KANON廃園

スタジオカノン21年間の記録

首里城焼失の悲劇

2019年10月31日 | 雑記
本当にびっくりしました。
まさかあの首里城が全焼してしまうなんて、
計り知れない損失と言葉にならない深い悲しみが日本中を覆うような出来事です。


先月「あずまんが大王」の紹介で、首里城の背景を紹介していただけに、一層残念です。

 2002年の仕事①〜ちよちゃんのおさげは人参!?


この時は取材できませんでしたが、のちに社員旅行で沖縄を訪ね、首里城の資料も買い集めておきました。)

城は復元とはいえ、歴史の重みがある場所です。
沖縄に来て首里城を見学しない人などいないのでは?
 

今年は交通事故、水害、家事など立て続けに起こっています。
京アニの火災事件も大変ショックでした。
 どうしてこんな酷いことばかり起きるのでしょうか・・・
台風や川の氾濫で 死者もさらに増えています。
ご冥福重ねてお祈り申し上げます。


台風などの災害は世界的な気候変動というのもありますが、
事故や人災は何か箍が緩むように、本来大丈夫だったものがかみ合わず乱れ始めていることが原因だったりします。
 東京オリンピックもおかしなことになっていますが、
すでにエンブレム問題から裏での策略や攻防が見え隠れしていませんか?

点と線を辿るといろいろな事象が繋がることがあるものです。

くわばらくわばら・・・


あずまんが大王#21沖縄編の背景を追加しておきます。







台風19号の爪痕

2019年10月16日 | 雑記
この度の大型台風で各地の河川が氾濫し、甚大な被害が発生いたしました。
命を落とされた方々のご冥福お祈りいたしますと共に、被災された多くの皆様にお見舞い申し上げます。

都心は一部を除いて思ったより被害が少なかったようですが、地方の災害は日を重ねるごとにあらわになり、痛ましい惨状です。
まだ行方不明の方もおり、救援物資が足りないところもたくさんあるようです。
 今後の雨や気温の低下などで、二次災害が懸念されます。
一夜にして美しい景色は失われ、町は土砂や災害ゴミで埋め尽くされています。
つくづく自然の猛威が何かの怒りのように荒ぶる状況に恐ろしさを感じました。
 
こちらは都心でのうのうと暮らしておりますが、近年は大型の災害が続き、いつどこで被災してもおかしくない状況です。
2年前の地震で私の故郷の町も被災し、多くの家屋が失われました。
もはや人ごとではない状況に避難準備はもとより、いざという時の命の覚悟も必要なのだと思いました。 
 
災害だけでなく、事故や殺人にしろ、やはり未来のある子どもや若者の命が失われる事態にはいつも心が痛みます。

そんな中で今回の災害状況の報道を見て、昔関わったアニメをふと思い出しました。 

★「大淀川危機一髪」1994年制作
 監督 大地丙太郎
アニメーション制作 マルチボックス

宮崎県大淀川の灌漑事業をPRするための短編映画で、台風で大淀川が氾濫し、人々の救出の様子などが描かれました。
VHSビデオが残っているのですが、再生機がなく、映像は確認できません。
背景は1枚も残っていないのに、なぜかセルがありました。






この作品だけでなく「デレーケさんの冒険」や「宮ヶ瀬ダムマン」のアニメの美術を担当しましたが、
なるほど日本は川が多く、各地で治水や灌漑事業関係のPRアニメが多くつくられていたことがわかりました。
これからは、より大きな災害に備えて行動できるような災害対応学習アニメが必要ですね。(既にありますかね)
献血PRの萌えキャラが問題になっているようですが、人気キャラに災害対応させるのもだめ?

2005年の仕事①〜腐女子待望のボーイズラブ解禁!

2019年10月10日 | カノンの記録
★「好きなものは好きだからしょうがない!!」2005年1月〜3月放送 全13話

  原作 プラチナれーべる(ゲーム「好きなものは好きだからしょうがない!!」より
  ゲームシナリオ 沢城利穂
  キャラクター原案 つたえゆず
  監督 二宮ハルカ (宮崎なぎさ)
  シリーズ構成  池田眞美子
  キャラクターデザイン 山口真未
  美術監督 柴田千佳子
  色彩監督 秋山久美
  アニメーション制作 ZEXCS
    
   ※原作は18禁ボーイズラブのアドベンチャーゲーム。

ボーイズラブというジャンルのアニメはOVAでは結構以前からあったものの、TV シリーズとしては異例の初物となったようです。
まあそこは「ダ・カーポ」などと同じくエロアニメではありません。

二重人格者の少年達の心の闇と失われた過去の記憶との葛藤、その真相究明というシリアスベースながら、
少年達の絡みはギャグテイストも織り交ぜてで爽やか学園ドラマ風味に作られました。

横浜の某大学に取材して、学食、図書館など、キャンパスのおしゃれな雰囲気を演出。

当時は別作品と重なっていたため、思い切って中堅スタッフに設定を担当してもらいました。
ついで、美術補佐として各話の担当もお任せして、デジタル班主体で、背景作業を進めてもらいました。
もちろんメインのボード作成や背景チェックはしましたが、
この体制に制作会社側への根回しが足りなかったため、制作サイドから少々不満の声が上がってしまいました。

(スタッフを育てたいのはわかるが、もう少し私が美術監督として表に立って欲しいというようなことでした。)

スタッフを美術に押すにはまず制作会社、監督はじめ皆様への事前の了解が必要なのですが、
さらっといきなりやりすぎたのかもしれません。
今思い起こせば
言葉足らず、愛想足らず、要するに営業下手だったようで・・・。
反省してます。

でもこれを機に担当スタッフは美術監督への道を進む足がかりになったと思います。


少年達が暮らす寮。キャンパス内にあります。


校舎に向かう道

 学校全体が緑豊かな高台にあるという設定です。




たんぽぽ論争〜こぼれエピソード1

2019年10月04日 | カノンの記録
2001年のフルーツバスケットで、OPと#18、#25の演出を担当された長浜氏とは
実は前年に[モンスターファーム〜伝説への道]というTVシリーズのOPで顔を合わせていました。
この作品の美術監督から依頼されたものですが、
(多分スケジュール的な理由で手が空かない状態だった?)
演出も本編と違う人なので、美術も多少違っても構わないというようなことを言われて、お引き受けしました。
モンスターファームは当時人気のゲームのアニメ化で、すでに1期は2000年3月終了。
続けて新章がスタートしたというわけですが、実はファンタジー系バトルものというぐらいしか知らず、アニメも全く見ていませんでした。
内容もよく分からないまま引き受けたのですが、OPは異世界と現代の背景シーンがあって、全く手が出ないという内容ではありませんでした。

長浜氏はコンテも原図も描き起こす絵の達者な方で、演出も1カット1カット大変凝っていたように記憶しています。

BOOKで重ねた街並みが左右に流れていく、昔の「立体アニメ家なき子」のような手法も多用されていました。

作画出身の演出家に多いのですが、BOOKが多いとか、PANを多様する、望遠表現好き、など、作業量を増やすばかりの過剰な演出が時折見受けられますが、
長浜氏は緻密表現ばかりではなく、大胆に省略したようなカットなど、緩急のつけ方が上手な感じです。
 
何よりも、打ち合わせではどのカットも熱く語る、熱心さにあふれているお方。

その中に、現代の都会のシーンで、道路ぎわにタンポポが咲いているカットがありました。
このカットについては別段演出意図としての説明は受けていなかったのですが、現代シーンはモノトーン調に、という一連の流れで描いたものです。
ところがなぜかこのカットだけ何度もリテイクをいただき、(修正用紙に具体的に絵の形の修正が載せてあり、もっと、角度はこうとか、太さはこうとか、絵図らの指示)
修正指示通りに直しては見たものの再リテイクとなるので、一体この絵のどこがいけないのかと、ちょっと怒り気味に直接電話してみました。
詳しいやり取りは忘れてしまいましたが、どうやら、演出意図が私の解釈と全く違っていたようです。
 
こちらとしては、都会のアスファルトに咲くたんぽぽなので、やっと咲いてるような、ひ弱なイメージかと思っていました。
ところが 長浜氏曰く、「そうじゃないんです! アスファルトを割って咲いてくるのだから、逆に生命力に溢れた力強さが必要なんです!」とのことで、
鼻っから、解釈が違っていました。
どう直して納得いかなかったわけです。
考えてみれば、冒険と戦いに向かうお話で、ましてOPで無意味なカットがあるわけもなく、タンポポ一輪で力強さ、元気さの象徴としたいというほうが納得です。

もっとも、絵図らのリテイクではなく、最初にこの意図を説明してくれたらよかったのに、というだけのことなのですが、 
この件以来、長浜氏と私は噛み合わない、ぶつかり合う関係という印象を周りに与えてしまったようです。

美術のK氏は、「その意図が 説明しなきゃ見た人(視聴者)にすんなり伝わらないなら意味ないよね。」とすっぱり。

しかし背景家は演出家ともっと表現の意図について話し合うべきです。
伝わらないこと(うまく伝えられないこと)は自分で勝手に直す、という演出家も多く、ちょっと心外です。

「フルーツバスケット」では、竹牢のBOOKで「ちょいボケ、ちょいちょいボケ、さらに強いボケ」など何段ものBOOK指示を出すので、
どれほどの意味があるのか、無駄な作業させるなと突っ込んだこともありましたが、デジタルでいろんなことをやってみたいころだったのかもしれません。

もちろんその後は「蟲師」などの監督をつとめ、
長浜氏の目覚ましいご活躍ぶりを賞賛しております。はい。


いっそタンポポを動画にすればよかったかも・・・