KANON廃園

スタジオカノン21年間の記録

2001年の仕事〜十二支の呪いという不思議

2019年09月03日 | カノンの記録
★フルーツバスケット2001年7月〜12月放送 全26話
原作 高屋奈月 「花とゆめ」連載
監督 大地丙太郎
助監督 宮崎なぎさ
シリーズ構成 中瀬里香
キャラクターデザイン・総作画監督 林明美
美術監督 柴田千佳子
色彩設計 松本真司
撮影監督 川口正幸
アニメーション制作 スタジオディーン

異性と接触すると十二支の動物に変身してしまうという呪いを受け継ぐ草摩家の人々。
彼らと出会って出居候となったヒロイン本田透は、両親を失い孤独な身だが健気で明るく天然この上ない女子高生である。
特異な設定ではありながら、ごく日常の世界でハートフルな物語が展開される。
大地監督ならではの炸裂するギャグシーンとシリアスドラマの落差がおもしろい。
原作がまだ終わらずのアニメ化で、結局アニメ独自の展開で終了。
続編はリクエスが多くあったものの作られることはなかった。

「くろみちゃん」に続いて大地監督から再び依頼があり、
この年は1月から12月までほぼ「フルバ」づけの1年となりました。
久々の美術・背景セットのTVシリーズで少女漫画の原作ときたので、イメージも膨らみ、大変楽しみな仕事となりました。
制作はあの「逮捕しちゃうぞ」でご迷惑おかけしたスタジオディーンでしたが、汚名挽回のつもりで気合が入ったというのも事実です。
各話の演出陣も大変力量のある方々が参加し、それぞれの特徴を遺憾無く発揮された作品だったと思います。

舞台を鎌倉あたりと想定してメインスタッフと取材に行きました。
鎌倉に点在する古い日本家屋や瀟洒な洋館、自然の雰囲気など観察しながらそぞろ歩き。
最近のアニメと違って、聖地巡礼となるような特定の場所を絵にはしていません。
あくまで雰囲気の参考。

もう一箇所、小金井公園にある、江戸たてもの園も取材しました。
こちらは歴史的建造物を移築してあるところなので、とても興味深く拝見しました。他の作品にも役立っています。


この作品は全体に白飛ばし系、水彩画調な雰囲気で描いていますが、
撮影でもフレアやディフィージョンフィルターがいろいろ入り、柔らかい画面仕上がりとなっています。
そのため背景の描き具合と撮影効果との兼ね合いが難しく、全体にぼやけすぎないように、
初期ボードを描いていた頃よりだんだんしっかり描くようになりました。


草摩家外観 少し人里離れた山の中にある古い日本家屋




居間の奥に見える額には、体の部位名が書かれていて、毎回変わりました。監督のお遊び的なリクエスト


縁側のシーンが多く出てきました。


縁側から見た庭  春から夏、秋、冬とそれぞれの季節が描かれました。かなり大判で描いて兼用しています。


透の通う高校










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