Del Amanecer

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もうひとつの復活~Paseo誌 ビセンテのインタビュー 2

2009-08-10 19:23:14 | Vicente Amigo
このインタビューのタイトルが「傷だらけの翼を広げて」・・・
なぜ傷だらけなのか?ファンとしてはとても気になるタイトルだ。

インタビューは最初は新譜のことをきいている。
アルバムが出来るまでの経緯や、共演しているアルティスタのことなど。
もしかしてビセンテの親しい友人たちが彼を励まそうとして集まった?などと思ってしまう。
(実際そうではないと思うけど、でもそんな風に思ってしまうのだ。)

初めて弾いたエレクトリックギターについては
「僕なんかが弾いてエレクトリックギターのプロたちに失礼なのは承知だよ。」
と、ビセンテはとっても謙虚に語っている。
そう、もちろん以前から彼は威張ったプライドばかり高いアルティスタ気取りなどではない。
本当の才能のある人はそんな必要はないから、とても謙虚なんだと思う。

今までのインタビューに比べて言葉少なそうな印象を受ける。
このインタビューで興味深いのは、ビセンテがギターを手放さないということ。
インタビューを受けながらもビセンテはギターを抱え、美しいメロディを弾いていたと。
インタビューをしたハビエル・プリモは
「言葉では表せない思いを音で補うように、しきりにギターを弾いている。」と書いている。

過去のインタビューでもビセンテはいつもギターを持っていたような気がするけれど、でもこれほど
「言葉では表せない思いを音で補う・・」ことはなかったのかもしれない。
ギターは単なる楽器でもなければ、単なる自己表現のツールなどではなく、ビセンテにとっての
ギターは彼の魂の一部なのだろう。
言葉を紡ぐのと同じように、ギターから生まれる音は彼の言葉なのだろう。

ビセンテの音楽を初めて聴いた日のことを忘れない。
美しい衝撃だった。
初めて聴いた「月の小径」のどこまでも澄み通った音の凛とした切なさを一生忘れることはない。
若くしてそんな音を生み出していたのだ。

ビセンテは苦しんで、どん底だったと言う。
でもフラメンコは痛みから生まれてきたものだ。
そして喜怒哀楽すべての感情を内包しているのだ。
ビセンテもフラメンコの中で、きっと自分自身の感情をみつけたことだろう。
これからの彼の音楽はさらに深くなる。
苦しんだ分だけ深く深くなって、私たちの心を打つだろう。
それは軽やかで明るい音だったとしても、深い哀しみを知っている軽やかさなんだと思う。

10月にはコルドバへビセンテに会いに行く。
久しぶりに聴く彼の生身の音はどんな風に私の心に響くのか。
早くビセンテに会いたい。






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