デヴィッド・ボウイという人は、
「僕にSoul/Funkを教えてくれた人」
でした。
というと語弊があるのですが、正しくは、
「Soul/Funkを(僕が)好きだということを教えてくれた人」
です。これも分かりにくい表現かもしれませんね。
洋楽を聞き始めて、当然デヴィッドボウイにも興味をもって、とりあえず一番プッシュされていた「ジギースターダスト」をレンタルショップで借りてみたんですけど、何だかピンと来ませんでした。その頃の映像を見ても、あの容姿がカッコいいとも思えません。
それでも、DURAN DURANとJAPANに影響を与えた人物だけに、なにかあるんだろうと思ってベスト盤を購入して、順を追って聞いていきました。「レッツダンス」のタイトル曲はその前に知ってはいましたが…。
で、しばらく聴いていて引っかかったのが
「GoldenYears」と
「Fame」でした。
何を言いたいのか、これで分かっていただけるかと思います。
「Golden Years」をひっさけげて、白人として初めてソウルトレインに出演したということ。それと「Fame」は、曲を聞けばお分かりかと。
「お前、こんなのが好きなんだろ?」
とデヴィッドボウイに言われている気がしました。
つまり、それまで好きな曲調を無意識で判別していた僕に対し、Soul/Funkが好きだということを「気づかせてくれた」人だったんです。そうなると止まらない。特に70年代後半以降のオリジナルアルバムを聞き、その耽美的な部分も含めてますます好きになっていきました。
で、話は「レッツ・ダンス」に。
それまでの「カルト・スター」から「メジャー・スター」になったと頻繁にレビューされ、初期が好きだった方には不評という声も聞かれます。
それはさておき、
スティーヴィー・レイ・ヴォーンを起用して、彼のメジャーデビューへの道筋を作ったことでも有名ですが、はじめてレッツ・ダンスを聞いた当時は全く気にかけていませんでした。
その後、別の機会でレイ・ヴォーンを好きになってしばらくしてから、なんときなくレッツ・ダンスを聞いたら、
「このギターの音って、どっかで聞いたことがあるな…」
と、順序が行ったり来たりする混乱状態に陥りました。
そもそもレッツ・ダンスを先に聴いていたんだけど、レイ・ヴォーンを別個に聞いたときはそれと気づかず、レイ・ヴォーンを好きになってから、後でレッツ・ダンスのギターに反応してしまうというカオスに。
チャイナ・ガールの後半のソロもそうだよな、と。
その時には、既に弾きまくっているレイ・ヴォーンの音を知っていたので、レッツ・ダンスではヤケにひかえ目に弾いているなーという印象。ボウイという先輩に遠慮していたのか、弾き過ぎるなと指示されたのか分かりませんが。
そこで思い出したのが、レッツ・ダンスのビデオクリップ。当時僕が知っているのは、ベストヒットUSAの最終回でちょっとだけ流れた、最後のレイ・ヴォーンのソロ部分。
改めて見直してみても、画面に映っているのはボウイだけ。レイ・ヴォーンはいません。
良く見ると、レイヴォーンのチョーキングをボウイが当て振りしてる。
しかも手袋をはめたまま。
「そりゃーねぇよな」と思いましたわ。
その後ボウイのツアーにスティーヴィーが参加しなかったのは、その当て振りに腹を立てたのが原因だったとかなんとか。
真偽はともかく、分かる気がします。
なんか、悪口で終わってしまいそうなので付け足しますが、長くアーティスト活動をしていると、ちょっとしたことでトラブルになることは避けられないと思います。別に、ボウイだけに限ったことでもないです。
いずれにしても、素晴らしいギタリストが世に出るきっかけを与えたその先見性は流石だし、最後の最後まで創造性を失わず走り続けたアーティスト、デヴィッド・ボウイを忘れません。ありがとう。