Bicというと昼間はだいたい寝ている。というふうに見ていたのだけれども、それが10日余り前から様子が変わって、発情期にはこういう行動をするようになるのか、と思えるようなことになって、ひっきりなしに訴えるような鳴き声を上げる。落ち着きなく動き回る。生まれた年に手術はしているし、それからの5年4か月の間にこんなことがあったのかあまり記憶にないので、ただ行動を見守るしかなかった。深夜近くになっても行動は変わらない。普段から夜遅くにはカーテンを駆け上がって、外に出たいというアピールとして受け止めていたのだけれども、鳴き声が続き動き回られると、こちらも眠りにつけない。というようなことで、外に出てもらうことにした。それでやっと発情期のような鳴き声や動きから解放されて、ゆっくりと朝まで休めたのだつた。
普段のBicは夜外に出ても、せいぜい10分位で戻っていた。外にはいない子なのである。それが朝にも戻らなかった。戻ったのは翌日の17時半頃。ヌックが来るのと前後するくらいで、ヌックはここのところ戻って食べるとすぐにまた出ていくような生活になっていたのだが、Bicはそのまま深夜まで室内。それから変わらない絶え間ない鳴き声や落ち着きない行動への安眠無理感から、眠る時間には外に行かせてしまう。ということになった。朝、ヌックと一緒に玄関に戻ってきたこともあった。外でのお互いの行動のことは分からない。深夜に外に出ると戻るのは17時を過ぎた時間で、朝や昼には戻らない。どこでどうしているのか思いもつかなかったが姿を見せないのである。そんなことが何日もつづいた。
その日も深夜の12時を過ぎた時間、鳴き声を上げつづけ部屋の中を走るBicを外に出したのである。これでゆっくりと眠れる、ということになつた。そうであったのだが時間が過ぎてから鳴き声が外から聞こえるのに気づいた。それまでの日は外から鳴き声が届くことはなかった。部屋の中で発していた声の調子と変わらない。広い隣家の庭をヌックやナヌーたちも日中通っているはずだし、隣家の人もこちらの子のことは見て知っている。でも深夜にそんなひっきりなしの鳴き声をあげられては迷惑だろうと、非常に気になった。幸いにもBicの声がこちらに近づいてきて、最後には室内に入らせることができた。他に手がないのでBicをキャリーケースの中に入れることにした。それを声が届かないところに置いて、こちらは休んだのである。
深夜外でBicが声を上げつづけることで、かける周りへの迷惑を思うと、外には出せないと思った。ところがキャリーケースに入れて夜を過ごさせた朝、入り口を開けてもBIcは出てこなかった。こちらの感覚としてはやむを得ずそこに閉じ込めることにした、というようなものだったのだが、どうもこの子の感じとしてはよくダンボールの箱があったりするとそこに入りたがったりする、あるいはどこかにもぐりこみたがったりするそういう習性のようなものに似て、キャリーケースのようなものの中に入るのは、悪いものではなかったらしいと思った。そこから出た後のその日は、昼の間ずうっとバスルームの床の上で寝ていた。ということは、発情期のように鳴いたり動いたりすることをその昼はピタリと止めたということ。
その日の変化は意外であったけれども、夜になって様子を見ていると、訴えるように鳴きつづけるということはなくなったように思えたし、このまま変わっていくのかとも思えた。けれどもやっぱり落ち着きなく動き声をあげつづけるということが始まり、深夜にはまたカーテンを駆け上がったりということもあって、こちらが眠る時にはキャリーケースの中に入れるしかないことに。それからは一日外には出さない毎日になっている。ヌックは室内に落ち着かない。やってくると玄関前の鳴き声などで分かるのだが、ドアーを開けてもすんなりと入ってくれない。ドアーに顔をすりつけたりなどするが入ってこない。結局こちらが外に出て抱きかかえて入らないといけない。室内に入って食べるとまた出ていく。室内にいさせても良いのだが、出たがるのである。今日は首輪がなくなっているのに気づいて新しいのをつけてあげた。
ナヌーも一日に何度か入ってくるけれども、室内にいるのは殆どの時間Bicだけ。眠っていることもある。だが矢鱈と訴えるような鳴き声をあげ、動き回ることもあるので、Bicに起きている変化は終わっていないと思わせる。1か月位? その位の時間は以前のように戻るまではかかるのではないか、という予想なのだけれども果たしてどうか。夜の時間の今、Bicはたまたまいる三毛猫のナヌーとテーブルの上で隣り合わせて体を丸めて寝ている。深夜にどうかは分からない。