アケボノソウ

離婚・相続など家事事件及び中小企業法務を得意とする、立川市のあけぼの綜合法律事務所のブログです。

多重債務者並の借入を背負った弁護士が生まれる時代

2011年11月04日 | 法曹事情
民主党が、司法修習生に支給していた給与を貸し付けと
する貸与制にすることを決めました。


裁判所のHPによると、貸与される金額は、基本額が
23万円のようです。


この23万円は、高いと考える方もいるかもしれませんが、
修習地までの引越代、書籍代等修習のために必要な費用を
踏まえれば、決して高い金額とはいえないと思います。

そうすると、23万円×12ヶ月=276万円の借り入れ
となるわけです。

さらに、今の修習生は、原則、ロースクールを卒業しなければ、
司法試験を受験することができません。そのため、奨学金
を得ている卒業しているかたが多いようです。
日弁連が昨年実施したアンケートによると、新63期の約半数が
奨学金を利用し、平均318万円の借金があるようです



さらに、貸与制になると、借金がふくらみます。
276万円+318万円=594万円の借金を背負っている
ことになります。もっとも、直ぐに返済期が到来するわけで
はありません。

その上、司法研修所を卒業し、法律事務所に就職を希望する
約3割が就職できない状況にあります。


まず、貸金業法が改正され、貸金業者から、年収の3分の1
以上の借入が難しくなったのに、新人弁護士は、金利こそ安い
が、奨学金と貸与性の借金は、年収の3分の1を超えているの
ですから、多重債務者並みの借入といえるでしょうね。


これがどのような意味を持つか。数多くの多重債務者に接して
いると、返済に苦しむと、返済のことしか考えられず、自殺ま
でする方もいます。やなり正常な判断ができない方が多いよう
に感じます。


そうすると、多重債務者並みの借入を背負った弁護士は、どう
なるでしょうか。直ちに、自殺まですることはないでしょうが、
返済のために、無理なことをするだろうなということは想像で
きます。

問題はどこまで、どのような無理なことをするかです。本来、
訴訟提起を諦めさせるのが妥当な事案でも、お金のために訴訟
を提起することもありえるでしょう。また、とにかく、何とか
多くのお金を稼ごうとするでしょう。
このとき、利用者は、弁護士の良し悪しは分かりません(訴訟
の結果が、どれほど弁護士の力量で変わったのかは、同業者の
弁護士でさえ、すべての資料を見ても判別つくか分かりません。
必要な訴訟行為かの判断等もできないでしょう。もっとも、依
頼者との接し方が良い悪い等なら利用者でも分かりますが、最
も重要な力量は訴訟の結果であり、適切な見通しを持った上で
の方針の決定のはずです。)。



そうすると、様々なことを言って、高い費用を請求する事態に
も起こりえるのではないかと思います。


その結果、弁護士に対する信頼が低下し、利用者は弁護士を疑
い、値引きを要求するようになり、適切な費用をもらえなくな
り、そのような業界に失望した若手が法曹界に参入してこなく
なり、質の悪い法曹ばかりが誕生するようになり、さらに信頼
が低下する、と言った悪循環に陥らないといいなと願うばかり
です。


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