3月から4月にかけてバーゼル音楽大学で学ぶ阿部礼奈、小松綾、小山裕幾の三人によるフルートトリオと、高野山の仏教声楽「声明(しょうみょう)」との共演するコンサートが全国7か所で行われました。
http://www.yomiuri.co.jp/local/tokushima/feature/CO004175/20150516-OYTAT50035.html
新聞の記事
仏教声楽と里帰り共演
2015年05月17日 05時00分
<script type="text/javascript"></script> 松茂出身のフルート奏者 小松綾さん31(独フランクフルト)
松茂町出身のフルート奏者で、高校卒業と同時にドイツに渡り、現在は同国のフランクフルトを中心に活動する小松綾さん(31)。今年3月から4月にかけてフルートトリオの一員として、全国7か所で高野山の仏教声楽「声明(しょうみょう)」と共演するコンサートに出演した。北島町の創世ホールでの公演を終えた小松さんに、反響やフルートの魅力について聞いた。(野口英彦)
――仏教声楽とフルートの共演は珍しいと思います。観客の反応はどうでしたか。
「『声明』とは3年前に高野山で初めて共演しましたが、今回は鎮魂をテーマに、東日本大震災の被災地である福島から公演を始めました。被災地の方は『演奏を聴くうちに、穏やかな海の風景が思い浮かび、気持ちが落ち着いた』といった感想を寄せられ、出演してよかったと感じました」
――フルートを始めたきっかけは。
「小学校ではブラスバンドでトランペットを吹いていましたが、あまり多くの人がやっていない楽器をしたいとフルートを始めました。中学校では吹奏楽部に入り、顧問の先生に『本格的に取り組みたければ、良い先生を紹介する』と、徳島文理大音楽学部で教授を務められた川人伸二先生を紹介してもらい、中学1年の時から個人レッスンを受けてきました。高校時代、好きなフルート奏者のロバート・エイトケンさんがドイツの音楽大で教えていることを知り、ドイツに渡航。演奏を聴いてもらったところ、幸運にも『ぜひ入学しなさい』と言ってもらえ、入学試験を通過できました」
――ドイツではどのようなことを学びましたか。
「リズムの取り方など、主に感覚的なことを学びました。日本人奏者は楽譜通りに演奏しようとする傾向があると思うのですが、ドイツでは個性を引き出す指導が中心で、同じ先生についている生徒でも一人一人が全く違う演奏をする。その点、川人先生から『とにかく楽しみましょう』と型にはまらない指導を受けていたので、すぐに溶け込むことができました」
――フルートの魅力や将来の夢を教えてください。
「フルートは、穴の開いている部分を口に当てて息を吹き込む際、吹いた息の半分以上が漏れます。その点、ほかの木管楽器であるクラリネットやオーボエよりも肺活量が求められますが、息づかいによって様々な表現ができ、人間の歌声に近い楽器だと感じます。最近ではフルートだけでなく、17、18世紀に作られた古楽器にも興味があります。いつかは色々な種類の笛の楽器を持ち替え、1人で様々な時代の曲を演奏するコンサートを開いてみたいですね」
小学5年からフルートを始め、松茂町立松茂中、徳島市立高を卒業。ドイツのフライブルク音楽大やフランクフルト総合芸術大、スイス・バーゼル州立音楽院で学び、オーケストラ奏者としても活躍する。現在はフランクフルトで後進の指導にあたるほか、フルート奏者・阿部礼奈さんとのデュオ「Arko」でも活動する。