
Facebookで時々Walt Simonsonは昔の彼の作品の原画を載せている。スッゲー表紙画が紹介されていて、久し振りに惹かれた。それもMoorcockの作品に出て来るGanorだ。その表紙はMoorcock’s MULTIVERSEのもの。12冊で完結するその作品を入手した。
筋書をMoorcock、Rose von Bekの話の画をSimonson、Sir Seaton Beggの話の画をMark Reeve、Elricの話の画をJohn Ridgwayがそれぞれ担当。
次に粗筋をサラッと紹介。多元宇宙を往来できるMoonbeamを辿ってRoseはGaynorの友とされるSilverskinを探す旅に出る。2話目。ロンドンで起こる連続殺人事件。Seatonはその捜査を担当する。最終話では西暦1000年のイギリスを追放されたElricがSilverskinを探す。3つの物語が最後は一つに重なっていくのか。
Roseは宇宙の天秤に仕えているらしいのだが、混沌に使える魔物達が彼女を支援しようとするのもMoorcockならではの捻じれた素敵な設定。対峙する法に仕える者たちが妙に悪人面なのも良いな。混沌の魔物達は逆に可愛らしい。捻じれている。
多元宇宙のギャンブル場のディーラーJackはRoseと同盟を結んでいる。Roseが窮地に陥った時にやおらOmniphone(マイクロフォン)を取り出しJackを召喚する設定も良いな。何故マイク?でJackは現れないオチ付き。
このギャンブル何に賭けているのかさっぱりわからん。Gaynorと思しき人物にJackはサッサと賭けろと促しているのも良い。この場所ではJackが全てを牛耳っている。そのギャンブル場にMoorcock本人が現れちゃうのは最早オイラの理解の外。あまりに外れ過ぎていて笑える。
Elricの分身、Count ZodiacとSeatonは遠戚。謎の殺人事件はどうやらCount Zodiacによるもの。そして彼は聖杯を盗んだ者たちに制裁を加えているようだ。
Seatonが黒い剣を持つシーンがある。彼自身もこの黒い剣を持つ資格があるものなのか。しかし、嫌悪が先に来て彼は耐えられない。このシーンは好きだな。
Elricの設定が微妙に違う。題名の通り多元宇宙の別のElricなのか。Melniboneの最後の皇帝ではなく、Duke of the Middlemarch。アルビノであること、黒い剣Stormbringerや混沌の盾を持っているところは共通する。そして描いている人の影響からか元気溌剌だ。Simonsonの描いた彼はもう黒い剣を必要としないくらい強そう。
イスラム教徒が支配するスペインでの商談やお世辞にも綺麗とは言えないカーペットに固執するElric等小ネタを楽しめた3話目。Elricを天使とまで褒め称えた旅の相棒Isaakに対するElricの台詞がいつもの彼らしい皮肉が効いていて好き。”Why not reserve your judgment of me until find the Silverskin.”
今回は久し振りにMarvel以外の出版社から出たアメコミだな。早川書房の新しいElricのシリーズを読んで感じたこれじゃない感をこの作品でも感じないわけじゃないが、3人のアーティストの画と相性が良いのか最初の2冊は楽しめた。X-MEN等読んでない作品があるので、まずそっちを片付けてから続きを読む。