カプアン通信

平成24年度版 動物行政アンケート結果を読む-2




ALIVEさんが平成9年から実施している「全国動物行政アンケート調査」の
平成24年度版 結果報告書が発売中です。
「全国動物行政アンケート結果報告書 平成24年度版」は
こちらのページで購入できます。



「全国動物行政アンケート結果報告書」のデータのなかで興味深いと思ったのは
「動物愛護業務の予算額(平成25年度)」です。

過去の「報告書」を見ると、平成18年度版以降、毎年この調査結果が載っていたのに
なぜいままで気がつかなかったのだろうと、恥じ入りました。


「動物愛護業務予算」が多い自治体は、
動物愛護に理解がある自治体。もしくは、
動物愛護について発言力や実行力がある市民や政治家がいる自治体。
と言えるのではないでしょうか?

データを仔細に見ると、どうやらお金持ちの自治体が予算が多い
というわけでもなさそうです。

また、収容犬猫が多い自治体が予算が多い。というわけでもないようです。

一例をあげれば
(以下、平成24年度結果報告書より)

北海道の犬猫合計収容数は5,856頭です。

函館市は794頭
札幌市は2,303頭
旭川市は546頭

当然、道は管轄地域も広いですし、自治体としての規模も市より大きいはずですが

北海道の動物愛護業務予算は、約1,885万円

函館市は、7,900万円
札幌市は、8,236万円
旭川市は、2,472万円

なんと、どの市も「道」より動物愛護の予算が多いのです。
ちなみに、北海道の予算総額は、旭川市の予算総額のおよそ12倍です。


では、全国の自治体でいちばん予算が多いのはどこでしょう?

群馬県、東京都、神戸市、奈良市、佐賀県、鹿児島県が未回答なため
回答している106自治体のみでの結果ですが。

平成25年度の例では、浜松市が、4億3,043万円で1位でした。
しかし、注釈があり「愛護センター設立のため大幅増」となっています。

では、2番目はどこでしょう?
なんと、殺処分ゼロを目指す自治体として有名な
熊本市が、2億4,191万円でした。


動物愛護業務予算はもしかしたら、寒冷地なら暖房費がかかるかもしれませんし
施設が老朽化していたら、修繕のための予算を組んでいるかもしれません。

でも、もし予算が潤沢にあれば、
新たな飼い主を探すのに有効なシステム作りに使えるかもしれません。
犬猫たちの部屋を快適に過せるように改善できるかもしれません。
また、どうしても殺処分しなければならない場合
炭酸ガスの窒息死ではなく、麻酔薬での安楽死を選べるかもしれません。


仮に、すべての予算を動物のためのみに使うと仮定して
予算額÷犬猫収容数で1頭あたりに使える金額を想定してみます。

熊本市の場合、2億4,191万円÷807頭(平成24年度)=約30万円

1頭あたり30万円の予算があれば、病気や怪我の治療も手厚くできそうです。

ちなみに、殺処分が多く、収容頭数が5,000頭を超える熊本県は
動物愛護予算が約408万円しかなく、1頭あたり約790円!
これでは、きちんとしたお世話が出来ないですよね?

熊本市の予算は、熊本県のおよそ60倍です!


では、国内で最も予算が少ない自治体は・・・?

姫路市が、70万円です。
記録が残っている平成22年度版から予算額は変動していません。

こんなこと言っては失礼かもしれませんが、
民間の動物愛護団体でも、もうすこし予算があると思います。
姫路市は人口53万人の大きな自治体です。70万円って、なぜ???

姫路市の犬猫収容数は平成24年度は810頭と、熊本市とほぼ同数です。
予算を頭数で割ると・・・1頭あたり、約864円!
(収容頭数が少ないので、熊本県より1頭あたりの金額は微増します)

しつこいようですが、熊本市と姫路市の財政を比較すると
熊本市の平成25年度の予算総額は市のホームページによると5,638億円でした。
姫路市の平成25年度の予算総額は市のホームページによると3,689億円でした。

したがって
熊本市は、動物愛護に市の予算の0.04%を割きましたが
姫路市は、動物愛護に市の予算の0.0002%しか割きませんでした。


では、千葉県はどうでしょう?

動物愛護予算6,370万円 
平成24年度の収容頭数で割ると・・・1頭あたり9,358円
1頭あたり1万円弱ですね。医療ケア等を考えたらもうすこし欲しいですよね?

千葉県の平成25年度当初予算は1兆4,767億5800万円でした。
動物愛護予算が占める割合は全体の0.004%でしかありません。

さらに、過去の「報告書データ」を追ってみて困った記録を発見しました。

公表されている記録上、千葉県の動物愛護業務予算が一番多かったのは、
ALIVEさんが、この調査を開始した平成17年度のことで
その額は、約8,051万円

平成22年度の約6,647万円から、平成23年度に約7,757万円と
1回増額されただけで、あとの6年間は現在に至るまで
ず~っと減額され続けています。

千葉県の議員さん、知事さん、
これで動物愛護に一生懸命な自治体だと胸を張れるでしょうか?


今回掲載したデータ数値は
地球生物会議発行「全国動物行政アンケート結果報告書 平成24年度版」より
使用させていただきました。
上記「出典」を明記しないでデータを使用することは禁じられております。

コメント一覧

カプアンパパ
幸多家さん
人・物・金
まさにそのとおりですね。
人が集まれば、金も集まるのではないかと思います。
熊本市の運動は全国的に有名になりましたので、全国の愛犬家愛猫家にアピールする効果を考えれば、2億円くらいの予算はどうってことないと思います。
無駄遣いはやめてもらいたいですね。
中には、「動物のためなんて」と思っている不心得者もいるかもしれませんが。
カプアンパパ
オカンさん
お疲れさまです。
条例を制定したうえ、市民の間に動物愛護を知ってもらうために、自治体は広報など努力しないといけませんね。
もっとも、東京も動物愛護の告知はまだまだです。
むしろ、地方の市などの職員さんに、殺処分ゼロを目指して努力する方がおられますね。
むろん、行政だけでなく、市民や企業の協力も大切だと思います。
幸多家
データから色んなことが読めますね。
ワンコの保護活動に限らずですが、
何かやるには"人・物・金"は必要ですよね。。。

政治家の先生方にも、こういうデータを見て欲しいものです。
他に予算が必要なところもあるのでしょうが、
的外れ(=無駄遣い)なのも多いですよね。

オカン
大変興味深いです。
ありがとうございます。

千葉県も条例が制定されれば少しは変わりますかねぇ。
何をするにもお金が必要ですからね。
変えて行かないといけませんねぇ。
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