青山貞一ブログ

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「経済と選挙」音痴のKY首相に増税を指南した小野教授とは?   青山貞一

2010-07-10 11:44:54 | Weblog
 経済音痴で有名な菅首相が副総理時代の今年2月(2010年2月)、内閣府参与として政府に登用した東工大出身の経済学者による「増税と公共事業による雇用創出論」を「つまみ食い的かつ鵜呑み」にし、総理就任直後、消費税10%論を唐突に提案していたことが判明した。

2010/03/06(土) 06:10:29 ID:???0 日経
内閣府参与に小野阪大教授 経済政策を助言
 経済財政政策を担当する菅直人副総理・財務相は5日、阪大の小野善康教授を内閣府参与に任命したことを明らかにした。小野教授は阪大と兼務しながら、必要に応じて菅副総理に経済政策を助言する。昨年末の成長戦略の策定では有識者としてヒアリングに呼ばれるなど、民主党政権との距離が近いとされる。 小野教授は規制緩和など企業活力の向上を狙う政策は人員余剰につながると指摘。環境インフラへの財政支出などが需要を増やし日本経済を活性化させると訴えてきた。一方、生活困窮者の対策を手掛けた反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠氏は内閣府参与から外れた。(00:40)

 2010年6月27日(日)にテレビ朝日のサンデーフロントライン(キャスター小宮悦子氏)に出演した菅直人ブレーンは、何度となく携帯電話で助言、指南を仰いできたことなど、菅直人首相の消費税10%の裏事情を暴露している。

 その学者は大阪大学社会経済研究所長の小野善康教授。下は小野教授の詳細プロフィール。菅直人首相が卒業した東京工業大学工学部の後輩にあたる(菅氏は昭和21年(1946年)生まれ、昭和49年東工大入学、昭和44年卒)。

小野善康氏プロフィール

昭和26(1951)年生まれ
昭和44年4月 東京工業大学工学部 入学
昭和48年3月 東京工業大学工学部社会工学科 卒業
昭和48年4月 東京大学大学院経済学研究科修士課程 入学
昭和50年3月 同課程修了 経済学修士
昭和50年4月 同博士課程 進学
昭和54年3月 同課程修了 経済学博士
昭和54年 4月 - 昭和56年 3月 武蔵大学経済学部 専任講師
昭和56年 4月 - 昭和59年 9月 武蔵大学経済学部 助教授
昭和59年10月 - 平成 2年 9月 大阪大学社会経済研究所 助教授
平成 2年10月 - 平成 8年 3月 大阪大学社会経済研究所 教授
平成 8年 4月 - 平成11年 3月 東京工業大学社会理工学研究科 教授
大阪大学社会経済研究所 併任教授
平成11年 4月 - 平成13年 3月 大阪大学社会経済研究所 所長・教授
平成13年 4月 - 平成21年 3月 大阪大学社会経済研究所 教授
平成21年 4月- 現在 大阪大学社会経済研究所 所長・教授
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昭和55年 9月 - 昭和56年 7月 ロンドン大学LSE 客員研究員 (British Council Scholar)
昭和60年 9月 - 昭和62年 8月 プリンストン大学 客員研究員 (国際文化会館 新渡戸フェロー)
平成 3年 1月 - 平成 3年 5月 ブリティッシュ・コロンビア大学経済学部 客員教授(経済動学、日本経済論担当)
平成 5年 5月 - 平成 5年 8月 世界銀行 客員研究員
平成22年 2月 - 現在    内閣府本府参与

 小野教授が説く「第三の道」は、以前より研究者仲間の間で「現実の世の中では実行不可能な不自然な前提を置いており、人間の行動力学を無視した机上の空論」と批判されてきたものだ。 

★小野善康氏が内閣府の参与に(驚き)? 石渡 正樹ブログ

 小野氏が説く「第三の道」が第三の道といわれる所以は、小野氏は経済学において、いわゆるニューケインジアンであり拡張財政派の立場にある。しかし、氏は昔のケインズ主義者ではなく、ケインズ理論を否定する新古典派経済学理論を用い新たなケインズ経済学を導いた、という異色の経済学者とされている。

 その小野教授は、ロイターのインタビューで、「雇用創出に向け消費税は来年からすぐにでも上げたほうがいいと、現在5%程度の失業率を3%に下げるまで人を雇えるお金が必要だ」また「増税分は借金返済に充てるのではなく、雇用創出とその所得支払いにまわすべきだと主張するとともに、税収の使途は、福祉目的税のように限定しないほうがいい」との見解を示し、増税を首相に提案していた。

 インタビューで第三の道について尋ねられると、小野教授は「過去の自民党政権下で取られた第一の道は、消費者にお金をばらまけばいいというオールド・ケインジアンの発想であり、無駄な公共事業や減税、補助金を指す。第二の道は構造改革そのもので、1990年代以降に生産能力が余っているにもかかわらず生産能力を上げようとした小泉・竹中改革。双方に共通するのは、労働資源を活用することが頭になく、お金を使うか倹約するしかないこと。これでは需要と雇用は生まれない」と述べている。

 さらに 「第三の道は、人に働いてもらうことが目的。そのために資金が必要なら、増税しても構わない。そうすれば当初の増税分は家計に所得として返るので、その時点で家計負担はないし、サービスや設備も提供される。雇用が増加してデフレも雇用不安も緩和されるため、消費が刺激され、経済も成長して税収が増え、財政も健全化していく」とも述べている。

★インタビュー:失業率3%へ消費税上げも=小野・阪大教授 ロイター
★小野教授自身の経済政策論サイト

 菅首相が消費税10%増税を何に使うのかと会見や野党から質問されたとき、国民年金、社会保険など福祉目的税に使うと明言しなかった理由が上のロイターのインタビュー記事から見てとれる。

 もっぱら、小野教授は消費税の増税より、高額所得者への増税を持論としているようだが、菅首相ブレーンとして小野教授は、「消費税は来年からすぐにでも上げたほうがいい」と進言している。

 経済音痴で選挙音痴のKY首相は、こともあろうか参議院議員選挙直前のこの時期に、マニフェストや党内議論を無視し、小野教授の進言を鵜呑みにし、かつ「つまみ食い的」、唐突に消費税10%論を提案した。

 学者が理論としていろいろな政策(問題解決の方向性、道筋)を考え、提案するのはよいとして、国政を預かる首相、総理が、理論中心で実社会での経験がほとんどない(世間知らず)の学者の経済論を、誇らしげに上から目線で公言したことになる。これは政策内容は違うが、小泉首相と竹中教授の関係に似ている。

 KY(空気が読めない)といえばこれほどKYな政治家、それも首相は歴代いないはずだ。結果は、ご覧のようにV字回復した内閣支持率や民主党支持率は劇落してしまった。

 KY学者の小野教授側に問題は多々あるものの、それをつまみ食い的に鵜呑みに、こともあろうか参議院議員選挙直前に気負って公言したKY首相に、民主党は真っ青、昨年夏政権交代を支持した国民、有権者も唖然、茫然し狼狽している。

 覆水盆に戻らずのたとえの通り、V字回復で単独過半数を狙った民主党はKY首相の付け焼刃的な増税論でボロ負けの可能性が高くなっている!

追記

 その昔、大学卒業後、筆者はアジア経済研究所の関連機関に数年いた経験がある。そのとき以来、経済学(経済学者)ほど現実、実社会から乖離し、学者の唯我独尊、トンデモ理論が跋扈している世界はないと言えると感じている。

 当時、研究所に英国からジョーン・ロビンソン教授がこられ経済学の現実との非関連性を徹底的に批判するなど、ラディカルエコノミクスがミシガン大学などで台頭していた。

 学問、研究の自由は大切である。さまざまな理論的研究、モデル、政策を研究し提案することは大切である。しかし、MITの学者とその卒業生が考え出したサブプライムローンシステムや竹中平蔵氏ら新自由主義の経済論など、学者の机上の空論が実経済社会を破たんに追い込んだり取り返しのつかない弱肉強食の「格差社会」を招来させるケースもたくさんある。

 また政治、政局と無関係に唯我独尊の持論を「ときの首相」に助言、指南し、経済音痴の首相が全面的にそれを鵜呑みにするケースも多い。しかも、しっかり分かっていればまだしも、生煮えの中途半端な理解のもと、会見などで首相が世に問うなどもっとての他のはずだ。

 今回はこともあろうか、小野教授の持論である「第三の道」の経済政策をおそらく戦後日本社会でもっとも重要な時期の参議院議員選挙のなかで総理が社会実験しようとしたKY菅直人首相にも驚きの念を隠せない。 

雨後の竹の子、乱立する新党の実像

2010-04-25 20:26:40 | Weblog

政権交代後、既得権益がなくなり、求心力がなくなった自民党の政治家が、次々に自民党を離党したり新党を立ちあげている。

 もとよりこの種の新党は、政党の存在理由が分かっていない独善的な政治家がつくるか、特定の政策目的、たとえば官僚による天下り禁止などでつくっているもので、共通しているのは自己顕示欲、すなわち「目立ちたがり屋」の性格が強く、いわゆる唯我独尊的なものだ。

 自民党系の新党は、冒頭に書いたように利権、権益だけが求心力であり、賞味期限どころか消費期限が過ぎた自民党という泥船から脱出しようとしている政治家が自己顕示欲と政党交付金欲しさに迎合、野合しているものばかりである。またこれら新党は選挙互助会的色彩も強い。

●たちあがれ日本

 まず、理念も政策もばらばら、共通しているのは70歳過ぎの偏屈なタカ派、右翼が集まったのが「たちあがれ日本」である。そもそも小泉郵政民営化を担った緊縮財政派の与謝野議員と郵政民営化に反対し自民党を離党した平沼議員が共同代表となっている。2人は言うまでもなく理念や国家観が全く異なっている。

 この厳然たる事実だけを見ても支離滅裂である。政党交付金をもらうためには政党要件を満たさなければならず、理念も政策もそっちのけで消費期限が過ぎた年寄り政治家が無理矢理5人集まったといえる(石原知事は国会議員ではない)。今まで同様、今後も精勤で喰って行こうという点でも共通している。

平沼赳夫 (代表・衆議院議員)
与謝野馨 (共同代表・衆議院議員)
園田博之 (幹事長・衆議院議員)
藤井孝男 (参議院代表・参議院議員)
中川義雄 (参議院幹事長・参議院議員)
石原慎太郎 (応援団長・東京都知事)

 そんなことから、参加を見送った議員、たとえば城内実議員、小泉龍司議員からは「保守色が強すぎる」とされ、逆に鴻池祥肇議員は「理念や国家観が違う与謝野と一緒にできないと述べている。

 そもそも「たちあがれ」は、家族そろって税金に寄生する石原東京都知事が命名したとされるが、その名称は、「上から目線」あるいは「他人ごと」的である。たちあがるエネルギーがなくなった「立ち枯れ」老人が自身を鼓舞しているとしか思えない。


●舛添新党

 マスメディアの誘導質問的インチキ世論調査で首相に相応しい政治家ナンバーワンとされ、さもなくとも傲慢、独善、自民党内で嫌われ者となっている舛添議員が、「その気になって」谷垣自民党総裁など執行部をボロクソ批判した。

 そこまで批判すると、あとは離党する以外無くなったが、周りをよく見ると、自民党内のまともな政治家は誰も着いてきそうにもない。かといって橋元大阪府知事などとの連携も相手から断られる始末。

 どうしようもなく、渡り鳥議員、わけあり議員を集めこの4月21日、舛添新党づくりに言及せざるを得なくなった、というのが真相であろう。その背景には、「たちあがれ日本」同様、政党要件を満たさなければ交付金もなければ発言場所も発言時間もほとんどなくなるので、渡り鳥、わけあり議員を集めて旗揚げせぜるをえなくなった。
 
 新党結成の意向を表明した舛添要一議員は21日以下の発言をしている。それぞれにコメントを付けてみた。

 【現状認識】今の鳩山内閣の状況を放っておくと日本が必ず沈没する。一日も早く民主党政権を倒さないと国民のためにならない。閉塞感を何とかしたい。

 ....これは自民党政治そのものに対するものである。そっくり自民党にお返ししたい。

 【新党結成】国民の期待に応えられるよう準備を進めている。国を憂えている政治家が結集すればいい。オールジャパンでやれば、必ずこの難局を乗り切れる。夢と希望をこの国に取り戻したい。集大成の日が迫っている。

 ....言うのは自由だが、渡り鳥議員、わけあり議員を集めやっとどうにか5名となるような政党が日本の難局を乗り切り、夢と希望を取り戻せるわけがない。

 【準備状況】清潔な政治を目指し、外交・安保を立て直す。タイムリミットがあるので、いろいろな政治家と話をしている。5人以上と話し、ほとんど賛同いただいた。当然、私が党首になるから「舛添新党」という話だ。

 ....その5人とは、舛添議員以外は矢野哲朗議員(前参院国対委員長)が参加を検討中のほか自民党と国会で統一会派を組む改革クラブの渡辺秀央、荒井広幸、山内俊夫の参院議員という。もとより荒井議員は郵政民営化政策で自民党を離党した後、選挙互助会となった新党日本に移り、首班指名で安倍晋三議員に投票するなど支離滅裂行為を繰り返し、はぐれ議員の集まり、改革クラブに移っている。

 【自民党批判】政党のために政治をやっているのではない。どこの政党も支持しない人が5割を超える状況だ。こんな不健全な政治は過去数十年なかった。

 ....日本の政治は実質半世紀、自民党の利権、独裁政治に蹂躙されてきたことをどう総括するのだろうか。

 舛添新党の母体となる「改革クラブ」だが、その沿革を見れば唖然とする。

 この改革クラブこそ、「政党交付金」と「選挙」のための互助会であることが明々白々である。何が改革クラブか! もちろん、理念も政策もあったものではなく、バラバラである。

2008年(平成20年)

 8 月29日 : 参議院議員4人により結成。参加予定であった姫井由美子が直前に翻意し、政党要件を満たさない政治団体として発足した。

 9月24日 : 無所属で活動していた衆議院議員・西村眞悟が参加。所属議員が衆参5人となりやっと政党要件を満たすことになる。

2009年(平成21年)

 8月30 日 : 第45回衆議院議員選挙で西村議員が落選。所属議員が参議院議員4人のみとなり、再び政党要件を満たさない政治団体となる。

 9月11日 : 参議院で自民党との統一会派「自由民主党・改革クラブ」を結成。

 10月16日 : 無所属(元自民党)衆議院議員・中村喜四郎が入党、所属議員が5人となり、政党要件を回復。

 10月19日 : 衆議院でも自民党との統一会派を結成することで合意。

 2010年(平成22年)

 1月 8日 : 山内俊夫参議院議員(5日に自民党を離党)が入党。
 1月14日 : 松下新平参議院議員が離党(翌日、自民党に入党)。


●山田・中田新党
 
 松下政経塾出身で衆議院議員から首長に転出した東京都杉並区の山田宏区長と前横浜市長の中田宏氏が中心となり、前山形県知事の斎藤弘氏ら現職の首長や首長経験者が今月内にも新党を結成するという。

 山田区長は、都内で記者団の質問に答え、新党のメンバーや党名、参院選候補者を今月中に発表すると説明。自身の参院選立候補については「出る考えはない」と否定した。参院選には候補者10人程度を擁立する方針で、中田氏と斎藤氏が比例代表での立候補を検討しているというが、現職国会議員の参加は見込んでいない。

 さらに山田区長によれば、橋下徹大阪府知事に関して「いろいろな形で連携するが、今回の動きに直接加わることはない」と指摘している。

 山田、中田両氏らが結成した政治団体「よい国つくろう!日本志民会議」に参加する中村時広松山市長や鈴木康友浜松市長については「新党に入るということではないが、連携はあり得る」と述べた。

 山田・中田新党は、民主党政権を「ばらまきが過ぎる。国家の再生にはつながらない」と批判し「永田町の動きとは一線を画した形で国民の声を集めたい」と強調しているという。また共同通信の記事によれば、政策に関連しては「地方の行政改革を進めた立場から見ると、国の経営はあまりにも問題が多い。地方自治での実績を踏まえて経験を生かす」と述べており、法人税引き下げや国家公務員数の削減などを訴えるとみられる。

 まず最初に指摘したいのは、山田区長、中田前市長は、いずれも致命的な女性スキャンダルを起こしている政治家である。

 山田区長と元杉並区議、その後東京都議選に転出し落選し小泉選挙で大阪の選挙区から当選。昨年の総選挙で落選した渡嘉敷なおみ氏とのグチャグチャな不倫事件はあまりにも有名だ。

 山田区長は渡嘉敷氏の実の旦那(その後離婚)を刑事告訴し、当時の旦那は収監された。その後、旦那から山田区長と渡嘉敷氏は名誉毀損裁判で訴えられ、山田区長は500万円の示談金で和解している(ただし、渡嘉敷氏は旦那からの訴えそのものを否認している。

 この山田区長の女性スキャンダルについては、以下を参照いただきたい。
 
 ある小泉チルドレン(2006.12.2)

 また中田宏前横浜市長の女性スキャンダルも地元で知らない人はいない。ひとつは週刊現代がスクープした専門学校の女学生との間での問題、もうひとつは被害を受けたという関内のクラブの女性から損害賠償請求された時間である。

 中田市長女性醜聞1(週刊現代)

 中田市長女性醜聞2(週刊現代)
 また、日刊ゲンダイに以下のリードにあるような記事もある。
 
 無責任“中田宏”市長が明かせない辞任理由  日刊ゲンダイ

 横浜の中田宏市長(44)の任期途中での放り出し辞任には市民も市職員も呆れている。今度の衆院選には出ないというが、国政転出を狙っているのは明らか。それでも何をやりたいかはハッキリしない。女性問題など、これだけスキャンダルが多いと、自民も民主も3期目は担げないという声もしきりだが、「開国博」などやりかけたままでほっぽり出すのは無責任もいいところ。  

 いずれにせよ、この2人に共通していることは、日本の将来や日本の教育を憂う以前にご自身が起こしたこの種のスキャンダルをしっかり反省することであろう。さもなくとも多々批判が多い松下政経塾卒の政治家の品位、品格を地に落としているという自覚がなければならない。

つづく

オバマの真価を問う中南米諸国との関係修復 青山貞一

2009-04-20 23:06:42 | Weblog
 現地時間の2009年4月17日、カリブ海のトリニダードトバコのポートオブスペインで米州首脳会議が始まった。

 この会議は、ひさびさに北米、中米、南米、カリブ海諸国が一同に会する会議である。

 開幕式典で演説したオバマ米大統領は「上下の無い対等な関係構築に努める」と述べた。

 しかし、ノーム・チョムスキーMIT教授の言葉を借りるまでもなく、米国は歴史的に中南米、カリブ諸国を米国の裏庭とみなし、あたかも殖民地であるかのごとく扱ってきた事実がある。

 またJ.F.ケネディ大統領以来、米国はキューバを敵視し、キューバに対して経済封鎖を公然と現在に至るまで行っている事実もある。

 これら米国の中南米、カリブ諸国へのいわば「蔑視政策」は、前ブッシュ大統領において頂点に達していた。

....

 これら米国のいわば蔑視政策に対し、中南米諸国は、反米・反帝国主義を掲げるヴェネズエラのウゴ・チャベス大統領がリーダーシップをとる形で、ボリビア、ニカラガなど反米急進派だけでなく、ブラジル、アルゼンチン、さらに穏健派諸国を巻き込む形で反ブッシュ包囲網を形成してきた。

 そのウゴ・チャベス大統領は、国連でブッシュ大統領を「悪魔」呼ばわりする一方で、フィデル・カストロ前キューバ革命会議議長らキューバ政府の立場をあらゆる公式の場で代弁してきた。
 世界各国にとって「悪魔」であったブッシュ政権から、米国では黒人初のオバマ大統領となったが、実は今回の米州首脳会議にもキューバだけが出席を拒否されていた。歴代、米国の大統領が拒否権を発動してきたからである。

 ところでこの会議で、オバマ大統領は「アメリカ政府はキューバと、人権・表現の自由、民主的改革など、幅広い問題について協議する用意がある」と述べ、長年対立してきたキューバに対し、「アメリカは新たな始まりを求めている」と呼びかけた。

 これに対し、変米の雄、チャベス大統領は、「米国よりキューバの方が民主主義がある」と持論を展開、民主化への取り組みの遅れなどを理由にキューバのOAS復帰を拒む米国を批判した。

 客観的に見て、ケネディー大統領がキューバへの経済封鎖を行ってこの方、米国の歴代大統領がとってきたキューバ敵視政策は、チャベス大統領の言を待つまでもなく、まったく時代にそぐわないものである。いわば旧ソ連との間での冷戦構造時代の歴史的遺物のようなものである。

◆青山貞一:米国の経済封鎖、オバマ大統領は封鎖解除を! 

 またブッシュ政権時代を見れば分かるように、米国は対外的に人権だ民主主義だと声高に叫ぶ割に、アフガン、イラクなど中東諸国にエネルギー新殖民地主義的な侵略を行ったり、キューバの東端にあるガンタナモ基地に多くのアフガン、イラク、パキスタンなどイスラム人を強制収容している。

 米国は世界各国から人権無視と厳しい批判を受けており、オバマ大統領はガンタナモ基地のこの刑務所の閉鎖を公約している。

 米国の建国の理念、精神がいくら立派で崇高であっても、現実に米国が中南米諸国でCIAや軍を使い行ってきたことは、国際音痴の日本人やジャーナリズムが知らないだけで、ブッシュ前大統領がいう「テロ国家」そのものであったといえる。

 その意味でチャベス大統領のいう「米国よりキューバの方が民主主義がある」という言葉は極めて現実味をもっており、同時に言葉の重さをもつものである。

 ただ中南米、カリブには今でも米国の裏庭、殖民地的な地域や傀儡政権的国家が多数ある。その意味で、反米、反グローバリズム、反国主義を旗幟鮮明にし、物言う大統領、チャベス氏の役割は一段と大きなものとなるだろう。

 一方、私見だがオバマ大統領の真価が本当に問われるのは、欧州、日本ではなく中南米、カリブなどの諸国との関係改善が可能となるかどうか、とくにキューバへの経済封鎖経済封鎖や敵視政策を大幅に改善できるかどうかにかかっていると思う。

ブッシュ前政権と違いアピール 米、中南米と融和姿勢東京新聞 2009年4月19日 朝刊

 【ニューヨーク=阿部伸哉】十七日にカリブ海のトリニダード・トバゴで開幕した米州首脳会議で、オバマ大統領の中南米外交が本格始動した。大統領は反米左派のベネズエラのチャベス大統領と握手を交わし、演説でキューバとの対話姿勢を打ち出すなど、ブッシュ前政権との違いをアピール。左派勢力の伸長が目立つ中南米で、米国の復権にどこまでつながるか注目される。

 会議の最大の焦点は、米国から約半世紀にわたって経済制裁を受け、事実上の除名処分を受けているキューバの扱い。公式議題ではないが、中南米諸国から制裁解除を求める声が高まっている。

 オバマ大統領は開幕式のあいさつで、参加国の期待に応えるようにキューバに何度も言及。「どの国も自分の道を歩む権利がある」とし、「米国はキューバとの新たな始まりを求める」と述べた。

 クリントン米国務長官も前政権の対キューバ政策は「誤りだった」と認め、政権の方針転換を印象づけた。

 キューバを社会主義モデルと仰ぐチャベス大統領は前日、首脳会議の最終宣言案を「米国の対キューバ制裁解除が盛り込まれていない」として拒否。緊張感が高まる場面もあったが、オバマ大統領は開幕式の前にチャベス氏と握手し、融和ムードを打ち出した。

 チャベス氏は十八日、中南米の植民地支配の歴史を記したウルグアイ人作家の著書をオバマ大統領に贈呈。米政権が中南米諸国への理解を深めることを期待したとみられ、オバマ大統領は笑顔でこれを受け取った。



米州サミット開幕 オバマ大統領「中南米と対等な関係」
【ポートオブスペイン(トリニダード・トバゴ)=檀上誠】北・中南米の首脳が一堂に会する米州首脳会議(サミット)が17日、当地で開幕した。開幕式典で演説したオバマ米大統領は「上下の無い対等な関係構築に努める」と述べ、これまで「米国の裏庭」とみなして配慮を怠ってきた中南米に対する政策の転換を宣言した。

 式典ではこれに先だちアルゼンチンのフェルナンデス大統領が「序列ではなく協調を基にした関係が必要だ」と指摘。オバマ大統領が応じた格好だ。

 オバマ氏は中南米各国の首脳が求めている対キューバ政策見直しについて「米・キューバ関係は新たな方向に前進できる」と発言。中米歴訪の直前に発表した在米キューバ人の一時帰国の緩和など、対キューバ政策の根本的な見直しに踏み出したことを強調した。

 開幕式典では、反米を掲げるニカラグアのオルテガ大統領が一時間を費やし、米国の歴代政権の中南米政策を批判する一幕もあった。オバマ大統領は「自分が生まれたころに起きたことまで、私のせいだと言われなくてよかった」とかわした。(13:12)

日経新聞


OAS宣言案に拒否権も=キューバへの言及に不満-ベネズエラ大統領

 【ポートオブスペイン16日時事】ベネズエラの反米左派チャベス大統領は16日、カリブ海の島国トリニダード・トバゴの首都ポートオブスペインで17日から開幕する米州機構(OAS)首脳会議で採択予定の首脳声明について、OASから事実上排除されたままのキューバへの言及に不満があるとして、同調する他の国と共に拒否権を発動すると語った。AFP通信などが伝えた。

 チャベス氏は「宣言は受け入れ難い。時宜にかなっておらず、まるで時間が止まったかのようだ」と指摘。さらに「米国よりキューバの方が民主主義がある」と持論を展開、民主化への取り組みの遅れなどを理由にキューバのOAS復帰を拒む米国を批判した。(2009/04/17-10:15)

時事通信

ぞろぞろ噴出「西松」疑惑 二階大臣捜査の行方は? 青山貞一

2009-04-11 01:07:13 | Weblog
 
 周知のように、東京地検特捜部は2009年3月4日に小沢代表の第一公設秘書をいきなり逮捕する「挙」にでたが、元東京地検特捜部の検事、郷原信郎教授は政治資金規正法との関係においてすら東京地検は公判を維持できないほどの「暴挙」だと言明している。

 なによりもこの問題は2006年時点の問題をこともあろうか麻生内閣支持率が10%前後に落ちた政権交代前夜に東京地検特捜部が行ったことだ。しかも、東京地検がリークする情報をNHK、民放、新聞を問わず、ことさら針小棒大に垂れ流し、あたかも小沢代表が個別具体の公共事業案件との間での賄賂・贈賄であるかの印象を国民に与えた。

 巷では、多くの識者らが東京地検特捜部がこの間行ったことは、小沢代表や民主党を標的にして、政権交代を阻止するための「国策捜査」ではないのか、との批判が数多くなされた。それを裏付けるかのように、もと警察庁長官だった漆間巌官房長官補が「東京地検の捜査は自民党に及ばない」という趣旨の発言を記者との懇談の場で発言した。

 かくして約一ヶ月、大マスコミはただ東京地検特捜部がリークする一方的な情報を識者のコメントすら付けず垂れ流した結果、政府・自民党が抱える膨大な問題はそのままで麻生内閣の支持率は20%台と大幅に上昇し、自民党支持率も大幅に増加することになった。

 ところで西松建設から表(政治資金収支報告書に記載されているカネ)、裏(政治資金収支報告書に記載されていないカネ)を問わず政治家に渡ったカネで件数で圧倒的に多いのは、自民党及び自民党系の政治家、知事である。

 他方、表の金額が多いということでいきなり秘書が逮捕された小沢代表ら民主党は、2名に過ぎない。しかも小沢代表が繰り返し述べているように、小沢代表に政治団体から分かったカネは政治資金規正法に基づく表からのものである。

 自民党の政治家の中で表で一番多かったのは、二階経済産業大臣だ。それ以外にも、自民党には総理経験者、大臣経験者、要職経験者がいた。またすでに辞意を表明している石川静岡県知事や東京地検特捜部に任意で取り調べを受けた直後側近が視察した村井静岡県知事らもいる。

 なかでも、現職の大臣である二階経済産業大臣については、早い段階から東京地検は小沢代表公設秘書をこともあろうかいきなり逮捕し、徹底的にあることないこと情報を一方的にリークしながら、表の件数で圧倒的に多い自民党代議士、とくに二階大臣を捜査しないのは不公平、不公正ではないのかという批判が巻き起こっていた。

 「国策捜査」と揶揄される今回の一件では、大マスコミは東京地検がリークする情報に圧倒的多くを依存し、自ら調査し報道することがなかったため、東京地検が年度末となり捜査態勢が代わり、人事異動が起きると、西松関連の政治家に係わる記事が著しく減少した。

 他方、知人の横田一氏(フリージャーナリスト)が3月中旬以降、和歌山県や大阪大阪府の現地に入り、二階経産大臣の周辺を独自に調査したところ、次々に状況証拠がでてきた。どうしようもない思考停止の大マスコミの一部は、横田氏の記事を受け追跡取材してゆくと、次々に疑惑がでてきた。

 それは西松から表でパーティ券を大量に購入してもらっている問題だけでなく、二階事務所の経費を西松に永年肩代わりさせてきた問題、すなわち他人名義の寄付や虚偽記載を禁じた政治資金規正法違反の疑い、さらに1999年以降、関空や羽田空港など大規模公共事業の受注を西松が二階大臣に働きかけていたことなどが判明してきた。

 言うまでもなく二階氏は、現在は経済産業大臣だが以前は運輸大臣もしている。すくなくとも小沢代表は野党代表であっても何ら職務権限がないが、二階氏はこの間、政府の中核を占める大臣を歴任してきた。

 下は最近の二階大臣を巡る西松建設疑惑の一部であるが、これだけ多くの疑惑がある二階大臣であるにもかかわらず、東京地検特捜部は小沢代表のときのように格段の捜査をしていないせいか、またリーク批判が巻き起こっているせいか、小沢氏のときのような連日連夜のリークはないようで、新聞、テレビもほとんど報道していない。

 今回の東京地検特捜部の恣意的、意図的なリークに加担し、一方で権力の座にる巨悪を放置し、他方で政権交代の芽を潰している大メディアは、自壊の道を歩むであろう!そうなっていないのは、日本国民が情報操作に弱く、ノー天気であるからである。

 東京地検と大メディア合作による政権交代潰しと言われないためにも、今後、二階大臣はじめ政権にいる政治家の疑惑を徹底的に捜査し、立件しなければならない。また「権力の犬」「権力者のポチ」と化している大メディアも、権力、権限がある政治家らを自らの足を使い調査し、スクープを連発しなければならない。

西松建設献金事件:西松建設側、羽田・関空工事で
二階氏側に受注希望 検察最終協議へ

 準大手ゼネコン「西松建設」を巡る政治資金規正法違反事件に絡み、同社が99年以降、二階俊博経済産業相側に関西国際空港や羽田空港関連工事の受注希望を伝えていたことが西松関係者の話で分かった。西松が二階氏の関連政治団体「関西新風会」(大阪市)の事務所費約2500万円を肩代わりした期間と重なっており、大型プロジェクト受注を目指し資金提供を行った疑いが浮上した。東京地検特捜部は来週にも、上級庁と最終協議に入る模様だ。

 西松関係者によると、同社が受注を希望したのは羽田空港の南東側沖合に4本目となる新滑走路「D滑走路」(2500メートル)を建設する再拡張事業と、関西国際空港に2本目の平行滑走路(4000メートル)と関連施設を整備する2期工事。

 羽田空港のD滑走路は、国土交通省が01年12月、正式に計画を表明し、設計を含めた全工事費は約5985億円。大手ゼネコン「鹿島」や西松建設を含む計15社の共同企業体(JV)だけが入札参加を申し出て、競争なしで受注が決まった。西松の受注分は約209億円に達する。07年3月に工事が始まり、来年10月に開業する見通し。また、関西国際空港2期工事は99年7月、着工。用地造成の発注総額は約5270億円で、西松も一部を受注した。

 二階氏は99年10月~00年7月、運輸相を務め「運輸族」として知られる。西松関係者は毎日新聞の取材に年間約280万円に及ぶ関西新風会の事務所費肩代わりを始めた99年ごろ以降、二階氏側に受注希望を伝えた事実を認めたうえで「二階氏の影響力に期待した」と話した。しかし、二階氏の事務所は「(受注希望は)ない」と回答した。

毎日新聞 2009年4月4日


西松建設提供の賃貸事務所、二階氏側が物件指定

 西松建設側が二階俊博経済産業相の関連政治団体の事務所費を補てんしたとされる問題で、二階氏の実弟が具体的な物件名を挙げ、事務所として提供するよう西松建設に要求していたことが3日、同社関係者などの話で分かった。当初同社が提供した物件は希望に沿わないとして、あらためて指定してきたという。

 西松側が、個人献金を装い、家賃相当額を二階氏側に提供していたことがすでに判明。東京地検特捜部は3日、他人名義の寄付や虚偽記載を禁じた政治資金規正法違反の疑いがあるとみて西松側からの事情聴取を再開。二階氏側への献金の流れについて本格捜査に乗り出したもよう。最高検などと協議し、立件の可否などを最終判断するとみられる。

 同社関係者などによると、二階氏の実弟は1999年ごろ、自分が実質的に運営する政治団体「関西新風会」に事務所を提供するよう西松建設関西支店に要求。西松建設本社の総務部が了承し、同支店が物件を用意。二階氏側がいったんこれを拒否し、改めて希望するマンションを指定してきたという。(07:00)

日経新聞 2009年4月3日


西松疑惑  「関西新風会」の届け出“住所”に
二階派議員の親族企業 会計責任者も献金も提供

 二階俊博経済産業相側に準大手ゼネコン「西松建設」が、同氏関連政治団体の事務所マンションを無償提供した疑惑で、同政治団体が自民党二階派の矢野隆司衆院議員(比例近畿)のファミリー企業と、人脈でも資金面でも密接な関係にあることが二日、本紙の調べでわかりました。

(写真)二階氏の政治団体「関西新風会」の事務所所在地とされた、ビルのフロア案内。同会の表示はありません=大阪市北区

 西松側から事務所の無償提供を受けたとされるのは「関西新風会」。同会は大阪府選管に、大阪市北区梅田にあるオフィスビル二十七階の「矢野興産内」を「主たる事務所」所在地として届け出ています。

 しかし、この住所に行ってみると、「関西新風会」の存在を示す表示はまったくありません。ビルのフロアの大半は、水道・ガス管製造整備大手の大成機工(矢野裕史社長、資本金約一億円)のオフィスが占め、フロアの一角に同社関連企業の矢野興産があります。

 矢野議員は、大成機工の元副会長で、現社長は親族です。同氏は矢野興産でも取締役でした。

 新風会が府選管に提出した資料などによると、同会の会計責任者には一九九〇年から大成機工の役員が就任しています。現在の会計責任者も同社元役員。大阪営業部長だった〇四年当時に新風会の会計責任者になっています。資金の出入りを管理する会計責任者は、政治団体の要職であり、同社と二階氏の関係の深さを示しています。

 大成機工は、二階氏が支部長の「自民党和歌山県第三選挙区支部」に〇七年に二十万円を献金。矢野興産も〇四―〇七年に毎年十二万円ずつ計四十八万円を提供しています。〇五―〇七年に行われた二階派のパーティー券も両社で計二百十万円分を購入していました。

 矢野興産の担当者は「(関西新風会の)事務所の住所が、この場所にあることは知らなかった。関西新風会が活動しているのを見たことはない」としています。

 「関西新風会」の実際の活動は、大阪市西区にあるマンションの一室で行われていたとみられます。西松建設は、関連設計会社に四千万円を同マンション購入費用として融資。設計会社が関西新風会と年間約二百八十万円の賃貸契約を結んだといいます。

 西松建設は、和歌山県第三選挙区支部に個人献金を装い年間三百万円を献金し、家賃を補てんする形で事務所を無償提供していたと指摘されています。

しんぶん赤旗 2009年4月3日

北朝鮮ミサイル迎撃騒ぎの裏に防衛利権あり!? 青山貞一 Teiichi Aoyama

2009-04-08 01:16:51 | Weblog
 
 日本政府は北朝鮮のロケット打ち上げに関連し、ことさら大騒ぎをしてきた。さらに4月4日、政府は誤報を発した。もとより何一つクロスチェック、ダブルチェックをすることもなく誤報を発したのだが、当然のこととして大メディアはそれを一方的に垂れ流した。

 麻生総理はじめ政府関係者は、この正規の大誤報をいわば笑ってごまかすようだが、そもそも北朝鮮の人工衛星であれ、弾道ミサイルであれロケットを本気で打ち落とすこと自体、果たして可能か?と誰しもが思うだろう。

 日本は米国ブッシュ政権のいいなりに、イージス艦2隻、迎撃ミサイル3基を目が飛び出るほどの高額で買わされてているが、やれもしないのに実勢配備した。

 しかし、4日の誤報でも明らかになったように、日本の迎撃態勢はお粗末そのもの、「鉄砲の弾を鉄砲で撃ち落とすようなもの」と鴻池官房副長官が述べたように、そもそも迎撃など技術的にも、まさに容易でなく、無理であろう。

 技術的に見ると、北朝鮮の銀河2号が日本上空を通過する10分後には地上から300kmを飛ぶことになる。イージス艦から発射されるミサイルSM-3の上昇限度は250kmまでだから、まったく届かない。さらに地対空誘導弾パトリオット、いわゆるPAC3の射程はせいぜい設置位置から半径20km程度。近くに落ちてきた破片を破壊することしかできない。

 その意味で言えば、4月5日、昼の北朝鮮の実験がそれなりに成功したことで、ホット胸をおろしているのは政治家を中心に日本の防衛族、防衛省関係者ではなかろうか?

 実戦配備し、もし日本の領空を侵犯したとして、それにPAC3で応戦し打ち落とせなければ日本政府は世界的に恥をさらすことになることは間違いないからだ。

 ところで今回の一件で極めて不可思議なのは、本来、極秘であるはずのイージス艦や迎撃ミサイルPAC3の配備場所などをマスコミに大々的に公開していることだ。

 本来、この種の場所は極秘でなければならない。なぜなら当然のこととして、もし戦争状態になれば真っ先に相手の攻撃を受ける場所であるからだ。

 岩手と秋田に地対空の誘導弾パトリオット実戦配備されるPAC3や関係車両数10台が国土幹線自動車道を北上する映像までテレビ各局は垂れ流していた。実勢配備されたPAC3もライブでテレビに映されていた。

 さらに麻生首相は国民に危機を煽りつづけ、非公開が大前提のミサイル破壊措置命令まで公開したのはなぜか?


 「『愛国』と『腐敗』、日米防衛利権の構造」の著者でジャーナリストの野田峯雄氏は、日刊ゲンダイのインタビューに答え次のように述べている。

 「政府は自ら実戦化した部隊をつくり、戦闘への備えを進めています。これが本気なら、PAC3配備という隠して当然の軍事行動について、なぜマスコミを集めて見せびらかすのか。原子力発電所の燃料運び込みですら、ダミーの車両を走らせる細心の注意を払っています。それなのに軍事機密はジャジャ漏れで偽装工作もしない。常識では考えられないことをやっているのです」

 そんな防衛のイロハにもとる配備を行ったのはなぜか?何でかくも政府・自民党は北朝鮮ミサイル問題で大騒ぎしたのか?

 それはいうまでなく、政府・自民党は北朝鮮の脅威を煽り続けることで、イージス艦やPAC3はじめ超カネ喰い虫のミサイルディフェンス計画、通称MD計画を推し進め、関係する企業、商社ともども8000億円になんなんとする防衛利権を掌中にしようとしているからに他ならない、と考える。

 野田氏は日刊ゲンダイのインビューに応え次のように述べている。

 「(MD)計画を推進する米国に両手を引っ張られ、日本は小泉政権の2004年度からMDに予算を付けてきました。その総額は、2009年度概算要求額を含めると8087億円に上ります。これに群がっているのが、日米の軍需企業群と政治家達。とかく政治家は安全保障とか憂国の情とかきれい事を並べますが、本当の動機は不純。北朝鮮危機は防衛利権で甘い汁を吸う連中に利用されているわけです」

 たとえばイージス艦は半径500km以内にいる敵の戦闘機、ミサイルを瞬時にキャッチし、迎撃ミサイルを発射する高性能レーダーを備えた戦艦と言われている。

 イージス艦は三菱重工で作られているが各種の設計図は米国から供与されており、その価格は三菱重工、アメリカへのライセンス料、商社に払う仲介料などで明細は明らかにされていないが総額で一艘あたり1,350億円とされている。

 おそらく野田氏が指摘する点は、百も承知のハズの新聞、テレビの大メディアは、利権問題にはまったく触れず、ただ日本政府の大本営的発表を垂れ流している。 

 誤報までそのまま垂れ流しているのは、分野は違うが小沢代表公設秘書にかかわる検察リークの情報の垂れ流し同様、まさに今の日本の思考停止、機能不全の大メディアの実態を如実に示していると言えよう。

 日本の経済も外交も実態は何も変わっていないのに、麻生内閣支持率がこの数日で10%以上も上がったと言うのだから、いつもながら「おめでたい国民」という他はない。まさに、政府・メディア合作の「情報操作による緒世論誘導」、いや、「政官業学報の癒着」が一層強固な物となっている。

なぜ、政権交代前夜なのか 結果的に悪政に加担する東京地検特捜部   青山貞一

2009-03-05 20:56:41 | Weblog

 民主党小沢代表の公設第一秘書をいきなり逮捕した東京地検特捜部だが、国民が半世紀に及ぶ自民党のやりたい放題の悪政から、自らの手で総選挙により解放する「前夜」に、敢えて強制捜査に踏み切ったことに対し、多くの識者が疑問を呈している。

 たとえばO氏は、「今回の容疑は3年以上前の話で、なぜ今なのか違和感が残る。この時期の逮捕は国策捜査と言われかねない」と述べている。

 さらに政治評論家のY氏は、「国民にとっては悪夢のような展開です。自民党政権が続くということは、2大政党制がかけ声倒れに終わり、腐敗堕落による一党独裁が続くということです。消えた年金に象徴されるようなごまかし政治が続き、官僚機構がのさばり、一部の政治家と企業だけがいい思いをする癒着政治が続くことになる。ヘタをすればあと10年も暗黒政治がつづくことにもなりかねません」と述べる。

 言うまでもなく東京地検による今回の一件により、国民の間にいまだかつてなく盛り上がっていた政権交代の機運は完全に冷水をかけられた。

 それでも罪は罪、罰は罰という人はいるだろう。また自民党やNHKはじめ大マスコミは「国民に対し政治とカネにまつわる政治家の信頼を失墜させたことは間違いない」などと、「したり顔」の論評はある。

 また西松建設による政治家への資金のバラマキは国会議員、知事を含め数10人に及んでいるなか、なぜ小沢一郎だけなのかという問いかけに、東京検察特捜部は小沢陣営に渡った額が突出して大きいからなどと言っているようだ。

 しかし、小沢氏自身が3月4日朝の記者会見で述べているように、もし、あらかじめ企業からの献金であれば、「陸山会」でなく企業献金が認められている政党への献金として扱えばよいのである。そもそも数年間で2100万円という献金額に、いきなりの逮捕と強制捜査を敢えてこの時期に行うことが大いに問われるだろう。

 大メディアは検察のリークを鵜呑みにして、2100万円の献金額を突出しているなどといっている。しかし、これは数年間の総額であり、年間額にしてみると数100万円規模である。小沢代表系への毎年の個人、団体を問わず献金総額(数億円)からして、突出して大きいなどと言える額ではないだろう。連日、代目ディアが事実報道と言いながら、ことさら検察がリークする情報を垂れ流していること自体、いつものように「情報操作による世論誘導」となっていることを忘れてはならない。

 たとえばここ数ヶ月、日本の大メディアが神様のように拝みたてまつる米国のオバマ大統領が大統領候補だったとき、オバマ陣営が集めた政治資金は総額約7億ドル、約600億円であった。その9割は一般有権者からの献金であるが、残りの一割はかのリーマンブラザースはじめ金融投資銀行はじめ企業やロビイストなどの大口献金者からのものだった。

 それよりもなによりも、この時期にいきなり小沢代表の側近を逮捕し、強制捜査で家宅捜査を大マスコミ注視の中で大々的、センセーショナルにに行うことが、民主主義に関しては後進国並みの今の日本社会全体に対し、いかなるマイナスの影響をもたらすかは計り知れない。それひとつをとっても今回の東京地検特捜部がしていることは異例であり、異常である。

 もとより西松建設問題は以前から指摘されていたことである。くだんの2つの西松建設関連の政治団体は2006年に解散している。もし、虚偽記載など政治資金規正法上の疑義があるなら、担当者を任意で地検を呼び「修正申告」を勧告すれば事足りたはずだ。

 そもそも政治資金規正法における政治資金収支報告書の虚偽記載の罰則は、5年以下の禁固刑あるいは100万円以下の罰金である。もし、容疑を認めた場合には裁判を伴わない略式命令請求、通称、起訴起訴により数10万円程度の罰金、仮に当人が否認をし続け、起訴された場合でも執行猶予付きの判決が妥当のものである。

 何をさておき、ここで重要なことは、国民から見放され内閣支持率が10%そこそこに低下した麻生政権や自民党、総選挙、解散から逃げまくっていた麻生政権にとり、この時期での小沢代表側近の逮捕劇が与える意味だ。政権与党にしてみれば、今回のはなばなしい逮捕劇は、まさに、これ以上ない絶妙のタイミングといえるものであり、小沢代表ならずとも検察のしていることは異常としかいいようもないものだ。

 いうなれば、実質的に独裁政権が半世紀続き、「政」「官」「業」さらには「政」「官」「業」「学」「報」、すなわち政治、官僚機構、業界、そして御用学者と御用メディアが結託し、税金を食い物にしてきた日本で、まさに100年に1度の政権交代の前夜を見計らって東京検察は、故意に意図的に政権交代のシンボルである小沢代表側に決定的なダメージを与えたことになる。

 永年、「政」「官」「業」「学」「報」による情報操作による世論誘導によって格差社会に陥れられ、正直者がバカを見続けてきた日本国民がやっとのことで自民党見限った。もし、ここで総選挙を行えば、自民党が歴史的大敗北することは間違いなかった。

 それを考えると、今回の東京地検特捜部の小沢代表側近への対応は、民主党ならずとも、東京地検による「国策捜査」であると言われても仕方がない。 もとより、政権交代直前に政敵を逮捕するというやり方は、東南アジア諸国の政治的後進国で起きていることであり、到底G7の国で起きることではないだろう。

 政権交代がかかる選挙直前での政敵やその周辺の逮捕はフィリピン、マレーシア、ミャンマー、シンガポールなど東南アジア諸国でよく起こる政治的謀略を連想させるものである。

 かつてUPIの記者で現在ビデオ・ジャーナリストの神保哲生氏は、「民主主義が未成熟な国では、権力にとっての最大の武器が軍事力と警察です。それに歯向かえばメディアも市民も殺されてしまう。そのため、誰も声を上げず、政治権力は益々暴走するのです。民主主義の進んだ先進国なら、仮に権力が暴走したとしても、市民社会は容認しない。メディアが真実を暴くでしょうし、検察は後半維持できません」と述べる。

 小沢代表は自民党政治家に忌み嫌われている。また大のマスコミ嫌いもあり大マスコミにも評判は良くない。だが、その本当の理由は、自民党の恥部にあたる政治手法を知り尽くしていることにあるからだ。他方、小沢氏は国政、地方を問わず選挙に強いこともある。

 さらに小沢代表は、いうまでもなくブッキラボーで愛想はない。だが小沢代表は日本にはめずらしいブレない、信念を持った政治家でもある。

 しかし、麻生はじめ小泉など同じ世襲議員でもブレまくり、庶民、国民など社会経済的弱者のことはそっちのけで弱肉強食の社会、格差社会を平然とつくってきたインチキ政治家とはまるで違う。

 半世紀に渡り政官業学報の癒着で利権を欲しいままにしてきた日本政治に、小沢代表は、日本社会を変えるためには自分が変わらなければダメとして政治生命を賭け、政権交代に挑んできた男だ。

 今回の一件が自民党の延命に手を貸すこととなり、先進国でも希な自民党の悪政がさらに5年、10年、15年と続く可能性もないとはいえない。

 あれこれ酷く言われながらも、民主党をここまで育ててきたのは小沢一郎の功績である。しかし、公設秘書逮捕問題への対応を一歩間違えば、今まで政治生命をかけ努力してきたことがすべてパーになる。それだけにすまない。日本の民主主義にとっても深い傷を負うことになり、場合によっては致命傷となるかも知れない。

 そうなれば、まさに政権交代なき日本は「暗黒社会」となる。

 確かに言えることは、今回の一件は当初センセーショナルであった。しかし、国民が冷静に今回の一件を考えれば、日本の将来の本筋は利権と手あかにまみれた自公政権の延命にあるのではなく、自らの手で何はともあれ政権交代を実現することにあると再度理解するはずだ。

 もちろん、小沢代表を含め今の民主党は第2自民党的な側面をもっている。多くの課題もある。だからといって日本の暗黒でやりたい放題、国民を愚弄し、格差者社会で生活苦に追い込む自民党政治このままを継続させることがあってはならない。

 ここは国民の認識、民度が大いに問われることになる!

 参考・引用
 日刊ゲンダイ 2009.3.5号
 

「原発はクリーン」は不適切!日本広告審査機構が裁定 青山貞一

2009-02-03 12:35:37 | Weblog
 日本のテレビ、新聞など大メディアがスポンサーの顔色を見てニュースの取捨選択や番組制作をしていることは、今やよく知られるところである。

 今年3月の決算では、在京テレビ局の多くがテレビ事業単独で赤字が見込まれている。景気が極度に悪化してくると、一層、新聞社やテレビ局がスポンサーに気を遣うことが憂慮される。
 
 「独立系メディア」では、以前から日本の大メディアが海外で起こった原発事後や核燃料廃棄物再処理などに関連した事故を、まともに報道していないことを実例を挙げ批判してきた。

 ※独立系メディア アーカイブ<原発・核>
 ※青山貞一:スウェーデン原発事故と日本のメディア
 ※青山貞一:英セラフィールド再処理施設から漏れ出る放射能汚染(1)

 そんな中、社団法人日本広告審査機構(通称、JARO)が東京電力など電力会社でつくる電気事業連合会(通称、電事連)が雑誌に掲載した広告に関連し、原発がCO2を出さないというだけで「クリーン」であるという表現は適切ではない、という裁定を電事連に出していたことが分かった。この裁定は昨年11月25日付で出されていた。

 下はそれを伝える西日本新聞の記事である。


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「原発はクリーン」不適切と裁定 電事連広告にJARO裁定
西日本新聞 2009年1月30日 20:10カテゴリー:社会

 電気事業連合会(電事連)が雑誌に掲載した「原子力発電はクリーンな電気のつくり方」という広告のコピーについて、日本広告審査機構(JARO)が「原子力発電にクリーンという表現を使うことはなじまない」と裁定し、電事連に表現の再考を促していたことが30日、分かった。

 裁定は昨年11月25日付。JAROが原発の広告について、再考を求めるのは異例という。

 JAROは神奈川県の男性の苦情申し立てを受け、学識経験者7人でつくる審査委員会で審議。「安全性について十分な説明なしに、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さないことだけをとらえて『クリーン』と表現すべきではない」と結論づけ、電事連に通知した。

 申し立てによると、広告は昨年4月発行の雑誌に掲載された。男性は翌月、JAROに「事故時の放射能汚染の危険性があり、到底クリーンとは言えない」と申し立て。電事連は「発電の際にCO2を出さないという特長をクリーンと表現した」と説明していた。

 裁定には法的拘束力はなく、広告内容を変更するかは広告主の判断に任される。電事連は「裁定を受けたのは事実だが、中身についてはコメントできない」としている。

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 神奈川県の苦情申し立て人が言われる通り、「事故時の放射能汚染の危険性があり、到底クリーンとは言えない」ことは言うに及ばない事実である。

 日本でも東海村のJCO事故はじめ過去、数多くの原発事故が起きている。

 海外では米国のスリーマイルズ島原発事故、ウクライナのチェルノブイリ原発事故など深刻な原発事故が起き、広範囲にわたり深刻な放射能汚染が起きている。

 さらに原発で使用済みの核燃料の再処理を巡り、イギリスのセラフィールド核燃料処理工場では膨大な量のプルトニウムが環境中に放出されている。

 ※主な原発事故

 今回、JAROが出した「原子力発電にクリーンという表現を使うことはなじまない」という裁定は、至極もっともなことである。

 冒頭述べたように、日本の新聞やテレビなどの大メディアが一大広告主である電事連や原子力産業会議、さらに東京電力などに気を遣い、原発事故や核燃料サイクルに関わる様々な問題をまともに報道せず、取り上げてこなかったことこそ重大問題であるといえるが、今回のJAROの裁定は遅きに失したとは言え、広告主だけでなくメディアに対しても、大きな影響を与えるものと期待できる。

 電力会社は一般の私企業と異なる公益事業であり、電気事業法にもとづく電気の供給義務だけでなく、国民の健康、安全、環境問題に正面から取り組むべき義務を負っている。

 にもかかわらず、全国各地の原発立地や原発稼働に関わる問題では、情報の公開、説明責任、企業の社会的責任を果たしているとは言えない。各地で起きている原発訴訟をみても、そのことが言える。

社団法人日本広告審査機構
(Japan Advertisement Review Organization、JARO(ジャロ))

 JAROは日本の社団法人であり、広告に対する苦情や疑問点(ウソ、誇大、わかりにくさなど)を受け付け、審査する機関である。公正取引委員会の様に法的措置を取るのではなく、制作者に注意を呼びかける。JAROをもじったテレビCMでよく知られている。なお、法的な処置は取れないためそのような場合は公正取引委員会が好ましい。
 事務局は東京(東日本地区)、大阪(西日本地区)の2カ所に所在するが、名古屋(東海地区)、札幌(北海道地区)にもその地域専用の電話を設置している。

 公共広告機構(AC)、放送倫理・番組向上機構(BPO)同様、CMのスポンサー企業が広告を自粛した際やCM枠が余った際にJAROのCMが代わりに放送されることが多く、震災、天皇崩御、テロの際や深夜・早朝で頻繁にCMを目にすることがある。ACやBPOのCMはNHKでも放送されることがあるが、JAROのCMはNHKでの民間の広告放送がないため、放送されていない。

 JAROには年に約9,000件の苦情が寄せられ、広告主に改善を求める。ただし政治・宗教関連及び裁判中の広告は取り扱えない。また、競馬予想会社の広告など、ギャンブルに関する広告も扱っていない。

 現在の理事長は、時事通信社元社長の村上政敏。


 JAROの裁定には法的拘束力はない。しかし、電事連は原発=温暖化防止=クリーンなエネルギー源という、短絡的な情報操作による世論誘導的な広告を厳に慎むべきである。


支持率14%、地位にしがみつくだけの麻生ご臨終内閣   青山貞一

2009-01-29 07:19:49 | Weblog
日本のある民間機関の調査によれば日本人のオバマ支持率は89%に達したそうだが、我が日本国の総理、麻生KY内閣の支持率は落ちるばかりだ。

 1月中の報道各社の調査結果は読売以外の支持率がすべて10%台となった。その読売新聞では逆に、麻生内閣の不支持率が最高の72.3%と出た。

 直近の調査であるフジサンケイ系のFNN調査では内閣支持率が何と、14.4%となった。かつての森内閣同様、醜態をさらしながらの一桁突入も時間の問題と言える。

 ところで2009年1月29日の日刊ゲンダイは、一面で次のように述べている。「無責任政党自民党、いよいよご臨終。死に体首相が施政方針演説とは笑わせる。支持率わずか15%にも満たない末期のくせに総理大臣ズラ。国民の批判憎悪は日を追って増えていると書いている」

 まさにその通りである。もはやご臨終。死に体内閣である!

 衆院選挙を経ずに二世、三世議員が総理をたらいまわしし、跋扈する日本政治を諸外国が相手にするわけがない。地上波のアホメディアは、隣国の後継者をどうのこうの言う前に、日本のお寒い実態を問え。

 これほど精神的に貧しい先進国はない。自公はいい加減に国民の審判を仰げ!

中央大学教授刺殺事件と大学のリスク管理  青山貞一

2009-01-24 19:19:33 | Weblog

中央大学理工学部の高窪 統 ( はじめ ) 教授(45)が何者かによって刺殺された。報道記事を読む限りでは、なぜ教授が殺されたのか、今のところ理由、原因はまったく分からない。だが、刺殺の状況証拠から見ると非常に残忍だ。

 ※中大教授刺殺:教授の行動、把握 待ち伏せ、周到に準備か 毎日新聞

 ここ数年、尊属殺人や猟奇殺人など非常に残忍でかつ動機、原因が分かりにくい刑事事件が多発化している。卑劣な車のひき逃げも多い。世界各国のなかで比較的治安、安全を誇ってきた日本社会だが、誰しもが刑事犯罪のリスクを意識し、自ら対応しなければならない時代に入っている。

 ....

 ところで私は今の大学に着任する以前、プロフィールにあるように環境総合研究所と兼務でいろいろな大学の非常勤講師をしていた。早大、東京農工大、東京工大、法政大、慶應大、東洋大などなど。いずれも環境科学、環境政策などを担当していた。 

 非常勤講師を務めていた大学のなかに実は中央大学理工学部もあった。後楽園近くにある中央大学理工学部で約7年間、土木と環境をテーマに非常勤の講師をしていた。中央大学理工学部では私も理事をしている環境アセスメント学会の総会がよく開催されたこともあり、校舎は異なるものの近くの建物にある教室をよく使っていた。

 そんなこともあって、今回の刺殺事件には本当に驚いた。ショックも受けた。

 たまたま事件があった日、学部の教授会があり、私は全学リスク管理委員長をしていることもあって、大学に関連する刑事事件などに係わるリスク管理の話しをしていた。

 ちょうどその話しが終わったとき、同僚の教員がホームページに掲載された中大教授刺殺事件について連絡してきたのである。

 ....

 ところで、大学というところは、日本の大学に限らず世界中どこの大学でもキャンパス内への出入りは一般的に自由である。アメリカの大学を例にとれば、ハーバード大学でもマサチューセッツ工科大学でも、カリフォルニア大学バークレー校でも出入りは自由である。

 直近で行ったローマ大学(イタリア)、武漢大学(中国)、カリフォルニア大学サクラメント校などでもすべてキャンパス内への出入りは自由であり、トイレはもとより教室や研究室、実験室などへの出入りも比較的自由なものが多い。

 研究室や実験施設などは管理責任者がいて、施錠しているが、たとえば教授らがトイレに行くとき、昼食をとるとき研究室や実験室に必ず施錠して行くかといえば、イエスとは言えない。

 私がいる学部では休日や夜から朝までは教室、研究室などがある施設への出入りは許可制となっているが、多くの大学ではそれすらない場合が多いようだ。すなわち常時キャンパスだけなく大学の各種施設も出入り自由ということだ。

 少々大げさに言えば、キャンパスや施設への出入りが自由なことが、大学のひとつのシンボルであり自由、自治、自律の誇りであるとさえ思われているところがある。

 しかし、リスク管理、しかも窃盗、盗難、殺人など刑事事件との関連でみると、大学はまったく無防備であると言えないこともない。

 事実、その昔、ハーバード大学大学院のケネディー・スクール・オブ・ガバメントにいた知人の教授を訪問したとき、研究室からパソコン一式がそっくり盗まれたと騒ぎになっていた。

 比較的最近の例ではジョージア工科大学で拳銃乱射事件があり、第一回目の乱射のあとに投稿してきた学生らに対し、第二回目の乱射があり、多数の学生等が犠牲になった事件が生々しい。

 私の大学ではジョージア工科大学の拳銃乱射事件を大きな教訓として、学生、大学院生の携帯電話を対象に、大学から学生・院生に緊急連絡を送るネットワークシステムを考え、実行に移している。

 また学生・院生が刑事的リスクに遭遇した場合、携帯からすぐさまリスク管理委員会にメールを送るシステムも開発した。さらに学生、教員が持参する学生手帳などにも刑事事件対応マニュアルを加えた。

 大学の一部では固定の防犯カメラ、Webカメラを要所に取り付け、それらをアーカイブしているところもあるが、上述のように自由、自治、自律を旨とする大学にあって、この種の監視カメラを設置することには反対、異論もある。

 今回の事件に関連し、コンビニのレジに取り付けられているような防犯カメラなどがあればと思う人もいるだろうが、上述のようにことはそう簡単に行かない。

 上記はすべて、いわばハード、物理的施設に係わるものだ。また刺殺があくまで学外の者を想定してのことだが、もし、学内関連の怨恨、アカハラ、論文盗用や内部の人間関係などが原因、遠因だとすれば、なかなか当事者以外、外部からは見えないことになる。

 いずれにせよ、大学の場合、ハードとは別にリスクに関する「意識」、「認識」など気持ちの上での備えが高いとは言えない。自分たちだけは窃盗、盗難、殺人など刑事事件に遭遇したり、巻き込まれることはない、ということである。

 もちろん、大学教授が通勤途中の痴漢騒動などが新聞記事となるが、それでも自分は関係ない、あり得ないと思っている節がある、と思える。

 いずれにしても、今回の事件をきっかけとして、私達大学人が刑事事件のリスクにもっと強い関心、意識をもち、認識を新たにし、日頃から自らリスク管理を徹底することが望まれる。

イスラエルが攻撃を突如止めた2つの訳  青山貞一

2009-01-20 23:22:44 | Weblog
掲載日:2009年1月20日
独立系メディア「今日のコラム」特集:ガザ問題

 イスラエル軍による激しい攻撃が続いていたガザ地区で、2009年1月19日、イスラエル政府が「一方的に停戦」に踏み切った。

 この間、ガザ地区でイスラエル軍により殺傷されたガザ地区に居住する人々は、推定で死者が1300人、うち子供が410人、女性が108人、負傷者が5320人、重傷者が500人にも及んでいる。

 イスラエル政府は突然一方的に停戦した理由を初期の目的、成果を上げたからなどと言明している。仮にハマスの攻撃能力や武器輸出力を低下させるために、世界各国が中止する中、白昼堂々と1300人ものひとびとが無差別に大量殺戮されたのは筆舌に尽くしがたい暴挙である。

 ところで、日本の大メディアは、イスラエルが突然「一方的に停戦した」、しかもイスラエル政府はその理由を初期の目的、成果を上げたなどと垂れ流しているが、イスラエルが停戦した本当の理由は何か?

 イスラエルが今回のハマス攻撃を理由としたガザ地区攻撃を、かなり前から計画していたことはすでに多くの識者が指摘しているが、イスラエルがガザ地区を2008年末に急に攻撃開始し、2009年1月19日に止めたのは間違いなく次の二つの理由によっていると思える。

(1)オバマ政権担当1月20日

 最初の理由は、イスラエル政府、イスラエル軍を徹底的に支援してきた米国のブッシュ政権が2009年1月20日に終演することと関係している。

 筆者は12月30日に書いた論考の中で、「永年、イスラエルの後ろ盾となってきたブッシュ政権が終焉する前に、イスラエルが今回の攻撃(侵略)をしかけてきた可能性が高い」と書いた。

◆青山貞一:ブッシュ政権末期のイスラエル侵略行為

 まさにイスラエルはブッシュ政権が終焉する前に、ブッシュ政権が了承する中で最後の賭にでたのである。

 案の定、ブッシュ政権は国連安保理事会などで、イスラエル停戦決議を安保理事会参加国で唯一棄権している。またライス国務長官は絶えずイスラエルの立場をを擁護する姿勢をとってきた。

 イスラエルは、2009年1月20日にオバマ新政権が誕生することを見越して、1月19日に一方的に停止したのである。

(2)イスラエルの総選挙(2月10日)

 イスラエルがわざわざ停戦協定を破ってガザ地区に空爆を開始したもう一つの理由は、イスラエル内の「バラクとリブニの政争」であると考えられている。

 国際政治の専門家田中宇氏によれば、イスラエルの国防大臣のバラクは好戦派で、労働党の党首であり外務大臣のリブニは戦争を抑止したい外交派であるカディマの党首である。

◆田中宇:ガザ・中東大戦争の瀬戸際

 イスラエルは2月10日に総選挙があるが、好戦派のバラクの労働党は劣勢だったが、ガザ地区攻撃によって、多くのリブニ支持者がバラク支持に回ったと指摘されている。

 結局、イスラエルの各種国際法に違反すると思えるガザ地区への無差別殺戮は、米国ブッシュ政権とイスラエル世界の2つの「ならず者国家」の密接に連携したものであることは明らかである。

 ブッシュ政権は最後の最後まで、世界の「ならず者国家」国家(政権)であったと言わざるを得ない。