定年夫婦のイタリア・スイス旅日記

あこがれのローマ,ルネッサンス発祥の地フィレンツェ,そしてツェルマットへ

ミラノからツェルマットへ

2012-06-04 00:48:38 | 日記
2012.6.3(日)

 外国語の分からない夫と地図の読めない妻の外国旅行中で,最困難の一日,しかし最大の楽しみの一日のスタートである。ミラノからツェルマットへ,4回の列車の乗り継ぎがある。個人旅行であるので,全部自分たち夫婦でこなさなければならない。夫婦のチームワークが一番試される日だ。
 ミラノのホテルで朝食を取り,8時30分に駅に行く。ベリンツォーナ行き(チューリッヒ行きの列車に乗って,途中で降りなければいけない)の列車は,もう8番線ホームに入っていた。今まで何度となく列車に乗っているので,ここまでは問題なくできた。6号車の85と87番の席に向かった。列車の中に入ると,6人の席で一室になっていて,80番台は81~86しかない。隣の部屋にあるだろうと見てみると,なんと91~96なのだ。確かにチケットには,87と印刷してあるが,「俺の座る席がない!」のだ。さあ,どうしよう。妻は,おろおろしているし,外国語のしゃべれない親父の活躍が始まった。チケットを持っていろんな人に見せながら,時には席の所まで連れてきて,聞いてみたが,どうにも合点がいかない。ああ,これまでか。この時考えた。乗客はほとんどいないので,このまま乗って行っちゃえと。9時10分,無事にスタートした。そうしていると,車掌が点検に来た。チケットの87の番号を指さして見せると,何と「気にするな。」というポーズであった。今までの心配は何だったのか。イタリアという国は何というアバウトな国なのかと思ってしまった。普段アバウトで通っている親父の数倍も上を行く国である。その時車掌に,ベリンツォーナでゲシュネン行きにり乗り換えるのは1線と聞いて,10時34分にベリンティオーナの駅に降り立った。途中イタリアからスイスに入ったが,警官らしき人たちが回ってきたが,何も検査もされなかったし,どうにか来られた,これで一安心とベンチに座って,11時06発の列車を待つ。
 11時03分頃に列車が1番ホームに入ってきたので,来たぞと思い,妻と共に勇んで乗り込むと,すぐに発車した。指定の75番と76番の席を探すが見あたらない。そして,乗客もほとんど乗っていない。何か怪しいぞ,と親父の勘が働いた。もしかして,別の列車に乗ったのではないか。とっさに次の駅で降りて,聞くとやはり間違いで戻らなければならないとのこと。しかし,指定された列車はもう出発している。これで終わり,今日はツェルマットにたどり着くのは無理なのではないかと思いながら,心うなだれてベリンツォーナに戻る列車に乗った。妻はパニック状態になってしまっている。駅について,妻を落ち着かせ,列車の予定をメモ書きにし,駅員に聞きに行く。そうすると,何と,丁度1時間遅れで列車があるではないか。そして,アンデルマットからは,予定された「氷河特急」に乗れるのである。親切な駅員さんは,予定を印刷して渡してくれた。何という有り難いことかと,妻と共に再び喜ぶ。そうすると急に腹が減りだした。駅の売店でパンとジュースを買って腹ごしらえをしながら,外国語の分からない親父でも,何とか役に立つものだ。やる時はやるんだよ。とか何とか話しながら50分程待つ。
 そして,慎重に慎重に乗車して席に着く。指定席はどうなるのだろう。お金を払う必要があるのだろうか等と考えて,車掌を待つと,「OK」なのだ。そのまま座ってゲシュネンに到着したのであった。
 ゲシュネンからは5分間でアンデルマット行きの列車に乗り換える。当初の乗り換えを一番心配していたが,小さい駅なので,割合とスムーズにいく。そして,11番ホームから出発して10分間でアンデルマットに到着したのである。13時54分発の「氷河特急」までには,まだ30分程の待ち時間があるのだ。結局は,前の列車で来ても,ここで1時間30程待たなければならなかったのだった。おっちょこちょいの夫婦だから,もしかしてこの様なこともあるだろうと,余裕を持たせて切符を手配してくれた(?)娘に感謝しきりである。
 いよいよ氷河特急への乗車である。今度こそは間違わないで乗車できた。走り出すと,緑の草原に一面のタンポポが咲いている。まさに黄色の絨毯が広がっているようだ。また,左右に山々の急峻な岸壁が現れたと思うと山々の懐に点在する村々が現れてくる。そして,底深い谷の上を,特急とはいえゆっくりゆっくりと列車は走っていく。昼食を注文すると席まで持ってきてくれ,素晴らしい景色を見ながらゆっくりと食事を取ることが出来る。まさに至福の一時である。そうこうして進んでいくと,途中から雨が降ってきて,ツェルマットに着く頃にはシトシトと本格的な雨になっさていた。せっかく楽しみにしていた,マッターホルンは,恥ずかしがって顔を出してくれない。
 電気タクシーでホテルに入る。部屋の窓からはマッターホルンが見えるとのことであるが,明日を楽しみにしよう。
 夕食は何処にも出ずに,ホテルのレストランで食べる。ここで,妻の英語の力が役立ったのは嬉しいことであった。親父はただ飲み食べるのみであった。思ってみれば,今日は,昨日までの歴史とで文化の旅ではなく,自然を求める旅のスタートであり,色々なことを体験したも本当に思い出に残る一日であった。本当の夫婦の力が試されたのであろう。