青山貞一ブログ

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外交なき「油上の楼閣」ニッポンの行く末は暗澹!

2008-05-31 14:07:22 | Weblog

 ガソリン価格は青天井状態だ。

 来週さらに1リットル当たり10円上がり、170円台になるという。

 周知のように日本では、ガソリン税の暫定税率が30年もつづき、改定期のこの春わずか一ヶ月だけ125円廉価になった。

 しかし、自民党と公明党は衆議院で再議決を実施、4月末から暫定税率が復活した。

 そもそも日本には数多くの「特別措置法」とか「暫定税率」などがあるが、暫定は名ばかりである。30年以上も継続すること自体、「暫定」のはき違えもいいところで、政府・自民党は国民を舐(な)めきっている。

 日本のマスコミは、相も変わらず、原油が高騰..とばかり外信を垂れ流しているが、本当に原油の高騰はまっとうな経済現象なのであろうか? 

 本稿ではそれを言及する。大マスコミも「頭がついている」なら、単なる垂れ流しでなく、「なぜ」について言及すべきだ! 

...

 ところで、先週5月22日、ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は指標となる米国産標準油種(WTI)の7月引き渡し分が時間外取引で一時、1バレル=135ドルをつけ、過去の最高値を更新した。

 同取引所で135ドル台は歴史上初めてとのことだ。

 CNNは、「130ドル台になったのは、需要逼迫感の強まりとドル安のためと見られる。さらに石油輸出国機構(OPEC)が増産に否定的な姿勢を示すなか、中国の輸入が活発なことも一因となっている」などと報じた。

 確かに中国の輸入が活発なこと、そして石油輸出国機構(OPEC)が増産に否定的な姿勢があることは間違いない。しかし、ここ半年の原油価格の上昇は、需要逼迫感の強まりとドル安や中国、OPECの対応だけでは説明しきれない。

 この2008年5月上旬、米国の連邦議会上院で、以下に示すように原油市場に対する投機資金の規制を強化する「石油取引透明化法」が検討されている。法案は、レビン及びフェインシュタインという民主党の2名の上院議員が提案している。

Levin and Feinstein Introduce Oil Trading Transparency Act

WASHINGTON Senators Carl Levin (D-Mich.) and Dianne Feinstein (D-Calif.) today introduced the Oil Trading Transparency Act to ensure that energy commodities traded on foreign exchanges using trading terminals located within the United States are subject to the same speculative trading limits and reporting requirements as energy commodities traded on U.S. exchanges.

 国際的な石油価格は、米国の西テキサスの代表的原油、ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)の石油先物の価格で決まっている。


解説: WTIとは
 ウエスト・テキサス・インターミディエートの略で、西テキサス地方で産出される硫黄分が少なくガソリンを多く取り出せる高品質な原油のことを指す。そのWTIの先物がニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されている。原油価格の代表的な指標にはこのWTIのほか、欧州産の北海ブレント、中東産のドバイがあり、これらが世界の3大原油指標と言われている。そのなかでも、WTI原油先物は、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、市場の流動性や透明性が高いため、原油価格の指標にとどまらず、世界経済の動向を占う重要な経済指標の1つにもなっている。
出典:http://chartpark.com/wti.html


 国際政治ジャーナリスト、田中宇氏によれば、この「WTIの先物は、ニューヨーク商品取引所(NYMEX)に上場しているが、同じ先物商品は、ロンドンにあるICE(Intercontinental Exchange)という企業が運営するネット上の先物取引市場でも取り引きされており、アメリカのヘッジファンドや投資銀行は最近、ニューヨークのNYMEXだけでなく、ロンドンのICEを通じて、さかんにWTI先物を買い、原油価格を高騰させている」という。

 さらに「NYMEXはアメリカの市場なので、そこでの先物取引は、米政府の商品先物取引委員会によって監視され、投機的な行為は取り締まられる。だがロンドンのICEは、外国の民間企業による相対取引の市場なので、米政府の監視の枠外にある。投機で原油をつり上げたい米投機筋(ヘッジファンドや投資銀行)は、ロンドンのICEで先物を売買し、米当局の目を盗んで意図的に原油価格をつり上げ、ぼろ儲けしており、規制が必要だ」というのがレビン及びフェインシュタインの2人の民主党上院議員の法案提出の理由であった。

 原油の高騰は、日本やEUなど西側先進諸国で経済や生活を圧迫するだけでなく、自動車交通を主要な移動手段としている本場米国でも国民の足である自動車の燃料高騰をもたらしている。

 これについて、私はこの春3月カリフォルニア州に環境政策の現地視察ででかけたとき、帰国後以下の報告を行った。

◆青山貞一:カリフォルニア州のガソリン価格

 すなわち、米国カリフォルニア州でもガソリン価格がこの数ヶ月異常に高騰しており、カリフォルニア州の市民のなかには、元々、石油利権屋として名高いブッシュ大統領が何らヘッジファンドや投資銀行筋の原油先物の投機に対策をとらないと憤慨している者もいた。

 事実、米国連邦議会の上院では、一昨年6月にまとめられた原油先物取引に関する報告書のなかで「投機資金は2000年から原油先物相場をつり上げている」とか、「WTIの先物取引の30%はロンドンICEで取り引きされている」と指摘されており、単なる需給の逼迫で価格が高騰としているではなく、ヘッジファンドや投資銀行筋などによる故意の操作によって高騰していることを指摘していた。

 しかしながら、ブッシュ政権は上記の上院報告書を事実上無視、ここ1年半、対策をとってこなかったのである。

 要するに、米国政府を支配するブッシュ大統領自身が原油高騰の仕掛け人であると言ってもよい。

 田中宇氏によれば、次のようになる。すなわち、「この問題を指摘した石油・地政学専門家のウィリアム・エングダールによると、現在の国際原油価格のうち最大で60%が、投機筋によるつり上げ効果によるものだという。

 WTIはアメリカ産の石油種であるため、ロンドンのICEが、WTI先物を自社の市場で取り引きする商品の中に加えるに当たっては、米当局の認可が必要だったが、ブッシュ政権は2006年1月、この認可を出している。

 その後WTIの高騰が激しくなり、同年6月に上院が投機を警告する報告書を出したが、米政府は無視した。ブッシュ政権はまるでWTIを高騰させることを意図したかのように、投機筋にICEという抜け穴を作ってやった、とエングダールは書いている。

 エングダールの分析が正しいとしたら、現在1バレル120ドルを超えているWTIの価格は、投機を排除すれば、50ドル程度まで下がりうることになる。」

 1バレル当たり50ドルと言えば、1リットル当たりで31円である。ただし、1ドル=100とした場合。これに各種処理、運賃を入れてもガソリンは1リットル60円程度、日本のようなガソリン税を入れたとしても1リットル90円がいいところだ!

 .....

 ところで、世界中で使われている先物原油の100%がWTIではありえない。事実、米国と一線を画すロシアや中央アジア系産油国やブッシュ政権と敵対するヴェネズエラなど反米系産油国は、それぞれの国内では日本から見ればタダみたいな価格でガソリンを販売している。

 さらに友好国との間での原油の取引価格はWTI価格に比べ格段に廉価である。しかし、米国始め日本やEU諸国に原油を売る場合は、WTI価格に近い価格としているのが実態である。

Gas jumps above $3.67, oil passes $126 on Venezuela concerns
By JOHN WILEN, AP Business Writer Fri May 9, 4:20 PM ET
http://news.yahoo.com/s/ap/20080509/ap_on_bi_ge/oil_prices

NEW YORK - Oil rose above $126 a barrel for the first time Friday, bringing its advance this week to nearly $10, as investors questioned whether a possible confrontation between the U.S. and Venezuela could cut exports from the OPEC member. Gas prices, meanwhile, rose above an average $3.67 a gallon at the pump, following oil's recent path higher

 つまり、完全に市場化されていない原油は、産油国の世界政治、外交における重要な戦略物資となっているのである。

 ということで、先に私のブログで書いたように、ヴェネズエラが国内でガソリンを1リットル当たり3~5円とただ当然で売っていたとしても、米国はもとより日本に原油を売る場合にはWTIに近い馬鹿高い価格で売っているのである。

 その結果、今後、世界中で馬鹿高い原油が売られることになる。対米隷属、追随の日本は、追随する米国のブッシュ大統領が仕掛け、何らまともな対策をとらない原油価格の高騰のダメージを最も受ける国となっている。

 日本が反米の産油国と何ら友好関係を有していないことも、この先、日本がどうにも救われない主要な原因となっている。

 かくして、WTIの先物原油価格が1バレル当たり200円まで高騰するという観測もあながち間違いないことになる。

 さらに今後、実際に確認埋蔵量レベルで原油が逼迫すればするほど、ますますこの傾向は顕著となる。

 もちろん、ブッシュ政権の任期は来年(2009年)の1月までであり、大統領を民主党がとる可能性が高く、すでに民主党が過半を占めている米国連邦議会と相まって「石油取引透明化法」などが通過する可能性もある。

 しかし、エネルギー資源や食糧が各国の戦略物質となる可能性が大きくなるなか石油の上に工業や経済が成り立ってきた、「油上の楼閣」ニッポンの行く末は暗澹たるものとなるだろう。 

事前周知2日間だけの環境省公開ヒヤリング  青山貞一

2008-05-28 06:02:09 | Weblog

 環境省は6月2日に開催する以下の公開ヒヤリング「低炭素社会に向けて」についての案内を、5月26日に記者発表、一般には5月27日に周知開始、参加申し込み締め切りを5月29日としています。

 わずか1~2日の周知(参加募集期間)です。単に公開ヒヤリングを開催した、「国民など各界のご意見を聞いた」というアリバイ作りのためだけに、公開ヒヤリングを開催しようとしていることが明白です。

 この役所は一体何を考えているのでしょうか? 

 国会関係者はぜひとも問題にして下さい。 

 注:黄色の太字化は筆者



Date: Tue, 27 May 2008 12:41:45 -0400
Subject:公開ヒアリング「低炭素社会に向けて」について

皆様、お世話になっております。

環境省の●●と申します。

このたび、環境省では、国内排出量取引制度の在り方について市民、NGO、企業、地方公共団体等に説明し広く提案・意見を求めるため、公開ヒアリングを開催することとなりましたのでお知らせいたします。

平成20年5月26日
「低炭素社会に向けて-G8環境大臣会合の成果と国内排出量取引制度について-」公開ヒアリングの開催について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9752

平成20年6月2日(月)18:00~20:00、
東京都千代田区の大手町サンケイプラザにて。

参加を希望される方は、平成20年5月29日(木)17:00必着で、
チームマイナス6%運営事務局 低炭素社会づくり推進室
(E-mail:info@teitanso.jp Fax:03-3547-2642)までお申し込みください。
申込み方法の詳細は、上記(お知らせ)を御参照ください。

なお、参加者募集期間が非常に短くなっております。御注意ください。

近日中に、名古屋、札幌における公開ヒアリングの日程・手続きも
公表される予定です。

環境省の検討会の資料・議事録・中間まとめは、こちらに掲載されています。              ↓    ↓
国内排出量取引制度検討会の開催状況・結果について
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/det/seido_conf/index.html

以上、御参考まで。

原油採掘の原価は依然として1リットル当たり3~6円  青山貞一

2008-05-24 10:53:04 | Weblog

 2008年5月24日のCNNは、米国産標準油種(WTI)のニューヨーク取引所における原油価格が急騰し、1バレル=135ドルを突破したと報じている。

 もう、どうにもとまらない投機だ。そして対米追随諸国は危機的な経済状態に追い込まれることは必至の情勢となってきた。


NY原油が急騰、最高値更新 1バレル=135ドル突破
CNN
ニューヨーク(AP) ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は22日、指標となる米国産標準油種(WTI)の7月引き渡し分が時間外取引で一時、1バレル=135.09ドルをつけ、新たに最高値を更新した。

135ドル台は初めて。21日の時間外取り引きで、初めて130ドル台を突破し、高値での取り引きが続いて、終値は133.17ドルと、史上最高値をつけていた。

130ドル台になったのは、需要逼迫感の強まりとドル安のためと見られる。石油輸出国機構(OPEC)が増産に否定的な姿勢を示すなか、中国の輸入が活発なことも一因となっている。


 原油が1バレル=120ドルの場合、1リットルで75円、1バレル=135ドルの場合、1リットルで85円となる。ただし、1ドル=100円の場合。

 これはあくまでもWTI価格であり、これはもっぱら対米追随する欧日諸国への引き渡しする価格の最高値である。今後、1バレル=200ドルまで高騰するという予測もある。

 では産油国レベルでの原油の採掘価格はどうなのか?

 調査の結果、産油国内では1バレル当たりの採掘原価はやはり10ドル以下であることが分かった。もちろん、国によって異なるが、おしなべて1バレル=10ドル以下である。

 これを1リットル当たりの原価で示すと、10/159=0.063ドル、すなわち日本円で6円程度となる。推定するに、これは最高価格であるから、実際には1リットル当たり3円、4円、5円程度となる。

 対米追随諸国ではヘッジファンドなどの投機的な価格操作によって、1リットル当たり85円と高騰している米国産標準油種(WTI)だが、産油国では、それと無関係に1バレル=10ドル以下、1リットル=3~6円で取引されている。

 米英主導のグローバル経済がいかに恣意的なものであるか、また容易に世界経済を壊滅的な状況に追い込むものであるかがよく分かる!

ヴェネズエラのガソリンは1リットル3円、対米追随日本は160円超  青山貞一

2008-05-24 02:43:49 | Weblog

 田中宇氏の「石油高騰の謎」は、実に読みごたえがあった。
 
 田中氏は石油高騰の謎のリード文で、次のように書いていた。 

 ブッシュ政権が石油市場に原油投機の「抜け穴」を開け、ニューヨークの大資本家たちが石油価格をつり上げる共同作業の結果、ロシアやサウジアラビア、イラン、ベネズエラなどの産油国の国庫が潤い、これらの国々はアメリカの覇権に対抗できうるネットワーク(非米同盟)を強化している。

 欧米系の国々や日本、韓国など、アメリカ中心の覇権体制にぶら下がっている先進諸国は、法外に高いWTI価格で石油を買わざるを得ないが、その他の非米・反米の傾向がある国々では、政治的に設定されたもっと安い価格で石油を買える。
.....

 エングダールの分析が正しいとしたら、現在1バレル120ドルを超えているWTIの価格は、投機を排除すれば、50ドル程度まで下がりうることになる。

と述べていた。

 本文を読んでゆくと、あちこちでなるほど、なるほどと田中流の国際政治の裏事情そして仮説の検証のひとつひとつ解読できるようになった。

 そのなかで次のような一文があった。

 つまり世界の石油業界は、世界の多極化に賛成する国は1バレル20ドル程度の「非米価格」で、米英中心主義にぶら下がり続ける国は1バレル100ドルのWTI価格で石油を売る二重価格制になっている。

 おそらくWTIがいくら上がっても、非米価格には関係ない。原油の採掘原価は、多くの場合1バレル10ドル以下なので、20ドルで売れば利益は十分だ。

 簡単に言えば、産油国レベルでは、今でも1バレルが10ドル以下であるという。私はそこが気になった。

 1バレルは約159リットルであるから、1リットル当たりに換算すると日本円で6円ちょいということになる。ただし、1ドル=100円と換算した場合。

 田中氏は「10ドル以下なので」といっているので概括的に言えば、産油国にもよるが原価は1リットル当たり数円ということになる。

 もちろん、これは産油国の話しだから、仮に日本にくれば、輸送コスト、販売コスト、くだんのガソリン税などが含まれるので、どんなに安くても1リットル当たり60~70円になりそうだ。

 便乗商法面もあるだろうが、今の日本では1リットル50~60円ではなく、1リットル150円~160円となっている。がーん!!である。

 まさにブッシュ追随、米国追随によって日本はバーレル当たり、120ドル、すなわち1リットル当たり原価でも75円、売値では税金などを含め160円台と馬鹿高いガソリンを買わされるはめになっているわけだ。

 ブッシュとヘッジファンドが投機で大もうけし、米英はじめ日本などが馬鹿高いガソリンや重油、灯油などを買わされているのだから、これほどおめでたい話しはない。

 ......

 ところで、産油国のガソリンのコストだが、田中氏がいう「原油の採掘原価は、多くの場合1バレル10ドル以下」といところにひっかかった。

 そこで反米の急先鋒、南米随一の反ブッシュ・大統領、チャベスをいただくヴェネズエラのガソリン価格を調べてみた。

 そして以下のブログに出会った!
 
 「...ベネズエラは産油国なのでガソリンが安い。極端に安い。ハイオクで1リットルが4.3円、ノーマルなら3円ほどだ。ブラジルは80円ほどしたので一日に500km走った時などは、ガソリン代だけで2,500円ほど払った。しかもブラジルのガソリンにはアルコール燃料が混ぜられているという噂で、そのためかエンジンの調子が悪かった。それがベネズエラではガソリン代は極めて無料に近く、質も良いので燃費も良くなった上、BMWは力強さを取り戻した。150kmくらい毎に給油したが、ガソリン・スタンドで支払うお金は40円くらいだった。従業員の給料はどこから出るのか心配になったくらいだ。ベネズエラの道路が良いのは多くが有料道路になっているためだろう。しかしこの国でもバイクからはお金を取らない。オリノコ川を渡る橋で一度だけ払ったことがある。何と、2.2円だった。....」
 http://mondvojago.hp.infoseek.co.jp/index.htm

 何とチャベスを大統領に頂く反米の産油国、ヴェネズエラレでは、ガソリンが1リットル3円というのだ。ただし、書かれたのが2005年のようなので、現在ではもう少し高くなっているのではないかと考えた。

 上記はひょっとしたら一桁間違っていないかと思い、別のブログをあたる。すると
 
 「なぜ?日本のガソリン価格がアメリカの約2倍、イランの11倍、ベネズエラの44
倍と馬鹿高いだけでなく、日本には、自動車取得税や自動車重量税など、自動車は取得したり保有したりするときの税金が諸外国に比べベラボーにかかります。また、高速道路も100%有料などという国は少なくとも先進国にはありません。」

というのが出てきた。上記は2008年1月に書かれているから日本のガソリンが1リットル140円程度のときのものだ。

 ここでもヴェネズエラのガソリンは1リットル3円ちょっとであって、先のブログに書かれた内容は間違いがないようだ。

 ヴェネズエラはチャベス大統領が貧困層を対象とした社会主義的な政策を推し進めているいう点を考慮しても、ガソリンが1リットル=3円~4円で売られていることは間違いない。

 となると、やはり日本における異常なガソリンの高値は、ガソリン暫定税率などの税が異常に高いことに加え、元値が高すぎるのである。

 ブッシュとヘッジファンドによる投機がなければ、田中宇氏が言われるように、いくら高くても1バーレル当たり50ドル、1リットル当たり31円程度がいいところで、米国の場合、せいぜい70~80円、日本ならガソリン税を入れても100~110円がいいところのはずだ。

 いずれにしても産油国で1リットル3~4円で小売りされているガソリンが、日本ではいくら異常な税金が入ったとしても165円などと高額なのには驚嘆する。

 日本はブッシュ追随、米国追随の結果、一方で年収200万円~300万円の低所得層が増えるなど格差社会となり、他方で異常な物価高騰社会となっている。

 当然、高くなるのはガソリンだけでなく、灯油、軽油、重油なども高くなる。当然そうなれば、便乗を含めあらゆる物が高くなるだろう。

 かつて世界第二位の一人当たりGDPを誇った日本は、今や世界第16位となっている。

 給与所得は下がる一方、物価は世界一高いでは、国民は浮かばれない!
 
 早く政権を交代し、ブッシュ追随、米国追随による格差社会と高物価社会から脱却しなければならない!


<追記>

 5月24日のCNNでは、ニューヨークで原油が急騰し、1バレル=135ドルを突破したとしている。田中氏の論文では1バレル=120ドルであるから、もう、どうにもとまらない状態、危機的な状態にあることが分かる。


NY原油が急騰、最高値更新 1バレル=135ドル突破
CNN
ニューヨーク(AP) ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は22日、指標となる米国産標準油種(WTI)の7月引き渡し分が時間外取引で一時、1バレル=135.09ドルをつけ、新たに最高値を更新した。

135ドル台は初めて。21日の時間外取り引きで、初めて130ドル台を突破し、高値での取り引きが続いて、終値は133.17ドルと、史上最高値をつけていた。

130ドル台になったのは、需要逼迫感の強まりとドル安のためと見られる。石油輸出国機構(OPEC)が増産に否定的な姿勢を示すなか、中国の輸入が活発なことも一因となっている。

総務省、電波利用料をトンデモ使用~国民訴訟制度の創設を~

2008-05-22 16:09:03 | Weblog

 私たちアマチュア無線家も定期的に支払わされている電波利用料が何と、総務官僚の遊興費など目的を大幅に逸脱し使われていることが民主党の調査で分かった。

 同制度創設以来、私もすでに毎年滞りなく支払ってきた。

 そもそも、テレビ、ラジオ、アマチュア無線家など無線局など無線に係わる業務は、基本的に総務省、旧郵政省の免許事業となっており、許認、免許の可主体である総務省がこの種の制度を創設すれば、免許を受けている側はどうしても支払わざるを得ない。

 支払わされているのは、テレビ局、ラジオ局、アマチュア無線局など無線局だけでなく、携帯電話も1個当たり毎年400円を支払わされている。徴収された電波利用料の総額は現在700億円を超えているというから大変な額だ。

 黙っていても毎年、700億円超が入るのをよいことに、以下の朝日新聞の記事にあるように、まさに不適切というより、トンデモない使用を総務官僚らが繰り返していたわけだ。

 私たちアマチュア無線家ら115名は、2年前から総務省相手に別件で行政訴訟や電波監理審議会への異議申し立てをしてきたが、こんな総務省の輩(やから)が電波行政をしているのかと思うと、今更ながら怒りがこみ上げてくる! ふざけるなと言いたい。

 ここ数年、厚生労働省、国土交通省、防衛省など、省庁の官僚が公金を不正、不当に使用している実態が次々に明らかになっているが、一体、官僚らは何を考えているのか。

 いずれにしても、私が福井秀夫氏(現在、政策研究大学院大学教授)らと以前から創設を提言している国レベルの住民訴訟制度を早急に立法化しなければならない。名称は、国民訴訟制度あるいは納税者訴訟制度でよいだろう。

 自治体の首長や職員が公金を不正、不当に支出した場合、地方自治法に規定された住民監査制度を経由し、県民、市民らは、住民訴訟を提起することができる。この制度はもっとも私たちに身近な行政訴訟制度として、過去から活用されており、和解を含めると6-7%、住民側が実質勝訴している。

 ※電波利用料制度

総務省よお前もか 特定財源で映画鑑賞、野球観戦…
2008年05月20日12時49分

 総務省が放送局や携帯電話会社から徴収した電波利用料を、職員のレクリエーション費などに流用していたことが19日、民主党が同省に請求して入手した資料によってわかった。野球観戦、映画観賞、無線操縦カーなどの不明朗な支出が281件約4千万円にのぼると同党はみており、国会で追及する方針だ。

 電波利用料は、電波法で違法電波監視などに使い道が限定されている事実上の特定財源で、携帯電話利用者も1台あたり年間420円を負担している。06年度の決算額は約672億円。同党はそのうち全国11カ所の総合通信局(事務所)が支出した約50億円分の内訳を調べた。

 同党によると、電波利用料が、総合通信局のレクリエーション費として、職員の美術館めぐりやボウリング、バス旅行などに使われていたとみられるほか、高額のプラズマテレビや電波置き時計、空気清浄機など、必要性や金額が妥当かどうか疑わしい支出があったという。

 同党は「道路特定財源と同様に『特定財源』のブラックボックスの中で無駄遣いされている可能性がある」として、20日の参院総務委員会などで追及する。

 一方、総務省は民主党の指摘を受け、美術館鑑賞券やボウリング、野球・テニスボールなどレクリエーション費44万円分について「現行の制度に抵触するものではないが、理解を得ることが難しい」とし、今年度から同様の支出は禁じる方針を決めたという。

 ■総務相「もう支出しない」

 総務省が放送局や携帯電話会社から徴収した電波利用料をレクリエーション費などに流用していた問題で、増田総務相は20日「法令上どうのこうのではなく、国民の理解を得られない」と述べ、支出は不適切との認識を示した。参院総務委で民主党の加賀谷健委員の質問に答えた。

 増田総務相は「こういう問題ある支出は行わない。電波利用料のあり方について基準を定め、適正さをチェックできるようにし、地方(の総合通信)局への周知を徹底したい」と述べた。

 電波利用料は、電波法で使途が違法電波監視などに限られる事実上の特定財源。携帯電話利用者も1台あたり年間420円を負担している。

あのパロマの広告塔が、初代「製品安全広告大使」!?  青山貞一

2008-05-22 00:55:06 | Weblog

 2008年5月21日夜のテレビ各局のデーリーのニュースで、女優の竹下景子さんが「製品事故の防止を目的に経済産業省が初代『製品安全広報大使』に任命した女優の竹下景子さんが辞退を申し出でた」ことを放映していた。

 竹下さんは沈痛な面持ちで辞任の弁を語っていたが、ブラックジョークそのものである。被害者に気持ちを逆なでするだけではないか。パロマはもともと名古屋に本社のある会社、竹下さんは名古屋出身の女優と言うことで、永年、竹下さんはパロマの広告塔となっていたのだろう。

 それにつけてもPL法を所管する経済産業省が、こともあろうか製品安全広報の大使に、21人もの人命を失わせた機器の広告塔となっていた女優をつかうというのだから、無神経でノー天気と言われても仕方ない!

 どうしようもない役所だ。

 下の記事にもあるように、パロマの湯沸かし器では今までに21名が犠牲となっている。この種の製品による死亡事故としては最も重大事故であろう。

 パロマのWebを見ると、湯沸かし器だけでなく、多くのお詫びがある。経済産業省はよぞく、パロマの広告塔を初代「製品安全広報大使」に任命したものだ。

 以下はパロマのWebのトップページである。

  【重要なお知らせ】
・ テーブルコンロ及びビルトインコンロをご愛用のお客様へ
 お詫びとお知らせ
・ 10月12日の報道について
・ ガスファンヒーター・ガスマイコン炊飯器ご愛用のお客様へ
 お詫びとお知らせ
・ ビルトインコンロ PD-D51WV/PD-N51AVシリーズをお使いの
 お客様へ大切なお知らせ
・ 開放式小型湯沸器をお使いのお客様へのお知らせ
・ 自然排気式ガス湯沸器の排気設備のご確認のお願い
・ ガス機器の重大製品事故調査結果の公表を受けて
・ お詫びとお願い
・ 経済産業省の「緊急命令」に対する点検・回収状況のご報告
・ 弊社製品の事故情報


 いったいどうなっているのだろうか?

 ......

 ところで、製品広告とは別に、悪徳商法やマルチ商法紛い商法の広告や宣伝に安易に芸能人や著名人が出ている。芸能人の場合は、個人の判断というよりは、所属事務所がろくに事前調査もせず、営利第一で安易に引き受けているのだろう。

 ごく最近も、広告塔になっていた男優が訴えられている。カネにさえなれば何でも広告を引き受ける芸能事務所が圧倒的であり、人身事故などの問題があってもメーカーは謝罪しても、事務所が謝罪することは少ない。

 いずれにしても監督責任を持つ省庁がこのていたらくなのだから、『製品安全広報大使』イベントも知れたものである!


竹下景子さん:経産省「製品安全大使」を辞退
20年間パロマCM出演を理由に
 経済産業省は21日、「製品安全広報大使」に任命したばかりの女優、竹下景子さんが大使を辞退したと発表した。一酸化炭素中毒事故を起こした湯沸かし器の販売元・パロマのCMに出演していた経緯があり、竹下さんの事務所が21日朝、「事故の被害者をおもんぱかって考え直した」と電話してきたという。

 経産省によると、竹下さんは86年から約20年間パロマのCMに出演していた。消費者行政一元化をめぐって事故の被害者らが福田康夫首相と面会したニュースを見て辞退を決めたという。同省は19日に大使に任命していた。

 経産省は大使による広報活動や啓発セミナーの事業について競争入札を実施し、竹下さんの起用を提案した広告代理店「アサツー ディ・ケイ」が落札。その際は竹下さんのパロマのCM出演について確認できなかったという。

【奥山智己】

毎日新聞 2008年5月21日 東京夕刊


竹下景子さん、製品安全広報大使を辞退
日経新聞 2008年5月21日
 製品事故の防止を目的に経済産業省が初代「製品安全広報大使」に任命した女優の竹下景子さんが辞退を申し出、同省は受理したと21日発表した。19日に就任したばかりだった。

 竹下さんは、21人が犠牲となった一酸化炭素(CO)中毒事故を起こしたパロマ工業製ガス瞬間湯沸かし器のCMに、事故発覚前の2005年7月まで19年間にわたり出演。

 事務所は同省に「任命された日に遺族が福田康夫首相と面会したのを竹下さんが見て、当事者の心情に配慮して考えた結果」と説明したという。

 同省は「パロマのCM出演は知らなかった。辞退は重く受け止める」としている。後任は未定。

(21日 13:23)


 その後、この一件には大きな「落ち」があることがわかった!
 
 以下は名古屋に本拠地を置く中日新聞の記事だ。2008年5月19日付けとなっており、まったくパロマの件はふれていない。

 しかも、任命式に出席した竹下さんは「便利なものも使い方を間違えれば、命にかかわる事故になりかねない」と語っている。

 21人の死亡事故を出しているパロマの器具の広告塔に20年間もなっていた竹下さんが、語った「迷言」である。以下を見る限り、竹下さんなり所属事務所は初代『製品安全広報大使』を業務として一端は引き受けていることが分かる。

 おそらくクレームが寄せられ急遽、辞退したのだろう。何ともおそまつだ!


製品安全大使に竹下さん 家庭に潜む危険訴える
2008年5月19日 19時53分

 経済産業省は19日、家電や燃焼機器などによる事故を防ぐため、製品を正しく安全に使うことを呼び掛ける初代の広報大使に、女優の竹下景子さんを起用した。

 竹下さんは、経産省が毎月開いている製品安全セミナーに参加し、家庭で火災や大けがにつながる恐れがある製品事故の危険性を訴える。

 任命式に出席した竹下さんは「便利なものも使い方を間違えれば、命にかかわる事故になりかねない」と語った。

 経産省は昨年5月から、死亡や火災などを招いた重大事故の公表を開始。1年間で約1300件に達した。

(共同)


中国はオリンピック開催を延期し震災復興に全力を! 青山貞一

2008-05-20 23:19:43 | Weblog

 私がいる大学、学部、青山研究室には、中国から多くの留学生が来ており、四川省に身内がいる、いないにかかわらず、今回の四川省で起こった大震災に心を痛めている。今日も学内で義捐金をどう集めるかについて対応を協議した。またミャンマーからも留学生が来ており、同様に対応を協議した。

...

 中国四川省で現地時間2008年5月12日14時28分に起こった仮称、四川大地震は、今まで情報が断絶していた被災地と連絡が取れるようになるたびに、死者など被害が格段に大きくなっている。

 これは直近のミャンマーにおけるサイクロン被害、数年前のスリランカ、インドネシアの津波でも同様であり、当初発表された死亡者数はその後、指数関数的に増えている。四川大地震の現時点での死亡者数は4万人とされているが、おそらく今後、相当増えると思われる。

 周知のように我が国における過去の地震による被害としては、1923年(大正12年)9月1日午前11時58分に、神奈川県相模湾北西沖80kmを震源として発生した海溝型の大地震(関東地震)による災害が最大規模であり、以下に示すように14万人超が犠牲となっている。

  ◆関東大震災
   死者・行方不明者 : 14万2800人
   負傷者  : 10万3733人
   避難人数 : 190万人以上
   住家全壊 : 12万8266戸
   住家半壊 : 12万6233戸
   住家焼失 : 44万7128戸(全半壊後の焼失を含む)

 現地点で死亡者数こそ、関東大震災より少ないが、避難者数は中国当局の発表でも、すでに500万人を超えており、阪神淡路大震災より遙かに甚大な被害となっていることは想像に難くない。

  ◆阪神淡路大震災
    死者:6,437名 行方不明者:3名
    負傷者:43,792名
    避難人数 : 30万名以上
    住家被害 : 全壊104,906棟、半壊144,274棟、
    全半壊合計約25万棟(約46万世帯)、一部損壊390,506棟
    火災被害 : 住家全焼6,148棟、
    全焼損(非住家・住家共)合計7,483棟、罹災世帯9,017世帯

 ちなみに阪神淡路大震災の損害総額は推定で10兆円を超えており、復興には膨大な歳月がかかっている。

 ところで、今年の夏に中国北京でオリンピックが開催されることになっており、すでに聖火リレーも進んでいる。

 この中国北京におけるオリンピックの開催は2001年7月13日にモスクワで開かれた第112回IOC総会での投票により、イスタンブル(トルコ)、大阪(日本)、パリ(フランス)、トロント(カナダ)の4都市との間で競争に打ち勝ち開催地に内定しており。

 第1回投票では北京、トロント、パリ、イスタンブールが残り、第2回投票での獲得票数は北京56票、トロント22票、パリ18票、イスタンブール9票で北京に決まった。サマランチ会長率いるIOCは、このところ常態化している「商業的観点」から、世界一の人口を持ち経済成長が著しい中国でオリンピック開催を実現させることに特に意欲的であったとされている。

 北京オリンピックの開催を競技場との関連で見ると、北京市内に37会場が設置され、そのうち新設会場は22会場となる。全体の44%の施設が市北部に建設されるオリンピック公園に集中する。

 競技場とは別に、道路はじめ各種インフラ建設、ホテルなど観光客対応などで北京を中心に中国はかつての東京オリンピック開催をはるかに超える経済開発ブームとなっている。

 そのなかで四川大地震が起こった。地震以前にも、チベット自治権をめぐる大騒動があり、北京周辺の工場からの酷い大気汚染の問題もあるが、今回の四川大地震はそれらの紛争、問題以上に、中国国民にとって緊急を要する問題であると思われる。

 ちなみに、下の地図にあるように、何の因縁か「四川省」は「チベット自治区」のすぐ隣りにある。

赤い部分が四川省
赤い部分がチベット自治区
地図の出典はWikipedia

 そこで提案だが、この際、北京オリンピックを最低1年、できれば2年その開催を延期したらどうか? もちろん、そのためにはIOC総会での特例措置が不可欠だが、このまま北京オリンピックを強行すれば、間違いなく四川大震災への物理的、経済的、社会的な対応が遅れる。

 いくら今の中国経済が堅調であると言っても、損害額は日本円で数10兆円に及ぶであろう。水道、電気、道路、下水などのインフラ再建、現状で1000以上の教室が壊滅している小中学校の教育の再建など、どれをとっても膨大な費用と時間がかかるものばかりである。

 私の提案は決して開催を中止しろと言っているのではなく、特例的に1,2年延期し、北京で開催することにある。 


米NPO、BPL行政訴訟で連邦通信委員会に勝訴

2008-05-18 07:57:23 | Weblog

 筆者を含む日本のアマチュア無線家らは、現在、国(総務省、旧郵政省)を相手取り、新たなIT機器(通称、PLC)の導入が短波帯の電波環境にもたらす甚大な影響について行政訴訟(異議申し立て)を行っている。

 ※ PLCについて
 ※ 行政訴訟、異議申し立ての概要

 そして、私たちの行政訴訟に類似した行政訴訟が米国でも起こされている。

 米国には郵政省に類する連邦組織はなく委員会、すなわち連邦通信委員会(FCC)が行政訴訟の被告となっている。一方、原告は短波帯の電波を使用している米国のアマチュア無線連盟(ARRL)である。

 残念ながら、日本のアマチュア無線連盟(JARL)は国相手に訴訟を起こすどころか、早々と国(総務省、旧郵政省)による省令改正によるPLCという新たなIT機器の導入に賛成の意思を表明してしまった。

 結果として私たちアマチュア無線家ら115名が国相手に行政訴訟や電波監理審議会への異議申し立てをすることになっている。

 ところでこの春、ワシントンDCにある The US Court of Appeals for the District of Columbia Circuit で判決がでました。判決は、FCCが連邦行政手続法(APA)に違反している、という明快なものだ。

 判決では、FCCが新たなIT機器(BPL)を制度的に社会に導入するに際し、本来、利害関係者であるARRL(原告)の意見を十分に聞かなかったとし、(行政)手続上の瑕疵、過失をもとに原告側勝訴を言い渡している。

 ※ ARRL(NPO)のWebにおける報告
 ※判決文

 もちろん、単に意見を聞かなかっただけでなく実体法(電波法)との関連で法改正によるBPLの社会への導入が甚大な影響、被害をもたらす可能性があるという原告の主張がその前提にある。

 主文のなかで、FCCは連邦行政手続法(APA)の要件である利害関係者に告示を行い意見をもらう(the notice and comment requirements )ことを十分していない(fail to satisfy)と述べている。

 日本の行政手続法(1993年、平成5年11月12日法律第88号)では、この法を利用する大部分が事業者、業者で、たとえば建築確認申請が建築基準法の期日以内におりていないので早くおろせなど、国民、市民、NPOなどが活用することが少ないのが特徴だ。

 これに対し米国の行政手続法(APA)は、私が生まれた1946年(昭和21年)に制定され、その後、国家環境政策法などの環境法はじめ、多くの手続法に法理を提供してきた。

 米国の環境団体、NGO、さらにはハーバード大学ロースクール出身者らで組織している環境訴訟NPO、天然資源防衛委員会(NRDC)の弁護士は、APAを根拠に多くの環境関連訴訟を提起し、多くの成果をあげている。

 私たちはあくまで電波行政のもととなっている電波法(実体法)との関連で行政訴訟を起こしていますが、日本の行政手続法を根拠に行政訴訟がどう起こせるかどうか別途検討してみたい。

<日本の行政手続法>

第1章 総 則
(目的等)
第1条 この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第46条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。

《改正》平17法0732
処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。