Del Amanecer

スペインとフラメンコ、ビセンテ・アミーゴと映画とフィギュアスケートについて

「探検ロマン世界遺産スペシャル」~アンダルシアとモロッコの旅

2009-04-07 01:05:44 | Espana~スペインの夢
先日放映されたNHKの「探検ロマン世界遺産スペシャル」の最終回。松任谷由実が「死ぬまでに一度は訪ねたかった」というアンダルシアとモロッコを訪れ、フラメンコのルーツを追うというなんとも魅惑的なプログラムだった。

私は前世にはまちがいなく一回はあのあたりの人だったのではないかと思うくらい(笑)アラブとアンダルシアが入り混じったあたりの文化には特別に反応してしまう。
モロッコには行ったことがないけれど、アンダルシアの対岸であるモロッコのことを想う時には、何となく心がざわざわして落ち着かなくなるのだ。

 

モザイクのアラベスク模様。気の遠くなるほど緻密で美しいデザイン。
迷路、迷宮・・・そんな言葉も人を惑わす妖しい魅力がある。
そんな文化とヨーロッパの最果ての地の文化の融合が、アル・アンダルース。
交じり合う文化はさらに濃く、複雑に、そしてより洗練されていくのだろうか。
番組でもその「交じり合う文化」がキーワードだったかと思う。
そしてその文化に含まれる「音楽」に焦点をあてながら、松任谷由実の旅は続いていく。

  

苛酷な運命を背負って生きてきたロマの人たちのつらい歴史。
フラメンコはそんな苦しみの中から生まれたものなのだ。
言葉や文字で記録するのではなく、彼らの血の中に脈々と確かに受け継がれていくもの。
習い覚えるものではない。もっと魂に近いところで伝承されていく文化なのだ。

モロッコに移り住んだアンダルース(アンダルシア人)たちの望郷の想い。
家の戸口の上に、各自の出身県を表す印がつけられているのが、印象的だった。
アンダルースという言葉にこめられた熱い想い。民族の誇りを大切にしつつも異文化を受け入れて融合していったのだろうか。

番組の終わりの方でセビージャのフラメンコのファミリアのフエルガ(宴会)に松任谷由実が招かれていた。ペーニャというアペジード(ファミリーネーム)あれ?と思ったらやっぱり・・。
昨年来日して東京でもコンサートを開いたダビ・ペーニャ・ドランテのファミリアだった。
彼のお父さんが歌う。生粋のフラメンコ・ファミリーだ。時々画面を横切るダビの姿。
紹介しないのかな?と思っていたら、さすがにそんなことはなく、その後地下にあるスタジオに場所を移してダビがピアノを弾くシーンがちゃんとあった。
そう、ダビ・ペーニャ・ドランテは珍しいピアノ・フラメンコの人。
そんな彼が語った言葉。
「世はインターネットの時代。これからフラメンコはもっと他の音楽と融合していくことだろう。でも僕はフラメンコの人間だ。自分の体を流れる血の中にフラメンコが記憶されている。僕はフラメンコだし、どんな楽器を演奏しようとも、その音楽は間違いなくフラメンコなのだ。」
とても印象的だった。
そう、楽器は自分のアイデンティティを伝える道具にすぎないのだ。
何を持って自らを表現するのか・・・その方がずっとずっと大切なことなのだ。


マラガから臨む地中海。このはるかなる対岸がモロッコ。

世界遺産を紹介しながらも、単なる観光ガイド番組に陥らずに、しっかりとしたテーマをもって作られた番組は興味深かった。
我が憧れの地・アンダルシア・・・。一生恋しつづける相手なんだなぁ。
一生身を焦がしつつ生きていくのもいいかもしれない。


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