歯科技工管理学研究

歯科技工管理学研究ブログ
歯科技工士・岩澤 毅

続き7

2007年03月29日 | ごまめ・Dental Today
22 - 衆 - 社会労働委員会 - 53号
昭和30年07月29日
昭和三十年七月二十九日(金曜日)
    午前十一時十八分開議
○中村委員長 それでは速記を始めて下さい。
 参議院より送付されました歯科衛生士法の一部を改正する法律案及び歯科技工法案の二法案を一活して議題となし、質疑に入ります。
 質疑の通告がございますので順次これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 ちょっと一、二点お尋ねいたしたいのです。この法案を見てみますと、一条関係の目的は、ほとんど歯科医師のやる目的と変っていない。それから二条関係で、この歯科診療所の器具の作成、そういうようなものは、歯科医師もできることであり、技工士もできることで、これもほとんど同じ。それから十七条関係を見てみましても歯科医師か技工士でなければ、業として歯科技工をやることはできないのだ、これは同じなのであります。問題は、業務上の注意として、二十条で「歯科技工士は、その業務を行うに当つては、印象採得、咬合採得、試適、装着その他歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。」としてある。詳しく見ると、本質的な違いは、二十条は、歯科医師がやるという形になって、もちろん治療もできぬ、そういう本質の違いもあります。そうしますと、私の心配しておることは、この型を取ったり、入れ歯を作ったりすることが非常に適切に行われるためには、やはり型をぽっと歯科医師が技工に出すよりか、本人の実際の歯に向って技工士がやった方が、よりよき技術ができるような感じもしてくるわけです。そういう点の調整というか、私のおそれるのは、将来そういう技工所ができてくると、そこに行って簡単な治療が行われて、歯が入れられるおそれがあるということの心配なのです。そういう点の防止はどうしてやるのかということです。先般来、医薬分業の問題でもいろいろ問題になりました、ちょうどそれと同じ問題が、二、三年を出ずして出てくるのではないかという心配もあるわけでなのです。その間のいわゆる歯科医師と歯科技工士の区別というものは、普通入は、もちろん広告を見ればわかるでしょうけれども、なかなかつきがたいものがある。法文の上で見ても、今二十条くらいが違うくらいで、あとは大半が同じです。歯科診療の普及と向上のためにやるという点においては、同じ点がある。それは歯科衛生士についても言えることであります。それは歯科衛生士、改正案の方では「婦」でありますが、新しく歯石の除去あるいは看護業務を入れることになっておりますが、これを除外するにしても、そういう点の防止対策はどうするのか、それを一つお聞かせ願いたい。
○高田(浩)政府委員 ただいまお話しの点は、この問題の最も本質的な問題であろうと思います。長い間この問題が論議せられたゆえんのものも、今の御心配に基く点が多かろうと思うのであります。それで、これにつきましては歯科の技工というのは患者にはタッチしない、すべて技工の業務は歯科医師を通じて、すなわち十八条に書いてあります歯科医師の歯科技工に関する指示書に基いてやる。患者との関係はすべて歯科医師がこれに当る。そういうような立て方にいたしておるわけであります。なお、もちろん二十条に書いてありますように、いわゆる歯科医師まがいの行為をすれば、これは厳重に歯科医師法違反として処罰するということになるわけであります。これに関連をしまして、一つの問題として、大衆に対してみずから診療する、あるいは金冠等を入れるがごとき広告をいたすということは、これは非常に問題になるし、その点を心配をしておったのでありますが、この点は、参議院の修正によりまして広告の制限が厳重に置かれるようになりましたので、その辺の心配はそういう格好で解決されたと見てよいのではないかと思います。
○滝井委員 そうしますと、将来厚生省の見方としては、歯科技工師が歯科治療の領域に入ってくるおそれというものは全然ない、こういうお考えのようでありますが、しかし私は、その考え方は甘いと見ております。これは実際に現在の社会保険の状態から見て、補綴というものが、非常に大きな社会保険の比重を占めておることは御承知の通り、しかも特に大きなものとして保険治療から締め出そうとして、何か中央社会保険医療協議会では、それが問題となっておると言われておる金冠の問題、こういうものとの関連から考えた場合には、これは私は必ず社会保険ではだんだん押えられてくるということになれば、簡単に歯科技工所にいって、治療ではなく、装飾的な入れ歯というようなものは、これは簡単に行われる可能性が出てくるということなのであります。そういうものの処置対策というものを大体どうしていくのか、全くこれはないのじゃないかと思うのでありますが、それはどういうことになりますか。
○高田(浩)政府委員 歯科の技工士が、歯科医師的な歯科医療に関する業務を行うことを防止する点につきましては、この法におきまして、あらゆる万全の規定を置いたつもりであります。これより以上の問題としましては、結局歯科技工士という制度を認めるか認めないかという本質に触れてく旧る問題だと思いますので、この法律の規定を駆使いたしまして、御心配の点がないように、十分気をつけて参りたいと考えております。
○滝井委員 十八条で、この歯科技工士が技工をやる場合には、歯科医師の指示書が必要になってくる、これはいわば医師の処方せんと同じようなものであります。これは患者は金を出さなければならぬものなのかどうか。これはおそらく第三者の患者を通じて――たとえば処方せんが患者から薬剤師に行くように行かずして、直接技工士に行くようになるのだと思います。しかし、技工所が離れておるような場合には、患者が持っていくこともあり得るということです。しかもそれは、患者の歯の構造にぴたっと合った構造に作る指示書なのですから、従っていわば処方せんと同じようなものです。この指示書は金を取るのか取らぬのか、この点を一つお答え願いたい。
○高田(浩)政府委員 金は取らないことに考えておりますと申しますのは、この指示書というのは――今処方せんというお話がございましたけれども、私どもの気持としては、処方せん的というよりも、むしろカルテ的に考えておるのでございます。この指示書と患者との関係は生じないで、むしろ歯科医師と、それから歯科医師が技工について一部技工士に委託するとすれば、その仕事の委託を受けるところの技工士との関係でございまして、従って、患者との関係については、この指示書は介入せしめない、そういうふうに考えております。
○滝井委員 どうもその点は、少し納得がいきかねるのです。やはり現在の歯科技工というものは、ここに書いてあるように印象採得とか咬合採得とか、そういうものを考慮して、りっぱな型をとるのが一つの技術だと思うのです。技術の指示書が無料である、これはあなた方が勝手にきめられておるのですが、これは次の健康保険の問題とも関連してくる。現在普通の医療においては、医師と看護婦が二人構成でやっておる、その中に医薬分業で薬剤師が入ることについて、いわば重大な経済問題として医薬分業問題が論議されるところにあの紛糾があった。ところが今度は、この歯科技工法案と歯科衛生士法改正案が通って参りますと、歯科医師という小さい口腔の中の処置を、歯科医師と歯科技工士と歯科衛生士と、ときには看護婦と四人が、小さな部門から出る経済的な収入で食っていかなければならぬということになるわけだ。そうすると、政府は今後の健康保険の点数その他の場合、歯科診療においては、歯科治療的な技術プラス歯科技工士の技術というものは、当然健康保険の上においても認めるということを了承の上、こういう身分を当然出しておると私は思っておる。私はこういうものを作らなければならぬと思っておりますが、そう考えて差しつかえないかどうか。
○高田(浩)政府委員 医薬分業の問題と関連してのお話でございますが、第一に、医薬分業につきましては、事の始めといたしましては、政府が明治の初めに、いわば医薬分業の方針的なものを明らかにして、実際それが事実上の問題として、実施せられずにずっと延びてきたということに問題の発端がございますし、これは分業の、いわゆる歯科技工と歯科医師の仕事を分離するという考え方ではなしに、歯科技工というのは、ある意味においての歯科医師の補助者的な立場であるということが、初めからはっきりしておるわけでございますから、その点、第一に私は出発点が医薬分業の場合とは違うのじゃないかと思います。それから仕事といたしましても、印象採得でありますとか、そういった初めの行為と、それから試適あるいは装着等の終りの行為は、これはがっちりと歯科医師が押えておるわけでございまして、その間において、一部技工等に関しますることの、本来ならば、自前でやるべき仕事の一部を委託をして技工士にやらせるわけでございますから、すなわち当然自分のやるべき仕事の一部を技工士に下請をさせる、俗っぽい言葉を使いますれば、そういう格好になるわけでございますので、薬の場合とは相当違うのじゃないかと思います。
 なお、健康保険との関係におきましても、従来のようなやり方を、この制度を設けたがために変更する必要はないと考えております。
○滝井委員 とにかく歯科技工士とを作ったならば、歯科医師も食えるし、歯科技工士も食えるという姿にぜひお願いをして、私の質問を終ります。政府の責任において、ぜひそれを要望いたしておきます。
○中村委員長 ほかに御質問はございませんか。
 なければ、両案に対する質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、両法案に対する質疑は終了いたしました。
 両案について討論に入りますが、別に討論の通告もございませんので、これを省略し、直ちに採決するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
 これより歯科衛生士法の一部を改正する法律案を採決いたします。本案を原案の通り可決するに御賛成の諸君は御起立を願います。
    〔総員起立〕
○中村委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決いたされました。
 次に歯科技工法案を採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
○中村委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決されました。
 なお、ただいま可決いたしました両案に対する委員会の報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
 午前中はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。
    午後零時二十八分休憩


22 - 衆 - 文教委員会 - 31号
昭和30年07月29日
昭和三十年七月二十九日(金曜日)
    午後一時五十三分開議
○佐藤委員長 大臣に一言委員長から質問いたしますが、本日社会労働委員会で共同審査をやったのでございますが、例の歯科技工法案のことにつきまして、文教行政についてわれわれ非常に遺憾な点があると思うのであります。現在東京歯科医科大学には、付属の歯科技工士として四十五人の学生がいるそうですが、こういう問題についてどういう処置をされるのか、一言だけ大臣からの御答弁をお願いしたいのであります。
○松村国務大臣 実は、そのことは私非常に遺憾に思うております。先刻あちらの委員会と文教委員会の連合の会議をお開き下さいまして、非常な御配意を得、また厚生文部両当局者の間に意見のそごも一部にははございましたが、私も厚生大臣にも打ち合せをいたして、その点についてやはり原案の通りということで役所間においては話し合いがつきましたけれども、あちらの委員会ではあのような形に参議院の修正を認めるに至ったのでありまして、非常に遺憾に存ずるのでございます。ただいまのところといたしましては、それで本会議を通りますならば、これは私といたしていたし方はございませんけれども、はなはだ不満であるということだけ申し上げておきたいと存じます。
○佐藤委員長 なお歯科技工法案等につきましてはいろいろ論議したい点もありますけれども、最終日にもなってきておりますので、委員会も御承知のように法案の審議などあって十分なこともできなかったのですけれども、文教委員の方々は各氏とも非常に心配しておられまして、ぜひ善処方をお願いしたいと思っております。

22 - 衆 - 本会議 - 50号
昭和30年07月29日
昭和三十年七月二十九日(金曜日)
●本日の会議に付した案件
  歯科技工法案(内閣提出、参議院送付)
○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、歯科衛生士法の一部を改正する法律案、歯科技工法案、参議院提出、優生保護法の一部を改正する法律案、右三案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。歯科衛生士法の一部を改正する法律案、歯科技工法案、優生保護法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。社会労働委員会理事山花秀雄君。
    ―――――――――――――
    〔山花秀堆君登壇〕
○山花秀雄君  次に、歯科技工法案について申し上げます。
 改正の要旨は、第一に、歯科技工士については現在何ら法的規制が加えられておらず、その技術内容も千差万別で、国民の歯科医療を確保する上に欠ける点が多いので、新たに歯科技工の資格を定め、その免許は都道府県知事の行う試験に合格した者に対して都道府県知事が与えることとしたことであります。第二に、歯科医師または歯科技工士でなければ業として歯科技工を行なってはならないこととしたことであります。第三に、病院または診療所内において患者の治療を担当する歯科医師の直接の指示に基いて行う場合のほか、歯科医師の指示書によらなければ業として歯科技工を行なってはならないこととしたことであります。第四に、歯科技工所につきまして、開設の届出義務、管理者の設置義務、広告の制限等、必要な規制をすることとしたことであります。本法案は、六月二十一日予備審査のため本委員会に付託せられ、同二十三日提案理由の説明を聴取し、七月十五日本付託となり、審議に入りましたが、慎重を期するため、本日特に文教委員会と連合審査会を開き、歯科技工士試験の受験資格に関する学校、養成所の問題について質疑を行い、さらに引き続いて開かれた本委員会において、質疑終了の後、討論を省略して採決に入りましたところ、本法案は多数をもって原案通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
○議長(益谷秀次君) 三案を一括して採決いたします。三案中、優生保護法の一部を改正する法律案の委員長の報告は修正でありまして、その他の一案の委員長の報告は可決であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって三案は委員長報告の通り決しました。


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