Richie Kotzen TLR-135RK
テクニカルなギタリストの中では、リッチー・コッツェンが気になる存在で、風貌と相まって彼の持つテレキャスターが、学生の頃からやたらカッコよく思えていました。
で、このギター。リッチーがブラウンサンバーストのシグネチュアモデルを出すという情報が入り、それまでのモデルが一旦製造中止になったと聞いたので、都内のあちこちの楽器屋に電話で在庫を確認し、ようやく渋谷の石橋さんで見つけたので、買ってしまいました。
ネックは想像をはるかに超える太さ。試奏させてもらった時、石橋の店員さんと顔を見合わせて苦笑い。それほど太かったんです。
ボディ塗装はポリエステルでガッチリ固められていて、自分の持っているカスタムショップ製ストラトのような生音は出ませんでした。そこで、悩んだ挙句、松下工房さんでネックを削ってソフトVにしてもらい、併せてサーフグリーンの塗装をはがし、極薄ラッカーで黒に塗りなおしてもらったら・・・あら不思議! 4~5弦の奥まっていた音がバーンと鳴るようになりました。
薄く仕上げるために、目止めも最小限でお願いしたので、遠目にはわかりませんが、近くで見ると木の表面の凹凸がはっきり見えます。で、このギター、元々メイプルトップでしたが、そのメイプル材はとても薄く、塗装をはがしたらいくつもの木のつぎはぎだったことが判明。別に気にしませんけど。ブラックジャックみたいで良いかな。
その後は、導電処理を太田のウッドストックさんでしてもらい、ノイズが格段に少なくなりました。リアにはシングルサイズのディマジオ製ハムバッカーがマウントされてて、ピックアップセレクターで音のバリエーションもあるし、ストラトとは違う、そこそこ歪ませた太い音が欲しい時には、これを使います。逆に、フロントピックアップの枯れた金属音も「フェンダー」という感じがして気に入っています。
ちなみにピックアップは、
DiMarzio Twang King / Chopper T
です。最初からこれでした。
ところで、エレキギターの生鳴りって、ピックアップを通せばあまり関係ないという意見をよく聞きます。薄いラッカー塗装と厚いポリエステル塗装との違い、木材の違いや組み込み方に至るまで、ヤフーの知恵袋でも何度も話題に上っているようですし。しかも、リッチー自身も以前のインタビューで、「(ジャパン製の)テリーの音は最高! ブラックの(カスタムショップ製)ストラトよりも断然いい!」とエンジニアか誰かに指摘されたと答えていた時もあったので、この差って弾く人によって出音が違うし、永遠に議論されることかもしれません。
私個人的には、出音への影響というより、「生音がデカくないとヤダ」という自己満足でしかなく、「エレキは生音なんて関係ないね!」「薄い塗装が良いなんて売り手側の宣伝文句だ!」と指摘されれば、「そうですか・・・」と、反論できないんです。
でも、ギタリストの加茂フミヨシさんがコラムで書いた記事を読んで、「そういうことだよな」と納得しました。
【生鳴りは出音に影響するのか?】
http://port.rittor-music.co.jp/guitar/column/kamo/19409.php
加茂さんは、生鳴りが良いギターであれば、多くのギタリストが心地よく感じ、その状態によって演奏にも集中できて、良い音になりやすいと言っています。私の「なんとなく自己満足」な感想と違い、加茂さんは色んな現場で色んなギタリストを見て、演奏を聞いてきた経験から回答しています。全てではなくとも、弾き手のモチベーションが生鳴りで変わるとすれば、それは出音に影響しますよね。
最後に私見ですが、もし「エレキの生鳴りなんて関係ない」って結論になれば、ギターを選ぶ楽しみが減ってしまいます。あれこれ試奏して「おっ、鳴るねーこれ」なんて言いながら選ぶことも、エレキギターの文化として残ってほしいですし、作り手側も「鳴る」ギターを作るという目標をいつも掲げていてほしいと思います。