週末の土曜、日曜。
なかなか外出するのもはばかられる中、
最後の最後に残った今年の高校野球、
神奈川県と埼玉県の独自大会を見ました。
両県ともに、
いつもの大会とは違うという雰囲気の中、
優勝に一番近いだろうと言われるチームではなく、
勢いに乗って勝ちあがってきた「初の・・・・」がつくチームの活躍が目立ちました。
埼玉県の決勝は、
狭山ヶ丘vs昌平
のカード。
よほどの高校野球ファンでも、
この決勝はまさに「予想だにしない」決勝だったことでしょう。
ワタシも昌平は近年の戦いぶりからある程度あっても不思議ではないと思いましたが、
狭山ヶ丘は全くのノーマークでした。
甲子園の交流試合に出場した花咲徳栄、
そして長く埼玉の高校野球を引っ張ってきた浦和学院が敗れ、
春日部共栄、聖望学院、埼玉栄の強豪や上尾、市川越、大宮東などの公立の雄も敗れたこの大会。
もちろん通常の大会ではないので、
3年生のみで戦うチームや、
全員を出すという事を最大の目標としたチームなど、
戦い方も様々ではありました。
しかし100数十校が参加する大会ですから、
決勝まで勝ち上がっていくというのは本当に大変なこと。
そんな中勝ち上がってメットライフドームで決勝を戦った両チームには、
敬意を表します。
試合は狭山ヶ丘がチーム打率4割を超える強力打線で前半からリードを奪い、
そのまま5-2で逃げ切って優勝。
県のレベルの大会で優勝したのは、
もちろん初めてのこの狭山ヶ丘。
なかなかの伝統校ではありますが、
この優勝を契機に埼玉県内で、
これから存在感を示していけるかもしれません。
この埼玉県大会が午前10時プレーボールだったのと反対に、
朝から豪雨ともいえる雨に見舞われた神奈川県大会決勝。
プレーボールの時間を遅らせて、
午後4時開始となりました。
この神奈川県大会も、
なかなか興味深い大会となり、
決勝は東海大相模vs相洋の対決となりました。
東海大相模は、
昨夏からずっと王者を維持する神奈川の覇者。
この夏、
全国的に注目を浴びた大阪桐蔭との「聖地初対決」が実現して、
敗れたとはいえその存在感を強烈に示してくれました。
一方の相洋は、
昭和50年代ぐらい(?)からずっと野球の強い学校として知られていましたが、
夏の大会の決勝進出は初めてのこと。
90年代にはあの東海大甲府の名将・大八木監督を招聘して強化を図ったこともある、
神奈川高校野球界の名門校です。
この夏の神奈川大会。
横浜、慶応、桐光、桐蔭などの強豪は準決勝を前にことごとく敗れ、
準決勝には決勝を戦った2チームのほか、
三浦学苑と星槎国際が勝ち上がりました。
「波乱満載」
と言われていますが、
その実東海大相模、三浦学苑、相洋の3校は秋の時点でも4強入りしていますから、
まあ、順当と言えば順当と言えなくもありません。
投打にドラフト候補満載だった横浜は三浦学苑に逆転負けし、
県知事に独自大会の開催を提案した慶応は相洋に大敗、
桐光学園は星槎国際に屈しました。
それでは神奈川県の高校野球の地図が塗り替わるかというと、
ワタシはそうは思いません。
やっぱり秋からの新チームでは、
東海大相模を筆頭に横浜、慶応、桐光学園あたりが強さを発揮してくるだろうと思います。
神奈川の戦いとは、そういうものです。
さて、
そんな決勝戦。
チョー気合満点でこの大会でなんとしても優勝旗を持ち帰るという意気込みに満ちた相洋が、
試合を支配しました。
守っては東海大相模の強力打線を分断して得点を与えず、
打っては相手のミスに付け込んでリードを奪いました。
そして7回に主砲に「試合を決める」ぐらいの価値ある2ランが出て5-2とリードを広げたときには、
相洋がこの試合逃げ切るのではとの思いが強くなりました。
しかし8回の円陣で、
闘将・門馬監督が檄を飛ばすと、
タテジマのプライドが目覚め逆襲。
満塁のチャンスをつかむと、
この大会不振を極めた主砲・西川に意地のタイムリーが飛び出し1点差、
直後にこの試合2ランを放っていた当たっている神里が決勝のタイムリーで逆転。
9回にも満塁から一掃の3点タイムリーでその差を広げ、
最後は背番号1を背負って甲子園の大阪桐蔭戦で気迫の「手のひら捕球」を試みた気迫の2年生エース・石田が締めて優勝を飾りました。
15日、17日(甲子園)、19日、22日、23日とこの1週間余りで5試合を行い、
更に往復の大阪遠征まで組み込まれた超過密日程の中、
東海大相模のナインを支えたのは「タテジマのプライド」それしかないでしょう。
17日の甲子園では大阪桐蔭に惜敗、
神奈川に帰ってからの試合は、
疲れを引きずり、モチベーションも挙げながら、
何とか戦ったという事ではなかったかと思います。
しかし、
それでも勝った。
まさに強烈なプライドを持った選手たちが、
この決勝でも劣勢の中、
「負けてなるものか」
という気迫を持ち続け、
最後の8,9回でなんと7点を奪うというものすごさを見せてくれました。
本当に彼らに、
いくつの”あっぱれ!”をあげてもあげ足りないぐらい、
見事な戦いぶりでした。
この強烈なプライドが、
神奈川の王者の王者たるゆえんなのではないでしょうかね。
これまでも長く神奈川県の中で強烈な大型チームを作り上げてきた東海大相模。
しかしともすると、
勝負弱い、劣勢に弱い・・・・・
などの衣もまた、まとっていたようにも感じます。
「順調な時は無類の強さを発揮するが、ピンチが訪れると崩れていってしまう・・・・」
そんなイメージもあるチームですが、
今年のチームの昨日、そしてその前の県大会でのの戦い方を見ていたら、
「ひょっとして一皮むけた伝統が熟成されるかも・・・」
との期待を抱かずにはいられませんね。
「大型チームだけど、その真価はピンチの時にこそ現れる」
これって、
PLとか智辯和歌山、大阪桐蔭など、
高校野球界で一世を風靡した関西の超強豪チームが等しく持っていたチームカラー。
ということは。。。。。
東海大相模の新チームからの戦いに、
期待を抱かずにはいられません。
思えば2011年の震災の時、
東海大相模は春の選抜を圧倒的な打力で制覇。
それから、
チームは一皮むけたかのように、
全国の舞台で大暴れ。
それまでコンプレックスすら感じていたであろう、
横浜との戦い(特に夏の選手権神奈川大会)でも、
精神的に互角に立って戦っているように見えました。
そしてこの2020年のコロナの夏。
また東海大相模は、
一つの殻を破って、
飛躍を遂げるきっかけにするかもしれません。
円熟味を増した「門馬野球」が、
大阪桐蔭や履正社といった強豪に、
真っ向から勝負を挑む10年になるかもしれませんね。
とても楽しみです。
ということで、
最後まで残った埼玉、神奈川の戦いで、
2020年の高校野球の戦いは終わりました。
どの球児の心にも、
深く刻み込まれる「忘れられない夏」になったことでしょう。
甲子園はなかったものの、
歴史に名を刻んだ球児全員の、
今後の人生に幸あれ。
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