半分くらいしか○がつかない。1個とかゼロの子も何人も・・(正直)。
何となく暗い雰囲気になったところで、COP10の話に・・。
名古屋で開かれた生物多様性COP10で高島小学校のことを紹介してくれた市役所のHさんにお話を聞きましょう、ということで私の出番。(私の役目は「未来に希望を」です。)

この100年間、人間は「楽」で「便利」な方がいいと思ってそっちの方向にずっとやってきて、確かに便利な世の中になりました。
だけど最近、ちょっとおかしいぞと思うようになってきました。
ひとつは「温暖化」。石油をいっぱい使うと便利だけど二酸化炭素がいっぱい出て温暖化してきてる。
もうひとつは「生きものが減っている」こと。人間が自分たちに都合のいいように自然をつくりかえたので気がついたら生きものがどんどんいなくなっている。
そこでなんとかしないといけないと思って世界中の国が先月名古屋に集まって話し合いました。
ひとつは生きものや自然を守ること。
もうひとつは自然とうまくつきあっていた昔の知恵や暮らし方に学び直そうということ。
それで、高島小学校のみんなのことも発表してきました。
子どもたちが一生懸命、絶滅しそうな魚を守ろうとしていること、そのために農業とのつながりについても考えていくこと。
人間と生きものとの見えないつながりを知って行動すること。これが世界最先端の勉強です。
高島小学校のみなさんはそれをしているからこんなにいろんな人が来たりビデオを撮ったりして、どんな風に学んでいるか世界の人に知らせようと思っているのです。(←ちょっと大げさだけどまあほんと・・。効果テキメン、姿勢がピッとよくなりました。)

みんな、人工繁殖のとき、アユモドキを驚かさないよう静かに静かに歩いたよね。
赤ちゃんが生まれますようにって一生懸命そおっと土を揉んだよね。
あのときの気持ちをずっと忘れないでいてください。
アユモドキのために3ヶ月間算数教室が使えないのを校長先生も許してくれました。文化財課のOさんも毎日通って一生懸命面倒見てくれました。
それでもうまくいかなかった。とても残念だったけど、たった1匹の魚だっていのちが生まれるってことは簡単じゃないということを知りました。
だからこのことを忘れないで、生きものも人間も生きやすい世の中を一緒に少しずつつくって行きましょう。

子どもたちは真剣に聞いてくれた。

最後に岡大K先生から、用水路、アユモドキ、農業、人間。これらはつながっていて、ひとつが×になると次々×になるけれど、人間が少し我慢してほかの生きもののことも考えて行動を変えていくことで、ひとつずつ○に変わっていく可能性があることがスクリーンで示された。

そして高島K先生から。
今、世界は環境を守ろうという方向に変わろうとしている。
だからみんなもそれに力を合わせていこう。そしたら今は無理だって思っていることもできるようになるかもしれないよ。
大きくグラ~っと変わるかもしれないよ。

感想もたくさん出た。
アユモドキだけでなく生きもの全体のことを考えなければならないことや、人間にとって都合のいいことと生きものにとって都合のいいことがちがうことがあること、これ以上生きものが絶滅しないように今生きている生きものを守らないといけないこと・・
この一連の授業で知ってほしかったことをちゃんと受け止めてくれたようだった。

終了後、校長先生から、今回の人工繁殖とESDの授業を通していろんな人と出会えたことがとてもよかったと言っていただけた。(これは藤田の先生方からも一番に挙げられた。)
内容も、ひとつのことを通していろいろな角度からこれまでよりずっと深く学べて、学習発表会を見た保護者からもとても評判がよかったそうだ。
来年にどう継続させていくか、これが私の課題ですとおっしゃってくださった。

今回、人工繁殖の取り組みは、たまたま文化財課の計画と一緒になってラッキーだったが、本来ESDのプログラムとは別のものだ。(第一どこでもいつでもできるものではない。)
でも、子どもたちがこれほど食いついているのは間違いなくあの一連の経験があったから。
そのことは子どもたちの財産だから一緒に覚えていてほしいと思ってつなげて話した。

ESDは特別のものではないので、それぞれの学校の状況に応じたやり方でやればいい。
今回、こちらが持ち込んだ教材は現場の先生方によって素晴らしくアレンジされ高島のESDになった。

この経験をどのように生かすか、関わってくださった先生たちとはもちろん、来月のESD専門部会でも検討していきたい。
















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