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大善人へ身魂磨き

忌部氏

天皇陛下の代替わりの際、大嘗祭で重要とされるものに、天照大神のためのお召し物、神御衣(かむみそ)があり絹と麻の2つが供えられます。

絹の織物 「繒服(にぎたえ)」

麻の織物 「麁服(あらたえ)」

天皇陛下しか入れない部屋で映像もないため、まさに秘事ですね。

神事のあとは燃やすようですね。この麻の麁服の方は古より阿波国(徳島県)から、絹の繒服は三河国(愛知県)から調進されるようです

この麻の織物 「麁服(あらたえ)」を代々調進してきた家系に忌部氏があります。

歴史の混乱期に中断はあったものの、令和の大嘗祭においても三木家から麁服の調進が行われたようです。

この忌部氏について書いてみようと思います。


忌部氏は古代から、宮廷における祭祀を統括した氏族で、宗教儀式に使用する祭具を作る人々の管理もしていたのではないかと言われています。

忌部氏の祖は、天太玉(アメノフトダマ)です

アメノフトダマはアマテラスの天岩戸の物語において天岩戸の前に集まった神々の一柱として知られ、洞窟の前で占いを行い、続いて枝葉の茂った榊に、大きな鏡、大きな勾玉を連ねた玉飾り、(こうぞ)で織った白木綿と麻で織った青木綿を下げた太玉串(立派な玉串)を作りました。

マテラスが天岩戸から出てきた際にも、二度とアマテラスが天岩戸に戻る事がないように注連縄を洞窟の入り口に張って境界を作ったというエピソードがあります。

そこから、災難除け、厄除けの神でもあります。

注連縄(しめなわ)は現在でも神社内の様々な場所に張られており、不浄なものの立ち入りを禁止する力があるとされています。

日本記紀には、天岩戸の際、祭祀を司る神がもう一柱いらっしゃいます。アメノコヤネです。アメノコヤネが祝詞を奉じるのと同時に、アメノフトダマはその太玉串を持って、アマテラスの出現を祈ったとあります。両神は天尊降臨においても付き添っている神様です。

アメノコヤネを祖とするのは中臣氏(後の藤原氏)です。


祭祀を行う御祭神をそれぞれ祖とする中臣家と忌部氏ですが、宮中祭祀をめぐっては、大化の改新(645年)以降、中臣氏が祭祀のみでなく政治的な力を持ち、祭祀のみを司ってきた忌部氏が排除される事態が徐々におこります


延喜式にある祝詞には「御殿(おほとの)御門(みかど)等の祭には齋部氏の祝詞を申せ、 以外の諸の祭には、 中臣氏の祝詞を申せ」とあります。斎部氏とは後に忌部氏が名前を変えます。(※)忌部氏の祝詞は現在の中臣祭文とは別格でした。


(※)忌部の氏族名の「忌(いむ)」は「ケガレを忌む」「斎戒」を意味したようですが、平安時代の前期には、朝廷の祭祀から排斥されるようになり、氏を忌部から「斎部」と改めたようです。


祝詞も奏上する氏族ごとに色々あったのですね。記紀ではアメノコヤネが祝詞を奏上し、アメノフトダマは太玉串を持ったとされています。


これは大化の改新で力をつけた中臣氏の子である藤原不比等が日本記紀の編纂に携わり、編纂当時の藤原氏と忌部氏の勢力差をそれぞれが祖とする神話の神に反映させたと指摘する方もいます。


神代の世界の力争いが人間に転写?かも。わかりませんけどね。


奈良から平安時代、そして藤原氏全盛期に向けて加速する中、政治を牛耳るだけでなく祭祀も権力により左右された時代だったのが見え隠れします。


物部氏、蘇我氏の宗教対立がありましたが、宮中祭祀も朝廷の権力争いに巻き込まれる形の闘いがあったようです。


宗教対立では蘇我氏が勝ったあと物部氏は排斥されますが、蘇我氏と共に仏教を押した聖徳太子も、死後一族皆けされてしまう悲運があります。また別件ですが、菅原道真公は、腐った権力者、朝廷にまとわりつく藤原氏の嘘の進言により排斥されます。






物部氏が排斥されると、次は蘇我氏が大化の改新で滅ぼされ、力をつけた中臣氏(藤原氏)が、次は忌部氏を排斥する。


この流れの中で、本当の御祭神が隠れたり、様々な所で今に続く歪みを残してしまったのかもなぁとも思います。


祈りは心。人の純粋な思いだけが通じる。隠された神、スミで塗られた神、虐げられた一族、消された一族の無念な思いが解けて、明るく光輝きますように。


何はともあれ、忌部氏(今の三木氏)が祭祀に関連する織物を、一時期やめた後近世になり復活させ今の時代に繋げているのは、古代祭祀を伝統として今に繋げていて、良かったなと思います。




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