“ドイツは日本同様少子化に悩んでいます。
出生率は1.34で、日本の1.39をも下回ります。2.0で人口維持ですから、これでは人口激減です。
そんなドイツで、なぜ子供を作らないのか、50歳以下の子がいない人たちにその理由を聞きました。するととても興味深い結果が出ました。
Was die Deutschen vom Kindermachen abhält 1位 「ふさわしい伴侶が見つからないから」40% 2位 「子を持つには若すぎると感じるから」39% 3位 「自分のために使える時間が少なくなるから」34% 4位 「自分の将来が見えないから」30% ドイツ政府は10年前にも同じ調査をしたのですが、そのときの1位は圧倒的に「家計に余裕がないから」でした。だからドイツはそれ以来子育て支援を拡充し、2000億ユーロにのぼる予算を少子化対策につぎ込んでいます。
その結果今のドイツでは、子供を作ることによる負担増はほとんどなくなりました。しかし出生率は上昇しません。
そしてその理由を聞いてみたら、今度は上のように解答されたというわけです。 この調査結果は衝撃的です。少子化はライフスタイルの問題であり、政府にできる対策はないということを示しているからです。
ドイツには家族相が、日本には少子化担当相がいますが、彼らは無駄な仕事をしているのであり、国民のライフスタイルを強権的に改造でもしない限り子供は増えないのです。
子作りしないドイツ人たちの理由を見て、ドイツ人は自分勝手だと感じる人は多いと思います。しかし自分はそうは思いません。 上ににあげられた理由を反転して考えると、ドイツ人の子育て観が見えてきます。すなわちそれは、「子育ては、社会的に安定した地位を得た経験ある大人が、立派な伴侶を得た上で手塩をかけて行うもの」という感覚です。要するにドイツ人は、子供をとても神聖なものととらえており、自分勝手どころか、自分に子育てする資格はないと考えているフシがあるように思うのです。 これは日本でも同様です。
子供は社会の宝であり、子に尽くす母は社会の鑑です。子供を作らない理由を聞かれて、「見通しの暗い社会に生まれてくる子供が可哀想だから」などと答える人がいて、それは白々しいと思うのですが、未来が暗いのではなく、子供が神聖すぎると考えると合点がいきます。
子供は「too good to be born in this world」で、そんな宝を世話する責任は「too heavy to bear」、そして自分にその用意ができたと感じる頃には「too late to bear」なのです。
ドイツのお隣のフランスは出生率が2.0を超えていて、政府の手厚い子育て支援の成果だと謳われています。
しかし、同じように手厚い支援をしているドイツで出生率が上がらないとなると、理由は別にあると言わざるをえません。
一説によれば、フランス女性は先進国で最も子供と接する時間が短く、子供を生んでもろくに世話しようとしない「DQN母」なのだといいます。
親は自分の生活優先で、子供に合わせたりしないのがフランス文化です。
子供と一緒に過ごすために生活スタイルを変えたり、子供の喜ぶ食事を作るのは論外で、誰もそれを問題視しません。
少子化になればなるほど子供は神聖視されがちですが、少子化を阻止するのはその逆ーー子供に対する無責任、「親はなくても子は育つ」精神のような気がしてなりません。”
— Too good to bear: Meine Sache ~マイネ・ザッヘ~